評価年月日 平成21年4月26日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲
1.案件名1-1.供与国名ネパール連邦民主共和国 1-2.案件名「シンズリ道路建設計画(第三工区)」 1-3.目的・事業内容首都カトマンズ近郊のドリケルと南部テライ平原のバルディバスを結ぶシンズリ道路のネパルトック~クルコット間のうちの約14キロメートルの道路建設を行う。シンズリ道路の整備により、首都カトマンズとインドを結ぶルートの確保と輸送の効率化、周辺地域の活性化等を図る。供与限度額は43.33億円。昨年、民主的な連邦共和制に移行したネパールにおける民主主義と平和の構築に向けた努力を後押しするもの。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項がネパール連邦民主共和国政府により実施される必要がある。 (1)本計画により整備した道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)ネパールの経済は、農業を中心とする第1次産業が主であり、GDPの約4割、就業人口の約8割を占める。主な農業地帯はインドとの国境沿いに広がるテライ平野であるが、主要農業産地である東部テライ地域から首都カトマンズへの現在の主要ルートは大きな迂回路であり、また、雨期には地滑り等により度々閉鎖される状況にある。こうした道路の遮断による経済活動への影響を低減することは、ネパールの発展のための大きな課題となっている。 (2)このためネパール政府は、東部テライ地域~首都カトマンズの区間を、シンズリ県を経由して結ぶ「シンズリ道路」の建設に関する調査を我が国に要請し、我が国は1986年~1987年にかけて開発調査を実施した。 (3)この調査結果に基づき、ネパール政府はカトマンズへの物資の安定供給・確保と、テライ地域の開発促進、沿線地域の社会・経済活動の活性化による地域住民の生活環境向上を目的とした「シンズリ道路建設計画」を策定し、同計画の実施に必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力の要請があった。 (4)首都カトマンズ近郊のドリケルと南部テライ平原のバルディバスを結ぶシンズリ道路は総延長160キロメートルのうち約127キロメートルは我が国の支援によって整備されており、約117万人の周辺住民に裨益し、両国の友好関係の象徴ともなっている。本計画は、シンズリ道路建設計画全体の最後に残された区間であるネパルトック~クルコット間のうちの約14キロメートルの道路建設に係るものである。 2-2.効率性これまでに我が国が実施してきた第一、第二、第四工区の整備から得られた知見を活かし、可能な限り斜面の切り土を低減できるように道路線形を選定するなどにより工事量を圧縮し、コスト縮減を図る。 2-3.有効性(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。
(2)ネパールにおいては2005年12月に今後20年間の方針として「戦略道路網整備計画」を策定し、効率的、効果的、安全かつ信頼性のある戦略道路を連結することで人々のより良い生活を目指すこととしており、本件の実施は、同国の開発計画に合致する。また、我が国の対ネパール援助方針においても、ネパールにおける民主主義の定着と平和構築に向けた取組を促すため、同国の社会経済基盤整備、地方の貧困削減、民主化・平和構築を重点分野として支援しており、我が国の援助方針とも合致する。 (3)さらに、シンズリ道路は総延長160キロメートルのうち約127キロメートルは我が国支援によって整備されており、ネパールにおける交通網上の重要性とともに、両国の友好関係の象徴ともなっている。 本計画の実施により、日本とネパールの二国間関係強化への効果が期待される。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)ネパール連邦民主共和国政府からの要請書 (2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能) (3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。 |