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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年7月9日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1-1.供与国名

 モンゴル国

1-2.案件名

 「第四次初等教育施設整備計画」

1-3.目的・事業内容

 ウランバートル市の初等教育学校12校(既存校5校、新設校7校)の教室の建設、教育用家具(机、椅子、黒板等)及び教育機材の整備を行うことにより、教育環境を改善し、教育の普及を促進させるものである。我が国は、1990年代以降、「総合的パートナーシップ」の構築を共通目標に掲げ、モンゴルの民主化・市場経済化を支援してきており、本計画も同方針に則り、実施するもの。
 供与限度額は32.62億円(平成21年度:0.40億円、平成22年度:7.21億円、平成23年度:12.07億円、平成24年度:12.94億円)である。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がモンゴル政府により実施される必要がある。
 (1)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
 (2)教員の配置等、活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)モンゴルは、教育分野の中長期基本計画となる「教育セクターマスタープラン(2006~2015年)」において、格差解消に留意した教育普及の改善と、新たな価値に適合した質の高い教育の提供を重点目標とし、10年制の普通教育制度を12年制に移行することを軸とした、基礎教育強化と教育機会の拡充に重点を置いた施策を進めている。

(2)しかし、モンゴルの市場経済化の進展に伴う急速な都市への人口流入や、学年限の引き上げによる生徒数の増加に対して、教育施設の整備は遅れており、教育環境の悪化が深刻となっている。特に、首都ウランバートル市では地方からの人口流入によって、2000年から2007年の間に人口が約1.3倍となり、普通教育生徒数が2.2万人増加し、人口急増地区では、50人を超える過密状態や3部制での授業を余儀なくされている上に、特別教室や廊下、ホール等を一般教室に転用して教室不足を補っている状況にある。

(3)更に、2008年には初等教育入学年齢が6歳に引下げられた結果、モンゴル全土で前年を12%上回る児童が入学しており、教室不足の一層の深刻化が予想されている。モンゴル政府は本格的な施設整備に着手しているが、人口増加や制度改革に伴う生徒数増に見合う規模の施設を、自国財源のみで整備することは依然として困難な状況にある。

2-2.効率性

 将来の就学需要、モンゴル側の運営・維持管理体制等を検討して、事業規模を適正なものとし、耐久性、施工効率が高く、コスト縮減の図れる設計・施工計画を策定した。

2-3.有効性

 本計画の実施により、以下のような成果が期待される。

(1)既存校7校及び新設校5校において、合計約150教室が建設されることにより、新たに約1万1千人の生徒の受入が可能になる。

(2)1教室当たりの生徒数が減少し、過密状況が緩和されることにより、学習環境が改善されるとともに、教育機材の整備により、質の高い教育が提供される。

(3)我が国は、1990年代以降、モンゴルに対する最大の援助供与国として、同国の民主化・市場経済化の動きを支援してきており、同国との関係は極めて良好である。我が国が、本計画により、首都ウランバートル市における教育環境の改善に寄与することは、その外交的効果も大きく、両国の友好関係を強化するものである。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)JICAの基本設計調査報告書

(2)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。)
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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