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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年4月24日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1-1.供与国名

 モンゴル国

1-2.案件名

 「ウランバートル市高架橋建設計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は、ウランバートル市中心部の幹線道路で、交通の隘路となっている鉄道線路との交差地点に高架橋(橋長約260メートル、アプローチ道路合計約630メートル)を建設することにより、同市における安全で円滑な道路交通を確保する。我が国は、1990年代以降、モンゴルの民主化・市場経済化を支援してきており、本計画も同方針に則り、実施するもの。
 供与限度額は36.58億円(平成21年度:0.99億円、平成22年度:11.43億円、平成23年度:19.11億円、平成24年度:5.05億円)である。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がモンゴル政府により実施される必要がある。

(1)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)モンゴルの首都ウランバートル市は、経済的な成長を遂げており、急速な都市化が進行している。同市における急激な車両数の増加に対し、道路整備ならびに維持管理が追いつか ず、道路交通事情は悪化の一途を辿っている。特に、同市では、内陸国モンゴルの重要な国際輸送手段となっている鉄道が、南側の工業地帯と北側の商業地域を分断しているため、効率的な道路交通網の構築に大きな支障となっている。

(2)同市の南北地域は、2つの高架橋と2か所の踏切のみで結ばれている。しかし、高架橋の一つである平和橋は、1961年に建設されたが、老朽化が著しく、現在は車両重量7トン以下の大型車交通規制が課されていて、十分な交通機能が確保されていない。第二の高架橋であるグルバルジン橋は、1989年に建設され、現在、重車両が通行可能な唯一の南北高架橋となっているが、設計上の不備、施工不良等の原因から損傷が著しく、安全で円滑な交通が阻害されている。

(3)1999年実施の開発調査「ウランバートル市道路整備計画調査」、及び2002年にモンゴル政府が策定した「ウランバートル市都市計画マスタープラン」においても、効果的な道路網構築ならびに社会・経済活動の維持・発展の観点から、既存の高架橋に加えて、中郭環状道路の一部として鉄道を跨ぐ高架橋が特に必要である旨の結論が出ている。

(4)このような状況に対し、モンゴル政府は、同市における安全で円滑な道路交通の確保を目的とした新高架橋の建設について無償資金協力を要請したものである。

2-2.効率性

 高架橋の設計・施工計画については、道路の勾配、交差点の視認性、耐久性等安全性を確保した上で、鋼製の連続桁等経済性の高い技術を採用するとともに、工期の短縮のため、冬期でも工事が可能な施工計画を策定し、効率化を図ることでコスト縮減を図った。

2-3.有効性

 本計画の実施により、以下のような成果が期待される。

(1)南北に分断されているウランバートル市内の交通流が改善され、物流の輸送力・安定化・効率化に寄与する。

(2)南北方向の通行車両の重量制限が15トンから40トンに緩和され、新興住宅地、国際空港、産業従事者の利便性が向上する。

(3)南北方向の道路交通の円滑化により、首都圏の機能向上、経済活性化、及び、医療・教育施設等社会福祉のアクセス向上に繋がる。

(4)距離短縮により、排気ガスが減少し、環境負荷が軽減される。

(5)我が国は、1990年代以降、モンゴルに対する最大援助供与国として、同国の民主化・市場経済化の動きを支援してきており、同国との関係は極めて良好である。我が国が、本計画により、首都ウランバートル市の交通事情の改善に寄与することは、その外交的効果も大きく、両国の友好関係を強化するものである。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)JICAの基本設計調査報告書

(2)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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