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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成21年9月30日
評価責任者:国別開発協力第一課長 清水 茂夫

1.案件名

1-1.供与国名

 インドネシア共和国

1-2.案件名

 「ニアス島橋梁復旧計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は、インドネシアのスマトラ島沖に位置するニアス島において、北スマトラ沖地震(2004年12月)などによって大きな被害を受けた主要幹線道路上の橋梁(グヌンシトリ市内の1橋梁及び主要幹線州道75号線上の5橋梁)を架け替え、物資輸送を円滑化し、被災地域の復旧・復興を促進することを目的とする。供与限度額は15.22億円(平成21年度0.04億円、同22年度10.61億円、同23年度4.57億円)。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がインドネシア共和国政府により実施される必要がある。

(1)インドネシア公共事業省道路総局が円滑な事業実施体制をとること。

(2)北スマトラ州政府道路・橋梁事務所が本計画により建設される施設の維持管理を適切な計画に基づいて実施すること。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)インドネシアのスマトラ島西沖合に位置するニアス島は、北スマトラ沖地震(2004年12月)、ニアス島北沖地震(2005年3月)の二度の大地震に襲われ、島内で約2,000人が犠牲になるとともに、地震により道路盛土の崩壊、斜面崩壊、液状化による地盤流動の影響などの被害を受けた。橋梁では、各地で地盤の沈下や流動による橋脚、橋台の傾斜、またそれに伴う落橋が多数発生した。

(2)同島の最大の町グヌンシトリ市内の1橋梁と、グヌンシトリと同島第二の町テルクダラムを結ぶ、島内随一の幹線道路州道75号線上の5橋梁は、地震によって大きな被害を受けたままであり、依然として桁がずれ、橋台が傾斜した状態である。インドネシアは、復旧事業の柱の一つとしてインフラ復旧を位置付けているものの、再び地震災害に見舞われれば落橋するおそれのある状態が続いている。

(3)インドネシア政府は、ニアス島の復興に関する総合計画の実施のため、各国・機関と協力しつつ、インフラの復旧、経済開発、組織強化と人材育成などを中心に事業を行っている。

(4)橋梁の早期復旧は、安全で円滑な交通を確保し、損傷したインフラによって発生している交通渋滞の緩和により復旧・復興を支援するために不可欠である。しかしながら、地震により破損した、通行が危険となっている橋長の大きい橋梁の耐震補修・架け替えを、インドネシアの土木技術で実施することは困難であり、防災技術、特に耐震分野に優れる我が国の技術を活用することが、震災復興の進捗のために不可欠である。また、同国政府の厳しい財政事情からも、自助努力による復旧は困難である。

(5)このような状況の下、インドネシア政府は、上記の計6橋梁の復旧に必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

2-2.効率性

(1)北スマトラ沖地震の復旧・復興に際しては、国家開発企画庁(BAPPENAS)の主導の下でアチェ・ニアス復興庁(BRR)が設置され、各国・各機関の支援が適切に調和して実施されるように調整されてきた。本計画は、他国との適切な役割分担の中で、耐震技術に優れている我が国の支援が特に不可欠とされたものである。

(2)本計画においては、インドネシア政府の当初要請の橋梁すべてを我が国支援対象とするのではなく、基本設計調査の結果を踏まえ、対象箇所を絞り込むことにより効率性の向上を図っている。

2-3.有効性

(1)本計画の実施により、主要橋梁が本復旧されることで、交通渋滞が解消され、20トン級の大型車が通行できるようになることから、物資輸送が効率化し、震災復旧・復興事業の全般的な促進が図られる。

(2)インドネシアはASEAN最大の経済規模を有するASEANの中核国であり、東南アジア地域の我が国の政治・経済面での重要なパートナーとして、安定的な友好関係を有している。同国は、石油・天然ガスという我が国のエネルギーの主要供給国の一つである。本計画の実施により、日本とインドネシアの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)インドネシア共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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