評価年月日 平成21年10月26日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子
1.案件名1-1.供与国名グアテマラ共和国 1-2.案件名「クリーン・エネルギーによる北部村落生産活動促進計画」 1-3.目的・事業内容北部アルタ・ベラパス県の未電化貧困地域に小規模水力発電を導入し、同時に電力を利用した生産活動促進のための技術支援を行うことにより、地域住民の生活・生計の向上を図る。供与限度額は10.03億円であり、具体的に小規模水力発電所の建設、電力を利用した生産活動体制の構築、二酸化炭素排出削減量の登録申請能力の強化を行う。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき事項以下の事項がグアテマラ共和国政府により実施される必要がある。 (1)本計画により整備された水力発電所等の施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 (2)関連活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)グアテマラ政府は、そのエネルギー基本政策(2008~2015)において、再生可能エネルギーを始めとするエネルギー源の多様化と持続可能な開発の推進を目標とし、特に地方の未電化地域の電化事業を重視している。 (2)同政府による地方電化対策により、2008年には全国電化率は83%まで進んだ。他方、大規模発電所からの送配電線による電化が可能な地域は90%程度までとされており、集落が点在している山岳地帯の北部貧困地域(貧困率が80%以上の地域)については、地域の小規模発電を導入せざるを得ないが、政府予算が逼迫する中、電化に向けた具体的見通しは立っていない。特に、同地域のアルタ・ベラパス県の電化率は41.4%と全国最低となっている。 (3)このため、2005年には、国連開発計画(UNDP)が、北部貧困地域50集落に関する再生可能エネルギー事業計画を作成し、2008年には、米州開発銀行(IDB)によるアルタ・ベラパス県における小規模水力発電に関する事業化(F/S)調査等が行われた。グアテマラ政府は、これらの調査・計画をもとに、当該地域における小規模水力発電の導入と、電力の供給・利用による生計向上計画のために、我が国に対して無償資金協力を要請したものである。 2-2.効率性(1)年間を通じた安定的電力利用の観点から、近傍の水流データ等を十分に分析し、河川流量を把握した上で適切な発電容量を設定した。 (2)施設の整備と併せて、運営・維持管理体制、電力を利用した生産活動体制の構築等の技術支援が実施されることで、住民組織による電気事業運営能力の向上及び生産活動の促進が期待される。 2-3.有効性対象地域において出力合計251Kwの水力発電設備が導入され、1,017世帯(約6,200人)に電力が供給されることで、以下のような成果が期待できる。 (1)電力を利用した地場産品(コーヒー、カルダモン、木工品)の加工等を通じた生計向 上、電灯使用等による学校における教育環境の改善等が図られる。 (2)同地域に数カ所設置されている保健所において、ワクチンの冷蔵保存等が可能となり、医療環境が向上する。 (3)薪やケロシンなどの使用量減少により、二酸化炭素排出量が削減される。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)グアテマラ共和国政府からの要請書 (2)JICAの基本設計調査報告書 (3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。 |