評価年月日 平成21年10月23日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子
1.案件名1-1.供与国名グレナダ国 1-2.案件名「ゴーブ伝統的水産基盤改善計画」 1-3.目的・事業内容本計画は、グレナダの(グレナダ島)ゴーブ地区における水産物の水揚げ、流通施設の整備を行うことによって、同国の零細漁業の振興を図るとともに、同国内で衛生的な水産物の安定的な供給を図る。供与限度額は11億7000万円であり、水揚桟橋、護岸、漁具修理棟、漁業用通信施設等の建設・調達を行う。同国は、水産資源の持続的利用について我が国と共通の利害を有し、水産関係の国際会議の場等において我が国と立場を同じくしている。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項がグレナダ国政府により実施される必要がある。 (1)本計画により建設あるいは整備された漁港の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 (2)関連活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)グレナダ政府が策定した国家開発計画において、水産業は第一次産業の中で重要な分野と位置付けられており、水産開発計画については、グレナダ経済の第一次産業における水産業の貢献度の向上を目標に、1)食糧自給率の向上、2)漁獲物の輸出による外貨獲得及び現金収入の増加、3)雇用機会の増加を目指している。具体的には、豊富な水産資源の開発により、持続的かつ有効な活用による経済発展への貢献、国民の栄養改善と食糧供給、零細漁民の収入増加を目的とする「漁業管理・開発計画」を策定しており、本計画による漁業関連施設の整備も、同目標に貢献するものである。 (2)グレナダのゴーブ地区は過去300年以上に渡り漁業を行っている同国最大の伝統的な水産地区であり、グレナダ島の西岸部において水揚げ量が最も多い。他方、同地区の既存の桟橋はハリケーンによる被災を度々受け、安全な漁船の接岸、水揚が困難な状態となっている。また、魚市場も製氷や冷蔵保管能力の低下により、水産物流通に支障をきたしているため、水産物の水揚げ、出荷が滞り、水産物の損失も発生している。更に、同国西海岸の沖合で操業する漁船は、漁船の監視と緊急時の発信信号を行う施設の能力不足により、安全操業に支障をきたしている。 2-2.効率性(1)流通施設の配置は、荷捌き場と小売場を中心として今後の扱い量の増加を試算し、かつ円滑な流れを考慮したものとした。製氷機の能力は、漁獲量の試算に基づき、荷捌・流通・保管に必要かつ適切な施氷量を設計した。 (2)桟橋等水揚げ施設は、漁獲量等を考慮した必要かつ適切な規模・構造としている。使用資材の面でも経費を抑えつつも効果を発揮できるような設計とした。 2-3.有効性(1)桟橋の整備により、これまで困難かつ危険であった水揚げ作業が安全で効率的となり、ゴーブ地区の水産物水揚げ高が増加するとともに、通信施設の設置により、過去5年間に16件あった、緊急時の連絡困難による海難事故が減少する。 (2)グレナダは、水産資源の持続的利用について我が国と共通の利害を有し、水産関係の国際会議の場等において我が国と立場を同じくする等、同国との協力関係は我が国にとって重要。本計画は、グレナダが経済成長のため重要産業と位置づける漁業の主要施設の整備として同国からも強い要請があったものであり、我が国との二国間関係促進にも貢献するものである。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)グレナダ国政府からの要請書 (2)JICAの基本設計調査報告書 (3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。 |