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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年5月19日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1-1.供与国名

 ガボン共和国

1-2.案件名

 「リーブルビル零細漁業支援センター建設計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は、ガボンの首都・リーブルビルにおける水産物の水揚げ・流通施設の水揚桟橋、護岸施設、船外機修理棟、製氷機、貯氷庫等の建設・調達を行うことによって、同地区周辺の零細漁業の振興を図るとともに、首都リーブルビルへの水産物の安定供給を達成することを目的とする。供与限度額は11億6,200万円。ガボンが重要産業として位置づける漁業の中心施設を整備するものであり、我が国が昨年5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)で表明した対アフリカODA倍増に資するもの。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がガボン共和国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により建設あるいは整備された漁港の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ガボン政府は、国家開発計画の長期目標として、石油生産に依存する経済からの脱却のために、他分野の産業振興による経済の多角化を挙げている。中でも水産分野は農業、観光業と並んで重要視されており、1998年には1)零細漁業及び養殖業の振興のための組織創設、2)水産業従事者の労働条件の改善、3)水産基盤施設の整備等からなる「漁業養殖開発計画」を策定した。

(2)ガボンの水産業はGDPの約1.5%を占め、労働人口は約20,000人に達する。また、一人当たりの水産物消費量は年間約30キログラムと近隣アフリカ諸国と比べて高く、水産物はガボン国民が摂取する動物性タンパク質の40%を占める重要な栄養源となっているが、ガボンにおける漁業生産量は1999年の51,000トンから減少し、2007年の漁業生産量は37,911トンである。これは年間に開発可能な漁業資源量の推定値である約300,000トンと比較すると、かなり低い水準にある。食料自給率の向上の点からも、水産物の2005年の輸出量は2,256トン、輸入量は6,902トンであり、大幅な輸入超過の解消が課題である。

(3)本計画対象地である首都リーブルビルが位置するエスチュエール州は、同国の総人口の約60%が居住し、水産物は同州住民への動物性タンパク質の供給に重要な役割を果たしている。しかしながら、漁獲物の水揚はリーブルビル近郊に分散する6カ所の水揚場で行われているため、水産物流通が非効率となっている。また、既存の水揚場には専用の水揚施設や製氷設備が無いため、非効率かつ不衛生な状況にある。首都リーブルビルへ水産物の安定供給を行うためにも、衛生的な水揚環境の整備と円滑な水産物供給体制の構築が必要とされている。

2-2.効率性

 施設の配置は、人・魚の流れを充分に考慮したものとし、製氷機の能力は、漁獲物の荷捌、保管に必要な製氷量を基に設計した。

2-3.有効性

(1)リーブルビル周辺の5つの既存水揚場に分散して60隻の零細漁船により水揚されていた中層魚・底魚の鮮魚8.9トンが新センターの水揚桟橋から集約して水揚されることにより、水揚時の潮待ちや漁船から海岸までの漁獲物運搬の労力が軽減される。また、水産物流通拠点等の整備により、水産物を衛生的な状態で周辺地域に供給することができるようになるとともに、製氷機の設置により、より広範囲での水産物の流通が可能になる。

(2)我が国とガボンは水産分野で良好な関係を有することから、ガボンは水産無償の対象国としている。本計画は、ガボンが経済成長のため重要産業と位置付ける漁業の中心施設の整備であり、二国間関係促進にも貢献するものである。また、我が国政府はTICAD IVにおいて「2012年までに対アフリカODA倍増」を表明しており、本計画は右方針に資するものである。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ガボン共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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