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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年3月24日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1-1.供与国名

 中央アフリカ共和国

1-2.案件名

 「小学校建設計画」

1-3.目的・事業内容

 中央アフリカの首都バンギ市及び隣接するオンベラ・ムポコ県の小学校11校約110教室及び関連施設の建設を行うとともに、教室用機材(机・椅子、棚、黒板、教壇等)の供与、施設の運営維持管理指導を行うことにより、同地域の教育環境を改善する。供与限度額は11.87億円。
 内戦後の不安定な状況を脱しつつあり、「平和協力国家」として国の再建に取り組む中央アフリカを支援する。また、我が国がTICAD IVで表明したアフリカにおける「基礎教育の普及と質の改善」の具体化策の1つ。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項が中央アフリカ政府により実施される必要がある。

 (イ)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
 (ロ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)中央アフリカでは、1960年の独立以来、政治的に不安定な状況が続いてきたが、2003年3月のクーデターによる暫定政権の発足後、2005年に大統領・国民議会選挙が実施され、民主的な政権が樹立されるに至った。しかし、長期間にわたる政情不安は、同国の経済活動を著しく後退させ、給水、保健、教育などの基礎生活分野の整備が遅れる原因となった。

(2)同国における15歳以上の識字率は48.6%、初等教育就学率は40.7%と低く、また、既存校舎の多くは1950~80年代に建設されたもので、その多くは老朽化が進み、倒壊の危険にさらされている。このような状況を改善すべく、同国政府は、「万人のための教育国家行動計画(2004-2015)」において、2015年までに初等教育の普及率を40%から100%に改善すること、1教室あたりの生徒数を76人から50人に低減することを目標に掲げ、教育環境の改善に努めている。

(3)しかし、約2.5%の高い人口増加率に加え、同国の劣悪な経済・財政状況などから上記計画の進捗は遅れており、教室数は絶対的に不足している。特に首都バンギ市及びその周辺地域では二部制授業のみならず四部制授業や、一つの校舎で複数の学校が運営される多校制を余儀なくされている。このような状況は、児童の学力の全般的低下につながり、また人口増加と相まって就学率の低下に繋がっている。

2-2.効率性

(1)先方要請内容のうち、カリキュラムに照らして使用頻度の低い機材を対象外とし、外塀については先方負担として絞り込みを行う等、コスト縮減を図っている。

2-3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。
 対象校において、約110教室が建設されることにより、受入可能生徒数が約12,000人(2008年)から約23,000人(2011年)に増加し、生徒が安全で快適な教育環境で学習できるようになるとともに、教育の質の向上が期待される。

(2)中央アフリカは、内戦後の不安定な状況を脱しつつあり、「人間の安全保障」を中心とする我が国の協力に対する期待も高い。本計画は、我が国がTICAD IVにて表明した対アフリカ支援方針である「基礎教育の普及と質の改善」に貢献するものであると共に、「平和協力国家」として国の再建に取り組む中央アフリカを支援するものである。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)中央アフリカ共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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