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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年7月7日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1-1.供与国名

 ボリビア多民族国

1-2.案件名

 「ポトシ市リオ・サンファン系上水道施設整備計画」

1-3.目的・事業内容

 ボリビア多民族国の首都ラパス近郊の中核都市ポトシ市において、対象地域に安全で十分な量の水を安定的に供給することにより、住民の生活環境を向上させるため、浄水場及び送水管の整備を行う。供与限度額は13.16億円。多くの日系人や日系移住者が居住する伝統的友好国であり、豊富な天然資源を有するボリビアは、我が国外交、資源外交上重要な国である。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がボリビア多民族国政府により実施される必要がある。
 (イ)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
 (ロ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ボリビア国は、一人当たりGNIが1,110米ドル(2006年世界銀行)と南米では最も低い国であり、基礎生活分野のインフラ整備が遅れている中、上水道施設の整備が緊急の課題となっている。このため、同国政府は「国家基礎衛生計画(2000-2010)」を策定し、2010年までに給水普及率を国全体で90%に引き上げることを目標に掲げ、上水道施設の整備を重点的に推進している。

(2)本案件対象地域の属するポトシ県は、先住民を中心とした低所得者層が多く住む、ボリビア国内でも最も貧しい県である。また、対象地域であるポトシ市の人口は17万人であるが、周辺農村部からの人口流入も著しい中で浄水場が整備されておらず、河川の水が未処理のまま取水され、市内へ給水されている状況である。特に、同市に給水を行う二系統の内、リオ・サンファン配水系統では水質が不安定で、特に降雨により河川が濁ると水質の一層の低下のため給水が停止され、年間で約1ヶ月もの断水を余儀なくされている。また、飲料水を通じた感染と推定される消化器疾患が発生するなど健康被害が発生しており、住民の衛生状況、生活環境を改善するためにも上水道施設の整備が急務となっている。

2-2.効率性

 浄水場建設に必要な土地造成面積を最小限に抑えつつ、水処理効率を保つなどにより、コスト低減に努め、本案件の効率性を高めている。

2-3.有効性

(1) ボリビア国の基準に準じた水質の条件を満たす給水サービスを、プロジェクト対象地域内の住民約7万人が安定して受けられるようになり、安全な水の給水率が54%から約95%に改善されることが期待される。

(2) 安全な水が供給されることにより、住民の衛生状況が改善され、下痢やチフス等の水因性疾患が減少することが期待される。

(3)多くの日系人や日系移住者が居住する我が国の伝統的友好国であり、豊富な天然資源を有するボリビアは、我が国外交、資源外交上重要な国である。本案件の実施により、友好関係の一層の増進が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)JICAの基本設計調査報告書

(2)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。)
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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