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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年4月30日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1-1.供与国名

 ブータン王国

1-2.案件名

 「第三次橋梁架け替え計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は、国道5号線上にある老朽化した仮設橋6橋(ラワカー橋、バソチュ橋、ニャラチュ橋、ブリチュ橋、チャンチー橋、ローリン橋)を安全確実な橋梁に架け替えることにより、ブータン中西部を南北に縦断する、安定した人と物資の輸送を確保することを目的とする。供与限度額は24.94億円(平成21年度:4.42億円、平成22年度:8.11億円、平成23年度:9.27億円、平成24年度:3.32億円)。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がブータン政府により実施される必要がある。

(1)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ブータンは、国土の大部分が山岳地帯で道路交通が唯一の交通手段となっているが、その状態は悪く、また、絶対的に不足しており、各種社会福祉の供給や、住民の市場への交通を阻むなど、ブータンの開発における最大の阻害要因となっている。

(2)ブータンの道路網は、東西に1路線(国道1号線)、南北に4路線(国道2号~5号線)の5つの主要路線で構成されているが、インド国境に通じる南北の4路線のうち、国道2号線及び3号線についてはインドが建設し、維持管理も行っていることから、ブータン側が自ら管理する国道5号の整備はブータンの国家安全保障上からも重要となっている。

(3)国道5号線には12の橋梁が存在するが、我が国の無償資金協力(第2次橋梁架け替え計 画)で架け替えを行った1橋をのぞく11橋は、1970年~80年代に架橋された仮設橋であり、損傷や老朽化が激しい。また、耐荷力が18トン以下の橋梁が多く、大型車が通行できないことから、地域経済発展を阻害する要因となっている。

(4)このような状況の中、ブータン政府は、国道5号線上の仮設橋11橋のうち、橋長が30メートルを超え、ブータン国自身では架け替えが困難な6橋の整備に係る無償資金協力を要請してきたものである。

2-2.効率性

(1)本計画を実施するにあたり、必要最小限のコストで効果が発揮できるよう設計・施工計画等について検討を行い、4橋をPC単純箱桁橋、1橋を綱単純合成I桁橋、1橋を綱単純ランガー橋とした。

(2)ブータン国の維持管理体制を考慮し、同国側の負担を軽減するよう、綱橋2橋は表面に安定した錆層を形成する耐候性鋼材を用いることとした。

2-3.有効性

 本計画の実施により、以下のような成果が期待される。

(1)仮設橋から永久橋に架け替えられ、橋梁の耐荷力が18トンから40トンに増加することにより、落橋の危険性を排除できる。

(2)大型車が南部開発の中心地ゲレフから首都ティンプー間を移動する場合、これまでは迂回路(インドを経由)を利用せざるを得なかったため約380キロメートルの距離があったが、本計画実施により本件橋梁の利用が可能となることにより、移動距離が約120キロメートル短縮される。

(3)国道5号線沿線(人口17万人)の人の移動、物資流通が活性化し、地域経済の向上に寄与する。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)JICA基本設計調査報告書

(2)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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