核兵器等の大量破壊兵器不拡散の観点から、大量破壊兵器の運搬手段となるミサイル及びその開発に寄与しうる関連汎用品・技術の輸出を規制することを目的とする。核兵器の運搬手段となるミサイル及び関連汎用品・技術を対象に1987年4月に発足し、その後1992年7月に核兵器のみならず、生物・化学兵器を含む大量破壊兵器を運搬可能なミサイル及び関連汎用品・技術も規制対象とされることになった。
34カ国(アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、英国、米国)
MTCRは、大量破壊兵器運搬能力を有するミサイルの拡散を防止するとの目的を共有する諸国が、各国間で輸出管理の取り組みを調整するための非公式・自発的な集まりである。MTCRの下で参加国は、ミサイル及び関連汎用品・技術に関して合意されたリストの品目については、全地域を対象として、国内法令(我が国においては、外国為替及び外国貿易法、輸出貿易管理令、外国為替管理令等)に基づき輸出管理を実施している。なお、MTCRは法的拘束力を有する国際約束に基づくものではない。
MTCRには、MTCRガイドラインおよび附属書がある。MTCRガイドラインは、MTCRの目的を示し、MTCR参加国およびガイドライン遵守国に対して規制の指針を与えている。附属書は、ミサイルの開発および生産等に関連する軍用品および汎用品を含む資機材・技術を広範囲に掲載している。附属書に掲げられている規制品目は、カテゴリー I品目、カテゴリー II品目と区分され、各品目の機微度に応じた規制が行われている。
(1)カテゴリーI
(イ)品目
搭載能力500キログラム以上かつ射程300キロメートル以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システムおよびロケットの各段、再突入機、ロケット推進装置、誘導装置等のサブシステム。
(ロ)規制態様
最大限の慎重さが求められるため、下記のカテゴリー II品目と同じ規制に加え、以下の規制がある。
(i)輸出の目的にかかわらず、特段の慎重な考慮が行われ、かかる輸出は拒否される可能性が極めて大きい。
(ii)カテゴリー I品目の生産設備の輸出は許可されない。
(iii)その他のカテゴリー I品目の輸出は、参加国政府が、1)輸入国政府による保証(注1)を盛り込んだ拘束力のある政府間約束を取り交わし、かつ、2)その品目が申請された最終用途にのみ使用されることを確保するために必要なすべての手段を尽くすことに対する責任を負う場合にのみ、例外的に許可される。
(2)カテゴリーII
(イ)品目
射程300キロメートル以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システムおよびそのようなミサイルの開発に使用されうる資機材・技術が対象となる。ミサイル用途以外に使用されうる品目も多い。主な品目は以下のとおり。
(i)推進薬、構造材料、ジェットエンジン、加速度計、ジャイロスコープ、発射支援装置、誘導関連機器等。
(ii)搭載能力500キログラム未満であり、射程が300キロメートル以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システムおよびそのシステムを構成するロケットの各段、ロケット推進装置。
(iii)一定量の噴霧器を搭載可能な無人航空機(自動制御や目視外コントロールが可能なもの)は、飛行可能距離にかかわらず規制対象となる。
(ロ)規制態様
カテゴリー II品目については、(注2)の要素に照らして評価された、全ての利用可能で説得力のある情報に基づき、大量破壊兵器の運搬に使用する意図があると政府が判断する場合には、特段の慎重な考慮が行われ、かかる輸出は不許可となる可能性が極めて大きい。
(3)大量破壊兵器を運搬可能なミサイル
カテゴリー Iおよび IIに記載されていないミサイルであっても、大量破壊兵器の運搬に使用する意図があると政府が判断する場合には、カテゴリー II品目と同様の規制が行われる。
(4)キャッチオール規制
リスト規制品目以外の品目であっても、大量破壊兵器の運搬システムに関連して使用が意図されている可能性がある場合には、当局の輸出許可の対象となる。
(注1)輸入国政府による保証
輸出が大量破壊兵器の運搬システムに寄与しうる場合、輸出国政府は輸入国政府より次の事項についての適切な保証を得た場合にのみ附属書中の品目の輸出を承認する。
(注2)附属書に記載された品目の輸出許可申請の審査にあたって考慮すべき要素
議長国は一年毎に交代し、年1回の総会(議長国において開催)に加え、MTCRガイドライン附属書品目の改定を議論する技術専門家会合(年2回程度)他が開催される。日本は、1991年前半及び1997年11月より1998年10月までの2回議長国を務めた。また、仏がPOC(Point of Contact)と呼ばれる事務局機能を務めており、仏が議長を務めるPOC会合が必要に応じ年に数回パリで開催される。