経済協力開発機構(OECD)
グリア経済協力開発機構(OECD)事務総長の訪日(結果)
平成27年4月17日
グリアOECD事務総長は,4月14日から16日までの日程で訪日したところ,概要及び評価は以下のとおりです。
ポイント
- グリア事務総長は,今次訪日時に,「OECD対日経済審査報告書」(注)を公表,アベノミクスに対する評価と支持及び「第三の矢」である成長戦略実施を提言。これに対し,安倍総理からアベノミクスへの力強い支持及び同審査報告書の有益な提言に対し謝意を表明。
- 安倍総理から,グリア事務総長の三期目再選支持を正式に表明,グリア事務総長は深甚なる謝意を表明。
- 安倍総理及び中山外務副大臣から,昨年のOECD閣僚理事会で立ち上げられた「OECD東南アジア地域プログラム」の着実な進展を評価し,グリア事務総長からは日本のイニシアティブとリーダーシップに謝意を表明。
- グリア事務総長は,来日中,安倍総理の他,宮澤経済産業大臣,中山外務副大臣,下村文部科学大臣,甘利内閣府特命担当大臣,麻生副総理兼財務大臣,林農林水産大臣,塩崎厚生労働大臣,黒田日本銀行総裁他要人と精力的に会談,各府省の所掌事務に関連する「OECD対日経済審査報告書」の分析・提言について有意義な政策対話が行われた。
- 日OECD協力の具体的な取り組みの一環として,「OECDイノベーション教育ネットワーク(仮称)」発足記念シンポジウム,「コーポレートガバナンスと日本の成長戦略に関するシンポジウム」,OECD・経団連共催の「貿易投資セミナー」が開催され,こうした個別分野におけるOECDの具体的な取り組みの日本の産学官にとっての有用性が広く認識・周知された。
- 日OECD議員連盟発足一周年を迎えたタイミングでの訪日ということもあり,二階俊博議連会長をはじめとする議員連盟所属の議員が多数グリア事務総長との交流の場に参加され,日OECD間の協力は,より強固な基盤の上に築かれつつあることが看取された。
(注)加盟国及び一部非加盟国を対象に,マクロ経済政策,構造問題等に関する国別審査を定期的にOECDが実施しているもの。同審査は約2年に1回の頻度で行われており,審査結果は「OECD対日経済審査報告書」として公表される(前回の審査報告書は2013年4月公表。)。
1 日程(概要)
14日
- (1)
- 宮澤経産大臣との会談に続き,東京大学で開かれた「OECDイノベーション教育ネットワーク(仮称)」発足記念シンポジウムに出席し,挨拶。その後,中山外務副大臣と会談を実施。
- (2)
- OECD/ERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)議員連盟・中山副大臣共催の歓迎夕食会に出席。
15日
- (1)
- 古賀日本労働組合総連合会会長との朝食会に出席。
- (2)
- 午前中,日本経済研究センターで開催された国際シンポジウム「コーポレートガバナンスと日本の成長戦略に関するシンポジウム」で講演。その後,日本記者クラブにおいて「OECD対日経済審査報告書」を発表,記者会見。
- (3)
- 午後は,斎藤経団連副会長主催の昼食会に出席した後,OECD-経団連共催「貿易投資セミナー」において基調講演。同セミナーでは,中根外務大臣政務官も挨拶。グリア事務総長からは,本年セミナーの年次会合化の提案があった。その後,下村文部科学大臣,甘利内閣府特命担当大臣(経済財政政策),麻生副総理兼財務大臣,黒田日本銀行総裁と会談。
- (4)
- 夕刻,安倍総理大臣を表敬。その後,事務総長自身主催のレセプションを日本プレスセンターで開催。塩崎厚生労働大臣,林農林水産大臣との会談の後,二階俊博自由民主党総務会長を始めとするOECD議員連盟所属の議員,経済界,在京の各国大使等が参加。
2 主な表敬・会談(概要)
(1)中山外務副大臣との会談・夕食会(14日夕)
- ア
- 中山外務副大臣から,昨年の日本の加盟50周年や震災復興への支援に感謝するとともに,「OECD対日経済審査報告書」の政策提言やアベノミクスへの力強い後押しにも感謝する旨発言。
また,「OECD東南アジア地域プログラム」の着実な進展を評価し,中国を含むアジアへのアウトリーチについては,日本とOECDとでよく協議・連携していきたい旨発言。 - イ
- グリア事務総長から,昨年,日本が議長国を務めたOECD閣僚理事会で,安倍総理大臣のもと立ち上げた「OECD東南アジア地域プログラム」について,先月インドネシアで第1回運営委員会が開催される等進展を見せている,日本の一貫したイニシアティブと支援に感謝する旨発言。
また,4月15日公表予定の「OECD対日経済審査報告書」でも報告している通り,アベノミクスは日本の経済成長に具体的な成果をもたらしている,「第3の矢」はこれまで以上に重要になる旨発言。 - ウ
- なお,会談後に開催された歓迎夕食会では,二階俊博OECD・ERIA議員連盟会長,大畠章宏衆議院議員,グリア事務総長,中山副大臣からの挨拶の後,歓談。
(2)安倍総理表敬(15日午後)
- ア
- 安倍総理大臣から,グリア事務総長の三期目の再選を日本として正式に支持する旨述べたほか,アベノミクスへの力強い支持及び今回の「OECD対日経済審査報告書」での有益な提言に対し,謝意を表明。
また,昨年立ち上げた「OECD東南アジア地域プログラム」の進展を歓迎し,引き続き,日本はOECDと東南アジアの「架け橋」として貢献していく旨発言。 - イ
- グリア事務総長から,再選に対する日本の支持に深甚なる謝意が表されるとともに,今回の「OECD対日経済審査報告書」でも触れているとおり,生産性の向上や財政再建といった課題はあるもののアベノミクスは着実に機能している,OECDが提案している政策は全て安倍内閣の経済政策の中に含まれており,重要なのはその実施であること,OECDは日本と共に歩むのみならず,日本のために協力を進めていく旨発言。
3 評価
- (1)
- 「OECD対日経済審査報告書」が発表され,その中で開始から2年半近くが経過したアベノミクスに対する評価と支持及び,「第三の矢」である成長戦略の着実な実施が提言され,安倍総理からはアベノミクスへの力強い支持及び同報告書の有益な提言に対し謝意が表明された。また,グリア事務総長は,各種の講演機会等でもアベノミクスに対する高い評価と期待感を示す等,我が国の経済政策への強い支持が表明された。
- (2)
- 今次の訪日においては,安倍総理の他7閣僚との会談等の中で,経済・財政・教育等あらゆる観点から有益な意見交換を実施したほか,日・OECDの協力関係の強化をあらためて確認。安倍総理からは,また,グリア事務総長三期目再選への支持が正式に表明された。
- (3)
- 昨年,我が国のOECD加盟50周年で立ち上げた「OECD東南アジア地域プログラム」の着実な進展に評価が与えられ,引き続き協力して推進していくことが確認された。
- (4)
- 「OECDイノベーション教育ネットワーク(仮称)」発足記念シンポジウム,「コーポレートガバナンスと日本の成長戦略に関するシンポジウム」,OECD-経団連共催の「貿易投資セミナー」の開催及びこれらの行事へのグリア事務総長の出席を通じて,各分野におけるOECDの具体的な取り組みの日本の産学官にとっての有用性が広く認識・周知されるとともに,いくつかの事業については,その継続的な実施が確認された。
- (5)
- 日OECD議員連盟発足一周年を迎えたタイミングでの訪日ということもあり,二階会長をはじめとする議員連盟の国会議員が多数グリア事務総長との交流の場に出席し,5月にMOU締結1周年を迎えるOECD・ERIAの協力強化への期待が表明される等,日OECD間の協力の基盤が,ERIAとの連携も含め,より強固なものとなった。