対日投資

平成29年3月29日
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1 概要

  • (1)3月27日(月曜日),外務省は,内閣府,経済産業省,日本国際問題研究所及び日本貿易振興機構(JETRO)と共催で,「日米欧ビジネス・セミナー 双方向の投資拡大が切り拓く日米欧経済関係の新時代」を開催しました。
  • (2)本セミナーでは,日米欧における一層の投資拡大をメイン・テーマとして,日米欧の経済の動向や投資拡大の展望,日本におけるビジネス環境改善の取組と課題,地方への投資のメリット等について,有識者,日本に進出している欧米企業関係者,欧米企業とビジネスを展開している日本企業関係者,駐日商工会議所関係者,政府・地方自治体関係者等約160名が参加し,活発な議論が行われました(プログラム(PDF)別ウィンドウで開く)。

2 開会の辞,基調講演

  • (1)冒頭,薗浦健太郎外務副大臣から開会の辞を述べ,反グローバル化や保護主義的な風潮が拡大する中,日米欧が協力して自由な貿易・投資を推進していく必要性や,対日直接投資促進のための日本の取組や投資先としての魅力に言及しつつ,対日直接投資の更なる推進のために引き続き投資環境の改善に取り組んでいく旨述べました(開会の辞(PDF)別ウィンドウで開く)。
  • (2)その後,ルイス・リビー米国ハドソン研究所上級副所長が基調講演を行い,東アジアに対する米新政権のアプローチに関し,日本と米国は首脳間の対話を通じて良好な関係を築いており,トランプ政権は東アジアの諸課題にも日本と共に取り組んでいくとの見方を紹介しました。また,トランプ政権が米国内外における影響力の回復等の難題にどう取り組んでいくか,引き続き注視する必要がある旨述べました。
  • (3)続いて,マークス・J・ベイヤー・ビジネスヨーロッパ事務局長が基調講演を行い,各国において保護主義が台頭する中,ルールに基づく自由で公正な貿易の重要性等を指摘し,これを実現するために日EU・EPAの可能な限り早期の大枠合意が重要である旨述べました。また,全体として欧州の経済状況が良好であり予想以上の経済成長が見込まれていることを述べた上で,EUは現在英国のEU離脱問題に直面しているが,これを機会にEUの結束を強化することにもつながり得る旨述べました。

3 各セッションの概要

  • (1)パネルディスカッション 1
    • テーマ:「日米欧経済の動向と双方向の投資拡大に向けた展望」
    • モデレーター:野上義二日本国際問題研究所理事長
    • パネリスト:浦田秀次郎早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授,赤星康独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)副理事長,ニコラス・ヒル在日米国大使館経済・科学担当公使,マークス・J・ベイヤー・ビジネスヨーロッパ事務局長
    • ア 赤星JETRO副理事長から,世界の経済成長に比べ貿易の成長の速度が遅いことに言及しつつ,双方向の貿易・投資の一層の活発化が重要である旨述べた上で,対日直接投資の有望分野として,人工知能,ビッグデータ,ロボティクス,ヘルスケア,環境,観光等に言及しました。
    • イ ヒル在日米国大使館経済・科学担当公使は,麻生副総理・ペンス副大統領の下で行われる日米経済対話への期待を示すと共に,トランプ大統領が推進する二国間の自由貿易協定もオープンで公正な貿易に寄与する旨述べました。
    • ウ ベイヤー・ビジネスヨーロッパ事務局長は,英国のEU離脱後も良好なビジネス環境を維持する必要性に言及しつつ,日欧間の更なる投資拡大のため,日EU・EPAの早期締結と構造改革の推進に期待する旨述べました。
    • エ 浦田早稲田大学教授から,需要面では資本投入・生産性の向上のために海外からの投資呼込みが,供給面では開かれた自由で安定的な海外市場が重要であり,観光や留学等による人の移動の活性化が投資の呼込みに良い影響をもたらす旨述べました。
  • (2)パネルディスカッション 2
    • テーマ:「ビジネス環境の改善 これまでの進捗とこれからの課題」
    • モデレーター:山野内勘二外務省経済局長
    • パネリスト:籠宮信雄内閣府大臣官房審議官,根本勝則経団連常務理事,クリストファー・J・ラフルアー在日米国商工会議所(ACCJ)会頭,ダニー・リスバーグ欧州ビジネス協会(EBC)会長
    • ア 冒頭,モデレーターの山野内局長から,日本がビジネス環境の改善に向けて行ってきた取組につき概説し,また,籠宮審議官から,対日直接投資や日本のビジネス環境整備の現状や改善に向けた取組につき紹介しました(資料(PDF)別ウィンドウで開く)。
    • イ 参加したパネリストからは,日本の取組のうちコーポレートガバナンスの強化が日本の投資環境の改善を通じて対日直接投資の増加に大きく寄与したとの評価が示された一方,課題としては,特に多言語に精通する又は多様なバックグラウンドをもつような有能な人材の確保が難しいこと,規制遵守のコストが高いこと及び更なる税制改革の必要性などが指摘されました。また,今後の有望な投資先としてベンチャー企業や日本企業の大多数を占める中小企業が挙げられたほか,個別のセクターとして観光,医療,代替エネルギー,ロボティクスに言及がありました。
  • (3)パネルディスカッション 3
    • テーマ:「地方への対日投資 企業にとってのメリットと地域活性化のWin-Win関係」
    • モデレーター:秋池玲子ボストンコンサルティンググループ・シニア・パートナー&マネージングディレクター
    • パネリスト:鈴木恭一経済産業省貿易経済協力局貿易振興課投資交流企画官,木下嘉隆マイクロンメモリジャパン株式会社代表取締役社長,西口勲三重県雇用経済部企業誘致推進課長,山岸浩一茨城県国際課長
    • ア 鈴木経済産業省企画官から,三重県や茨城県等における投資誘致のための独自の取組や,政府によるトップセールスや企業担当制などの対日直接投資推進取組等につき紹介しました(資料(PDF)別ウィンドウで開く)。続いて,西口課長(三重県),山岸課長(茨城県)から,それぞれの外資誘致実績や誘致のための具体的な取組について概説しました。
    • イ 参加したパネリストからは,地方への投資による雇用創出等の地方創生への貢献や,投資誘致に結びつける情報の受信・発信の重要性,人口減少・高齢化等の地方特有の課題を技術開発やベンチャー資本と結びつけることの重要性につき言及がありました。また,今後の課題として,他国と比較して高くインセンティブの少ない固定資産税,震災時の企業支援,若い人材にとって魅力ある生活環境作り等が挙げられました。

4 閉会の辞

  • セミナーの最後に,中川俊直経済産業大臣政務官から閉会の辞を述べ,特に,近年日本は新しい製品,サービスを生み出すイノベーションの場として注目を集めており,研究開発拠点及び販売拠点としてアジアで最も魅力的であるとの評価を得ていることを紹介しつつ,世界各国からの更なる投資を歓迎する旨述べました。

5 ネットワーキング・レセプション

  • セミナーに引き続き,武井俊輔外務大臣政務官主催のネットワーキング・レセプションが開催されました。武井政務官は,挨拶において,日米欧の経済関係は非常に緊密である一方,米欧から日本への更なる投資の必要性を強調しつつ,更なる対日投資拡大に向けて米欧との協力を推進していく旨述べました(レセプションにおける挨拶(PDF)別ウィンドウで開く)。

6 評価

  • (1)本セミナーは,反グローバル化と保護主義的な風潮が高まる中,自由な貿易・投資の重要性を再確認しつつ,日米欧の双方向の投資拡大に向けた協力等について議論を行い,非常に時宜を得た有意義な機会となりました。
  • (2)本セミナーでは,モデレーターを交えたパネリスト同士の活発な意見交換を通じて,日本の投資環境整備に係る取組や投資先としての魅力,そして更なる投資環境の改善に向けた課題等について参加者の理解が深まり,対日直接投資の更なる推進に向けて重要な一歩となりました。


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