1945年8月、広島と長崎に原子爆弾(ばくだん)が落とされ、日本は核兵器がもたらす悲さんさを直接知ることとなりました。核兵器は、家族や友達、多くの大切な人たちを一瞬(いっしゅん)にしてうばい、家や学校をはじめとする、街全体を焼け野原にしてしまいます。加えて、核兵器がおそろしいのは「放射線」によって「被爆(ひばく)」することです。放射線は人間の体に深く入り込み、何十年という長い時間が過ぎても、病気になったり、亡くなったり、人々を苦しめ続けます。このようなおそろしい核兵器をなくしていくことは、世界の平和と安全を守るために、とても大切なことです。
では、核兵器をなくしていくためには、いったいどうすればよいのでしょうか。それにはまず、核兵器を持つ国をこれ以上増やさないようにしなければなりません。そのために、「核兵器のひろがりを防ぐ条約」(NPT)や、「核兵器の実験を禁止する条約」(CTBT)が作られました。NPTは、NPTが作られた1968年に、核兵器を持っていたアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5か国以外の国が核兵器を持つことを禁止しています。日本をはじめとする多くの国々は、核兵器を持つ国がこれ以上増えないよう、「NPTを守りましょう」「NPTのメンバーになりましょう」と国際社会に呼びかけてきました。とりわけ、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5か国以外が核兵器を持たないようにするため、「濃縮(のうしゅく)ウラン」や「プルトニウム」といった核兵器の原料にもなる物質は、国際原子力機関(IAEA)が「査察(ささつ)」と呼ばれる確認作業を行い、核兵器の原料として使われないようにチェックしています。
ところが、近年、このような取組にもかかわらず、インドやパキスタンは核兵器を持つようになりました。
また、北朝鮮は2006年に長い距離でも飛ばすことができるミサイルを実験し、加えて核兵器の実験も行ったと発表しました。
イランは、核兵器の原料にもなる「濃縮ウラン」をIAEAに秘密でつくっていたことがわかり、国際社会では核兵器を持とうとしているのではないかとの疑いが晴れていません。
このような核兵器をめぐる動きは、世界の安全と平和に大きな不安をあたえています。
G8の国々は、これまでも、核兵器のひろがりをくい止めるために、共に協力してきました。日本は、北海道洞爺湖サミットにおいて、核兵器のおそろしさを知っている国として、核兵器のひろがりをくい止めるために、話し合いを進めていきます。そして、核兵器がこれ以上ひろがらないようにNPTを守り、強めていくことの大切さをうったえます。日本は、G8の国々がますます協力して、このような問題を解決し、平和な世界をつくっていくために、サミットの議長国として、積極的にリーダーシップをとっていきます。