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最近の「値上げ」の原因

 最近ニュースでよく聞く「値上げ」。なぜいろいろなモノの値段が上がるのでしょうか。日本国内で物価が上がる原因―それは世界経済と大きくかかわっています。その関係を身近な食品を例にして考えてみましょう。

原油の値段が高くなるとバナナの値段が高くなるわけ

原油が高とうするとバナナが高くなるわけ

 物価が上がる原因の一つには、原油価格の高とうがあげられます。バナナを例に考えてみましょう。バナナの産地であるフィリピンやエクアドルからは、バナナは船で日本に運ばれますが、船を動かすには重油、港からスーパーや小売店までトラックで運ぶにはトラックを動かすガソリンなどの燃料が必要となります。重油やガソリンは原油からできているので、原油の値段が上がるとガソリンも値段が上がります。バナナを運ぶ経費がそれまでより高くなるので、スーパーのバナナの値段が上がるのです。

バイオ燃料の出現

バイオ燃料の出現

 そして、石油に代わる燃料として注目されているバイオ燃料。バイオ燃料は、主にトウモロコシやサトウキビなどの植物から作られています。ところが、一部の国で急にバイオ燃料の原料としてトウモロコシが使われはじめたので、今のところ、生産が追いついていません。このため、世界的にトウモロコシの値段が上がりました。日本がこのトウモロコシを輸入して、牛やぶた、トリなどのエサにしているので、これらの肉の値段も上がります。また、他の作物を作っていた土地が、バイオ燃料のためにトウモロコシやサトウキビに転作されることもあるため、他の作物の値段も上がっています。食料価格の高とうの背景には、オーストラリアなど主要な穀物の生産国で、干ばつひ害のために、生産量が減っているという事情もあります。

 食料品の61%は海を越えて

 物価が変わる背景には、食料や原油の自給率の問題もあります。日本の食料自給率は、たったの39%(注)、つまり日本は、国民が消費している食料の61%を輸入しているという、世界最大の食料輸入国なのです。さらに、原油は、実に99%を輸入に頼っています。つまり、食料や原油の値段は日本だけでは決められず、外国から直接えいきょうを受けるのです。

食料品の61%は海を越えて

 日本だけでは成り立たない私たちの暮らし

日本だけでは成り立たない私たちの暮らし

 このように私たちの手もとにモノが届くまでには、じつにさまざまな経済の事情がかかわっています。その関係は食品だけにとどまりません。「洋服を着る」「学校に通う」「テレビを見る」「電車に乗る」など、ふだんの生活に気をつけてみてください。私たちの身近にあるものの多くが輸入品であることに気づくはずです。私たちの日々の暮らしは、世界と密接にかかわっています。

安定した経済のために

 つまり、世界経済が安定していないと、私たちの生活が不安定になります。私たちの安定した暮らしのために、G8の首脳が、北海道洞爺湖サミットで経済問題についても話しあう予定です。貿易や投資、知的財産権の保護、新しく経済が成長している国々のこと、資源問題も話題になります。

(注)2006年度食料自給率レポート・農林水産省発表