私たちが活動することで発生する二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが増加しています。1970年から2004年の間にCO2は世界全体で80%も増加しました。過去100年(1906年~2005年)で世界の平均気温は0.74℃上昇しています。地球が今より暖かくなるとどうなるのでしょうか。
例えば、南極や氷河の氷がとけていきます。動物や植物の住む地域も変わっていきます。ホッキョクグマの数も大はばに減る、また、海の水位が上がり、2100年には海面が26~59センチも上がるとの予測もあります。海水の温度も上がって、これまでとれていた魚や貝がとれなくなったりします。
温暖化の災害を止めるために、CO2を減らしていかなければいけないことは、世界の多くの国々や人々が認めています。1990年を基準として、2012年までに国ごとに温室効果ガスを減らす目標を定めた初めての世界的な約束として、京都議定書が1997年にできました。日本は1990年よりも6%減らすことを約束しましたが、現時点においては約8%増となっているので、2005年から、約束の実現のための国民的プロジェクトとして「チーム・マイナス6%」運動を展開しています。
この約束で十分でしょうか?約束は果たせるのでしょうか?2012年の後、世界はどうすべきなのでしょうか?残念なことに、世界全体のCO2の量は増え続けています。2007年、日本は、「2050年までに世界全体の温室効果ガスを出す量を半分に減らすことを考えよう!」との「クールアース50」提案をし、その年のサミットで、この考え方が合意されました。2007年12月、インドネシアのバリで行われた国際会議で、2013年以降も世界的な約束を作ることを目指して話し合っていくことが決まりました。
では、実際には一体何をしたらいいのでしょう? 2008年1月、福田総理は、2013年以降に温室効果ガスを減らすための世界的な約束作り、国際的な環境協力、技術革新という3つの手段について提案しました。これが、「クールアース推進構想」です。
北海道洞爺湖サミットでは、日本が議長国として、主要排出国(はいしゅつこく)のすべてがこの取り組みに参加し、負担を公平にして、国ごとに排出量を減らす目標を立てるよう働きかけます。全体量の目標や、さまざまな分野ごとにエネルギー効率を高める目標とその方法についても呼びかけます。
日本には、優れた環境技術があります。こうした優れた技術が世界中に広がれば、エネルギーをより効果的に利用して、CO2を減らすことができます。しかし、途上国(とじょうこく)がこうした技術を取り入れるためには、お金が必要です。それに加えて、途上国が温暖化による深刻な影響(えいきょう)に対処するための手助けも必要です。日本は、約1兆円を投じ、そのための仕組みを作っていきます。
今ある技術だけでは、CO2全体量を半分に減らすには十分ではありません。全く新しい技術を生み出すことが必要です。日本はこうした研究への投資を行います。そのほか、CO2を減らす社会のあり方や制度について改めて見直して知恵を出し、世界の協力を呼びかけていきます。
気候変動問題は、わたしたち一人ひとりが、毎日の生活を見直し、CO2を減らす努力をしていくことがとても重要です。その考えを行動につなげるきっかけとなるのが、北海道洞爺湖サミットです。