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軍縮・不拡散


弾道ミサイルの拡散に立ち向かうための
国際行動規範(ICOC)
(ICOCの立ち上げについて)

平成14年11月

1.ICOCの立ち上げ

ICOC立ち上げ会合(11月25日)

 11月25日、蘭(ハーグ)にて、「弾道ミサイルの拡散に立ち向かうための国際行動規範(ICOC)」の立ち上げ会合が開催され、ICOCが正式採択された。(参考:ICOCの概要

93カ国がICOCへの参加を表明(うち77カ国が同会合に出席)
 アジア・太平洋地域からは、日本、豪、韓、フィリピン、東チモール等が参加。
 (主な不参加国:中国、北朝鮮、イラン、印、パキスタン、イスラエル、イラク。)

ICOC採択後、各国代表がスピーチを行なった。各国とも概ね以下 の点を強調した。
大量破壊兵器を運搬可能な弾道ミサイルの拡散は地域的及び世界的な平和と安全への脅威。
ICOCは、弾道ミサイルの拡散を防止する上での重要な第一歩
より多くの国が参加し普遍性が向上することが望ましい。


 日本からは、新藤外務大臣政務官が出席。日本代表ステートメント(和文仮訳英語版)の中で、東アジア地域における弾道ミサイルの拡散は日本の現実且つ重大な問題である、特に北朝鮮の核問題や弾道ミサイル問題は拉致問題とともに日本の最優先課題であり、強い意志で日朝国交正常化交渉に臨んでいることなどにつき述べた。


第1回参加国会合(26日)

 ICOCの今後の実施のための所要事項につき事務レベルで議論。ICOCを「ハーグ行動規範(Hague Code of Conduct)」と呼ぶこととなった。

 主な決定事項

  議長国:蘭(任期は2003年秋の次回定期会合開催まで)
 (今後、議長国については、地理的配分を考慮し、順に交代する。)
 当面の中央連絡国はオーストリアが行なう。
 技術会合を2003年前半に開催(場所未定)。
 年次報告を今後6~8ヶ月以内に実施するよう参加国が努力する。


2.ICOC立ち上げに至る経緯

 大量破壊兵器の運搬手段となる弾道ミサイルの拡散防止に関しては、これまでは、一部諸国によるミサイル技術管理レジーム(MTCR)の輸出 管理協調の枠組みが存在していた。

 しかし、冷戦終焉後、MTCR非参加国間のミサイル拡散や懸念国国内におけるミサイル開発が進み、世界的なミサイル拡散傾向は明白なものとなった(40数カ国が弾道ミサイルを開発、保有)。このような弾道ミサイルの拡散は、地域の安定や国際社会全体の平和に対して深刻な脅威をもたらし、北東アジア地域を含む国際的な安全保障環境にも影響を与えている。

 1998年4月のパキスタン(ガウリ)、7月のイラン(シャハブ3)、8月の北朝鮮(テポドン)、1999年4月のインド(アグニ2)、パキスタン(ガウリ、シャヒーン)などミサイル発射も相次いで実施された。


 こうした中で、MTCRでは、これまでの輸出管理の協調だけでは、弾道ミサイルの拡散を防ぐことはできない中、これを補完する国際的な枠組みが必要であるとの気運が高まった。

 2000年のMTCRヘルシンキ総会で、ICOC草案につき合意されるとともに、MTCR非参加国の意見を聴取することとなった。2001年のMTCRオタワ総会でMTCR内でのICOC策定作業が終了した後、全ての国に開かれた交渉プロセス(2002年2月のパリ会合6月のマドリッド会合)を通じて草案が確定され、今回のハーグでICOCが採択された。

 ICOC以外のミサイル不拡散のための取組みとしては、グローバル・コントロール・システム(GCS)や国連ミサイル専門家パネルがあるが、 いずれも、現在のところ、ミサイル不拡散のための手段として有効に活用されるには至っていない。

グローバル・コントロール・システム

 GCSは、ロシアが提唱する事前発射通報を中心とした制度であり、将来的に、国際情報交換センターの創設やグローバル監視への移行を想定している構想である。宇宙計画・活動に関する支援、WMD用ミサイル保有放棄国に対する安全保障の保証が盛り込まれている点などがICOCと異なる。
 2001年3月及び2001年2月にモスクワ専門家会合を開催し、それぞれ、48カ国、72カ国が参加したが、その後特段の動き・進展はない。


国連ミサイル専門家パネル

 国連ミサイル専門家パネルは、イラン提案の決議に基づき設置された政府専門家パネルで、2001年7月、2002年4月及び7月の3回にわたり会合が開催された。日本からは天野大使(当時)が専門家として参加。その結果は、報告書として2002年の国連総会に提出されたが、ミサイルに関する各国の立場の違いを浮き彫りにしただけで、特段の成果はなかった。


3.日本の努力

ICOC草案作りへの積極的関与

 ICOC草案作りの過程で、日本は、弾道ミサイルの世界的及び地域的な拡散防止のため、特に日本の安全保障に直接影響を与える北朝鮮の弾道ミサイル計画を抑制していくことを念頭に、種々の提案を行ない、積極的に関与。

 例えば、平和目的ロケット計画を弾道ミサイル計画推進の隠れ蓑にしない、事前発射通報などの信頼譲成措置は弾道ミサイル計画を正当化することにならないとの部分など。


アジア地域への働きかけ

 日本は、日本の安全保障に直接的な影響を及ぼすアジア地域を中心に弾道ミサイル不拡散への関心を高めるための努力してきた。

「ミサイル東京セミナー」(過去2回)
アジア諸国に対して弾道ミサイルの拡散に立ち向かうための国際行動規範草案への理解を得ることを目的としてセミナーを開催。
ミサイル東京会合(平成13年3月)
ミサイル不拡散東京セミナー(平成14年3月)
「アジア輸出管理セミナー」の開催(平成5年から毎年開催)
 アジア諸国の輸出管理当局者を対象としてミサイル不拡散の重要性につき理解を求めるもの。
ICOCに関する対アジア日・豪・韓共同説明を実施(過去3回)


4.ICOCの意義

弾道ミサイル不拡散に関する初めての国際的な規範

 これまでは一部諸国による輸出管理協調の枠組み(前述のミサイル輸出管理レジーム)のみが存在していたが、ICOCにより、弾道ミサイルの不拡散及び開発・実験・配備の可能な限りの自制を掲げる初めての国際的な規範が創設されることになった。


ICOCは全ての国に開かれた国際規範

MTCRの参加国でない多くの国(中、印、パキスタン、イラン等がICOCの策定過程に関与した。
 2002年2月パリ会合(仏主催:78カ国参加)
 2002年6月マドリッド会合(西主催:97カ国参加)
MTCRの参加国でない多くの国がICOCに参加した。
 MTCR参加国を含め合計93カ国
ICOCが「国際規範」として確立するためには、更に多くの国がICOCに賛同し、参加国となることが重要である。


大量破壊兵器の不拡散とミサイルの不拡散を共に行なう必要性

 弾道ミサイルが大量破壊兵器と結びついた時には、脅威が大きく増幅する。したがって、ミサイル不拡散の努力は、大量破壊兵器の削減全廃に向けた努力と手に手を合わせて続けられるべきものである。

→例えば、北朝鮮のノドン・ミサイル(約1300km)の射程距離に入っている日本にとって、ICOCに、平和目的ロケット計画を弾道ミサイル計画推進の隠れ蓑しないとの原則や、事前発射通報などの信頼譲成措置はミサイル計画を正当化することにならないとの規定があることは重要。


北朝鮮との関係

北朝鮮はICOCに参加していないが、パキスタンや中東諸国への弾道ミサイル関連部品、技術の拡散を防止する上で、ICOCが政治的な歯止め要因となることが期待される。
ICOC参加国が北朝鮮の弾道ミサイル計画への支援を抑制することが期待される。(ICOCには、「大量破壊兵器開発懸念国の弾道ミサイル計画を支持・支援しない」旨規定。)


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