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人権・人道

J.虐待及び放置(含む身体的及び心理的な回復及び社会復帰)第19条及び第39条

(a)第19条に従った立法・行政等の措置。

198.第1回政府報告パラグラフ107から110参照。

児童虐待防止法

199.2000年5月、児童虐待に対する施策の促進を目的として、「児童虐待の防止等に関する法律」(以下「児童虐待防止法」という。)が制定され、同年11月20日に施行された。同法においては、児童虐待を身体的虐待、性的虐待、保護の怠慢(ネグレクト)、心理的虐待の4類型として定義するとともに、何人も児童に対して虐待をしてはならないことが規定されている。
 警察では、児童虐待は人格形成期にある児童の心身に深刻な影響を及ぼす重大な問題であると認識し、児童の生命、身体を守るとともに、児童の精神的な立ち直りを支援することによって問題行動等に走ることを防止するという観点から、この問題を少年保護対策の重要課題の一つとして位置付け、取組みを強化している。
 具体的には、「児童虐待防止法」を踏まえ、(イ)児童虐待事案の早期発見と通告、(ロ)児童相談所長等による立入調査等に対する適切な援助、(ハ)適切な事件化と児童の支援、(ニ)体制の充実強化と関係機関との連携の強化、(ホ)職員に対する指導、教育の徹底等の点に留意し、適切な対応に努めている。
 また、同法が、特に職務上、虐待等を受けている児童を発見しやすい立場にある学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健婦、弁護士その他の児童の福祉に職務上関係のある者について、児童虐待の早期発見についての努力義務が課されることとなったことも踏まえ、文部科学省においては、学校教育及び社会教育関係者に対して、繰り返し周知を図っているところである。

児童福祉法

200.児童福祉法においては、保護者が、その児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、都道府県が児童を里親、若しくは保護受託者への委託の措置又は児童福祉施設への入所の措置を行うことが親等の意に反するときは、都道府県は、家庭裁判所の承認を得て当該措置をとることができることが規定されている。

民法

201.我が国においては、民法の規定により、親権の濫用等があった場合には、家庭裁判所が親権の喪失を宣告することができ、また、未成年後見人に不正な行為等があった場合には、家庭裁判所が未成年後見人を解任できることとなっている。

苦情申立手続

202.児童が児童虐待を受けた場合は、本人の申し出にとどまらず、近隣知人、福祉・教育・保健・医療関係者等からの連絡により、児童相談所が救済するシステムとなっている。

当局が介入するための手続

203.児童相談所は、児童福祉法及び児童虐待防止法に従い、児童虐待を受けた児童を、必要に応じ一時的に保護を行い、さらに、児童福祉施設に入所させることが児童の最善の利益であると判断した場合には、当該施設に入所させることとしている。

暴力を伴わない肯定的な児童の規律、養護、治療を促進するためにとられた教育その他の措置

204.パラグラフ161.から163.参照。

広報・啓発キャンペーン

205.パラグラフ91.93.参照。
 また、児童虐待の防止及び児童の保護に資するため、「育児不安の解消」「児童虐待を発見した場合の国民の通告義務」「児童虐待防止法の周知」等をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ポスター、リーフレット等により広報、啓発を行っている。

(b)第19条2に関する情報

援助プログラム

206.虐待の被害を受けた児童養護施設等への入所の措置がとられた児童については、虐待を受けた児童の心的外傷が著しく、心理療法等を必要とする場合については、心理療法担当職員による心理療法を実施するなど、児童の心身の状況に応じた対応を行っている。
 また、児童福祉法及び児童虐待防止法においては、一定の場合の保護者の児童福祉司等の指導を受ける義務が規定されており、健全な親子関係の回復、家族の再統合が図られることとされている。

児童の不当な扱いの発見、報告等のためにとられた措置

207.パラグラフ205.参照。
 警察では、児童虐待防止法の趣旨を踏まえ、組織全体として児童虐待事案の早期発見の徹底を期するとともに、児童虐待を受けた児童を発見した警察職員は児童相談所等への速やかな通告に努めているほか、児童相談所をはじめ、保健医療機関、学校、民間被害者援助団体等関係機関・団体との実質的かつ効果的な連携を強化している。
 また、児童相談所長等による児童の安全の確認、一時保護又は立入調査等に際し、必要があると認めるときに警察官の援助を求めることができることが規定されていることから、児童相談所長等から援助を要請された場合は、虐待行為を防止し児童の保護の万全を期するため、事案に即した適切な援助に努めている。
 更に、被害児童保護のため、児童虐待防止法及び児童買春・児童ポルノ法の運用、被害児童の保護等に関して、厚生労働省、法務省等との協議会等に参加しているほか、随時、連絡会議等を開催するなど連携強化を図っている。

児童関連専門家への報告義務の制度

208.児童福祉法第25条及び児童虐待防止法第6条において、虐待を受けた児童を発見した者の児童相談所等への通告義務が規定されているほか、児童虐待防止法第5条においては、学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健婦等児童の福祉に職務上関係のある者の児童虐待の早期発見努力義務について規定している。

暴力、虐待等の被害者となっている児童のための秘密のホット・ライン、アドバイス、カウンセリング等

209.警察においては、児童を対象に、少年相談窓口やヤングテレホンコーナーの電話番号等を明示したリーフレット等の配布や広報を行い、児童が相談しやすい環境を整備している。
 また、法務省においては、被害者からの相談や事件に関する照会等を受け付ける専用電話として「被害者ホットライン」を全国の地方検察庁に設置しているとともに、人権擁護機関においては、児童に対する人権侵害の早期発見や問題解決に資するため,「子どもの人権相談所」,「子どもの人権110番」を開設し,児童からの相談に応じている。
 更に、各都道府県が設置している児童相談所においては、一時保護所を付設している全ての中央児童相談所において夜間、休日の緊急時の相談にも対応できる体制をとっているほか、24時間の電話相談体制をとっている中央児童相談所もあるなど、児童からの相談に対応できる体制をとっている。また、都市部の児童養護施設で実施する都市家庭在宅支援事業及び児童家庭支援センターでは、24時間相談できる体制をとっている。

関連専門家への特別の研修

210.近年の児童虐待に関する相談件数の増加等を踏まえ、児童相談所や児童養護施設の職員、保健婦に対し、職員の経験や、職務内容に応じた研修を行っているほか、児童相談所に配置される児童福祉司の増員や、児童養護施設における心理担当職員の配置の措置を行っている。

(c)被害者である児童の回復及び社会復帰の確保

211.パラグラフ191.参照。
 警察では、心身ともに未成熟な児童が犯罪被害を受けた場合、それによって受ける精神的ダメージは大人に比べて非常に大きく、その後の健全育成に悪影響を与えるおそれがあることから、児童が立ち直りやすいような家庭を含む周囲の環境を調整したり、適切な助言・指導やカウンセリングを行うなど、精神面及び環境面の継続的な支援を行っている。
 また、各都道府県警察では、少年サポートセンターを設置し、少年補導職員や少年相談専門職員が支援活動の中心的な担い手となって、部外専門家である「被害少年カウンセリングアドバイザー」や地域におけるボランティアである「被害少年サポーター」等の協力を得て、被害児童の周囲の環境を調整したり、適切な助言・指導を行うなど、精神面及び環境面の継続的な支援を行っている。

(d)第19条及び第39条の実施の進捗状況と問題点

啓発活動

212.法務省の人権擁護機関においては、従来から児童虐待を看過することのできない重大な人権問題であるととらえ、児童虐待の解消のための各種の啓発活動を通じてこの問題の解決に向けて積極的に取り組んでいる。
 また、児童虐待事案の早期発見や問題の早期解決に資するため、「子どもの人権専門委員」を人権擁護委員の中から選任し、児童の人権にかかわる問題を専門に扱うこととしている。
 さらに、具体的な児童虐待事案を認知した場合は、児童相談所を中心とした関係機関と連携しつつ、被害児童の救済を図るとともに、これを人権侵犯事件として調査し適切な措置を講ずることとしている。

判例

213.児童虐待の防止にが問題となり、児童の権利条約の解釈や適用に触れた裁判例は見あたらない。

統計

214.児童虐待に関する統計は、1990年度から全国の児童相談所において受け付けた児童虐待相談に関連して集計を行っている。この統計で見ると児童虐待の相談件数は毎年増加しており、1998年度(6,932件)から1999年度(11,631件)にかけ急増している。
 このため、児童虐待防止法を2000年11月から施行し、児童虐待の早期発見・早期対応、虐待を受けた児童の適切な保護を実施している。
 また、2000年中に、警察の少年相談窓口に寄せられた児童虐待に関する相談件数は1342件であり、前年の約1.5倍、1996年の約5.2倍となっている。また、2000年中に警察が取り扱った児童虐待事件の検挙件数は186件、検挙人員は208人であり、前年に比べ件数で66件(55.0%)、検挙人員で78人(60.0%)増加しており、被害者となった児童190人のうち44人が死亡している。

(資料)警察における児童虐待の相談件数
1996 1997 1998 1999 2000
件数 257 511 413 924 1,342

(資料)児童虐待の罪種別検挙状況(2000年中)
区分 検挙件数(件) 構成比(%) 前年比
殺人(未遂を含む) 31 16.7 +12件
傷害致死 20 10.8 + 5件
傷害 72 38.7 +45件
暴行 4 2.2 + 3件
強姦(致傷を含む) 15 8.1 + 3件
強制わいせつ(致傷を含む) 9 4.8 + 6件
児童福祉法違反 17 9.1 + 5件
青少年保護育成条例違反 3 1.6 - 4件
保護責任者遺棄(致死を含む) 13 7.0 - 7件
重過失致傷(致死を含む) 2 1.1 - 2件
合 計 186   +66件

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