H.拷問又は他の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない権利(第37条(a))
(児童への拷問等)
160.第1回政府報告書パラグラフ107から110参照。
(矯正施設における体罰)
161.第1回政府報告の審査後に児童の権利に関する委員会で採択された最終見解は各種施設における体罰の禁止について勧告されているが(パラグラフ45)矯正施設に収容された少年が拷問又は他の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない権利が保障されていることは、第1回政府報告パラグラフ107から110で述べたとおりである。
(児童福祉施設における体罰)
162.児童福祉施設の体罰は、入所児童に対する重大な権利侵害であり、決してあってはならないものである。
このため、厚生労働省では、これまで、
(1)1998年2月に児童福祉施設最低基準を改正し、施設長が懲戒に係る権限を乱用することを禁止する規定を明記し、その徹底を図るとともに、
(2)2000年6月に成立した社会福祉法により、利用者からの苦情解決に係る社会福祉事業の経営者の努力義務を規定するとともに、都道府県が社会福祉協議会に運営適正化委員会を設置し、利用者からの苦情の相談に応じ、苦情の解決の斡旋等を行う仕組みを設けることとし、
(3)児童福祉施設については、児童福祉施設最低基準を改正し、2000年9月から、施設は入所児童等からの苦情に迅速化かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない等とした。
また、
(4)入所児童に対して体罰などの児童の権利を侵害する行為を行った施設に対しては、施設運営の改善について、児童福祉法に基づく改善勧告などを行い、再発防止の徹底に向けた指導を行っている。
(学校における体罰)
163.学校における体罰については、学校教育法第11条において厳に禁止されており、研修、会議等のあらゆる機会を通じ、教育関係者に対しその趣旨の徹底を図っている。なお、国レベルの研修を一元的、総合的に実施する独立行政法人教員研修センターにおいては、各都道府県市において中心的役割を果たす教員を対象として実施される研修において教育関係法規に関する講座が開設されており、このなかで児童・生徒に対する懲戒・体罰に関する内容が扱われている。会議においては、毎年行われる生徒指導担当者の会議で、生徒指導教員等に対し、その趣旨の周知を図っているところである。
また、我が国においては、学校において、教育上必要があると認められるときには、児童生徒に対して懲戒を加えることができるものとされているが、学校において児童生徒に対し懲戒を行う際には、当該児童生徒等から事情や意見をよく聞く機会を持つなど児童生徒の個々の状況に十分留意し、その措置が単なる制裁にとどまることなく真に教育的効果を持つものとなるよう配慮することについて、繰り返し、教育委員会等に指導してきたところである。
(裁判例)
164.児童が拷問等の犠牲となったと認定された裁判例はない。
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