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IT(情報通信技術)

IT(情報通信技術)に関する国際協力・協調

平成13年9月

1.ITに関する日本の国際協力・協調の対象分野

(1)国際的なルール作り、政策・制度面での協調

(イ)ITを円滑に導入するためのルール作り

  • 電子商取引に関するルール(税制(含関税)、WTO協定との関係等)
  • 電子認証、電子署名、暗号などのルール

(ロ)安全で公正なIT社会形成のためのルール作り

  • 知的所有権保護に関するルール等
  • 消費者保護、プライバシー保護
  • 情報通信ネットワークの安全性・信頼性確保
  • ハイテク犯罪への取り組み

(ハ)IT普及のための環境作り

  • 情報通信技術・電気通信関連の製品・サービス市場の競争促進
  • サービス(電気通信、運輸等)の効率化

(2)国際的なITの普及(デジタル・ディバイドの解消への取組み)

2.日本の国際協力・協調の現状

(1)国際機関等を通じた国際的なルール作り、政策・制度面での協調

 ITに関する国際的なルール作り、政策・制度面での協調は、主として国際機関等、いわゆるマルチの場で行われている。ITは民間主導の分野であることから、これらの協力は民間セクターも参加する形で行われることが多い。

(イ)電子商取引

 経済協力開発機構(OECD) 税、認証、電子署名、暗号等幅広い分野
 世界貿易機関(WTO) 電子商取引に係る貿易事項(関税(不)賦課問題、WTO協定上の位置づけ、IT関連の製品・サービス市場の自由化、知的所有権に関する議論等)
 国連国際商取引委員会
 (UNCITRAL)
電子商取引モデル法、電子署名モデル法等

(ロ)ハイテク犯罪に関する取組み

 G8リヨン・グループ ハイテク犯罪対策についての政府間協議及び官民対話
 欧州評議会コンピュータ犯罪専門家会合 コンピューター犯罪対策条約作成

(ハ)その他

 世界知的所有機関(WIPO) 知的所有権(著作権、商標等)保護、ドメイン・ネーム等
 国際電気通信連合(ITU) 無線周波数の割り当て、通信衛星の軌道位置の調整、電気通信番号の割り当て等

(2)国際的な情報格差解消のための協力

(イ)ドット・フォース

 ITが主要議題の一つとなった2000年のG8九州・沖縄サミットでは、デジタル・ディバイド(情報格差)が重要なテーマの一つとなり、G8首脳より発表された沖縄憲章ではその解消の重要性が強調された。また、九州・沖縄サミットにおいては、そのフォローアップとしてデジタル・ディバイド解消を目的としたグローバルな連携の強化に向け、「デジタル・オポチュニティー作業部会」(通称「ドット・フォース」)の設置が決定された。
 ドット・フォースは、G8の政府、企業、NPO(非営利機関)、途上国、国際機関、ビジネス・グループといった幅広い利害関係者をメンバーとして、会合を開催し、2001年春、報告書(デジタル・ディバイド解消のための「ジェノヴァ行動計画」を含む。)をとりまとめた。この報告書は、2001年7月に開催されたG8ジェノヴァ・サミットにおいて、首脳の支持を得、関係者によるフォローアップが奨励された。

(ロ)国際的な情報格差問題解消のための日本の包括的協力策

 2000年7月、日本は、九州・沖縄サミットに先立ち、5年間で合わせて150億ドル程度を目途に非ODA(国際協力銀行の国際金融業務等)及びODAの公的資金による協力を行う趣旨の標記協力策を表明した。政策・制度作りへの知的支援、人造り、情報通信基盤の整備・ネットワーク化支援、援助におけるIT利用の促進がこの支援策の柱となっている。
 包括的協力策を具体化するため、政策対話ミッションをタイ、フィリピン、カンボディア、インドネシア、シンガポール、ヴィエトナム、マレイシア、南ア、チュニジアに派遣するなどし、協力策の円滑な実施に努めている。
 また、OECD、UNCTAD、UNESCO、ITU、UNDP、UNV、世界銀行、ADBなどの国際機関におけるデジタル・ディバイド解消への取組みにも、日本は様々な協力を行っている。

(3)二国間での協力・協調

(アジア地域)

(イ)日・インドIT協力推進計画(概要)

 2000年8月の森総理(当時)のインド訪問時に日・インド両国で、IT協力を推進することに合意。(a)対インド政府派遣経済使節団(同年10月末~11月初旬)などの民間経済交流の拡大、(b)インド人技術者に対する研修の拡充や査証緩和(2001年2月より実施)によるインド人IT技術者の受入促進などのIT人材交流の活性化、(c)日・インドIT次官級協議(第1回同年10月)、日・インドITサミット及び日印IT有識者協議(2001年9月実施)等を含むIT対話の促進を3つの柱とし、両国のIT協力を進めている。

(ロ)日韓IT協力イニシアティブ(全文)

 2000年9月の金大中(キム・デジュン)大統領訪日時に日韓両国で発出。(a)電子商取引分野における協力、(b)両国産業界のアジアにおけるイニシアティブ発揮のための協力、(c)情報通信技術の研究開発における協力、(d)IT人材交流の促進に向けた協力、(e)研究協力の促進に向けた協力、(f)地域間のIT協力、(g)2002年ワールドカップにおける協力、(h)ASEMやWTOなどのマルチの場における協力、を通じて両国間のIT協力を進めている。

(ハ)日中間のIT協力

 1998年の江沢民国家主席訪日時に共同プレス発表として公表された33項目の日中協力の一つとしてIT分野での協力が盛り込まれた。その後、日本側は、朱鎔基総理訪日(2000年10月)の機会に、政策対話のためのミッションを派遣すること、また、IT分野等での日中産業協力促進のため、一定の条件の下で、商用目的で来日する中国人に対する査証発給拡大措置を実施することを表明した。2001年3月15日には、査証発給拡大措置を実施した。

(ニ)シンガポールとのITに関する協力

 日・シンガポール新時代経済連携協定の一項目として情報通信技術に関する協力を盛り込む方向で交渉が行われている。国際約束においてIT分野の協力を盛り込むことは先駆的。具体的な協力内容は交渉中であるが、認証事業者の認定等の手続きを簡素化することなどを盛り込む可能性につき議論がなされている。

(北米及び欧州地域)

  • 日米規制改革イニシアティブ情報技術作業部会:ITにかかる規制改革に関する政策対話を通じてのIT分野における成長と投資のための環境整備。(米国)
  • 日仏対話フォーラム:情報技術ワーキング・グループ(フランス)
  • 「21世紀に向けての日仏協力20の措置」における情報技術、新たな情報伝達網及び映像交流の発展(フランス)
  • 日独ハイテク環境技術評議会(ドイツ)
  • 日独フォーラム:日独共同座長発両国首脳宛共同声明(ドイツ)
  • 「21世紀における日独関係」における協力の一分野(ドイツ)
  • 「日英行動計画21」における協力の一分野(英国)
  • 世界的な電子商取引に関する日英共同発表(英国)

(4)地域協力、地域間協力

(イ)ASEANとの協力

 ASEAN各国は、2000年11月のASEAN首脳会議の際に「e-ASEAN枠組合意」に署名。日本としても、ASEAN+3首脳会議、ASEAN拡大外相会議等の場でこのような動きを歓迎し、「e-ASEAN」などのIT分野での取組みを支援するため、150億ドルの包括的協力策をASEANに重点を置きつつ実施する旨表明。また、2001年9月には日本において「東アジアIT協力会議」を開催し、東アジア地域におけるIT分野の協力につき幅広い意見交換を行った。
 なお、日本とASEAN諸国との間で設立された国際機関であるASEAN貿易投資観光促進センター(日本アセアン・センター)」に対し、日本はIT関連事業の実施を支援している。

(ロ)日中韓IT協力

 2000年11月の日中韓首脳会合において、日中韓が協力して「e-ASEAN」などのASEANのIT分野での取組みを支援し、IT分野での東アジア協力を推進することが議論された。また、実務者レベルの協議の場の設置に関する中国の提案を受け、本年9月に日本で「日中韓IT専門家会合」が開催された。

(ハ)APECにおける協力

 2000年11月のAPEC首脳会議においては、2010年までに、人々がインターネットを通じて情報・サービスにアクセスできるための政策枠組みを開発・実施し、その第一歩として2005年までにAPEC域内においてインターネットにアクセスできる人口を3倍にする旨が首脳宣言に盛り込まれた。日本は包括的協力策の相当部分をAPEC域内で活用する旨表明し、歓迎された。
 また、同首脳会議において採択された「ニュー・エコノミーのための行動指針」を受けて、e-APECタスク・フォースの設立が承認、(a)市場の構造と制度強化のための環境整備、(b)インフラ投資、技術発展及び起業精神のための環境整備、及び(c)人材養成及び起業家精神の発展、の3つの活動分野が提示された。日本は、これら3分野全てにおいて協力していくことを表明している。

(ニ)ASEMにおける協力

 2000年10月のASEM第3回首脳会合において、IT分野における協力の重要性が認識されるとともに、情報格差に対処する努力を加速することに合意した。日本は、韓国等と共同で「デジタル・ディバイド対策のためのイニシアティブ」を提案し、2001年3月に日本において、「デジタル・オポチュニティーに関するASEMセミナー」を開催した。

(ホ)EUとの協力

 2000年7月の日・EU首脳協議において、ITに関する協力、特に電気通信に関する規制改革に係る協力及び適切な電子商取引環境の創設のための協力を推進することに合意した。

(ヘ)日・カリコムIT協力

 2000年11月の日・カリコム閣僚レベル会議にて表明。2001年3月には、カリブ諸国のIT分野に関わる若手指導者を日本に招聘し、関連企業の視察・講義等を含む研修を行った。今後、西インド諸島大学遠隔教育センターを支援し、遠隔教育にかかる人材育成に協力するとともに、遠隔教育の対象シャを拡大する予定。また、カリコム諸国におけるIT推進のためIT推進に携わる政策立案者及び民間関係者等による地域セミナーをカリコム地域で開催する。その後、右セミナーの提言を踏まえ、カリコム地域においてIT分野の人材育成の軸となる国・センターに専門家を派遣する等して、人材育成を支援する予定。

(ト)太平洋IT推進プロジェクト

 2000年4月の太平洋・島サミットで表明された「宮崎イニシャティブ」の一項目。2001年1月に沖縄にて太平洋島嶼国よりIT政策立案者の参加を得て、「IT推進セミナー」を実施。今後、右セミナーの成果を踏まえ各国がIT政策を推進するための具体的な政策策定と現地ワークショップの開催等を通じ支援していく。また、他のドナーのプロジェクトとの連携を図りつつ、遠隔教育、遠隔医療、マングローブ保全などのプロジェクトにIT活用の観点からハード・ソフト面での支援を行っていく。

(チ)アフリカとのIT協力

 2000年5月にマレイシアで開催された第3回アジア・アフリカ・フォーラムにおいて、日本よりIT分野におけるアジア・アフリカ・ネットワーク構想とアジア・アフリカ協力のための e-TICADを提案した。前者はアジア・アフリカ間の関係諸機関等の間のネットワーク造りを促進してアジア・アフリカ協力促進のための枠組みとする構想。後者はUNDPと連携し、アジアの人材派遣による技術移転の促進などアジア・アフリカ協力を通じてアフリカにおけるIT促進策を進めるもの。
 2001年1月、現職総理として初めてアフリカを訪問した森総理(当時)は、南アで行った政策スピーチの中で、IT分野をTICADプロセスの重点分野の一つととらえ、同分野においていかなる協力が可能か検討するために、早い時期にハイレベルの調査団を派遣する旨表明した。そのフォローアップとして、同年6月、南ア、チュニジアへ調査団を派遣。現在同ミッションとの協議を踏まえ、具体的な協力のあり方について両国間で検討している。

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