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G7 / G8
デジタル・オポテュニティー作業部会(ドット・フォース)
ジェノヴァ行動計画提案(仮訳)

平成13年6月

アクション・ポイント1:途上国及び新興国における国家e戦略(National eStrategies)の支援

a) 開発目標を追求する上での強力な手段として、国家e戦略は国の最も高いレベルでの政治的コミットメントを得て、国の必要性を満たすものである必要がある。各国自身により策定されるこれらの戦略は、民間セクター及びNPOを含む国内のすべての利害関係者との協議の結果を踏まえたものとすべきである。このようなe戦略は、定期的に見直され、国際的な基準に合わされるべきであり、適切と考えられる場合には、(特に経済統合の文脈において)地域や近隣地域での調整努力を通じてより強化されるべきである。

b) これらe戦略は、特に、国家の省庁横断的な政策立案及び規制能力(自己規制メカニズムを含む)の構築に加え、競争促進的な規制及び政策を遂行する権限を与えられた枠組みの構築が含まれるべきである。また、e戦略は、開発目標の達成と明確に関連付けられるべきである。

c) このようなe戦略の策定にあたり、支援を希望する国は支援されるべきであり、要請があれば、ITの状況(e-readiness)に関する予備的な評価の実施に対する支援も行われるべき。

d) e戦略においては、電子政府(eGovernment)が政府の効率性と有効性を高めるために重要であること、また、組織的な能力育成、透明性、説明責任、民主的統治強化にとって電子統治(eGovernance)が重要であることが、それぞれ明確に認識されるべきである。

e) 先進国・途上国双方の規制・政策・戦略分野の専門的知見を結びつける国際的e開発資源ネットワーク(international eDevelopment Resource Network)の構築に向けて、ジェノヴァでのG8サミット開催後6ヶ月以内に、この組織の骨格と構成が完成されるべきである。このネットワークは、関心を有する世界中の政府、国際機関、民間、NPOコミュニティの参加により構築されるものとし、e戦略を策定・維持する上で、高度で実用的な専門的知見の取得を求める政府等が利用できるものとする。

f) 政府、民間セクター、NPO及び国際機関を含む関心を有する利害関係者は、このような国際的e開発資源ネットワークを支援し、利用可能な資源を動員し、また、ネットワークの創設及び機能を支援するため、規制・政策に関する専門的知見を提供すべきである。

g) 国際的e開発資源ネットワークは、十分に分散的で、開かれた形で設計・運営されるべきであり、既に存在している地域のネットワークや会議、ヴァーチャルな情報交換及びこの分野での認識、理解及び政治的な決意を向上し得る知識、教訓、経験を共有するための他の手段の創設又は利用をも含むものとすべきである。

アクション・ポイント2:接続性の向上、アクセスの拡大及び費用の引下げ

a) 通信ネットワークや通信サービス及びアクセス端末分野の競争を可能にするため、様々な技術が許容されるべきである。関連する経験と専門的知見を交換することによって、途上国が直面している様々な状況の下で、種々の技術が有する費用対効果についての認識が向上されるべきである。

b) 途上国における公共及びコミュニティのITアクセス・ポイントの設置は、時宜に適い、幅広く、廉価でかつ持続可能なITへのアクセスを促進する鍵となる手段として、支援されるべきである。このため、郵便局、小学校、インターネット・カフェ又はコミュニティ・マルチメディア・センターといった施設が利用され得る。また、アクセスと訓練双方が供給されることが重要である。

c) 公共及びコミュニティのアクセス・ポイントの管理者や事業者間での情報・経験のやりとりを通じ、各施設における成功した事例や訓練の交換が容易に行われるようにすべきである。

d) 国家e戦略に沿って、また、これまでの成功事例を基にして、地方及び遠隔地においてユニバーサル・アクセスを促進するための手段が探求されるべきである。

e) 途上国の実情にあった費用対効果の高い技術(熱帯化、代替エネルギー源)を開発・応用するための研究開発努力が奨励されるべきである。

f) 特に民間投資を通じて、全国的及び地域的なインターネット基幹網の整備及びローカル・インターネット相互接続地点(IXPs)の設置が奨励されるべきである。国のネットワーク・インフォメーション・センター整備及びドメイン・ネーム・サービスのためのインフラ支援もまた奨励されるべきである。

アクション・ポイント3:人材育成、知識の創設及び共有の強化

a) 就学の有無を問わず、開発途上諸国の子供たち(とりわけ女児)へのITの普及が促進・支援されるべきであり、途上国政府並びに非営利及び民間セクターに対し、教育施設への電線の敷設及び教師への適切な教育訓練を確保するための努力を拡大することを要請する。

b) 教師へのIT訓練及び生徒のIT識字率(デジタル・リテラシー)向上のための取組みが強化されるべきである。学校及び大学において、事務員、教師、児童、生徒の能力向上のためにインターネットがより多く利用されるため、また、遠隔教育プログラムのために、効果的な手段が見い出されるべきである。これに関連して、電子教育(eLearning)は、あらゆる種類の教育・訓練を可能とする強力な手段として検討されるべきである。

c) 遠隔教育の利用により、地方の遠隔地域の住民が教育・訓練を得、知識を共有する機会が拡大されるべきである。

d) ITを利用する知識と技術を普及するための革新的な連携を通じ、公民権を剥奪された人々及び文盲の人々(特に青年及び女性)に対し特別の配慮が払われるべきである。

e) 途上国及び先進国の教育・研究機関のネットワークの間での相互接続が、例えば、高速ネットワーク、提携関係、周波帯の共同利用等を通じ、支援されるべきである。

f) ITと開発が交叉する分野についての研究及び学習に焦点を宛てた大学ベースの「通信ネットワークで結ばれたセンター・オブ・エクセレンス(networked centers of excellence)」が支援されるべきである。個々のセンターは、技術、アプリケーション、起業家精神及び知識経済のその他の側面について活動し得る。これらセンターは、また、教師に対する訓練、ITに関する規制・政策分野の公共及び民間セクター双方の上級政策決定者に対する訓練をも提供し得る。職業訓練や生涯訓練にも特別の関心が払われるべきである。途上国のセンターは、G8諸国のセンターと「結ぶ」ことが可能であり、また、公共及び民間セクターのコンソーシアム・モデルも検討され得る。

g) 上級政策立案者のITに対する認識(e-Awaereness)が強化されるべきである。特に、民主主義、透明性、政府の説明責任を向上させる上での電子統治(eGovernance)の利点に重点が置かれるべきである

h) 世界中の企業に対し、熟練した人的資源の労働時間の一部を、途上国の市民社会に対する無料訓練に振り向けるよう奨励する。

i) 例えば、国際的企業コミュニティが途上国の地域起業家に対し、遠く離れた場所から助言や忠告を提供する等、ITを利用した助言分野(Cyber-mentoring)での取組みを促進する。

アクション・ポイント4:持続可能な経済発展のための創業及び起業家精神の育成

a) 途上国は、地域経済のあらゆる分野を変換させ得る地域の能力を構築するため、地域及び国際的な起業家精神を育てる競争促進的な政策と規制環境を導入する努力に対して支援を受けるべきである。市場の自由化と競争促進的な規制を通じて生じた、開かれた予測可能かつ競争的な企業環境も、自律的な成長と開発目標の達成の上で、地域及び海外双方の投資を奨励するために適切な条件となろう。

b) 民間分野の助言や新規事業活動への関与は、「起業家リソースの交換(enterpreneurial resource exchange)」の創設を通じ、更に奨励されるべきである。この取組みは、成功事例、ビジネス上の専門的知識及び技術、ITの専門知識、経営管理上の専門知識、情報管理能力の共有や途上国起業家への訓練の共有をも対象となり得る。このような取組みにあたっては、途上国の強みを利用することを目指すべきである

c) 地域の新規事業、技術革新、生涯学習を促進するため、企業、地域起業家、政府、NPO及び労働組合を含む、公共及び民間セクターの連携が奨励されるべきである。これら取組みにおいては、基礎教育(数学及び科学を含む)、職業訓練及び核となるIT技術の発展に重点を置くべきである。そのような連携は、アクション・ポイント3で言及した「センター・オブ・エクセレンス」の設置に資する。より多くの金融機関が、関連する政府及び民間部門の共同の取組みに参加するようにするため、金融機関の設立も奨励されるべきである。

d) 以上の点を支援するため、G8とその他の援助提供者及び国際開発関連銀行・機関は、ITに関連する起業家を、マイクロ・クレジット、エクィティ・キャピタル及び他のビジネス開発プログラム等を含む各々の支援プログラムに組み込むよう奨励されるべきである。また、地方又は地域レベルでのシード/リスク・キャピタル及び途上国の起業家を支援するためのその他のリソースの利用を促進するための革新的手段について検討するよう奨励されるべきである。

アクション・ポイント5:インターネット及びITが提起する新たな国際的政策及び技術的事項に関する協議への普遍的参加の確立及び支援

a) 途上国の利害関係者(政府、民間企業、NPO、市民及び学術研究者)がインターネット及び他のITに関連する国際的な技術的及び政策事項について一層理解を深め、また、関連する国際的なフォーラムにより効果的に参加できるようにするため、支援が提供されるべきである

b) アクション・ポイント1で言及のある「開発資源ネットワーク」は、このようなフォーラムでなされる決定に関する情報を提供し、専門家による文書の公開の場として機能し、また、意見交換を促進する場となるべきである。

c) 途上国の代表がこれらフォーラムに効果的に参加し、これらの課題に各々の立場から取り組めるよう支援するため、途上国の専門家(Southern-based expertise)のネットワークを支援する。このネットワークは、アクション・ポイント1で言及のある「開発資源ネットワーク」にアクセスすることができる。

d) インターネットやITに関連する国際的な政策的・技術的事項について扱うフォーラムや機関は、途上国の代表を各々の討議や意思決定プロセスに参加させるため、特別の努力を払うべきである。

e) 国連のICTタスク・フォースは、これら新たな事項に途上国の利害関係者を関与させるための手段を特定するという目標を有しているが、この目標のための活動が奨励されるべきである。

アクション・ポイント6:後発開発途上国のIT活用の取組みの確立及び支援

a) ITの基礎的インフラが最も不足している国において、そのようなインフラを抜本的に改善するため、公的及び民間の支援を動員するための努力を奨励する。

b) 後発開発途上国において、インターネット相互接続地点や国のインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)組織を育成するための連携を奨励する。地域のインターネット基幹網を計画する際には、後発開発途上国であることから生じる特別な必要性に考慮が払われるべきである。

c) 電気通信設備及び電気通信サービス供給事業者に対し、需要を集約し、費用を削減するため、後発開発途上国と協力的に活動することを奨励する。

d) 利害関係者が、アフリカが直面している独特のITの問題(dilemmas)に対し持続可能な方法を追求している共同の取組み(アフリカン・パートナーシップ・イニシアティヴ、アフリカン・コネクション等)を奨励する。インフラ(特に電気通信システム関連)に関係する政策・規制的事項は、この取組みにおける中心要素となるべきである。この枠組みにおいて、ITは都市と地方の結びつきを支援し、小規模な事業やビジネスに加えて、小規模農家をも強化する手段であることが考慮されるべきである。

アクション・ポイント7:保健及び感染症対策への支援におけるITの活用促進

a) 保健教育、知識共有、モニタリング、統計、治療実施のため、また、保健分野での国際的目標を達成するため、特にHIV/エイズ及び他の感染症分野で、ITの価値ある利用を増強する。

b) HIV/エイズ及び他の感染症対策キャンペーンにおいて、コミュニティ・ラジオ、放送メディア、電気通信、インターネット等の適当な通信媒体を活用し、ITの利用を拡大する。取組みは、コンテンツ、アプリケーション及び戦略を共有・共同利用し、また、特に影響が深刻な地域に重点を置くべきである。

c) (a)現場における治療の管理的側面、及び(b)一般大衆、保健分野の専門家及び政策立案者に対する情報の普及、の2点に重点を置き、政府、民間セクター、NPO、国際機関との連携の下、「HIV/エイズに対抗するIT(ICT against HIV/AIDS)」ネットワークを創設する。

アクション・ポイント8:ローカル・コンテンツ及びアプリケーション支援のための国内的及び国際的努力

a) オープン・ソース・ソフトウェア及び商業的ソフトウェアを含むソフトウェア開発コミュニティに対し、途上国に適したアプリケーションを開発し、途上国がソフトウェアを利用できるようにし、ソフトウェア・アプリケーションを各地域で活用できるよう奨励する。同時に、途上国の当該地域で使えるアプリケーション開発能力を向上するよう奨励する。

b) 大量の情報のオン・ライン化を達成する手段として電子政府化の進展を奨励し、政府に対し、個人情報及び機密情報以外の政府保有情報を提供し、ローカル・コンテンツに対し無料かつ幅広いアクセスが可能となるよう奨励する。

c) 教育、学習、訓練及びオンライン・アクセスの提供を含むアプリケーション開発を目指す学習者、学者、専門家及び市民の必要性を満たすため、途上国におけるローカル・コンテンツ開発、翻訳及び応用を奨励する。

d) 多言語アプリケーション及び地域の遺産を中心として、公共のコンテンツをデジタル化し、オンライン化するための国家及び国際的プログラムを支援する。

e) 地域言語をITアプリケーションにとりいれるための技術標準を設定する際に、地域の利害関係者の参加を支援する。

f) 非商業ベースでコンテンツの取得、応用、配布を行っている機関のネットワーク化を奨励する。

g) 商業的出版業者に対し、関連のコンテンツに貧しい人々がより多くアクセスできるようなビジネス・モデルを探求するよう奨励する。

h) 世界知的所有権機関(WIPO)の活動・協議への途上国の十分な参加を奨励する。

アクション・ポイント9:ITのG8及び他のODA(政策/プログラム)への優先的適用及び多数国間の取組みの調整強化

a) 二国間及び多数国間の政府開発援助(ODA)計画は、各々の保健、教育、雇用等分野での開発努力や国家戦略計画において、ITの開発への利用を戦略的、かつ、分野横断的な課題として採り入れるべきである。

b) 二国間及び多数国間の開発機関は、各々の機関内及び機関の間において、ITの開発への利用に関するアプローチと取組みについて、重複を避け、より効率的で効果的なものとするため、更に調整を行うべきである。

c) 支援者は、ITの開発への利用に関する方法や取組みを計画する際に、国家e戦略が存在している場合には、これを参照すべきであり、また、各々の取組みにおいて、整合性及び一貫性を求めるべきである。

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