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主な要人の来日日程
朱鎔基総理の訪日
日中両国の21世紀に向けた共同作業
成果と展望


平成12年10月13日

 98年の江沢民国家主席訪日の際、「平和と発展のための友好協力パートナーシップ」の名の下に、「日中共同宣言」が発出され、具体的な日中協力の内容(33項目)が、「共同プレス発表」として公表された。協力の具体的進展ぶりについては、随時レビューが行われてきたが、今般の朱鎔基総理訪日の機会に、昨年7月の小渕総理訪中以後の一年あまりの間の進捗状況をとりまとめたところ、次のとおり。

1.首脳レベルの対話・ホットラインの開通

 今回の朱鎔基総理の訪日は、江沢民主席の訪日(98年)、小渕総理の訪中(99年)に続くもの。今次首脳会談において、朱総理より森総理に対し、来年の適当な時期に訪中するよう招請した。森総理はこれに謝意を表明した。具体的な時期については、別途外交ルートを通じて、協議していくこととなった。
 今次首脳会談において、江沢民主席訪日時に一致を見た首脳間ホットラインが開通したことが確認された。

2.経済分野での協力

 昨年の両国間の貿易額は過去最大を記録するなど、両国の経済関係は着実に発展している。また、我が国の多くの地方自治体と中国の地方政府との間でも経済交流が進展しつつある。今後は、引き続き貿易、投資等経済分野での両国の協力を拡充し、就中、人材養成の分野での協力を重視していくこととなっている。

3.対中投資

 経済界を中心に日中間の投資促進に関する会議が頻繁に開催され活発な議論が行われてきている。今次首脳会談において、日本側は中国側に対し、投資環境の整備をさらに進め、特に、国際投資信託公司の債務返済、鉄鋼輸入の規制、中国各地の日本商工会の認可、模倣品取締強化などの問題について、日本側関係者の要望を十分に聴取した上で、迅速かつ適切に解決するよう要請した。これに対し、中国側は積極的に対応したい旨表明した。また、中国側は、日本の保険会社に対する中国国内における営業免許の発給について速やかに対応を考えたい旨表明した。

4.対中経済協力

 これまで、日本側は、今後の対中経済協力の具体的方向性を明確にするために、本年度中に中国に対する国別援助計画を策定すること、及びそのために、現在国内各界の有識者より意見を聴取していることを紹介した。また、その過程で中国側とも意見交換を行っていく考えであることを説明した。今次首脳会談において、中国側は10月8日に日中経済協力20周年記念式典を開催したことを紹介しつつ、日本の過去20年にわたる経済協力が中国の発展に果たしてきた役割について高く評価し、引き続き、その効果的な活用及び中国国内での周知に努めるとの意向を表明した。

5.科学技術・産業技術分野での交流

 本年8月,北京において、日中科学技術協力協定に基づく第9回科学技術合同委員会及び日中科学技術協定20周年記念行事が開催された。その際に風送ダスト(砂嵐)の気候及び環境への影響等の研究に関する実施取決めを結ぶことで一致したが、右取決めは、10月16日、東京において、加藤科学技術庁次官と陳健在京中国大使との間で署名される予定。

6.内陸部開発への協力

 本年、中国側では、当面の重点地域である黒龍江省、吉林省、陝西省、四川省、雲南省につき、省毎の基本指針を策定した。日本側では、官民が合同参加する中国内陸開発協力推進協議会を通じ、日本側の協力につき検討していく体制となっているが、右協議会と中国側関係部局による、第2回日中合同会議が本年度にも開催される予定となっている。合同会議では、省毎の基本指針に基づいた具体的な協力内容が検討される。
 今次首脳会談において、中国側は、西部大開発の構想について説明を行い、日本側の前向きな協力に対する期待を表明した。これに対し、日本側は、投資環境の改善など中国側の思い切った具体的取り組みが重要である旨指摘し、明年前半の適当な時期に現地視察を目的とした官民合同の訪中団を派遣する用意がある旨表明した。

7.企業改革支援

 日中中小企業政策協議、中小企業金融セミナー、専門家派遣による経営・技術指導、モデル都市事業等、中国の中小企業発展に向けた協力が着実に進展している。また、日本貿易振興会は、国有企業等の情報通信インフラ整備のための調査及び経済法制度の整備に対する支援を行うこととした。
 中国における国有企業改革等に伴う労働・雇用分野での協力については、昨年12月、北京において日中労働交流セミナーが実施されるなど、着実に進展しつつあり、引き続き、本分野において協力を行っていくこととなっている。

8.北京・上海高速鉄道

 日本側は、中国側に対しこれまで様々なレベルで新幹線技術についての詳細な説明を行った。これに対し、中国側は、日本側の実用性に富んだ高い技術を評価し、今後の検討作業の参考にする旨表明した。また、朱鎔基総理は、首脳会談において、今次訪日の際に、自ら新幹線及びリニアに乗車する予定となっており、その技術面についてさらに理解を深めることを期待している旨表明した。

9.環境保護協力

 日中間においては環境分野の協力が進んでおり、特に、「日中環境開発モデル都市構想」及び「環境情報ネットワーク」の整備、更に「グリーンエイドプラン(エネルギー・環境技術の移転・普及事業)」について、具体的な協力が進んでいる。

10.エネルギー

 日中政府間のエネルギー協議を通じて、エネルギー分野での協力も進んでおり、今後の協力の方向性として、中国のエネルギー事情の改善に向けた協力を一層強化しながら、日中両国のみならずアジアのエネルギーセキュリティーの増進、環境保全と持続的経済発展の両立が可能なクリーンなエネルギー導入の推進等の分野での協力強化を図ることとなっている。昨年9月に、両国の大学間で3E(エネルギー・環境・経済)研究院が設立され、エネルギー分野のソフト面での協力も進んでいる。

11.農業・食料

 中国側が今後、北京において建設予定の「日中農業技術研究開発センター」に対し、将来の中国の人口・食料問題等の観点から、中国農業の持続的発展を図るため、わが国より支援を行い、技術開発及び普及を行うこととなっている。

12.洪水対策

 98年の長江の洪水災害を受け、日本側は「長江堤防補強計画」などの種々の協力を実施し、中国における復旧・復興努力を支援した。この経験を踏まえ、植林事業の重要性が認識され、下記13.に記述されているような具体的な協力に結実している。

13.植林・森林保全

 昨年、小渕総理が提唱した日中緑化基金(100億円)が発足し、日本の市民団体等が中国における緑化運動を開始した。10月8日には、両国の関係者の参列を得て、北京において「中国緑化協力記念林」造成式典が開催され、記念植樹及び記念碑建立が行われた。今次首脳会談においては、中国側より、この取り組みを評価する旨の言及があった。
 また、本年7月から実施されている四川省での森林造成分野における技術協力においては、中国側の植林技術の一層の向上を目指すとともに、洪水対策に資することとなっている。

14.青少年交流

 日中間では、98年に5年間に1万5千人の青年交流事業を実施することで一致しており、初年度である昨年には、日中双方で計3174名の交流が実施された。本年より、中央党校からの研修生が日本を訪問し、また、これに応じ、日本側からも官民からなる青年代表団が中国を訪問することとなっている他、日本の高校生50名が中国に派遣されることとなっている。

15.知的分野での交流

 昨年、日中のシンクタンク間で、共通のテーマの下で共同研究を行うという知的交流事業を進めることで一致をみており、本年9月、6組のシンクタンク間で共同研究が開始された。また、日本の国際交流基金と中国教育部が、20年にわたり共同で運営してきた北京日本学研究センターの拡充について、今後、具体的に検討していくこととなっている。

16.文化事業の促進

 昨年の小渕総理訪中にあわせて開幕した「1999日中文化友好年」は成功裡に終わった。今次首脳会談において、2002年が日中国交正常化30周年にあたることから、これを記念して、国民がより広く互いの文化・生活を理解し合うための企画として、それぞれの国における「中国年」・「日本年」(仮称)を実施することとなった。

17.中国国民訪日団体観光

 本年6月、谷野在中国大使と何中国国家旅遊局局長の間で団体観光実施に関する公文が交わされた。これを受けて、9月に第1陣が来日して以来、既に300名を越える中国国民団体観光が実現した。今後、その規模等実施方法につき、実施後半年を目処に調整していくこととなっている。

18.安保対話・防衛交流

 本年6月に第7回日中安保対話が開催された。また、防衛交流分野については、本年4月傳全有総参謀長が訪日し、6月には藤縄統合幕僚会議議長が訪中した。8月の日中外相会談で、安全保障及び防衛分野における対話を強化することで一致しており、今次首脳会談においても、右方針が確認された。
 日中両国は、艦艇の相互訪問を早期に実現することで一致した。

19.遺棄化学兵器

 昨年、日中各々の政府部内に遺棄化学兵器の処理を担当する部門が正式に設置され、本年9月、黒龍江省北安市において、初めての大規模な発掘・回収事業が行われた。今後の事業実施においても、日中間の結束に基づいて作業を促進していくことが双方で確認されている。

20.海洋法関連の問題

 排他的経済水域及び大陸棚の境界画定問題について、本年1月及び9月に海洋法の問題に関する日中協議が行われたが、決着をみるには至っていない。今後おおよそ半年に1回の割合で協議を行っていくこととなり、次回会合は東京で行われる予定。
 境界が画定されるまでの間に行われる双方の海洋の科学的調査については、8月の日中外相会談で相互事前通報の枠組みを作ることで一致をみており、それ以後、事務レベル協議が続けられてきている。今次首脳会談においては、できるだけ早急に成案を得られるよう双方で作業を加速することとなった。

21.漁業

 本年6月、新漁業協定が発効し、その後これに従って双方の漁業活動が行われている。今後、同協定に基づき、出来るだけ早期に漁業共同委員会を開催することとなっている。

22.シルクロード文化遺産の保存

 本年4月にクムトラ千仏洞に、また9月には龍門石窟に、それぞれ日中両国とユネスコによる合同調査団が派遣された。その結果、両遺跡について保存事業が具体化しつつある。

23.情報通信技術(IT)

 本年4月に北京で、「日中情報通信政策セミナー」が開催された。日中間では、技術・研究者の人材交流促進や技術開発の重要性が確認されており、今後次世代インターネット接続実験を両国間で行うなど一層の協力を進めていくこととなっている。また、今月、北京において「IーMITT21(遠隔医療、遠隔教育などの6分野で先進的な情報システムを日中が共同開発するもの)」の成果と最新ITを紹介する「日中IT総合展示会」が開催される。
 日本側は中国側に沖縄サミットで採択されたIT憲章についてこれまで説明してきた。日本側は、本年度中にも日中間の政策対話のためのミッションを派遣することとし、また、ITを中心とした日中合弁企業の活動を一層活発化するために、一定の条件の下で、中国人向けの商用査証発給の手続きを緩和することとしている。

24.トキの保護

 江沢民主席訪日の際に日本に寄贈されたトキに、既に3羽の雛が誕生した。今次首脳会談の結果、中国側の厚意により「優優」のペア相手が新たに佐渡に来ることとなった。このペアから将来生まれる雛は日中で分け合うことで一致している。また今後は、トキの保護を日中共同でとり進めるために、専門家の意見も聴取しつつ、「日中共同トキ保護計画」を策定することとなっている。

25.国際連合

 今次首脳会談において、国際社会の諸課題に国連が効果的な役割を果たすために、国連改革を早期に実現することの重要性が改めて確認された。

26.地域問題(朝鮮半島)

 双方は、本年6月の南北首脳会談以降、朝鮮半島における緊張緩和が進展していると認識。

27.人権

 本年1月、東京において第3回人権対話が行われた。次回会合は、北京において局長レベルで実施されることとなっている。

28.軍縮・軍備管理・不拡散

 双方は、大量破壊兵器及び運搬手段の不拡散のために協力することで一致しており、ジュネーヴ軍縮会議や国連の場における国際的な取り組みの推進に協力してきている。また、昨年に引き続き、本年中に軍備管理・軍縮・不拡散協議を東京で行うこととしている。

29.WTO

 中国のWTO加盟に向けた作業が大詰めを迎えつつあるが、引き続き、加盟作業を加速化させるため、各国とともに更に努力していくことが重要である。また、中国のWTO加盟に向けて、中国の国内法制度の整備が重要であるとの共通の認識に立ち、日本側は中国側の努力に対し、技術面や知識面で一層積極的に協力していくこととしている。

30.アジア経済

 97年の通貨・経済危機を契機として、東アジアにおける地域協力の機運が高まり、特に金融分野では本年5月のASEAN+3蔵相会議において「チェンマイ・イニシアティヴ」をはじめとする東アジアの金融協力の強化策が打ち出され、その具体化のための作業が進展している。今次首脳会談では、双方は、このような動きを歓迎するとともに、ASEAN+3の枠組みを通じた協力の一層の進展のために協力していくこととなった。また、11月のASEAN+3首脳会議の際に、日中韓三国首脳が昨年に続き対話する機会を設けることで意見が一致した。

31.ユーラシア・ランド・ブリッジ

 本構想がユーラシア大陸全体の平和と安定に対して積極的な意義を有することが確認されており、今後の進め方については検討中。

32.治安・警察交流

 昨年、両国にまたがる犯罪に対応するため、これまでの領事当局間協議に加え、新たに両国の治安当局関係者が一同に会する治安当局間協議を開催することで一致をみ、昨年12月、北京において第1回日中治安当局間会合が開催された。本年12月には、第2回会合が開催される予定。
 更に、国際組織犯罪対策の面では、昨年8月及び9月にそれぞれ国家公安委員長と中国公安部長の相互訪問が行われ、その際、警察業務の協力関係を強化していくこととなった。また、海上取締りの分野においても、本年8月に開催された第3回日中海上取締り機関協議の場において、双方が連絡窓口を設定すること、及び取締協力を強化していくことで一致し、年内に海上保安庁長官と公安部副部長との間で右討議の内容を記録した文書が署名される予定。
 税関当局間では、本年5月北京において関税局長同士で日中税関協力会議が開催され、今後、(1)両国税関の協力関係を強化すること(2)同会合を毎年開催すること(3)税関相互支援協定の締結を検討していくことで一致した。

33.薬物対策

 本年1月に東京で「2000年薬物対策東京会合」が開催された。その際、引き続き日中当局間の薬物問題の解決に向けた取締強化及び地域協力への積極的参加について協力していくことが確認された。



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