昭和56年版「わが外交の近況」の刊行にあたって
「外交青書」は,1957年以来,毎年刊行され,本書は第25号になります。この間に,わが国は,経済面を中心として国力を急速に伸張し,「青書」創刊の時には想像もしなかった重要な地位を国際社会で占めるに至りました。
他方,わが国をとりまく国際環境は,ソ連の年来の軍備増強,インドシナ,中近東,中米,アフリカ,東欧など世界各地における緊張の高まりや紛争の発生,更には2度にわたる石油価格の急上昇などを背景とした世界経済の低迷等に見られる如く,厳しさを増しております。こうした状況の下で,わが国の安全と繁栄を総合的に確保していく上で,積極的な平和外交の展開は極めて重要なものとなっております。
私は,相互依存を深めた今日の国際社会においては,世界の平和と発展なくしてわが国の安全と繁栄はあり得ないと信じます。世界の平和と発展のため国際社会がわが国に期待するところもまた益々大きくなっており,わが国がこの期待に積極的に応えていくことは,わが国自身の安全と繁栄を確保するためにも不可欠なのであります。
外交が国民の理解と支援なくして所期の成果をあげ得ないことはいうまでもありません。本書は1980年を中心にわが国の外交の足跡を記述したものですが,これがわが国外交についての国民各位の御理解を得る一助となれば幸いであります。
昭和56年9月
外務大臣 園田 直
本書は,世界の情勢とわが国が行った外交活動の概要を,1980年を中心に1980年1月から81年3月に至る期間につき取りまとめたものである。本書は,第1部総説,第2部各説及び第3部資料編から成り,資料編には,資料,統計類及び年表を収録している。
第1部総説では,第1章において1980年を中心に世界の情勢を概観し,第2章ではこのような環境の中でのわが外交の基本的課題について述べ,更に第3章ではわが国が行った主要な外交努力を説明している。
第2部各説では,まず世界の諸地域ないし諸国の情勢及びわが国とこれらの諸地域・諸国との関係について述べ,次にわが国の関係する重要な国際的問題について事項別に具体的に説明している。
第1部 総説
第3章 わが国の行った外交努力
第2部 各説
第1章 各国の情勢及びわが国とこれら諸国との関係
第2章 国際経済関係
第3章 経済協力の現況
第4章 国連における活動とその他の国際協力
第5章 文化交流及び報道・広報活動
第6章 邦人の渡航と保護援助
第7章 その他の活動
第3部 資料編