第6節 法律問題
国際的動産売買契約に関する国連条約
(1) 国際的動産売買契約に関する条約採択国連会議は,80年3月10日からオーストリアのウィーンにおいて開催され,同年4月10日に「国際的動産売買契約に関する国連条約」,11日に「国際的動産売買契約における時効に関する条約の修正議定書」を採択して終了した。
(2) 「国際的動産売買契約に関する国連条約」は,「平等と相互の利益を基礎にした国際取引の発展は,国家間の友好関係を促進する重要な要素であることを考慮しつつ,国際的動産売買契約について規律し,異なった社会,経済及び法律制度をしん酌した統一規則を採択することは,国際取引における法的障害を除去するのに貢献し,かつ,国際取引の発展を促進するものである」との見解の下に作成されたものである。
(3) 同条約の草案は,国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)が,合計9回の動産売買作業部会において検討した作業部会案を77年の第10会期及び78年の第11会期の2度にわたって審議を重ね,約10年をかけて練りあげてきたものである。この国連会議の審議においても同草案を中心に討論が進められ,その修正案を各条ごとに検討するという方法が採られた。
(4) 採択された条約は,上記UNCITRAL草案がほぼ維持されており,利息に関する規定が実質的に加えられなかったこと及び買主が目的物検査義務を怠った場合に関する規定に若干問題を残すに至ったことを除き,売主及び買主の権利・義務を公平に規律しているものと言えよう。
(5) また,時効条約に関する修正議定書は,74年に採択された時効条約を,今回採択された国際的動産売買契約に関する国連条約と整合させるため作成されたものであり,その目的達成のため必要な規定が採択されている。