第5節 行財政問題

(1) 国連は,平和維持など,あらゆる分野において年々その活動を拡大しているが,これに伴い行財政面,すなわち予算,人事,組織などの面においても多くの問題が生じてきている。

(2) 第35回国連総会においては,80年度国連改定通常予算が審議され,支出額約13億3,900万ドルが承認された。これは80年度通常予算当初承認額12億4,800万ドルに比べ約7%の増加となっている。

本改定による予算の増加額は,前会計年度の改定時増加額(当初9億8,600万ドルで改定後10億9,000万ドル)を,やや下回ったものの,予算伸び率抑制に関する従来からの先進国側の要望を十分反映したものでなかったため,本予算案に対しわが国は,米,英,仏,西独など西側先進諸国とともに反対投票を行った。

わが国が総会において国連予算に対し反対投票を行ったのは国連加盟以来,初めてのことである。

(3) 更に,第35回総会では,国連人事問題として「各国別職員数の望ましい範囲」に関し,新しい基準により改定が行われた。開発途上国は各国の最低割当数を増やすよう基準を改めるべしとの強い主張を行った。これは分担金比率を相対的に低くしょうとするものであり,わが国を含む先進国には受け入れ困難な要求であった。結果的には開発途上国穏健派が仲介役となり,現在の各国に割り当てられた数を下回らないとの条件の下に新しい基準の適用が承認された。わが国の新しい「望ましい範囲」は163~220となった。

また,婦人の採用促進,特に政策決定レベルヘの採用が促進されるべしとする決議,更には開発途上国出身者の幹部ポストに占める比率を高めるべしとする決議なども行われた。

なお,「望ましい範囲」を決定する基準の再検討を第41回国連総会において行う旨合意された。

(4) その他職員の給与に関し,地域調整給の一部を基本給に組み入れることにより,地域調整給が基本給を上回るというような変則的地域の発生を防止する改定作業が行われた。

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