在外公館医務官情報

スーダン

2010年10月

1.国名・都市名

 スーダン民主共和国(ハルツーム,ジュバ)(国際電話国番号249)

2.公館の住所・電話番号

 休館日:金・土曜日

3.医務官駐在公館

4.衛生・医療事情一般

(気候)

 大まかに北部の砂漠気候、中部のサバンナ気候、南部の熱帯気候の3つに分けられます。北部では夏季日中は50度前後まで気温が上昇し乾燥しています。年間に2日から3日程度の降雨しかありません。また、4月から6月にかけてはハブーブと呼ばれる砂嵐にみまわれます。

 中部においては、灌漑も開発されつつ植生もまばらに見られるようになり、潜在的な農業地域として期待されています。ただし、河川付近にはサシチョウバエなどの有害昆虫の発生がみられリーシュマニア症などの流行が見られます。

 南部スーダンにおいては、熱帯気候となり季節は雨季と乾季に分かれます。雨季には1日に一度スコール様の強い雨が降り、舗装されていない道路は泥濘状態となり陸路はたびたび通行不可能となります。居住地域にも水たまりが多数生じ、蚊などの有害昆虫が発生するようです。

(医療事情)

 現在スーダンは経済制裁を受けており支払いにクレジットカードを使うことはできず、全て現金前払いとなります。日頃から一定の金額の現金は手元に置いておくことが必要です。

ハルツーム

 首都ハルツームには外交団が利用する私立病院が2,3あります。ただし、脳卒中、重度頭部外傷に対応できる施設はありません。マラリア、チフスなどの感染症にたいする検査は概ね信頼できるようです。しかし、これら病院は、腎不全、敗血症などの厳密な全身管理を要する病態に対処できるレベルに達していないと判断されるので、重度熱帯熱マラリアなどは先進国移送を考慮することが適当です。海外勤務者保険と契約を結んでいる病院はなく各保険のキャッシュレスサービスは受けられません。一般診療で100スーダンポンドから200スーダンポンド、入院にあたっては、3,000スーダンポンド程度のデポジットを要求されます。歯科医療に関しては市内数カ所にイギリス、ドイツ、エジプトなどでトレーニングを受けた歯科医が開業しており、簡単な齲歯の処置においては問題ないレベルと考えます。

ジュバ

 ジュバにおいては入院できる施設がジュバ教育病院に限られ、同病院はしばしば運営上の問題が報道されています。基本的な医療資材の欠乏も頻発し衛生状態も芳しくありません。ジュバにおける医療には多くは期待できず基本的にはナイロビ、ハルツーム等に早めに移動することが適当です。市内には外国資本会社が運営するクリニックが一つあり先進国の看護師が2名駐在しています。(一回の受診料は200米ドルから300米ドルとなっており、支払いは現金のみとなっています。)歯科はジュバ教育病院内にありますが、衛生状態などに問題があり受診はあまりお勧めできません。

その他の地方都市

 州都には必ず公的な病院が存在しますが、衛生状態に問題がある他に、医療機材の不足、医師などの専門家の不足により安心した医療が受けられる状態にありません。地方都市に長期間赴任される方は、万が一のときどうするかを事前にシミュレーションしておくことをお勧めします。

5.かかり易い病気・怪我

(1)マラリア:ハマダラカに刺されることにより感染します。スーダンではもっとも危険な熱帯熱マラリアが流行しています。軽症のばあいの使用薬剤はCoartem(Artemether+Lumefantrineの合剤)のようです。
重症(意識障害などを伴う)の場合は国外移送を念頭におかれたほうが無難と考えます。ハルツームに在住の場合は抗マラリア剤の内服の必要性は少ないと考えますが、ジュバ、その他の地方都市に在住する場合は上述した医療状況ゆえ予防内服を考慮することが適当です。スーダン国内では予防薬剤としてメフロキン及びドキシサイクリンは入手できますが、マラロンは入手できません。いずれにせよ薬局の在庫状態が不安定かつ品質管理が悪いので、日本から必要量を持参されることをお勧めします。

(2)髄膜炎:髄膜炎菌による髄膜炎の流行が4〜5年サイクルでみられます。感染者の唾液の飛沫から経気道感染するようです。従来は乾季の冬に流行することが多かったのですが、最近は季節に関係なく流行がみられます。治療はクロラムフェニコール、ペニシリン系などの抗生剤の投与を行いますが後遺症を残すことも多いので予防が重要です。予防にあたってはワクチンの接種が有効です。ワクチンには4価ワクチンと2価ワクチンがありますが4価ワクチンの方がいいでしょう。ただし、髄膜炎菌による髄膜炎ワクチンは日本では未承認薬剤ですので日本国内では個人輸入している一部医療機関でしか接種できません。いわゆるHibワクチンはインフルエンザ桿菌による髄膜炎対策ですのでお間違えのないように。

(3)腸チフス:汚染された食べ物を摂取することにより経口感染します。高熱が続いた後、いわゆるバラ疹と呼ばれる発疹が全身に出現します。未治療のままですと下熱後に腸穿孔などの重大な合併症を併発します。ワクチン接種である程度予防可能ですが、現在同ワクチンも日本では未承認です。予防としては、不衛生な食べ物を食べないことです。

(4)アメーバー赤痢:赤痢アメーバーにより経口から感染します。時に、肝臓などに膿瘍を形成することもあります。特徴的な症状としては粘血便があげられますが、無症状もしくは軽度の長く続く下痢だけの場合もあります。アフリカ大陸では約10%の人が無症候性の保菌者と言われています。治療としてはメトロニダゾールの内服を行います。

(5)ビルハルツ住血吸虫症:寄生虫に汚染された川で泳いだ時に幼虫が皮膚より侵入し感染します。感染が成立すると尿道、膀胱などに寄生し血尿、腎不全、また、長期寄生状態が続くと膀胱癌を発生することもありえます。治療には抗寄生虫剤であるプラジカンテルを内服します。予防のポイントとしてナイル川水系で泳がない、水に素足を曝したりしないことが重要です。

(6)A型肝炎:A型肝炎ウイルスの経口接種により感染します。軽い感冒様の症状で終わる場合もありますが、時に、黄疸を来す場合もあります。予防としては、きちんと加熱された料理のみ食べることです。予防用のワクチンは日本でも接種可能です。

(7)デング熱:最近紅海州など港湾のある都市で流行がみられるようです。死亡例も散見されることより比較的軽症な古典型だけでなく血小板減少をともなう出血型の発生がみられるようです。発症したばあい特効薬はなく対症療法のみとなります。スーダンではネッタイシマカによる媒介が主であるようです。紅海州に長期滞在される方は蚊に刺されないように注意する必要があります。

(8)交通事故:ハルツーム及びジュバ市内の交通事情は秩序に乏しく、路上ではしばしば交通事故を見かけます。上述したようにスーダン国内では重度多発外傷(特に頭部外傷)には対処できません。路上横断などの際には十分御注意ください。

6.健康上心がける事

(1)気温が高く日差しが強いため日中外を出歩くときはサングラスの着用を考慮したほうがよさそうです。また、脱水に陥りやすいため飲料水を常に持参したほうがいいでしょう。

(2)北部の乾燥した気候では肌荒れを生じやすいようです。特に女性は皮膚乾燥予防のためローションを多めに持参したほうがいいと思います。

(3)ハルツーム市内の上水道は水道管の老朽化により重金属の含有量が多いようです。また、各家屋の貯水槽の管理が悪いため衛生的ではありません。飲料には浄水器で濾過したうえ煮沸した方がいいでしょう。

(4)食中毒を防ぐためには、良く加熱されたものを暖かいうちに食べることが重要です。果物などは皮を剥いて。レタス、白菜などの葉物野菜を生で食べるときは良く洗浄してください。また、信用できるレストランで食事をすることも重要です。

(5)住居を選択される際には出来るだけ高層階を選択されたほうが蚊に刺される確率が低くなります。南部ではとくに藪、池の近くの建物は選ばないほうがいいでしょう。また建物の周りに植木鉢、古タイヤ、空き缶などを放置しておかない(水がたまり蚊の発生源になる。)などの注意が必要です。

(6)交通事故で重度外傷を負わないために、タクシーなどに乗車するときは助手席は避けたほうが無難です。

(7)南部スーダンの藪には毒蛇が生息しています。藪の中に立ち入らないことが重要です。

7.予防接種(現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)PDF

(1)赴任に必要な予防接種

成人:黄熱病、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、破傷風、髄膜炎(髄膜炎菌による)
(難民と濃厚に接触する可能性のあるかたは、ポリオ不活化ワクチンを接種しておいた方が安心です。)

小児:黄熱病、A型肝炎、B型肝炎、BCG、狂犬病、麻疹、風疹、水痘、髄膜炎

注意1.A型肝炎、三種混合ワクチン(MMR)は当地では入手不可です。

注意2.入国に黄熱病の予防接種は不要ですが、当国から他国へ入国する際に汚染国に指定されているとのことで黄熱病の予防接種を求められることがあります。

(2)現地の小児定期予防接種(2008年改訂)

現地の小児定期予防接種(2008年改訂)
ワクチンの種類 接種方法
BCG 出生時に一回接種
ポリオ(生) 出生時、出生6週目、10週目、14週目の4回接種
麻疹 9ヶ月目に一回接種
DTPHibHepB(5種混合) 出生6週目、10週目、14週目の3回接種

5種混合:ジフテリア、破傷風、百日咳、ヘモフィリスインフルンザb, B型肝炎

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 髄膜炎の予防接種が必要なところがあります。

8.乳児健診

 法定の乳児健診は行われていません。

9.病気になった場合(医療機関等)

◎ハルツーム

(1)AL Zaytona Specialist Hospital

Khartoum 市内 Meridian Hotelに面した通り沿い。

電話0183745444

概要:平成22年3月に開院。MRI、CTを所有。初期救急対応可能。 年中無休、ERは24時間対応。小児科あり。英語可

(2)Fedail Medical Center

Hospital Road 沿い

電話0183766661

概要:国連がレベル3病院として指定。CT所有。初期救急対応可能。年中無休 ERは24時間対応。英語可

(3)Al-Fasal specialized Hospital

Hospital Road 沿い

電話 0183789555

概要:皮膚科専門医がいる。 年中無休 ERは24時間対応。

<歯科>

(1)Morsi Medical Center

Khartoum 2

電話 0155154154

概要:ロンドン大学、ゲッチンゲン大学で研修した歯科医がいる。英語可

○ジュバ

(1)International Clinic Kampala

ジュバ市内

電話 0477-108500

概要:ウガンダ人医師が常駐する。マラリア検査が可能。入院施設はない。

(2)Unity Resources Group Clinic

USAID Compound 近く

電話:+256477109225/4

概要:イギリス人、オーストラリア人看護師が駐在している。医師はいない。ナイロビなどへ緊急移送をコーディネートしてくれる。料金は米ドル現金のみ。

10.その他の詳細情報入手先

在スーダン日本大使館ホームページ医療情報
http://www.sdn.emb-japan.go.jp/japanese_pages/medical_info.html他のサイトヘ

11.現地語一口メモ

(いざというときのアラビア語)

ワジャ・フィ・サドル= 胸が痛い。
(痛み)(ある)(胸)

ワジャ・フィ・バトン=お腹が痛い。
(痛み)(ある)(お腹)

ワジャ・フィ・ラース=頭が痛い。
(痛み)(ある)(頭)

ワジャ・フィ・アスナーン=歯が痛い。
(痛み)(ある)(歯)

アナ・アイヤーン=私は具合が悪い
(私)(具合が悪い)

イッタシル・ビ・サファーラ ヤバーン=日本大使館に連絡してください。
(連絡)    (日本大使館)

イッタシル・ビ・イスアーフ=救急車を呼んでください。
(連絡)    (救急車)

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