2010年8月
セネガル共和国(ダカール)(国際電話国番号221)
気温は年間を通じて20度から35度、季節は6月から10月の雨季と11月から翌年5月までの乾季とに分かれます。雨季の始まりとともに蚊の発生が急増し、マラリアの発症がピークを迎えます。また、高温多湿の環境から赤痢、サルモネラ等の消化器感染症の罹患者も増える傾向にあります。乾季には、ハルマッタンと呼ばれるサハラ砂漠の砂を含む季節風が吹き、乾燥、埃による呼吸器感染症状や結膜炎が増える傾向にあります。また、細菌性髄膜炎が流行するのもこの季節です。
水道水は飲料には適しません。食中毒の原因になる可能性もあります。歯磨き、コンタクトレンズの洗浄を含めなるべくミネラルウォーターの使用を心がけて下さい。
当地の医療レベルは、ダカール市と地方都市、更に農村地区とで大きく異なりますので、出来る限りダカールの外国人がよく利用する医療機関で受診するようにして下さい。特に輸血を必要とする事故の治療、手術は地方では困難です。なお、当地の血液センターでの輸血用血液が汚染されている可能性も否定できません。
マラリアは当地での罹患率、死亡原因ともに一位の疾患です。セネガルでは4種類あるマラリアのうち一番悪性度の高い熱帯熱マラリアが98%を占めています。熱帯熱マラリアは放置すると死に至ります。2006年の保健省統計では、マラリアでの病院受診者数は2006年には1,555,310例でしたが2009年には174,339例と疾病対策が奏功し減少傾向です。しかし、依然として首都ダカールでの感染報告も多数見られ、放置すれば死に至る疾患であるため注意が必要です。マラリアの感染ルートは、ハマダラ蚊で刺された時にマラリア原虫が体内に侵入し、1-2週間後に発熱、頭痛、寒気、腹痛、だるさ、吐き気、筋肉痛などが始まります。そして血中で原虫が大量に繁殖し脳に移行すると、治療が困難となるため、早期治療を要します。子供ほど症状が重く、進行が早い傾向があります。血液中にマラリア原虫がみつかれば診断が確定します。
発熱は37度台から40度台まで個人差が大きいという特徴があります。発熱はマラリアに限ったことではなく、他の病気でもありますが、当地ではまずマラリアを疑い血液検査を行ないます。多少の発熱だからと楽観しないことが大事です
予防薬としてメフロキン(MEPHAQUIN, LARIAM)、またはプログアニルとアトバコンの合剤(Malarone)が推奨されています。治療は、ACT治療薬(アルテミシニン ベース混合治療薬)であるCoartemなどを用います。現地医療機関ではキニーネ塩基(QUINIMAX), ハロファントリン(HALFAN),スルファドキシンとピリメタミンの合剤(FANSIDAR)が使われることも多いです。クロロキンは現地では安価なため依然、治療に使われていますが、薬が効かない耐性株が増えてきており治療には適しません。
ハマダラ蚊は夕方から朝方にかけて出没します。感染リスクが高い地方だけではなく市内でも夜間外出を控え、やむを得ない場合は長袖・長ズボンなど肌の露出を少なくし、防虫スプレーで防御してください。寝室での蚊帳も地方出張時には持参するよう心がけてください。
2002年11月、小規模の流行が見られ、44例の死亡例がありました。日中に活動するネッタイシマカに刺され感染するウイルス疾患で、発熱、肝機能障害、黄疸が見られます。予防接種を受けることが必要です。
年間を通じ見られ、雨季に多くなる消化器疾患です。下痢、発熱、及び血便の症状が出ますのでそのような症状が出た場合は病院を受診してください(検便等が必要です)。点滴と、細菌性なら抗生物質、アメーバ性ならばメトロニダゾール(FLAGYL等)にて治療します。水道水での飲料、歯磨きは避け、ミネラルウォーターを使ってください。邦人旅行者でヤシ酒を飲んでアメーバ赤痢に感染した例、サンドウイッチに挟んであるレタス、トマトから細菌性赤痢に感染した例があります。
米のとぎ汁様の下痢が大量に出て、急速に脱水に陥ります。経口感染ですので、生水、生野菜はさけ、流行時には特に手洗いをしっかり行って下さい。2005年には、約半年で5201例の発症者があり、うち109例が死亡しました。
乾季、砂が舞う季節に流行し、目が赤く充血します。アポロ病と当地では呼ばれ、非常に感染力が強いので、外出から帰ったら手洗い、洗顔を行い、清潔を保ってください。患者さんとはタオル等、触れるものは共用しないで下さい。結膜炎に罹患したら、抗生物質の点眼が必要になります。
これも乾季に流行することがあります。予防接種がありますので、この季節に滞在する場合は、あらかじめ接種しておかれることをお勧めします。2007年には近隣国で、100名を超す死亡者がみられる流行がありました。発熱、頭痛から始まり、頸部硬直、意識障害といった症状が出現してきます。入院治療が必要です。
湖や川等、淡水中に生息する寄生虫で皮膚を貫いて体内に侵入し、肝臓や膀胱に寄生します。症状は腹痛、下痢、血尿等です。淡水では泳がないのはもちろん、水路や水たまりに入る必要がある時には、必ず長靴を着用して下さい。
動物(犬、猫、山羊、羊、牛等)と接触する場合、噛まれなくても、唾液より狂犬病ウイルスの感染の危険があります。ダカールでも野良犬の十数パーセントが感染している、と言われています。噛まれた場合、ダカールのパスツール研究所で狂犬病ワクチンを受ける(暴露後免疫)必要があります。いったん発病すると死亡率100パーセントと言われますので、動物との接触が予想される場合は、予め接種(暴露前免疫)をお勧めします。
日差しは年間を通じ強いので、帽子、日傘、日焼け止めクリームを使用して下さい。
屋外にいると喉の渇きが出る前に汗で水分が失われます。常にミネラルウォーターを携行し、水分補給に努めて下さい。特にスポーツ(ゴルフ、テニス等)の時は十分行って下さい。頭痛、だるさ、発熱は熱中症の症状です。重症例は経口摂取も不十分となるので、病院を受診し点滴が必要の場合があります。
ダカールでは整備不良の車の排気ガスで大気汚染が見られます。喘息等の呼吸器疾患のある方は、マスク等で予防に努めて下さい。
年間を通じてみられます。水道水は飲料に適しません。ミネラルウォーターを飲んで下さい。生野菜も十分に洗浄していないものは食べないこと。鶏卵も良く火が通ったものを食べて下さい(半熟不可)。サルモネラ菌で汚染されている場合があります。肉は火が通っていても安心できません。購入した場所での保管状況に問題がある場合があります。信頼の置ける店で購入するか、またはレストランで食べるようにして下さい。また加熱不十分な牛肉を摂取したことで寄生虫(条虫症)に感染した例もありますので、肉類は十分に加熱したもののみ摂取するようにしてください。
セネガルでは55種の蛇が確認されており、その三分の一が毒蛇です。ダカールでも郊外の住宅地にコブラ(Naja nigricollis)が居ます。毒蛇咬傷の場合、11種の蛇(内7種がセネガルに生息)の蛇毒に対する抗血清が入ったFavafrique を速やかに静脈注射する必要があります。咬傷時には速やかに、プランシパル病院やSOS MEDECINを受診してください。
整備不良車両、交通ルールの無視、道路事情の悪さ等により交通事故は多いです。しかし、手術が必要な救急外傷への対応は、ダカール以外では非常に困難です。
ダカールは大西洋に面しており、ダイビングスポーツも盛んですが、潜水病の治療を行える高圧酸素療法施設はセネガルにはありません。
成人:黄熱病、破傷風、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、髄膜炎菌性髄膜炎
小児:上記に加え、日本で実施されている定期の予防接種(ジフテリア、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、結核(BCG))、任意の予防接種(おたふくかぜ、水痘、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザ桿菌B型ワクチン(HIB))
| ワクチン | 初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 |
|---|---|---|---|---|
| BCG | 出生時 | 5歳 ツ反陰性時 |
||
| PENTACOQ 注1 | 2~6ヶ月 | 2~6ヶ月 | 2~6ヶ月 | |
| 麻疹 | 9ヶ月 | |||
| 黄熱病 | 9~15ヶ月 | 10年毎 | ||
| R.O.R 注2 | 12~18ヶ月 | 10歳 | ||
| B型肝炎 | 出生時 | 1ヶ月 | 2~9ヶ月 | 5年毎 |
| 髄膜炎(A,C) | 2歳 | 5歳 | 3年毎 |
注1:ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、インフルエンザB、の5種混合。ポリオは日本(経口生ワクチン)と違い、不活化ワクチンです。
注2:麻疹、おたふくかぜ、風疹
いずれも、接種時期、回数が日本と異なり、接種計画を立てる際、注意が必要です。
特に要求されないようですが、必要な場合には大使館で接種歴を翻訳し、証明します。
現地任意の公立・私立医療機関で、乳児健診(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月)と定期予防接種を行っています。しかし、医療レベルを考慮すると、邦人の診療が可能な病院は限られています。邦人の利用できる病院では、1回の診察料(ワクチン代別)が約20,000-40,000FCFA(5,000円-10,000円)です。
所在地:Avenue de Pasteur
電話:338890202、ファックス: 338216146
概要:内科、外科、産婦人科、神経内科、眼科、小児科を有する私立病院です。入院・手術も可能です。レントゲン・CT・MRI・エコー検査も可能。フランス語、英語が通じます。原則的には24時間救急対応も可能で、支払いは現金か小切手(当地の銀行口座)やクレジットカードも使用できます。受診時には、原則として診察料20,000FCFA(4000円程度)を前払いする必要があります。また、入院に際し保証金(邦貨にて約8万円)が必要です。
所在地:18,Avenue des Jambaars
電話:338899470、ファックス:338230745
概要:内科、循環器科、外科、産婦人科、小児科を有する私立病院。入院・手術・人工透析も可能。レントゲン・エコー・内視鏡検査も可能。フランス語、英語が通じます。原則的には24時間救急対応も可能。支払いは現金か小切手(当地の銀行口座)のみ。
所在地:1, Rue Jean Mermoz X Avenue Pasteur
電話:338891515、ファックス:338233398
概要:24時間、医師同乗の救急車にて往診、救急移送を行っているクリニック。フランス語、英語が通じます。
所在地:36,Avenue Pasteur
電話:338399211 ファックス:338399210
概要:予防接種(BCG、黄熱病、A型肝炎、B型肝炎、麻疹、髄膜炎、インフルエンザB、チフス、Pentacoq)が受けられます。時間は月、水曜(14時~16時)、水、土曜(9時~11時)で電話予約が必要です(フランス語、英語)。狂犬病治療センターは月~木曜(8時~16時)、金曜(8時~17時)、土曜(9時~11時)オープンで、予約をしてから受診します。
所在地:1, avenue Nelson Mandela
電話33839.5050 ファックス:33839.5088
概要:内科・外科・脳外科・救急(蘇生科)・産科婦人科・小児科等の各科を有する国立病院です。現地の方の受診が多いです。各種検査機材、X線CT、MRIなどの医療器材もそろっています。邦人の婦人科手術(卵巣摘出)、交通事故による意識不明邦人患者の緊急開頭術などの実績が有ります。受付は英語が通じません。また医師でも必ずしも英語が通じるとは限りません。
インターネット
パスツール研究所:http://www.pasteur.sn/
(予防接種情報有り)
保健・予防省:http://www.sante.gouv.sn/
(感染症情報有り)
主要言語の仏語をご参照下さい。