在外公館医務官情報

モザンビーク

2010年10月

1.国名

 モザンビーク共和国(マプト)(国際電話国番号258)

2.公館の住所・電話番号

3.医務官駐在公館

4.衛生・医療事情一般

 当国の気候は雨期(10〜3月頃)と乾期(4〜9月頃)に分かれ、雨期には高温多湿の厳しい日々が続きます。一方、乾期は比較的涼しく、朝夕は肌寒くなることもありますので、上着の携帯をお勧めします。

 当国の公用語はポルトガル語で、公立病院では英語はほとんど通じません。マプト市内の一部の私立病院では英語も通じますが、スタッフ全員が英語を理解するとは限りません。尚、当国には日本語で利用可能な医療施設はありません。

 当国の医療水準は非常に低く、邦人の方々が安心して利用できる医療施設はありません。但し、マプト市内には当国の富裕層や在留外国人などを主な顧客としている病院がいくつか存在し、簡単な治療や検査のみならば利用可能です。しかし長期間の入院や手術が必要な場合には十分対応できませんので、南アフリカなど、他の医療先進国で治療を受けることをお勧めします。特に地方都市では病院設備・診療体制とも不十分ですので、速やかにマプトあるいは南アフリカなどへの搬送を検討してください。緊急医療搬送には多額の費用がかかります。当国滞在中は海外旅行保険に加入して病気や怪我に備えてください。

 当国は医師が非常に不足しています。評判の良い医師や専門分野の医師の診察を希望する場合には、まず病院に診療日や診療時間を確認の上、診療予約をする方が良いでしょう。それでも長時間待たされることもあります。支払いは基本的に現金・カードによる前払いを求められます。

 当国の水道設備の管理能力は十分とは言えず、また家庭内の配管や貯水槽の管理も不適切です。マプトを含めた国内全域において、飲用には市販のミネラル水の購入をお勧めします(但し、ミネラル水も品質の劣る製品が出回っていることがあり注意が必要です)。水道水を利用する場合、一度十分に煮沸させた後に使用してください。

 一般的に当地の食品衛生管理は信用できません。屋台や小さな食堂など衛生環境が整っていない場所での飲食は控えた方が良いでしょう。そのような場所では氷や乳製品にも注意してください。特に雨期は細菌が繁殖しやすいので食中毒に気をつけてください。

5.かかり易い病気・怪我

(1)感染性胃腸炎:

 原因となる病原体は細菌、ウイルス、原虫、寄生虫と様々です。細菌性の場合、本邦でも頻度の高いサルモネラ菌(当地ではチフス菌などを含む)、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、ブドウ球菌などに加えて、当地においては細菌性赤痢、コレラなどへの罹患の可能性があります。特にコレラは年間2万人弱の患者が国内で発生しています。また衛生状態の悪い当国では、各種ウイルス、アメーバ赤痢などの原虫、その他の寄生虫に感染して胃腸炎を起こし得ます。これらは主に食事や飲み水、食器、不潔な手指などから経口的に感染します。症状は原因となる病原体、感染菌量、体調などにより異なりますが、一般的に発熱、下痢、悪心、嘔吐、腹痛などが見られます。少量の下痢のみであれは十分な水分摂取(電解質を含んだ経口補水液が望ましい)を行い、休養をとってください。下痢の状態で無理をすると、脱水に陥り危険です。大量の下痢、血便や粘血便、持続する高熱、強い吐き気や腹痛などの症状がある場合には、病院を受診して診断・治療を受けてください。感染症以外の食中毒、炎症性腸疾患、手術を要する外科的疾患などとの鑑別も必要となります。食事前やトイレ使用後は良く手を洗う、生野菜は調理前によく洗浄する、生ものや加熱の不十分なものは摂取しないなどの予防対策を行ってください。

(2)マラリア:

 ハマダラカという種類の蚊に刺されることによってマラリア原虫が体内に侵入してかかる病気です。ヒトが感染するマラリアには熱帯熱、三日熱、四日熱、卵形マラリアの4種類があります。このうち当国で圧倒的に多いのは熱帯熱マラリアで、迅速かつ適切な治療が施されないと短期間のうちに重症化し死に至る可能性があります。潜伏期間は熱帯熱マラリアで平均12日とされています。マラリアの主症状は主に発熱ですが、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛などを伴う事も多く、腹部症状や呼吸器症状が見られることもあります。マラリア流行地域で発熱した場合、まずマラリアを疑うことが重要ではないでしょうか。当国では国内全域でマラリアに罹患する可能性があり、また熱帯熱マラリアに対する薬剤耐性(クロロキン耐性)が認められています。年間を通して患者の発生が見られますが、特に蚊が増える雨期には注意が必要でしょう。当国では年間に300〜400万人が罹患しているとされ、死因の30%近くを占めています。一般的に抗マラリア薬の予防内服の適応は、高度流行地域に7日間以上滞在する場合で、発症時に適切な医療対応が期待できない場合とされます。首都マプト以外の地方都市に長期滞在する場合には予防内服の必要性につき検討してください。しかし最も基本的な予防法は、蚊に刺されないように最大限の努力をすることです。特に夜間には皮膚を露出しないように努め、網戸や蚊帳などの防蚊対策が整った宿泊施設を選択し、蚊取り線香、殺虫スプレー、昆虫忌避剤を持参するなどの対策をとってください。

 以下、「かかり易い」とまでは言えませんが、当国滞在時に注意を要する病気・怪我を挙げます。

(3)交通事故による怪我:

 近年の交通量増加に比例し、交通事故件数が激増、死亡事故も多発しています。当国の医療水準の低さ、緊急搬送体制の脆弱さ、また輸血における感染リスクを考えますと、被害に遭わないように細心の注意を払ってください。

(4)HIV/AIDS:

 モザンビーク人のHIV感染率は非常に高く、15〜49歳における全国平均は11.5%、マプト州では男女ともに20%に達します。ウイルス保有者とのコンドームなどで防御しない性交、汚染血液の傷口からの侵入、輸血や注射器事故などで感染する可能性があります。

(5)結核:

 当国の感染者数は年々増加傾向にあり、新規・再発患者は年間4万5千人に上ります。結核患者が咳やくしゃみをして喀出するしぶきを直接吸い込むことによって感染します。排気の悪い狭い空間に排菌患者と長時間一緒にいると感染する危険が高まります。

(6)狂犬病:

 当国では例年50名前後の狂犬病による死亡者が出ており、国内全域で感染の危険があります。狂犬病ウイルスに感染している動物に咬まれたり、傷口や粘膜を舐められたりすることで感染し、発症した場合にはほぼ100%死亡します。当国では犬以外の動物(コウモリ、マングース、ジャッカルなど)からの感染の危険もあります。無闇に動物に触らないようにしてください。狂犬病の疑いのある動物に咬まれた場合には、直ちに傷口を洗い、病院を受診してワクチンなどの接種につき相談してください。

(7)ウイルス性肝炎:

 代表的なものとして、経口感染するA型と血液・体液を介して感染するB型があります。A型は上述の感染性胃腸炎と同様な対策が必要です。B 型は不適切な医療行為(輸血、注射、針治療)や入れ墨などで感染します。当地はB型肝炎の感染率が高く、カミソリ、歯ブラシ、タオルの共有でも感染する可能性もあります。

(8)住血吸虫症:

 川や湖などの淡水中には皮膚から浸入する寄生虫(ビルハルツ住血吸虫)が生息しています。淡水中での水遊びには十分注意してください。

(9)昆虫が媒介する様々な病気:

 マラリア以外にも蚊、ブユ、ハエ、ノミ、シラミなどの昆虫が媒介する感染症に罹患する可能性があります。不衛生な場所での宿泊、屋外での活動の際には、これらの昆虫による刺傷に気を付けてください。

*当国は感染症発生時の調査体制が十分とは言えず、感染症流行情報が適切な時期に得られないことがあります。滞在中は当国のみならず周辺国の感染症流行状況にも注意を払うようにしてください。周辺国で大規模な流行が報じられている場合には、当国までも感染が拡がっている可能性を考慮して行動する必要があります。

6.健康上心がける事

(1)熱中症:

 高温多湿となる雨期には熱中症にかかり易くなります。無理な行動、過度な運動を避け、十分な休息をとりつつ頻回に水分を摂るように努めてください。市販の経口補水液や経口補水塩の携帯をお勧めします。

(2)有害動物による咬傷:

 当国には毒蛇、さそり、また海には危険な海生生物が生息しています。日常生活で被害に遭う可能性は高くはないと考えますが、サファリやダイビング参加時には十分な注意が必要です。

(3)紫外線:

 10月から3月頃の紫外線は非常に強く、長袖シャツや日焼け止めクリーム、サングラス、帽子などの携帯が勧められます。

7.予防接種(現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)PDF

(1)赴任者に必要な予防接種(成人、小児)

 本邦からの直接の入国時に義務づけられた予防接種はありません。しかし、周囲の黄熱病汚染国から入国する場合には黄熱病接種証明書(イエローカード)の提出を求められます。また当地では様々な感染症に罹患する可能性がありますので、以下の予防接種の実施が推奨されます。

成人:破傷風、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、麻しん(特に麻しんワクチンを今まで一度も受けたことがなく、かつ麻疹に未罹患の人)、腸チフス

小児:日本の定期接種(BCG、DPT、ポリオ、麻しん、風しんなど)、日本の任意接種(インフルエンザ菌b型(Hib)、肺炎球菌、インフルエンザ、水痘、おたふくかぜなど)、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、腸チフス

(2)小児定期予防接種一覧

小児定期予防接種一覧
  初回 2回目 3回目 4回目
BCG 出生時      
ポリオ* 出生時 2ヶ月目 3ヶ月目 4ヶ月目
DPT 2ヶ月目 3ヶ月目 4ヶ月目  
B型肝炎 2ヶ月目 3ヶ月目 4ヶ月目  
Hib 2ヶ月目 3ヶ月目 4ヶ月目  
麻疹       9ヶ月目

 経口生ワクチン

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明書

 現地の公立校への入学には、予防接種記録・証明書は必要とされません。インターナショナルスクールなどの私立校では予防接種記録の提出を求められる場合があります。

8.乳児健診

 国内において適切な乳児健診を行える施設はないと判断しています。

9.病気になった場合(医療機関等)

◎マプト

 以下に紹介する病院はいずれも、十分な医療水準に達しているとは言えません。簡単な診察・治療や急変時の一次収容のみの利用に限定した方が良いでしょう。手術が必要な場合や重症化した場合には先進国で治療を受けることをお勧めします。マラリアにおいても、基本的な診断・治療は可能ですが、重症化した場合には十分な治療を受けることはできません。

(1)Clinica Especial, Hospital Cetral de Maputo(クリニカ・スペシャウ、オスピタウ・セントラウ・デ・マプト)

所在地:Av. Eduardo Mondlane

電話:21-308540(代表)、84-3006074 または84-3006516(総合受付用携帯)

84-3006718(緊急受付用携帯)

ファックス:21-308540

概要:公立マプト中央病院附属の特別クリニックです。使用言語は基本的にポルトガル語です。成人・小児ともに24時間対応しています。通常の診療時間は平日7時30分〜17時00分で、電話予約が可能です。支払いは現金・クレジットカードによる前払いとなります。入院時には保証金として33,000メティカルが必要です。但し手術を要する場合に別途手術費用を前払い請求されます。

(2)Instituto do Coracao(インスティチュート・ド・コラサン)

所在地:Av. Kenneth Kaunda, n゜1111

電話:21-414761または21-414763または 21-416347(総合受付)

82-3274800(受付用携帯)

ファックス:21-414385

概要:欧州のNGOが運営する病院です。循環器疾患の予防・治療・研究に重きをおいており、欧州からの指導医を招き心臓外科手術や心臓カテーテル治療を行っています(共に待機的手術のみで緊急対応はしていません)。使用言語は基本的にポルトガル語ですが、一部のスタッフは英語が話せます。成人のみ24時間対応しており、小児は通常診療時間内(平日14時00分〜17時00分)のみの診療となります。支払いは現金・クレジットカードによる前払いです。入院時には保証金として40,000メティカルが必要です。但し手術を要する場合に別途手術費用を前払い請求されます。

(3)Clinica de Sommerschield(クリニカ・デ・ソマシールド)

所在地:Rua Pereira do Lago, n゜52

電話:21-493924 または 21-493925(総合受付)82-3056240(受付用携帯)

ファックス:21-493927

概要:主に公立マプト中央病院に勤務する医師らが交代で勤務している私立病院です。英語・ポルトガル語が使用可能です。成人・小児ともに24時間対応しています。支払いは現金・クレジットカードによる前払いとなります。入院時には保証金として38,000メティカルが必要です。但し手術を要する場合に別途手術費用を前払い請求されます。

*スウェディシュ・クリニックは2010年6月に閉鎖となりました。

<歯科>

 モザンビークの公立医療機関では十分な歯科治療を受けることはできません。しかし以下の私立の歯科クリニックでは外国人歯科医師が中心となって治療をおこなっており、基本的な診断・治療を受けることが可能です。但し、根管治療やインプラント施行術など、高度な技術を要する治療は積極的には勧められません。また器具の洗浄・滅菌など基本的な感染対策は実施されていますが、当国のHIVや肝炎の感染率の高さや歯科助手などの技術水準を考慮しますと感染の危険性が皆無とは言えません。やむを得ない場合以外は可能な限り医療先進国で治療を受けることが望ましいと考えられます。

(1)Clinica Elim(クリニカ・エリム)

所在地:Av. Patrice Lumumba, n゜290

電話: 21-308882  受付用携帯 82-3110660

使用可能言語:英語、ポルトガル語

診療時間:月曜〜金曜 8時00分〜12時30分、14時00分〜17時00分

(2)Trauma Center (トラウマセンター)歯科

所在地:Av. Julius Nyerere, n゜2986

電話:21-485052, 21-485053

使用可能言語:英語

診療時間:月曜〜金曜 9時00分〜12時00分、14時00分〜17時00分

○地方の医療機関

 地方の各都市には州立病院が存在しますが、マプトの医療水準よりもさらに低く、邦人の方々の利用に耐えうる施設はないと判断します。重症化する前に速やかにマプトや南アフリカの病院を受診することをお勧めします。

10.その他の医療情報入手先

(1)在モザンビーク日本国大使館: http://www.mz.emb-japan.go.jp/他のサイトヘ

(2)モザンビーク保健省: http://www.misau.gov.mz/他のサイトヘ(ポルトガル語標記のみ)

(3)厚生労働省検疫所: http://www.forth.go.jp/他のサイトヘ

(4)米国疾病管理センター:http://www.cdc.gov/travel/他のサイトヘ

(5)WHOモザンビーク事務所:http://www.who.int/countries/moz/en/他のサイトヘ

11. 現地語(ポルトガル語)一口メモ

医師:Medico(メディコ)

飲み薬:comprimido(コンプリミード)

注射:injecao(インジェッサン)

頭痛:dor de cabeca(ドル・デ・カベーサ)

腹痛:dor de barriga(ドル・デ・バリーガ)

発熱:febre(フェブレ)

吐き気:nausea(ナウジア)

傷:ferida(フェリーダ)

下痢:diarreia(ディアレイア)

具合が悪い:Estou mal(エシュトウ・マウ)

病院へ連れて行ってください:Leve-me ao hospital,por favor(レーヴェメ・アオホスピタル・ポルファボール)

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