(1)人材育成奨学計画(国庫債務負担行為) 3億5,500万円
(平成19年度 3,700万円、平成20年度 1億5,900万円、平成21年度 9,700万円、平成22年度 6,200万円)
(イ)本計画の内容
フィリピンの若手行政官等25名を対象に、日本の大学院における学位取得等を前提とした留学に対して必要な経費を支援するものである。
(ロ)本計画の必要性
(a)フィリピン政府は、「社会的公平性を伴った持続可能な発展及び成長」を目標とする「新中期国家開発計画」を策定し、市場経済の活用や自由化等の路線は継承しつつ、貧困削減と所得分配の改善により発展をめざすこととしている。また、そのための手段として、農業近代化等を中心とする地方開発の加速化、教育・保健・福祉・住宅供給等の弱者に対する基本的社会サービスの提供、持続的インフラ開発、国際競争政策の推進、マクロ経済の安定確保及びガバナンスの向上を中心的課題として位置づけている。
(b)ガバナンスの改善は他の重要課題への取組を効果的にするという観点からも大きな意義を有すると考えられており、また、開発計画策定を含む行政能力の強化、関係機関との相互調整能力の強化等、公共セクターのための人材育成の必要性も高い。
(c)このような状況の下、フィリピン政府は、人材育成において留学の果たす重要な役割に鑑み、「人材育成奨学計画」に対する我が国の無償資金協力を要請してきたものである。
(ハ)本計画の効果
(a)本計画の実施により、持続的経済成長を支える行政官、ガバナンスの改善に従事する若手職員等の我が国における学位の取得が可能になり、今後、各分野でリーダーシップを発揮し、将来を担う指導者が輩出されることが期待できる。
(b)留学生受入による二国間の相互理解及び友好親善関係の構築、知的ネットワークの形成、世界に開かれた経済社会の構築と大学教育の充実改善に資することが期待出来る。
(2)パンパンガ河及びアグノ河洪水予警報システム改善計画(第2期)(防災・災害復興支援無償)
供与限度額 3億7,600万円
(イ)本計画の内容
(a)パンパンガ河及びアグノ河流域における洪水予警報システム及び通信網の改善・観測局の整備、中央監視センター及び防災関連機関の監視機器等の整備に必要な資金を供与する。
(b)第2期においては、上記のうち、アグノ河流域におけるシステム整備等を行う。
(ロ)本計画の必要性
(a)フィリピンはモンスーンや台風等の影響により、例年暴風雨による被害を受けており、特にルソン島は人口が集中し、経済活動も活発であるため、被害も甚大である。
(b)このため、フィリピン政府は、「ゼロ」災害被害を目指し、2004年から2010年までの「中期国家開発計画」において防災組織強化や洪水予警報システムの強化を掲げている。
(c)パンパンガ河、アグノ河流域はルソン島内の主要流域であるが、これらの洪水予警報システムについては、観測機器の老朽化等により十分な観測機能を有しておらず、観測局等とマニラの中央監視センターとを結ぶ通信体制についても不十分な状態にあり、被害が拡大する要因と考えられている。
(d)このような状況の下、フィリピン政府は、パンパンガ河及びアグノ河流域に係る洪水予警報システムの迅速かつ的確な観測・情報伝送機能を改善すること等を内容とする「パンパンガ河及びアグノ河洪水予警報システム改善計画」に対する我が国の無償資金協力を要請してきたものである。
(ハ)本計画の効果
観測データの欠測率が著しく低下し(約50%が約4%)、観測データの収集時間の短縮(2時間が10分)が図られることから、精度が高く分かりやすい洪水予警報が住民に迅速に伝達されることが可能となり、安全な避難活動が行われることで人命及び資産の被害が軽減することが期待される。
(参考)
平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | 平成20年度 |
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20名 |
20名 |
25名 |
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25名 |
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