
フィリピン共和国に対する無償資金協力「パンパンガ河及びアグノ河洪水予警報システム改善計画(第1期)」(防災・災害復興支援無償)及び「海上保安通信システム強化計画」(テロ対策等治安無償)に関する書簡の交換について
平成19年7月31日
- 我が国政府は、フィリピン共和国政府に対し、「パンパンガ河及びアグノ河洪水予警報システム改善計画(第1期)」(the
Project for Improvement of Flood Forecasting and Warning System in the Pampanga
and Agno River Basins)及び「海上保安通信システム強化計画」(the Project
for Enhancement of Communications System for Maritime Safety and Security)の実施に資することを目的として、総額13億8,800万円を限度額とする無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、7月31日(火)(現地時間、同日)、マニラにおいて、我が方麻生太郎外務大臣と先方アルベルト・ロムロ外務長官(H.E.
Mr. Alberto G. Romulo, Secretary of Foreign Affairs)との間で行われた。
- 計画の概要は次のとおりである。
(1)パンパンガ河及びアグノ河洪水予警報システム改善計画(第1期)(防災・災害復興支援無償)
供与限度額 7億7,900万円
(イ)本計画の内容
- パンパンガ河及びアグノ河流域における洪水予警報システム及び通信網の改善・観測局の整備、中央監視センター及び防災関連機関の監視機器等の整備に必要な資金を供与する。
- 第1期においては、上記のうち、パンパンガ河流域、中央監視センター及び防災関連機関に関する整備等を行う。
(ロ)本計画の必要性
- フィリピンはモンスーンや台風等の影響により、例年暴風雨による被害を受けており、特にルソン島は人口が集中し、経済活動も活発であるため、被害も甚大である。
- このため、フィリピン政府は、「ゼロ」災害被害を目指し、2004年から2010年までの「中期国家開発計画」において防災組織強化や洪水予警報システムの強化を掲げている。
- パンパンガ河、アグノ河流域はルソン島内の主要流域であるが、これらの洪水予警報システムについては、観測機器の老朽化等により十分な観測機能を有しておらず、観測局等とマニラの中央監視センターとを結ぶ通信体制についても不十分な状態にあり、被害が拡大する要因と考えられている。
- このような状況の下、フィリピン政府は、パンパンガ河及びアグノ河流域に係る洪水予警報システムの迅速かつ的確な観測・情報伝送機能を改善すること等を内容とする「パンパンガ河及びアグノ河洪水予警報システム改善計画」に対する我が国の無償資金協力を要請してきたものである。
(ハ)本計画の効果
- 観測データの欠測率が著しく低下し(50%→約4%)、観測データの収集時間の短縮(2時間→10分)が図られることから、精度が高く分かりやすい洪水予警報が住民に迅速に伝達されることが可能となり、安全な避難活動が行われることで人命及び資産の被害が軽減することが期待される。
(2)海上保安通信システム強化計画(テロ対策等治安無償)
供与限度額 6億900万円
(イ)本計画の内容
- フィリピン沿岸警備隊(PCG)が、 (a)本庁から全管区本部間の通信システムの構築、
(b)第1、2、3管区本部から保安部間の通信システムの構築、 (c)マニラ海洋局の整備を行うための資金を供与する。
(ロ)本計画の必要性
- 島嶼国家であるフィリピンにとって、海上輸送は国の経済・社会発展に大きな役割を担っており、また、フィリピン近海は多くの国際貨物船が航行し国際的にも重要な海域となっている。
- フィリピンでは海難救助、海上の安全維持や犯罪取締りはPCGが一元的に担っており、PCGは2000年に策定した「15か年開発計画」に基づき、救難・警備体制の強化に取り組んでいるが、予算・人材不足から、指揮・命令決定時に必要な情報収集を迅速に行うための通信体制が構築されていないなど、体制整備が十分に出来ていない現状にある。
- このような状況の下、フィリピン政府は、PCG部内通信システムを改善すること等を内容とする「海上保安通信システム強化計画」に対する我が国の無償資金協力を要請してきたものである。
(ハ)本計画の効果
- PCG部内の各機関が安定、十分な容量を持った専用回線で結ばれることにより、これまで、事故等の情報が本部まで届くまでに平均2日要していたところを、1時間から2時間で情報収集することが出来ることとなり、救助・テロ対策行動に係る意思決定の迅速化が図られる。
- これにより、早期行動開始が可能となり、人命救助率・財産保存率・災害・被害減少率が向上する等の効果が期待される。
(参考)