報道発表

国連ネパール政治ミッションへの軍事監視要員の派遣について

平成19年3月27日


1. 我が国は、3月27日(火曜日)、国連からの要請を受け、国際平和協力法に基づき、国連ネパール政治ミッション(UNMIN)に対して、軍事監視要員6名を派遣することを閣議決定した。

2. ネパールでは、1996年以降、ネパール政府とマオイストとの間で武力紛争が継続していたが、昨年11月21日に包括和平合意が成立した。
  国連安保理は、本年1月23日、ネパール政府及びマオイストの要請を受けて、武器及び兵士の管理の監視等を任務とする国連ネパール政治ミッション(UNMIN)の設立を決定した。
 我が国は、国連からの要請を受け、国際平和協力法に基づき、自衛官6名を非武装の軍事監視要員として派遣することを決定したものである。

3. 今回の派遣は、ネパールにおける平和構築への協力として、ネパールとの二国間関係の更なる強化に大きく資する上、南アジア地域の平和と安定にも重要な意義を有しており、外交上の観点から意義深いものと考える。

 

(参考1)最近のネパール情勢

 (1) 1996年以降、マオイストが国王からの政権奪取を目的とした武装闘争を開始し、武力紛争が発生。

 (2) 2006年4月、マオイストは、国王の政治介入に反対し、民主化を要求する国内の他の政党と連携し、同年2月に実施された国王の一方的な処置による地方選挙の実施に対する全国規模での抗議集会等を開催。これに対し、ネパール政府が関係者の逮捕等取締りを強化したところ、国内の更なる反発を招いたこともあり、マオイストへの対応方針を見直し、マオイストとの対話の再開、停戦の表明、制憲議会選挙の実施等を下院議会にて採択。

 (3) 同年5月、コイララ新首相の下、新政権が誕生。同政権はマオイストのテロ指定を解除するとともに、無期限停戦を発表。これに対し、マオイストは停戦歓迎の声明を発表。
 ネパール政府、マオイスト双方の代表団により和平交渉が行われた結果、同年6月16日、両者の間で国連に対し国軍及びマオイストの武器管理の監視を行うよう要請すること等の8項目の合意が成立。
 同年11月8日、政府とマオイストは「恒久平和の実現に向けた合意文書」に署名、本年6月半ばまでの制憲議会選挙の実施、このために国連が国軍及びマオイストの武器管理の監視を行う枠組み等に合意し、11月21日、両者は紛争終結を含む包括的和平協定に署名。

 (4) 本年1月15日に暫定憲法の公布、同日、マオイストを含む暫定議会が発足するなど和平プロセスが具体的に進展。

 

(参考2)国連ネパール政治ミッション(UNMIN:United Nations political mission in Nepal)設立の経緯

 (1) 2006年12月1日、ネパール政府からの要請を受け、国連安保理は、ネパールへの技術評価ミッションの派遣についての国連事務総長の提案を歓迎する旨の安保理議長声明を発出。

 (2) 2007年1月10日、上記技術評価ミッションの訪問結果を踏まえた国連事務総長報告が発出され、国連政治ミッションの設立を提案。

 (3) 同月23日(NY時間)、国連事務総長報告の提案を踏まえ、国連安保理は、以下を主任務とするUNMINの設立を決定する決議第1740号を採択。

 (イ) 包括和平合意の規定に従った武器及び兵士の管理の監視
 (ロ) 共同監視調整委員会を通じた武器及び兵士の管理に関する合意の履行に関する支援
 (ハ) 停戦合意の監視に関する支援
 (ニ) 制憲議会選挙の計画、準備及び実施のための技術的支援の提供
 (ホ) 選挙過程のすべての技術的観点をレビューするとともに選挙行為について報告するための小規模な選挙監視チームの提供

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