
モルドバ共和国に対する無償資金協力「農業機械化訓練センター機材整備計画」に関する書簡の交換について
平成19年11月12日
- 我が国政府は、モルドバ共和国政府に対し、「農業機械化訓練センター機材整備計画」(The
project for Improvement of Equipment for the National Training Center for Agricultural
Mechanization)の実施に資することを目的として、5億3,000万円を限度とする一般プロジェクト無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が11月12日(月曜日)(現地時間、同日)、同国の首都キシニョフ市において、我が方馬渕睦夫駐モルドバ国特命全権大使(ウクライナにて兼轄)と先方アナトリエ・ゴロデンコ農業食品産業大臣(H.E.
Mr. Anatolie GORODENCO, Minister of Agriculture and Food Industry)との間で行われた。
- 計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- モルドバ政府農業食品産業省が、同国中部地域に位置する首都キシニョフ市において農業機械の適正な操作及び修理等に関する訓練を行う「国立農業機械化訓練センター」で使用するワークショップ訓練用機材(分解・組立用機材、試験検査用機材、修理用機材等)及び圃場研修用機材(コンバイン9台、トラクター18台等)を整備するための資金を供与する。
(2)本計画の必要性
- モルドバは、歴史的に農業に依存してきており、05年の農産物及び農産加工品を合わせた農業関連部門はGDPの30%、輸出総額の59%を占めており、農業は同国の主要産業である。05年の労働力の分布でも農業人口が全体の40.7%を占め、雇用吸収力が高い状況にある。しかし、労働力において高い割合を占めながら、産業構成を05年のGDP比でみると第一次産業は17%となっており、農業をより資本集約的な産業へとシフトし、生産性を高め、安定した経済成長を達成することが喫緊の課題となっている。
- これまで我が国政府は、同国政府に対して、農業生産性の向上とそれに伴う経済発展を支援するため、貧困農民支援によって、農業機械や肥料を購入するための資金を供与し、モルドバにおける食糧増産及び貧困削減に寄与している。調達された農業機械は適正かつ効果的に活用されているが、操作・修理技術、日常・定期点検方法は国内に十分普及しておらず、また、農業機械の修理を行う人材不足の問題もあり、貧困農民支援あるいは見返り資金をより効果的に活用するためには、農機のメンテナンスに係る技術の一層の普及が重要な課題となっている。
- このような状況の下、農業食品産業省は、同国の農業機械化を推進する上で、現在導入が進められている農業機械の適正な操作技術、修理技術の普及が不可欠であるとの認識により、農業技術分野の人材育成を目的とする「国立農業機械化訓練センター」を我が国の貧困農民支援の見返り資金を含む資金により建設を決定し、07年6月に完成した。本計画は、同国政府が同センターで使用する研修用機材を整備するために必要な資金につき、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
- 本計画の実施により、全国農業生産者、学生及び整備士に対し、持続的な研修活動を行うことにより、新たに最大1,655名/年の研修が可能になり、同国の農業機械化の発展に寄与する。
- 農業機械操作・運転技術、保守・修理技術の研修により、農作業時間の短縮、機械故障率の低減等を図ることが可能となり、我が国の貧困農民支援により調達されたものを含めた農業機械の耐用年数の延伸と機械稼働率の向上に伴い、機械化耕作面積が増加し、農業生産性の増大が期待される。
- 新しい農業経営手法の研修により、効率的な農業経営(耕作面積の拡大、単位収量の増加等)を学んだ研修生が土地生産性の向上と生産量の増大に貢献することが可能となる。
(参考) モルドバ共和国は、旧ソ連と欧州の間に位置するする内陸国であり、人口は約420万人、一人当たりGNI(国民総所得)は1100ドル(世銀、2006年)の国である。