
第1回日ウクライナ原発事故後協力合同委員会(概要)
平成24年7月26日
- 本26日(木曜日),東京(三田共用会議所)において,第1回日ウクライナ原発事故後協力合同委員会が開催されました。同合同委員会は,2012年5月に日本とウクライナの間で締結された「原子力発電所における事故へのその後の対応を推進するための協力に関する日本国政府とウクライナ政府との間の協定」に基づき開催されるもので,今次合同委員会は第1回目となります。
日本側からは,山根隆治外務副大臣が冒頭挨拶を行ったほか,上月豊久欧州局審議官を議長とし,外務省,内閣府,文科省,農水省,環境省,厚労省,東京大学から計約30名が出席し,ウクライナ側からは,ヴォロディミル・ホローシャ非常事態省立入禁止区域庁長官を議長とし,同庁関係者,科学アカデミー関係者等計8名が出席しました。
- 同委員会では,主に下記の議題に関し,原子力発電所事故後の現状と今後の方向性等について意見交換を実施しました。
- 避難区域,市民保護戦略
- 除染
- モニタリング
- リスク・マネージメント(放射能教育,被災住民への情報共有等)
- 学術界の協力
- 会議の主な結果は以下のとおりです。
(1)ウクライナ側から,チェルノブイリ原子力発電所事故の経験を踏まえ,各議題に関する過去26年間の対応及び現時点の問題点等につき説明するとともに,福島第一原子力発電所事故への対応に向け,今後とも可能な限りの支援を行いたい,日本側のニーズを見つつ共同研究の実施の可能性につき検討を行いたい旨表明がありました。日本側から,震災以降のウクライナの各種協力に謝意を表明するとともに,福島第一原子力発電所事故後の課題,中・長期的な施策等につきウクライナ側に説明し,引き続き情報共有を密に行いたい旨述べました。
(2)また,両国は,東京大学が,ウクライナ宇宙庁を始めとする関係機関との間で進めている福島/チェルノブイリ共同衛星観測プロジェクトを歓迎し,ウクライナ側から,同プロジェクトの実現に向け包括的に議論を進めていきたい旨表明がありました。
(3)双方はこの会合が定期的に開催されるべきであり,次回会合はキエフにて開催すること,また,その時期については外交ルートを通じて調整することを確認しました。
(参考)福島/チェルノブイリ共同衛星観測プロジェクト
東京大学大学院工学系研究科中須賀研究室が開発中の衛星を中心に計8機の多様な超小型地球観測衛星を,ウクライナ宇宙庁を始めとする関係機関の協力の下に打ち上げ,福島及びチェルノブイリを共同観測するプロジェクト。チェルノブイリの経験を学びつつ,多数の衛星による画像を使って,災害・復興の状況を長期間・広範囲にわたって高度な解析を行う等を目指している。