【参考】
1 本件の概要と経緯
(1)2009年5月,カナダ・オンタリオ州は,再生可能エネルギー発電(太陽光・風力発電)分野において,風力や太陽光により発電された電力の市場価格よりも高い固定価格買取制度(Feed-in Tariff Program(FITプログラム))を創設。支援の対象となる発電事業者等が同制度に参入する際の条件として,一定割合以上の州産品を使用することを課すもの(ローカルコンテント要求)。(2)我が国は,カナダによる本件措置がWTO協定に反するものとして,2010年9月にカナダに対し協議要請を行い,同年10月にカナダとの間で協議を行ったが,協議によって紛争を解決することができなかったことから,パネル設置要請を行い,今般,パネル設置に至ったもの。
2 WTO紛争解決手続とは
WTO協定上の紛争は,WTO紛争解決制度により解決が図られることとされている。ある措置がWTO協定に違反するとして,WTO紛争解決手続きに基づき申立てが行われた場合,紛争当事国間の協議により解決されない場合には,第一審に相当するパネルと最終審に相当する上級委員会により検討が行われる。この結果,協定違反が認定された場合には,当該措置をWTO協定整合的にすることが勧告され,違反認定された措置の是正が求められる。