談話
南スーダンにおける敵対行為の停止等に関する合意の署名(外務大臣談話)
1 我が国は,23日(現地時間),アジスアベバ(エチオピア)において,政府間開発機構(IGAD)による調停の下で,南スーダンにおける敵対行為の停止等に関する合意が署名されたことを歓迎します。また,今般の合意に向けて周辺諸国が果たした努力を高く評価します。
2 我が国は,本件合意の全ての当事者が,合意内容を確実に履行することを求めるとともに,南スーダンの全ての当事者が,同国の人道状況の改善,平和の定着,国民和解や安定的な国造りに向けて努力することを期待します。
3 我が国は,自衛隊による国連PKOでの活動を含め,関係国や国連,アフリカ連合(AU)を含む国際機関とも連携しながら南スーダンの安定のために必要な支援を引き続き行っていく考えです。
(参考1)合意内容の概要(23日(現地時間))
(1)両当事者は「敵対行為停止」と「被拘束者の地位」の2つについての合意に署名。
(2)「敵対行為停止」に係る合意においては,(ア)全ての軍事行動その他和平プロセスを妨害する全ての行為の停止(影響下・統制下にある全ての部隊乃至武装集団に対し本合意が履行されるべく確保すること,部隊・武装集団等の敵対行為が行われている区域からの撤退などを含む),(イ)全てのメディアにおける敵対的宣伝,特に民族間憎悪を煽動するような宣伝の停止,(ウ)文民保護,人権・生命・財産保護(性的暴力の禁止,弱者保護,略式による処刑・拷問・児童兵徴集などの国内法・国際法等で禁止される行為の禁止)など,(エ)避難民に対する人道アクセスの確保,(オ)履行監視メカニズムの設置・構成・運用,等を規定。署名の24時間後から効力が発生する。
(3)「被拘束者の地位」合意にいては,(ア)IGAD及びIGADパートナーは,被拘束者の釈放の早期化に向けできる限りの努力を行うことにコミットする,(イ)両当事者は被拘束者ほかの政治関係者,市民社会団体,伝統的・宗教的者らが重要な役割を果たす,包括的な国家和解プロセスの立ち上げに合意する,等が規定。
(参考2)
(1)昨年12月15日,南スーダ大統領警護隊同士で戦闘が発生。 同事案は,政府与党内の派閥抗争の激化に発展(サルヴァ・ 副大統領邸を攻撃し,10名以上の閣僚等を拘束。
(2)12月17日以降,地方(ジョングレイ州やユニティ州など)において,国軍(SPLA。スーダン人民解放戦線)の師団長以下多くの兵士が離反し,国軍との間の敵対行為が激化。特に主要油田地帯(ユニティ州及び上ナイル州)と,ジュバ侵攻が可能な拠点・経路(ボル及びボル・ジュバ間の道路)を巡り,攻防が継続。
(3)1月4日より,アジスアベバで当事者による和平協議開始。 同10日以降,IGAD(政府間開発機構)の調停者は,両当事者に対し,敵対行為の停止を含む合意案を提示。
(4)18日,キール大統領は合意案受入れを表明。20日,和平のための「工程表」を発表。
(5)国連OCHAによると,19日現在,国内避難民推定49万4000人及び難民8万6100人が発生している。
(参考3)
1月14日,アフリカ訪問中の安倍総理は,アフリカ連合本部(エチオピア)で行った政策スピーチにおいて,「悪化した南スーダン情勢に対応するため,約2,500万ドルの支援も準備しています」と表明。