【横井外務報道官】既に発表済みではありますけれども、島サミットを明日に控え、本日、改めて日・IREANA共催ワークショップの開催について発言申し上げたいと思います。
沖縄県で開催される第6回太平洋・島サミットの機会を捉え、26日、明日でありますが、日本政府は国際再生エネルギー機関(IRENA:アイリーナ)との共催により、「太平洋島嶼国における再生可能エネルギーの促進」と題するワークショップを沖縄科学技術大学院大学において開催します。
IRENAは、2011年に本格的に始動した、再生可能エネルギーの利用促進・普及を目的とし、途上国の能力強化支援を主な活動の1つとする国際機関であり、太平洋島嶼国を同機関の重点地域に指定しています。
太平洋島嶼国は、そのエネルギー供給の大部分を化石燃料に依存しており、持続可能なエネルギーの確保及び気候変動問題への取り組み等の観点から、再生可能エネルギーの普及促進が重要な課題となっています。
本ワークショップの開催地である沖縄県も、米国ハワイ州との間で「クリーン・エネルギー分野における沖縄ハワイ協力」を推進するなど、再生可能エネルギーを積極的に導入しています。
本ワークショップでは、太平洋島嶼国12か国・地域のエネルギー当局関係者、IRENA加盟国や事務局、沖縄県、関連民間企業等の参加を得て、これら諸国の再生可能エネルギーの普及促進について、太平洋島嶼国間の電力系統の安定性の確保や、運輸部門での再生可能エネルギーの活用に焦点を当てつつ、政策面及び技術面から議論を行う予定です。
本ワークワークショップを契機に、IRENAとの協力のもと、沖縄をはじめとする我が国の先進的な取組努力やその成果が、太平洋島嶼国の再生可能エネルギーの普及促進に役立つことを期待しています。
なお、ここには書いてございませんが、当日の26日には、この島サミットに参加いただいている各国首脳のご夫人、そのご夫人の中にはホスト国の代表として野田総理のご夫人も含まれますが、その方々が短時間、このIRENAのワークショップを傍聴されるほか、最後の締めのあいさつには外務省を代表して、中野政務官があいさつをされるということであります。
【共同通信 齊籐記者】大陸棚限界委員会の勧告についてお伺いします。中国外交部が、先日、この勧告をめぐる日本外務省の発表について、具体的に申しますと、沖ノ鳥島を基点に大陸棚延長が認められたとする部分について、何の根拠もない、趣旨としてはそうした事実はないという意味だと思いますが、というコメントを発表しました。この中国のコメントをどう受け止めておられるのか、実際、この前の発表はそのとおりなのかどうか、この点についてコメントをいただければと思います。
【横井外務報道官】斉藤さんのお尋ねの点ですが、たしか、5月16日の中国外交部のホームページ上に載った報道官の発言ということで、記者の質問に答える格好で、斉藤さんが今おっしゃったような内容の発言があったということは承知しています。
我が国の大陸棚延長申請に対する大陸棚限界委員会の勧告において、これは私の名前で出させていただいた外務報道官談話にもありますように、沖ノ鳥島を基点とする四国海盆海域の大陸棚の延長が認められているというのは、これはまさに事実であり、この部分を我々としても非常に高く評価しているということです。
いずれにせよ、四国海盆海域というものが、これはまさに中国も韓国もご当局の方で、まさに沖ノ鳥島に関わる海域ということで認識されていると承知していますけれども、そういうものとして、今回、勧告がなされたということです。
いずれにせよ、今回の勧告で認められた延長大陸棚の総面積は、四国海盆海域を含め約31万k㎡に及んでおり、全体として今回の勧告は、我が国の海洋権益の拡充に向けた重要な一歩であると考えています。
【共同通信 齊籐記者】中国のスポークスマンは、沖ノ鳥島を基点とした延長が認められなかったとする根拠について、九州・パラオ海嶺が、今回、サスペンドになったことを挙げています。これは沖ノ鳥島が大陸棚延長の基点として認められなかった証左だという中国の主張に合理性はありますでしょうか。
【外務報道官】今おっしゃったように、今回認められなかったというか、勧告が先送りされた九州・パラオ海嶺南部海域と並んで、四国海盆海域というのも、まさに沖ノ鳥島を基点とする関連の海域と位置づけられていて、確かに前者については勧告が先送りされたというのは事実であり、今後とも我々はこの部分についても努力を継続してまいりますけれども、後者において、少なくともその部分が認められたということは事実でありますので、我々としては、日本の立場が認知を得たというように考えています。
【共同通信 齊籐記者】勧告そのものはまだ公表されていません。したがって、我々として触れられるコメントは、日本政府が発表したコメントということになるわけです。勧告本体ですが、大変難解だという話も聞いております。読み方によっては解釈が割れてくると。すなわち、日本政府のコメントに対して疑義が生じる、異論が生じる余地があるのかどうかという点については、どう考えますでしょうか。
【外務報道官】勧告自体の公表というよりは、勧告の中には、資源にかかわる秘密事項も一部含まれていますので、その部分を精査したうえで、いずれ近い将来、関連のホームページ上に公開されるというように承知しています。そうなったあかつきには、まず、中身が難解かどうかはともかく、少なくとも、今回出てきた勧告にほぼ近い中身というのが、まさに世の中に公表されるわけです。その前提に立って、我々は日本の立場というものについて、何らかの疑義が生じるということは全く考えていません。
【朝鮮日報 車記者】昨日、韓国の外務省も日本の政府が嘘をついたという中国と同じ主張をしたのですけれども、これに対して、特に根拠は他の島を基点にしたという主張です。これは、中国政府も韓国政府も大陸棚限界委員会に直接確認したという発表をしましたけれども、どう思いますか。
【外務報道官】まず、少なくとも嘘をついた、つかないというのは極めて感情的な言葉ですので、そのような言葉はお互い使わない方がいいと私は思います。
今ほど申し上げたとおり、韓国側の主張については口上書で確かめていませんが、少なくとも中国側の立場、これは韓国側と同じだと承知しておりますけれども、これまで中国及び韓国は日本が今回申請しているいくつかの海域、その中には四国海盆海域と九州・パラオ海嶺南部海域が両方含まれるわけですが、この二つの海域が沖ノ鳥島の問題にかかわる海域だということを前提として、大陸棚限界委員会に審査を行わないように要請したと承知しています。もう一度、是非お確かめ頂きたいのですが、私の申し上げていることについては、韓国外交通商部も中国外交部も共通の認識であると私は思っています。
【NHK 吉岡記者】私も少し分かりづらいなと思っていた点だったのですが、四国海盆は沖ノ鳥島を関連とする海域として認められたのに、九州・パラオ海嶺は先送りになったということについて、それは何故なのかということを日本外務省としては把握をしている、あるいは委員会の方に問い合わせたりしているのでしょうか。
【外務報道官】さまざまなルートで一体どういうことなのかということは、当然、然るべきレベルでいろいろ情報収集しているということでありますけれども、今の御質問について申し上げるとすると、九州・パラオ海嶺南部海域について勧告が行われなかったのは、我々も大変残念であると考えております。しかし、このことが大陸棚限界委員会がこの海域の大陸棚延長を否定しているというわけではありません。また、勧告の先送りをもって、関連の国々の立場が受け入れられたということではないと考えております。すなわち、日本の主張も勘案した上で、勧告の採決が先送りされたということで、我々としては、この海域についても早期に勧告が行われるよう、今後も継続して努力していくということです。
沖ノ鳥島にかかわる海域というのは、九州・パラオ海嶺南部海域と四国海盆海域、この二つがかかわるところであって、少なくとも一方について認められたということは、我が国の立場は受け入れられたということであります。
【NHK 吉岡記者】尖閣諸島沖の漁船衝突事件で、昨日、起訴状が船長に届かなくて手続きが進まないという状況に相成ったわけですけれども、これは中国政府が協力を拒んだからだという一部報道もありますけれども、これについては、なぜなのかというところと、日本側として中国政府にどのような働きかけを行ったのか、その結果、どういう状況だったのか教えてください。
【外務報道官】まず、外務省の立場ですけれども、中国人船長の強制起訴に関わる手続きについて、関係当局からの協力要請を受け、それに基づいて所定の手続きに従って対応してきました。相手国政府との連絡等々に当たってきているということです。しかし、結果は今おっしゃたように、中国側としましては、中国側の尖閣諸島に対する独自の見解に基づいて、日本側の措置を受け入れることはできないとして、捜査上の協力、共助というものを拒否してきたというのが、今回の動きです。
【共同通信 齊籐記者】今のお話で、中国当局の理解を得られず、拒否されたということですが、そうした対応に対して、外務省は中国に対して抗議や申し入れを含めて、何らかの立場表明はしていらっしゃいますでしょうか。
【外務報道官】抗議・申し入れといいますか、少なくとも現場のレベルにおいて、本件をめぐって、一度限りのやりとりではもちろんございませんので、日本側の立場というのは、累次、先方にもわかるように丁寧に伝えてきているということです。
【横井外務報道官】ダマスカスにおける爆弾テロ事件について、外務報道官談話を発出します。内容は以下のとおりです。
5月10日(木曜日)、シリアの首都ダマスカス市内において、少なくとも55名の死者及び372名の負傷者を伴う爆弾テロが2件発生したことについて、強い衝撃と憤りを覚えます。我が国は罪のない人々の命を無差別に奪う残虐非道なテロ行為を断固として非難するとともに、犠牲者及びご遺族の方々に心から哀悼の意を表します。
テロはいかなる理由や目的によっても正当化されません。このような行為が、シリアにおける暴力の連鎖を平和的手段により止めるため、現在、アナン国連・アラブ連盟共同特使の調停案を中心に続けられている国際社会の努力を損ないかねないことを危惧します。
我が国は、シリアにおける全ての暴力のすみやかな停止に向け、引き続き国際社会と連携して外交努力を重ねる考えです。
【NHK 吉岡記者】昨日、玄葉大臣がガリユーン議長と話をされて、追加的な支援を検討しているのだという考えを示されましたが、どういった追加的な支援があり得るのかということが一つと、もう一つは、今おっしゃられた全ての暴力の撤収に向けて、国際社会と連携するという中で、現地では、やはり国連のPKOの停戦監視団の数が足りないと。これが足りなければ内戦になってしまうという、アナンさんの危機的な呼びかけもあるわけですけれども、日本政府としては、これについてはどういうようにお考えですか。
【報道官】冒頭の追加援助の件については、基本的には、この段階で具体的な案件は申し上げられないものの、今、考えられておりますのは、人道上の、特に難民に関わるものというように私は承知しております。
2点目、おっしゃるとおり、現地における平和維持のための努力について、先般も国連の方から、我が国に対する協力依頼というものはあったわけですけれども、その件については、現時点では、更に関係法上との整合性を検討する必要があるということで、その要請について、その時点では応えられないというような答えをしております。
しかしながら、今後とも我が国ができることについては、前向きに検討していくという姿勢に変わりはないということであります。
【共同通信 加留部記者】今週末の日中韓サミットの関係ですが、この段階でも、日韓、日中のバイの予定が出ないということになっておりますけれども、現状がどのようになっていて、前々からこの時にサミットを開くということがわかっていながら、なぜ現段階でバイの日程が出せないのかという理由について教えてください。
【報道官】これは、基本的には、最終的な調整中という答えでありますけれども、この段階について発表できない理由は、これは単に決まっていないからと言わざるを得ないわけです。たしかに、前々からこの時期に会議をするのは決まっていたじゃないかとのご指摘はそのとおりでありますけれども、しかし、相手のあることでもありますし、もともと会議のある現地における各国のさまざまな行事の予定等々、そういうような予定を勘案しつつ、今、まだ調整が続けられているということでご理解いただければと思います。
【共同通信 加留部記者】念のための確認ですが、そうしますと、それぞれのバイはまだ予定が立たないわけですが、今のところは、それぞれのバイを行う方向で、引き続き調整をしているという理解でよろしいでしょうか。
【報道官】予定が最終的に決まっていないということでご理解いただければと思います。