(1)第6回太平洋・島サミット準備事務局の設置
【横井外務報道官】4月1日付で、外務省は、第6回太平洋・島サミット(PALM6)準備事務局を設置します。同準備事務局は、アジア大洋州局の山野内参事官を事務局長とし、沖縄県の支援チームと協力し、2012年5月25日から26日に沖縄県で開催される第6回太平洋・島サミットの設営・運営業務全般を行います。太平洋島嶼国は、伝統的に親日国であり、国際場裡における重要な支持基盤です。また、我が国にとって鉱物・水産物等の資源の重要な供給地であり、重要な輸送路でもある太平洋を共有しています。今次サミットでは、太平洋島嶼国が直面する様々な問題について、首脳レベルで率直に意見交換を行うことによって、太平洋島嶼国と一層緊密な協力関係を構築することを目指しています。
【産経新聞 杉本記者】本日の外務大臣の記者会見で、日中韓外相会議の日程が発表されましたけれども、この会議に臨む日本の期待する効果と、特に北朝鮮の「衛星」打ち上げに関して、日本としてどういう成果を得たいか、日本の立場について、ご説明いただいてもよろしいでしょうか。
【外務報道官】まず、今朝の大臣の発表の中でも明らかなように、国会のご了承を得られることを前提にしてという条件付きではございますけれども、来週の末、中国の寧波で行われる日中韓三国外相会議に外務大臣として出席される予定の旨発表があった次第であります。
日中韓三国のフォーラムにつきましては、首脳会合というものがそもそもございまして、それに先立つ意味としての外相会談、そして、その前にSOM、事務方の会議もあって重層的に準備を積み重ねていくというのが日中三国首脳会議の仕組みとなってございます。そもそも、日中韓三国における、国際場裡における協力について高いレベルで話合うというのが目的でございますけれども、来月の中旬に北朝鮮がいわゆる「人工衛星」を発射するという予告をしております関係上、東アジアの安全保障に非常に重要な関心を持つ三ヵ国として、まずその北朝鮮による「人工衛星」の発射を阻止することというのが三ヵ国にとって非常に重要な目標の一つになっております。
そのための具体的な措置について話し合われるというのも、そもそも北朝鮮との関係であるかは思いますけれども、それ以外に三ヵ国そのものといたしましては、例えば経済面においては、つい先頃、日中韓の投資協定について実質的な妥結をみたところでございます。最も早い時期における署名を目指し、三ヵ国各々で作業が進められているところでございますし、それから、また大臣の方から日中韓FTAの先駆けになるという位置付けを与えられておりますけれども、日中韓FTAの交渉に弾みを付けるという意味もございまして、日中韓のFTAを如何に立ち上げていくかということについても意見交換が行われるというように予想しております。
【産経新聞 杉本記者】衆議院の外務委員会が、今国会始まってもう年度末になっていますけれども、まだ一回も開かれていないという状況ですが、これによって法案、条約等、窮屈になってくると思うのですけれども、外務省としての受け止めと、期待といったものをお聞かせいただいてもいいですか。
【外務報道官】もちろん院の方のご事情ということがございますけれども、外務省といたしましても、今回ハーグ条約に関わる条約等々、所管の条約を多く抱えております。出来るのであれば、一日でも早いご審議をお願いしたいというように思っております。諸方面、様々なご事情はあると思いますけれども、外務省としましては出来る限りのことをいたしたいと、その上で外務関係の委員会の正常化というものを心より願っております。
【読売新聞 中山記者】先日21日に、シリアの治安情勢の悪化を受けまして、日本の大使館を一時閉鎖したということですけれども、シリアと言いますとゴラン高原で自衛隊がPKO活動をしていると思うのですが、そちらの方の活動は継続するということなのでしょうか。あと、もし大使館が閉鎖ということになった時に、このゴラン高原でのPKO活動に何らか支障が出るということがあるのでしょうか。
【横井外務報道官】UNDOFの活動地域、今おっしゃったゴラン高原におけるPKO活動でありますけれども、国連に対する直接の脅威はございません。また、自衛隊部隊のUNDOFにおける活動についても支障は出ておりません。
今般の在シリア日本国大使館の一時閉館は我が国の派遣要員のUNDOFにおける活動に直接の影響を与えるものではなく、また、支障を生じさせるものではないというように考えております。いずれにせよ、今回、在シリア日本国大使館の一時閉館というのは、現地の治安状況の悪化に伴って取られた措置であり、今ほどお話のあったゴランにおけるPKO活動とは直接関係がないというように考えております。
【読売新聞 中山記者】UNDOFの活動に影響がない理由というのはどういうことでしょうか。
【横井外務報道官】今ほど申し上げたとおり、PKO活動が行われている活動地域について直接の脅威がなく、また自衛隊部隊の活動についても支障がないというのが理由であります。
【読売新聞 中山記者】中国に、民主党のいわゆる訪中団が派遣されて習近平さんとお会いする予定だったということですけれども、この政党間交流に対する期待ということはなにかございますでしょうか。
【横井外務報道官】これは午前中の大臣の会見でも大臣の方から発言されたことですが、本年は日中国交正常化40周年にあたる年であり、官民各種様々な層の交流が行われるということは極めて望ましいことと考えます。とりわけ政治レベルでのハイレベルの交流というのは二国間の交流にとり大変重要なことであり、そういう観点からも今回の会談、交流というのは極めて望ましいものというように考えております。
(1)佐々江外務次官から程永華駐日中国大使への申入れについて
【横井外務報道官】本日午後の国会質疑の場等で玄葉大臣より答弁させていただいておりますけれども、本日朝の中国公船による尖閣諸島周辺領海内への侵入について、佐々江外務次官から行った程永華駐日中国大使への申し入れについて発言申し上げます。
本16日(金曜日)14時15分過ぎ、佐々江賢一郎外務次官は、程永華駐日中国大使を外務省に召致し、本日朝の中国公船による尖閣諸島周辺領海内への侵入について申入れを行いました。
佐々江次官からは、概要以下を申し入れました。
(1)貴国公船が当方の累次の警告にもかかわらず、本日午前、「海監50」が尖閣諸島周辺領海に侵入したことは非常に深刻であり、このような航行は、国際法上認められた無害通航とはみなしえず、我が国として容認できない。
(2)特に、昨年8月に貴国漁業監視船2隻が尖閣諸島周辺領海に侵入した際に、当方から強く再発防止を求めたにもかかわらず、今般、貴国公船が領海内に再度侵入したことは極めて遺憾であり、強く抗議する。
(3)また、中国公船2隻が、その後も我が国接続水域内にあって航行していたことは極めて遺憾である。
これに対し、程永華大使から、佐々江次官からの申入れは至急本国に報告するとした上で、尖閣諸島に関する中国独自の主張の表明がありました。また、今年は国交正常化40周年であり、これをきっかけとして様々な協力を進めていきたいという中国側の気持ちには変わりはない旨述べました。
これに対し、佐々江次官から、改めて尖閣諸島に関する日本の基本的な立場に言及した上で、中国側に対してこのような事態が再発しないよう求める旨述べました。
(2)グスマン東ティモール首相の来日について
【横井外務報道官】本年は、東ティモール独立10周年であり、また、東ティモールとの外交関係樹立10周年です。1月にラモス=ホルタ大統領、先週はダ・コスタ外務大臣が来日しましたが、これらに続き、19日(月曜日)から20日(火曜日)にかけてグスマン首相が来日します。同首相の来日は、2年ぶり7回目です。
19日(月曜日)、野田総理との間で初めての首脳会談を行う予定です。首脳会談では、グスマン首相のリーダーシップの下で着実に進展してきた東ティモールの国づくりや、これを後押しする我が国からの支援などについて議論が行われる予定です。
今般のグスマン首相の訪日を通じて、両国の友好協力関係の更なる強化を期待します。
また、東ティモールでは、明日17日(土曜日)に大統領選挙が実施されます。本年は、大統領選挙のほか、6月には国民議会選挙も実施される予定であり、これらの成功裡の実施は、同国における民主化の定着にとって大きな試金石となります。日本政府としても、大統領選挙の公正な実施を支援するため、選挙監視団を派遣中です。
【日経新聞 田島記者】日中両政府は、昨年の首脳会談で危機管理メカニズムの構築をはじめとして海の協力を進めることで一致しておりますけれども、にもかかわらず、こういう事態が発生していることについて、どう受け止めていらっしゃるのか、よろしくお願いします。
【横井外務報道官】本日のような事件を含め、日中間において海洋を巡る問題というのは極めて重要な問題であり、その問題に関する意見交換のため、今ほどご指摘のとおり、日中間における海洋の危機管理メカニズムの構築というものが合意されている経緯がございます。おっしゃるとおり、こういった問題について話し合うためにも、この危機管理メカニズムの早期の実施が求められるというように思います。
【読売新聞 中山記者】尖閣の問題の中で、大使の方から中国独自の主張の表明があったと。これに対して、佐々江次官の方から改めて日本の基本的な立場について言及したということですが、それぞれどういった内容でしょうか。
【横井外務報道官】これは既に累次明らかになっておりますように、両国の尖閣諸島に対する考え方に差異があることはご承知のとおりであります。中国側の程永華大使が中国側の考えを述べ、佐々江次官からは、先ほど私の方から申し上げたとおり、我が国の明確な固有の領土である尖閣諸島という立場について申し上げた次第であります。
【香港フェニックステレビ リー記者】報道発表に書いてあるのが、公船が侵入したことは非常に深刻であると。昨年8月に漁業監視船が領海に侵入したこともあったということですけれども、日本側はこの2件の深刻さの程度というのは違うというように認識しているのでしょうか。
【横井外務報道官】基本的に、昨年8月にあった我が国尖閣諸島周辺領海に対する侵入、それから今回の海監、これはともに中国政府の公船ということであって、その性質においてどちらかがどうということではございません。
【読売新聞 中山記者】こういったことが起きた背景としてはどういったことが考えられるとお考えでしょうか。
【横井外務報道官】先方が行うことについて、その背景・理由等々について私が忖度することは適当ではないと思います。コメントは差し控えさせていただきます。
【NHK 吉岡記者】北朝鮮の件ですけれども、来月12日から16日の間に「人工衛星」を打ち上げる予定だというアナウンスが本日あったわけですけれども、これに対する受け止め、来月に向けた今後の対策等について教えて下さい。
【横井外務報道官】北朝鮮側の発表については承知しています。外務省としましては、直ちに関連の情報収集を行うとともに米韓をはじめとする関係国との緊密な連携を確保して対応するよう引き続き緊迫感を持って、かつ冷静に対応していくという方針でございます。なお、本件につきましては、追って大臣より追加の発表がある予定でございます。
【NHK 吉岡記者】大臣のところでも伺えるかも知れないのですけれども、体制的なこととして前回2009年の時には、連絡室等を外務省内に立ち上げたという経緯もありますけれども、今回も同じような形で対応されるのでしょうか。
【横井外務報道官】その点も含め、大臣の方からご発言があると思います。
【NHK 広内記者】一部報道で米軍再編の協議に関係して沖縄の海兵隊を岩国に移転したいというように改めて米国側が打診したと。それに対して日本政府としては拒否したという報道があるのですけれども、基本的な姿勢も含めて改めてお願いします。
【横井外務報道官】基本的には日米間の具体的なやりとりについて明らかにすることは避けたいと思いますけれども、ご承知のように海兵隊に関わる岩国基地との関係につきましては、これは総理大臣も、それから玄葉外務大臣も先の共同報道発表の際に、岩国に追加的なお願いをすることはしないということを明確に述べられています。正に日本国政府の現状としてはその通りであって、本件をさらに追求するということは全くないというように理解しております。
【読売新聞 中山記者】米国から北朝鮮に対する食糧支援の関係で、昨日、米朝が基本合意にいたったということですけれども、これに対する評価と、今後、日本政府として北朝鮮の問題にどのように取り組んでいくお考えなのか。
【横井外務報道官】ただいまご指摘のあったとおり、7日から8日のかけて北京でキング国務省人道問題大使をはじめとする米側の関係者が北朝鮮側関係者と協議をし、栄養支援の点について話しあったと。そして、今後、協議の内容については、米側から更に詳しく説明を受ける必要がございますけれども、キング特使としては手続き面は解決したという趣旨の発言をされたというように聞いております。
政府としましては引き続き、米国・韓国等の関係国と緊密に連携しつつ栄養支援をめぐる動向について注視していきたいというように考えております。また、先般発表された米朝対話の結果につきましては、ウラン濃縮活動の停止も含めて、実施に向けて更に詳細な調整がまた別途行われていくというように理解しておりますけれども、北朝鮮側が、その調整に前向きに応じて進展が得られるということを期待しております。
(1)エル・オトマニ・モロッコ王国外務・協力大臣の来日について
【横井外務報道官】4日(日曜日)、サアド・ディン・エル・オトマニ・モロッコ王国外務・協力大臣及びハリマ・エル・オトマニ夫人が、外務省賓客として来日します。
5日(月曜日)、玄葉大臣は、エル・オトマニ外務・協力大臣と外相会談を行い、その後、玄葉大臣夫妻主催の夕食会を行う予定です。玄葉大臣とエル・オトマニ外務・協力大臣との会談においては、政治、再生可能エネルギー分野を含む経済、経済協力をはじめとする二国間協力および地域・国際情勢等について話される予定です。エル・オトマニ外務・協力大臣は、訪日中、我が国政府、国会及び経済界関係者等と意見交換を行う予定です。
エル・オトマニ外務・協力大臣夫妻の訪日が有意義なものになり、日モロッコ間の更なる関係強化につながることを期待します。
(2)ダ・コスタ東ティモール外務大臣の来日について
【横井外務報道官】7日(水曜日)から10日(土曜日)までの日程で、東ティモールのダ・コスタ外務大臣及び同令夫人が外務省賓客として来日します。ダ・コスタ大臣の来日は、2010年3月にラモス=ホルタ大統領の訪日に同行して以来、約2年ぶりとなります。
ダ・コスタ大臣は、今回の滞在中、8日(木曜日)に玄葉大臣との間で外相会談を行うほか、防衛大学校への訪問、国際協力機構(JICA)や民間企業関係者との意見交換などを行う予定です。両大臣による外相会談は初めてとなりますが、今回の会談では、独立10周年を迎えた東ティモールの国づくりの歩みや、これを後押しする我が国からの支援などについて議論が行われる予定です。
本年は、両国にとって外交関係樹立10周年でもあり、「友情と平和の年」として両国で様々な行事を予定しています。1月のラモス=ホルタ大統領、今週のライ・インフラ整備大臣、そして今回のダ・コスタ外務大臣と、両国にとって記念すべき年に要人往来が活発に行われることは、大変有意義なことであります。今般のダ・コスタ外務大臣の訪日を通じて、両国の友好協力関係の更なる強化が期待されます。
【日経新聞 神澤記者】日中韓投資協定の件ですけれども、今回の交渉会合で大きな進展が見られたということだったのですが、具体的に締結に合意できるまでの見通しについて教えていただけますでしょうか。
【横井外務報道官】今回の会議で、今ほどご指摘のあったとおり、三国間で完全な一致をみることはできなかったものの大きな進展が得られたというように考えております。具体的な内容については、大変恐縮ですが交渉中のため申し上げることはできませんが、引き続き早期の妥結を目指して調整を行っていきたいという立場です。
【朝日新聞 林記者】ロシアのプーチン首相が朝日新聞のインタビューに応じまして、北方領土問題についてですが、最終決着させたいと、大統領に当選した場合には任期中に決着を図る考えを示しました。ロシアでは有数の有力者で大統領返り咲きが確実視されているわけですけれども、このプーチン氏の言葉についてどのように受け止められるか、まず伺えますか。
【横井外務報道官】この問題につきましては、つい先立って官房長官よりお答えさせていただいいていると承知しておりますけれども、官房長官よりお話したとおり、今回のプーチン首相の発言については、首相が北方領土問題について相互に受け入れ可能な妥協点を探り、最終決着させたいと発言したという報道がなされていると承知しております。
首相の発言は日露関係における領土問題解決の重要性を指摘し、その解決に意欲を示したものと期待しております。領土問題に中身については政府間で静かな環境の下で協議を行っていくという従来の立場のとおりでありますけれども、両国間のこれまでの諸合意及び諸文書、法と正義の原則に基づき領土問題の解決を図っていきたいという立場です。
【朝日新聞 林記者】プーチン首相はそのインタビューの中で、交渉の出発点として1956年の日ソ共同宣言をあげたのですが、これは4島返還の確約を先に求める日本の姿勢を変えるようにというように言ったものとも受け止められるのですけれども、改めて日本の立場についてもう少し詳しくお伝え下さい。
【横井外務報道官】北方領土問題についての我が政府の方針につきましては、択捉島、国後島、色丹島、及び歯舞群島の日本への帰属が確認されれば、実際の返還の時期及び対応については柔軟に対応するという立場であります。この点において何ら変更はございません。
【読売新聞 田村記者】報道では引き分けで決着、最終決着させたいというような発言をされていますし、引き分けをしたいと。この発言というのはこれまでのプーチン氏の、大統領時代も含めて、その発言に照らし合わせて柔軟になっているのか、どういうように捉えられていらっしゃるのか。
【横井外務報道官】第三国の首相の発言ということで言葉の真意を忖度するというのは適当ではないと思いますけれども、例えば今回のスピーチの中においては中ロ間の領土確定等も例に引いて発言されたと聞いております。ただいずれにせよ、その背後にある考え方について、我々の立場で忖度するということは控えたいと思います。