記者会見

報道官会見記録(要旨)(平成22年12月)


INDEX





報道官会見記録(平成22年12月22日(水曜日)15時10分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)日コロンビア投資協定交渉の実質合意

【外務報道官】前原大臣の下で我々が推進しています経済外交の主要な柱の一つがEPA、FTAなどを通じて、より自由な経済活動ができる法的枠組みを作っていくということですが、その成果の一つとして、今般、コロンビアとの投資協定交渉が実質合意に至りました。
 コロンビアとの投資協定の交渉は2009年3月から、これまで7回会合してきました。今回の交渉で実質合意に至りましたので、両国は、協定の早期署名に向けて、所要の作業を継続していきます。
 コロンビアは中南米でブラジル、メキシコに続いて3番目に人口の多い、資源も豊富な、ポテンシャルのある国ですが、残念ながら麻薬や左翼ゲリラ等、治安が悪い状況にありましたが、ここ数年政府の政策が功を奏し、経済が安定し、治安も劇的に改善してきたということで、自動車関連等で日本企業の投資の動きがあります。今回の投資協定がそういう日本企業の動きを下支えするものとなることが期待されています。なお、我が国はこれまでに投資協定としては15カ国、投資章を含むEPAとしては24カ国と締結しています。

(2)北朝鮮人権状況決議の第65回国連総会本会議における採択について

【外務報道官】国連総会で、昨日、日本時間でいえば本日ですが、日本政府として重視する二つの国連総会決議が採択されましたので、ご紹介します。
 一つは北朝鮮人権状況決議です。この決議は6年前から毎年、日本とEUが共同で提出してきているものですが、本年も賛成多数によって採択されました。今回の国連決議を通じ、北朝鮮に対し、国際社会の明確なメッセージを改めて発出することができたのではないかと思っています。我が国としては、北朝鮮が、今回の決議に示された国際社会の声を真摯に受けとめ、拉致問題の早期解決を含めた人権状況の改善や、北朝鮮人権状況特別報告者の受入れを含めた国際社会との協力に向け具体的行動をとるよう引き続き働きかけていきたいと考えています。

(3)第65回国連総会本会議における「ハンセン病差別撤廃決議」の採択について

【外務報道官】我が国が提出した「ハンセン病差別撤廃決議」が、国連総会第3委員会における採択に続いて、本会議でも全会一致で採択されました。 国連総会の本会議で、ハンセン病の差別撤廃決議が採択されるのは、今回が初めてです。我が国としては、今回の決議の採択を高く評価すると共に、今回の決議が世界のハンセン病差別撤廃の取組に大きく寄与することを期待しています。
 なお、我が国のハンセン病への取組、更には今回の決議採択に至る一連の過程で、外務省から「ハンセン病人権啓発大使」として委嘱をしております笹川陽平日本財団会長から多大なるご尽力をいただきました。笹川大使はハンセン病差別撤廃問題についての高い知名度、評価、知識を生かして、この問題への各国への理解と支持の増進に貢献していただきました。

目次へ戻る

外交記録文書の公開

【琉球新報 稲福記者】本日公開されました外交文書に関してですが、沖縄返還協定に関して、1971年10月22日の外務省北米一課が作成した極秘メモで、3億2000万ドル以外に6500万円の額について「財務当局と合意されていることを承知している」という表現があるのですが、これに関しての外務省の見解というか、その辺をお伺いさせてください。

【外務報道官】まず、外務省が公開した文書については、報道機関各社の方でいろいろ勉強していただいて、解説や紹介をしていただいておりますことに感謝したいと思います。外交文書については、岡田前外務大臣の下で、外交文書公開のルールについて決めたときに確認したことですが、外交文書は国民共有の財産であり、(そこに記述されている事柄は)歴史的な事実として、その評価については、国民の皆様にお任せをするということが基本となります。文書や資料のいちいちについて、現在の政府としてコメントすることは差し控えるということになっておりますので、そういう理解でお願いしたいと思います。

【朝日新聞 山口記者】外交文書の話ですが、文書の中に出てきた一つ一つのこまごましたことは対応しませんが、あの中で一つ提示されていたのは、今より30年、40年も前の話ですが、沖縄は今も普天間の問題等いろいろありますが、沖縄の基地の存在を国際情勢の中で、核の抑止力を含めて、どう担保していくのかというところで、日本と、当時で言えば琉球政府、米国と知恵を絞りあった結晶があの文書の中にあり、それが延々と続いているのではないかと思うのですが、その抑止力というものについて、あのときの反省もずっと外務省で受け継がれているのではないかと思うのですが、今どのように一気にこれから考えて、沖縄の抑止力についてこれからどのように維持していきたいのか、もしくは展開していきたいのか、外務省としてこの問題についてどのようにお考えでしょうか。

【外務報道官】抑止力の重要性、または沖縄の基地の位置付けについては、様々な形で当時の歴史的な経緯を踏まえて、部内で検討も行ってきておりますが、その内容を私が今、この場で立ち入って説明するのは差し控えさせていただきたいと思います。

【朝日新聞 山口記者】先程の外交文書についての報道官のお話の中で「評価は国民の皆さんにお願いしたい」という話のところなのですが、我々報道機関も例えば新聞なども正しいと思って書いても結果的に何らかの理由で間違えて訂正なり、誤報なり、お詫びなりすることも、ないように努力しつつもままあるのですが、あのような形で外務省も自分たちの文書を外に出していただいて、出したものは全て正しいということを我々は認識していいのか、それとも、疑ってかからなければならないものなのか、そこをどう我々はこれから付き合っていけばいいのか、これから外交文書が1つ1つ出てくる、これから数ヶ月ごとに出てくると思うのですが、少し突き放されたイメージがあって、どう向き合っていけばいいのか、我々も悩ましいところなのですが、そこの辺りについてはもう少し出てきた事実の正否について、知る限りのことについて言及していただくとか、ここにはこう書いていますけれども間違いです、これが正しいことですということのコメントを頂戴することはできないのでしょうか。

【外務報道官】30年前の文書なので、その当時のことを知っている人はあまり現役ではいないと思います。ある文書について報道機関の一定の解釈に基づく報道について、もしそうではないというように解釈する方がおられれば、多分何らかの形で、その報道に対して反論の意見を述べられることもあろうかと思います。そういう意味で国民の中で、また有識者の中で、さまざまな議論がなされる中で一定の方向性というのが見出されていくのではないかと思います。そういう議論の中で外務省として貢献できる分野があれば、何らかの形で貢献をしていくということかと思います。外務省が外交文書について一定の意味に解釈すべきであるということを申し上げるような状況ではなく、また、そうであるべきではないと思います。むしろ国民の中の自由な議論を通じて歴史文書の価値というのが決まってくるのではないか、また、歴史的事実というものが確定されていくのではないかと考えております。

目次へ戻る

前原大臣の沖縄訪問

【琉球新報 稲福記者】先日、前原大臣が沖縄訪問をされた時の話ですが、嘉手納以南の返還について、一部切り離してやっていくことも事務レベルで協議しているというようにおっしゃっていたのですが、具体的にどこを返還するとか、具体的な施設の名称をもって交渉されているのかというのが一点と、あるいは嘉手納以南を切り離してやるというのは専門の協議会をもって話されているのか、それとも、事務レベルで折衝している段階なのか、その辺りを詳しくお伺いさせていただけますか。

【外務報道官】そこは、前原大臣が沖縄に行かれた時に記者会見でも説明されていますので、その説明に尽きているとは思いますが、基本的に日本政府としては沖縄の負担を軽減するという視点から引き続き米国政府とも交渉するし、沖縄の皆さんのご理解も得ていくという立場に変わりはありません。嘉手納以南の施設の返還、それから、辺野古への普天間基地の移設は基本的にはパッケージという形で日米合意の中に書かれていると思いますけれども、パッケージであるけれども、そういう中で何ができるかということはいろいろ考えていきたいというのが、この前の前原大臣の記者会見の説明だったと思います。そういうラインでいろいろ検討は進めておりますけれども、米国側とのやりとりとか、まだ具体的に成案が出来ているわけではありませんので、現時点で基本的に言及させていただく段階にはないと考えております。

目次へ戻る


報道官会見記録(平成22年12月15日(水曜日)15時40分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)ゲレ・ジブチ共和国大統領の来日について

【外務報道官】12月19日(日曜日)から22日(水曜日)まで、イスマイル・オマール・ゲレ・ジブチ共和国大統領が、実務訪問賓客として来日されます。滞在中、天皇陛下がゲレ大統領と御会見になります。また、ゲレ大統領は、菅総理大臣との会談を行う予定です。
 アフリカのジブチは、1977年、今から33年前にフランスから独立した若い国です。地理的には「アフリカの角」と言われる地域にあり、エチオピアやソマリアに隣接している国です。この地域は不安定な地域でありますが、ジブチは国として一番安定していることで、国際安全保障上の拠点にもなっています。また、ジブチ沖海域はヨーロッパから地中海、スエズ運河、紅海を経由して、アデン湾、インド洋に抜ける世界の貿易の大動脈であり、年間2万隻以上の船が通っていますが、そのうち1割の2千隻が日本関係の船だということです。そういう中で、ジブチはソマリア沖のアデン湾の海賊対策の拠点としても重要な国です。2009年から日本は自衛隊の護衛艦2隻、P3C哨戒機2機を派遣して海賊対策に参加していますが、自衛官約580名がジブチを拠点に常時活動しており、我が国にとって重要な国です。

(2)第9回日韓ハイレベル経済協議の開催について

【外務報道官】12月16日(木曜日)、第9回日韓ハイレベル経済協議が韓国のソウルで開催されます。この協議は、日韓の経済関係全般について包括的に話し合う枠組であり、1999年からほぼ毎年行われております。日韓の次官級、日本側は小田部外務審議官、韓国側は安豪栄(アン・ホヨン)外交通商部通商交渉調整官がそれぞれ首席代表として出席します。協議では、日韓EPAを含む二国間経済関係、さらには国際社会・地域レベルにおける協力等についての議論が行われる予定です。

目次へ戻る

捕鯨問題(ICJ捕鯨裁判にかかる豪NZ共同声明)

【日経新聞 永井記者】捕鯨の問題で、ニュージーランドがオーストラリアの訴訟に一部協力をするという表明をしておりますけれども、これについての受け止めをお願いします。

【外務報道官】捕鯨については、豪州が我が国の調査捕鯨について国際司法裁判所(ICJ)に提訴しております。その関連で、本日、ニュージーランドは我が国による南氷洋における捕鯨を終わらせることを目的として豪州政府との共同声明を発出し、国際司法裁判所における訴訟手続きに参加することをニュージーランド政府として閣議決定したことを表明しました。
 これは、ニュージーランドが我が国を相手に新たに訴訟を起こすということではなく、ニュージーランドが締約国である関連国際協定、具体的には国際捕鯨取締条約などですけれども、その協定上の義務に関し自らの意見を提出する形での訴訟への参加であると理解しています。意見の提出という形の参加ではありますけれども、ニュージーランド政府が豪州政府と協調して今回このような決定を行ったことは残念であると考えております。一方、ニュージーランド政府は、今後とも外交的イニシアティブを模索するということを言っておりますので、その点については留意していきたいと考えております。
 いずれにせよ、我が国の調査捕鯨は、国際捕鯨取締条約第8条に従って公海上で実施する合法的な活動であると我々は考えております。今後ニュージーランド政府に対しては、我が国のこのような立場を踏まえて対応して行きたいと考えております。

目次へ戻る


報道官会見記録(平成22年12月1日(水曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)海外安全・パスポート管理促進キャンペーンについて

【外務報道官】平成22年度の「海外安全・パスポート管理促進キャンペーン」を年末年始及び卒業前の旅行シーズンに合わせて、12月1日から来年の3月20日まで実施します。このキャンペーンは、実際の海外旅行にあたり、日頃忘れがちな「パスポートの管理」、それから、渡航先の最新情勢に応じた「海外旅行の安全対策」の重要性を呼びかけて、安全で楽しい海外旅行のための意識と知識を身につけてもらうことを目的として行っております。
 このキャンペーンは数年前から行っておりますが、今年もキャンペーンにあたっては、ポスター、楽しみながら安全対策の知識が得られる特設ウェブサイト、それから旅行直前のチェックリストにもなる海外安全リーフレットなどを通じて、海外安全対策の広報を展開します。都道府県のパスポートセンター、国際空港、空港への交通機関、旅行会社、書店などに、重点的にポスターを掲示し、リーフレットなども配布して、効果的なキャンペーンを展開したいと考えております。報道機関の皆様のご理解やご協力もお願いしたいと思います。

目次へ戻る

このページのトップへ戻る
前月へ戻る |  目次へ戻る