(1)豪雨等によるマチュピチュ観光客への影響について
【外務報道官】ペルーでの豪雨によるマチュピチュ観光客への影響について、最新の情報を申し述べたいと思います。在ペルー日本国大使館からの報告によりますと、現地時間25日、豪雨により交通が遮断され、多くの観光客が移動できずにマチュピチュ付近にとどまっていると承知しております。大使館及び外務省において、旅行会社に照会しましたところ、これまでこの中には日本人団体旅行客60名の方が含まれていることが判明しておりますが、引き続き確認中です。旅行会社等の報告では、現地にとどまっている日本人観光客の方々は、ホテル等安全な場所に滞在しており、健康状況には問題はないと承知しております。また、ペルー政府は軍を動員して、日本人を含め、取り残されている観光客等の方の中から、優先的に高齢者、病気の方を移送するというオペレーションを実施中と承知しております。
在ペルー日本国大使館の対応ですが、ペルー政府当局からの情報収集は当然ですが、大使館員が移送オペレーションの前線基地となるクスコに赴きまして、ぺルー側当局、旅行会社等との連絡・連携を密にして邦人旅行者の皆様の速やかな移送が行われるよう努力をしています。また、移送後の支援に当たるということにしております。
【ロイター 前田記者】今朝、韓国と北朝鮮の間で銃撃戦になったようですが、この件についてと、またミサイルが発射されるというような報道もありますが、このミサイルの件も含めて北朝鮮動向に関して政府のご見解をお聞かせ下さい。
【外務報道官】最初の点について、私共も報道については承知をしております。いずれにしましても、朝鮮半島の平和と安定ということが、アジア太平洋地域ひいては国際社会の平和と繁栄にとって重要であり、こうした観点から日本政府としては、韓国政府と緊密に連絡をとりながら、本件の背景や、推移などについて、関心を持って注視をしているということです。なお、北朝鮮側の意図については不明です。
後者の点については、そのような情報がございますが、それについて日本政府がコメントするということは差し控えたいと思います。
(1)第4回日中外務報道官協議の開催について
【報道官】私からは冒頭、二点、申し述べます。第一点目は、お手元にも報道発表でお配りしましたが、第4回日中外務報道官協議の開催についてです。来週の25日(月曜日)に北京で、第4回の日中外務報道官協議を行います。私が現地に赴きまして、先方の馬朝旭(ま・ちょうきょく)中国外交部新聞司司長との間で、日中関係を一層発展させるための報道・広報面での協力等について意見交換を行います。若干補足いたしますと、この外務報道官協議というのは、第1回目が平成18年8月に東京において開催され、ほぼ年一回、東京と北京で相互に開催してきているものです。今回は北京でということで、私が先方に赴くということになります。議題案としては、あまり詳細に立ち入りませんが、私としては、この機会に、日中の双方のメディアを通じた相互理解促進努力ということを主眼にして、情報交換、意見交換をしたいというように考えております。そのほかにもパブリック・ディプロマシー、日本語では広報文化外交、対市民外交という言い方をしておりますが、これについても日本の取組み、あわせて中国の取組みについても話を伺いたいということを考えております。もう一点だけ補足しますと、昨年9月、ニューヨークで鳩山総理と胡錦濤国家主席との最初の首脳会談が行われましたが、その際に、胡錦濤国家主席から、「日中双方の国民感情の改善のためのメディア交流の促進という課題がある」ということを言及された経緯があります。ですから、私としましては、そういうことを念頭に置いて、報道担当の外務省の部局同士の率直な意見交換をしていきたいと考えている次第です。
(2)ハイチの地震に対する緊急支援について
【報道官】もう一点目はハイチの関係ですが、最新の状況ということで申し上げます。まず一つは、国際緊急援助隊医療チームの動向ですが、日本時間の19日0時30分から医療活動を開始しております。大変厳しい環境の中で、早朝から夕刻まで、関係者は継続をして診断を続けているということです。他方、重傷患者が非常に多いこともありまして、医療チームは懸命の医療活動を行っているわけですが、そうした医療診療活動は、地元で大変感謝されているという報告が入っております。それからもう一点は、自衛隊の医療部隊の派遣の準備状況ですが、これについては一昨日夕刻、派遣された自衛隊の先遣隊と、現地活動中の緊急調査チームの報告を踏まえて、現在防衛省において、派遣を念頭に鋭意検討中ということです。
【共同通信 斉藤記者】日中外務報道官協議について、「両国メディアの信頼関係の増進」というお話がありましたが、具体的にどのような形でそれを実現していくのか、何か具体的な考え方はございますか。
【報道官】外務報道官当局で出来ることをやろうということです。まず、私どもがこれまでもやってきていることなのですが、お互いの情勢認識として双方の国民の相手に対する国民感情というか、どういう認識にあるのかということを、当然、把握するところから始めるのだろうと思います。世論調査のデータをお互いに確認し合って、それをどのように評価をするかということです。その上で、もし、改善の余地があるとすれば、「それぞれにおいてどのようなことができるか」ということを話していきたいと思っております。さらに、胡錦濤主席の言及にもありましたが、相互理解を深めるには、相互交流というのが一番重要な方法ではないかと思います。青少年交流もありますし、私どももお手伝いしている日中記者交流も行われています。中国の記者の方がたくさん日本に来られ、そして日本の記者の方も現地に行かれるという相互訪問を通じて、双方の国民の理解を大いに助けるということだと思います。そういうことについても、より建設的に更に何ができるか、予算も限りがある訳ですが、お互い知恵を出してやっていきたいというようなことを考えております。
【共同通信 斎藤記者】馬朝旭外交新聞司司長が昨日の記者会見で、沖ノ鳥島の問題について新華社の質問に答えております。日本政府が通常国会で沖ノ鳥島を含めた、いわゆる離島の護岸工事だとかの根拠となる法案だと思いますが、これを提出するということに対して日本政府の対応を批判しております。理由としては、「沖ノ鳥島は岩であって、島ではない。岩である以上、排他的経済水域(EEZ)は設定できない。日本の沖ノ鳥島を巡る政策は国際社会の利益を厳重に損失させている」と述べられています。この中国外交部の姿勢について、どのように受け止められていますでしょうか。
【報道官】昨日の中国外交部報道官の定例記者会見で、報道されているようなやりとりがあったとことは承知しております。その上で二つ申し上げたいと思います。
第一点は、我が国としては、「沖ノ鳥島」を起点とする大陸棚の延長は、国際法上も正当なものであるという立場です。第二点目として、大陸棚限界委員会は、我が国の大陸棚延長申請を審査する小委員会が昨年9月2日付けで設置をされており、同8日に審査が開始されております。日本政府としては、小委員会が我が国の立場を正しく理解し、審査を適切且つ迅速に進めるよう、必要に応じ引き続き必要な説明や資料提供を行っていく予定です。
それから、第一点目の補足として申し上げますと、大陸棚延長が国連海洋法条約上で問題があるのかどうかということについては、我が国は1931年7月の内務省告示以来、現在に至るまで、沖ノ鳥島を島として有効に支配し、且つ周辺海域に排他的経済水域などを設定してきており、このような権限及び同島の島としての地位は既に確立したものと考えております。したがいまして、我が国としては、歴史的に島としての地位を確立してきた沖ノ鳥島は、国連海洋法条約にしたがって、排他的経済水域(EEZ)及び大陸棚を有すると考えております。これが我が国の立場です。
【共同通信 上西川原記者】キャンベル米国務次官補が2月の始めに来日して、外務・防衛・首相官邸の高官並びに国会議員と協議する考えを示されましたが、これは会見を聞いていると、普天間飛行場の移設問題等について協議されるようですが、局長級協議は行われると思いますが、岡田外相等との会談は予定されているのでしょうか。また、同盟深化の協議、いわゆる北朝鮮を巡る六者協議に関する協議についてもテーマとなるのかどうかということの見通しをお聞かせ下さい。
【報道官】キャンベル米国務次官補はワシントンでの記者会見の場で、2月の上旬に日本と韓国を訪問するということを言われたことは承知しておりますが、まだ、今の段階で外務大臣を含めて、誰とどういう形で表敬訪問されるか、どのような予定なのかということは、私共からのコメントは控えさせていただきたいと思います。これから詰めていく話になるということだとご理解頂ければと思います。
(1)岡田外務大臣のトルコ訪問について
【報道官】新年あけましておめでとうございます。今年もまた水曜日の定例ということで私の会見を続けさせていただきますが、どうぞ宜しくお願いいたします。
冒頭私から2つほどございます。一つ目は、岡田外務大臣は1月3日から4日にかけてトルコを訪問されました。そのことについて簡単に概要と評価を申し上げたいと思います。
大臣はトルコを訪問した際、まず3日ですけれど、イスタンブールにおいて日本の援助で実施をしております「ボスポラス海峡横断地下鉄整備計画」の現場の視察をされ、また日系企業の関係者の方からの話も伺い、また激励をされるということがありました。また現地の在留邦人の代表の方との懇談をされました。その日のうちに首都アンカラに移動したわけですが、4日は今回訪問のメインイベントでありましたが、まずギュル大統領の表敬、引き続きまして日トルコ外相会談、ワーキングランチを含めてこの外相会談は2時間に及ぶ会談で大変中身のある会談だったと思います。さらに今回の一つの特徴でもあるのですが、先方の依頼を受けて、大臣はトルコの外務省で開会中の大使会議で日本の外交政策についての大臣の所信を表明されたという機会もありました。そして、最後の行事として今年がトルコにおける日本年ということで一年間を通じてトルコにおける日本の文化紹介事業、或いは相互理解を促進するための色々な行事が予定されていますが、そのオープニングに出席をして挨拶をされたということです。
今回の訪問を通じて、どういう成果があったかということですが、まずトルコの位置づけですが、トルコが欧州、中東、アジアのまさに交差点に位置する戦略的要所にあるという中でトルコは現在G20のメンバーでもあり、また日本と同様に安保理の非常任理事国でもあります。2009年及び2010年と2年間、日本と完全に(期間が)重なっておりますけれども、地域の大国・トルコとの間で非常に充実した政策対話を実施することができました。特に、アフガニスタンの安定と復興に関する日本とトルコとの協力について、今後緊密に協議していくということ、これはご案内の通りの5年間50億ドルという新たな日本の支援パッケージを効果的・効率的に実施していくうえでも意義深いというふうに考えております。
それから最後に2つ目の大きな柱がトルコにおける日本年の立ち上げということで、大臣は現地に赴かれたわけですが、この実行委員会の中に多くの日本企業含めて幅広い関係者が参加しております。日本側では、三笠宮寛仁親王殿下、トルコ側ではギュル大統領が名誉総裁を務めておられます。2010年トルコにおける日本年開催の式典が盛大に執り行われたということは、日トルコ関係をさらにより次元の高いパートナーシップに高める上でも非常に意義深かったのではないかと考えております。
(2)第3回SAARC(南アジア地域協力連合)シンポジウム「南アジアにおけるエネルギー協力の促進」の開催について
【報道官】2つ目は、報道発表でお配りをしましたが、第3回SAARCシンポジウムについてです。SAARCというのは南アジア地域協力連合、ASEANの南アジア版というようにご理解いただければよろしいかと思いますが、テーマは「南アジアにおけるエネルギー協力の促進」ということで、そのシンポジウムが開催されます。これは日本SAARC特別基金という日本政府が毎年一定の拠出を行う中で、その拠出金を利用して日本とSAARCとの間の協力を深めるうえでの色々な事業に活用するということで、その枠組みの中で今回もこのシンポジウムが開催されるということです。
【琉球新報 滝本記者】沖縄県読谷村でのひき逃げ事件について、一昨日米兵が書類送検されたということですが、ご存知のように地元では身柄の引き渡しを求める声がずっとあり、その上での取り調べということを求めていました。米側に対してこの事件についての遺憾の意を伝えられていたと思うのですが、この書類送検という形になったことについてはどのようにお考えでしょうか。
【報道官】昨年の12月に発生したひき逃げ死亡事件について、一昨日沖縄県警の方で自動車運転過失致死事件として那覇地方検察庁に送致したと我々も承知しております。そして、今回のひき逃げ事件についての対応ということですが、米軍としては日本側の捜査に対してこれまで一貫して協力的であったと考えております。他方、何れにしましても、本件事件が発生したということは遺憾であり、ご案内かと思いますが、事実関係として申し上げれば、一昨日の4日に外務省の地位協定室長から在京米国大使館の安全保障課長に遺憾の意の表明と再発防止の申し入れをし、また昨日改めて、北米局の参事官の方から在京米国大使館の政務公使に対しても、遺憾の意の表明、再発防止と綱紀粛正を申し入れたということです。一般論ですが、被疑者である米軍人が起訴されれば、当該の米軍人の身柄は、日米地位協定にしたがって日本側に引き渡されることになるということですし、私共としても、今回の那覇地検への送致を受けて適切に判断をされるものと考えております。
【琉球新報 滝本記者】地元では「だからこそ地位協定の改定を」という声も上がる訳ですが、地位協定上問題はなかったとお考えでしょうか。
【報道官】我々として、地位協定上に日米の問題があったというよりは、日米の既存の枠組みの中で適切に対応してきたということだと考えております。問題は、確かに被疑者の任意の取り調べということが可能でなかったということがあって、時間がかかったという部分もあるかも知れませんが、いずれにしても、こうして一応この事案については、那覇地検に送致されたということで事態は動いているということだと思います。
【琉球新報 滝本記者】まさに仰られたように、任意での取り調べがなく、証言拒否という事態になって、私などは、今までの想定にないような状態が起こったというように考えるのですが、この状態でなかなか取り調べに時間がかかったということは自体は、現行の枠組みでいろいろな問題があるのではないかと考えるのですが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。
【報道官】その点については、日本の刑事訴訟法上も被疑者の任意の取り調べということは変わらない訳です。任意の取り調べの中での事情聴取という前提でのことですから、その枠組みの中で被疑者がそれを拒否しているという状況であれば、時間をかけて捜査当局が可能な限りの捜査を行って、地検の送致に結びつけるということが、今回行われたということです。これは、地位協定上どうこうということより、日本においても条件は同じだと思います。
【朝日新聞 東岡記者】岡田外務大臣の訪米について、薮中次官が「最終調整中」ということでしたが、(具体的な日程について)いつ頃を目処に伝えてきているのでしょうか。
【報道官】次官自身が現地で記者団に対して申し上げたことに、私がここで付け加えることはありません。すなわち、次官は「現在、最終調整中である」というように答えられていましたので、そういうことだと私も思っております。
【共同通信 粟倉記者】昨年12月15日に岡田外務大臣が署名された「EUとの刑事共助協定」の中に、死刑があることを理由に共助の協力を拒否することができるという一項が盛り込まれているという件に関し、まず、この項目が盛り込まれた経緯はどのようなものであったか、ご発言よろしいでしょうか。
【報道官】申し訳ございませんが、今、それにお答えするだけの材料を持ち合わせていないので、改めて調べて、後刻に個別に皆様にお答えしたいと思います。
【共同通信 斉藤記者】日中の歴史共同研究について、ご案内のとおりに昨年末に最終会合があり、そこで記者会見をやったものの、成果物は公表するには至らず、少し時間がかかるということでしたが、現時点でどのようなスケジュールになっているか、現時点でお分かりの範囲で見通しをお示しください。
【報道官】私どもの理解する限り、12月末に日本側の座長である北岡先生と中国側の座長の二人が述べられていたこと以上には、スケジュール感を聞かれても、私は申し上げられる材料を持っておりません。これからまた、新しいメンバーで調整していくということになるのではないでしょうか。
【共同通信 斉藤記者】成果物そのものは、あと、事務的に出すだけということでよろしいでしょうか。
【報道官】申し訳ありませんが、あの場でのやり取り以上に言えることがあるかどうか、確認し、個別に対応させて下さい。