(共同通信 上西川原記者)岡田大臣訪米検討という報道がありますが、その点についてお伺いします。
(報道官)昨日、大臣はご自身でこの件についてお答えになられましたので、それに尽きる訳ですが、補足的に申し上げますと、クリントン国務長官とは大臣は9月のニュ-ヨ-クにおける日米外相会談の際に、今後とも緊密に連絡を取っていこうということを確認して、今に至っている件です。日米はいろいろな形で連絡をとってきている訳ですが、現時点では大臣の訪米については、何も決まっていません。
(琉球新報 仲井間記者)関連について、現時点では、(大臣の訪米が)決まっていないということですが、訪米する方向で調整しているという理解でよろしいでしょうか。
(報道官)今、申し上げたこと以上には、私も報道官としてこういう会見の場で答えることは差し控えたいと思います。
(報道官)私から一点申し上げます。アフガニスタンの大統領選挙の決戦投票の実施についてです。昨日、アフガニスタンの独立選挙委員会は、11月7日に決戦投票を実施する旨発表をいたしました。これに関しまして日本政府としては、8月20日におこなわれたアフガニスタン大統領選挙のプロセスを注視してきた訳ですが、11月7日の決戦投票に向けてすべての当事者が法に則った行動を取るとともに、決戦投票が公正で透明な形で行われることを期待します。独立選挙委員会、不服申し立て委員会、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)ですけれども、そうした関係機関が引き続き連携して積極的な役割を果たすことを期待します。
なお、補足ですが、先般、岡田大臣はアフガニスタンのカブ-ルを訪問いたしました。その際、カルザイ大統領との間でもアブドゥラ対立候補との間でも意見交換の場を持たれたわけですが、その機会には大臣の方から選挙結果が確定した場合、これを真摯に受け止めることの重要性を指摘した経緯がございます。そして昨日の再選挙という事態に発展しているわけですが、先程大臣は、別途講演の場でこの件に関して、日本は再選挙を通じて是非アフガニスタンに正統性を持った政府が成立し、求心力をもってアフガニスタンを統治していただきたいと考えているというようなことを、講演の場でコメントされていますので、この点も補足させて頂きます。
(TBS 樋口記者)今、報道官が言及された講演の中で、岡田外務大臣がPKOのことについて、法律上の制約をPKOの5原則、このことについて、今の憲法の枠内でとしながらも、もう少し見直すことを研究するということを事務当局に言われていたのですが、それについてはどういう指示だったのでしょうか。
(報道官)私は大臣が申された以上には、一切承知しておりませんので、それは大臣が言われたことをそのまま受け止めてもらえればと思います。
(共同通信 斉藤記者)岡田大臣の講演の話ですが、指示の中身は問わないとして、外務報道官も同席されていたのですが、岡田大臣の発言は我々も理解できるのですが、どういう趣旨でどこを狙いとした発言だったのか、岡田大臣の考えを解説いただきたい。
(報道官)私のメモをみてミスリードをしないように注意深くお答えしますと、質問者の趣旨は、一般的に平和維持活動、いわゆる国際平和協力活動への日本の参加を大臣はどのように考えておられるのでしょうかという切り口で入られました。更にその中で、例えば、PKO活動への日本の最近の派遣の数というものは、第80位という数字を質問者が言われていましたけれども、非常に低いのではないか、あるいは、それをもう少し活発にやるべきではないかという意見を込めたご質問でした。それから、併せて、国会の場では一般法と特別法がありますが、前内閣の政権の時にイラクやインド洋など、すべて特別措置法で対応している訳です。それを今後はむしろ一般法のような形で対応する必要があるという議論が行われてきたけれども、そういうことについて、大臣の所見は如何というようなお尋ねだったと思います。それに対して大臣の所見を述べられたということだと思います。
(共同通信 斉藤記者)趣旨としては、国連決議に基づく平和構築のための随時派遣ということを念頭に、恒久法整備に向けた検討を指示したということですか。
(報道官)それは私がこの場で答える内容を超えておりますので、しっかり講演録等を精査して頂きたいと思います。ただ、私が大臣の言われたことで誤解を避けるために申しますけれども、大臣ご自身のコメントとして、平和協力活動、PKO活動にもう少し積極的に取り組めないかというようなことを考えて、検討できないかということも考えるように事務方に指示を出しているというようなことは言われたと思います。それから、イラクへの自衛隊派遣だとか、インド洋への海自の派遣とかについては、日米同盟を補完するような形で行われてきたという印象を自分は持っていると。ただ、自分としては、国連という枠組みの中で協力活動について、更にどういう取り組みをすべきかということについて、そういう文脈で一般法ということを考えるのであれば、自分としては分かるというようなことを言われたと思います。くどいようですけれども、大臣の言われたことに是非あたってみてもらいたいと思います。
(共同通信 斉藤記者)米軍の普天間飛行場の移設問題が山場を迎えている状況ですが、改めて日本政府にとって米軍の飛行場が基地機能を果たしてきた役割、もっと言うならば日本国民の平和と安全を守る上でどれだけの貢献をしてきたのかと、その点について政府としての見解と認識をお願いします。
(報道官)普天間基地そのものが果たして来た役割というよりも、沖縄における米軍基地が果たしてきている役割ということについてお答えしたいと思います。今日の状況として、これまでも続いているということですが、アジア太平洋地域においては、冷戦が終了したのが1989年になるのでしょうか、その後も20年間、非常にいろいろと複雑で多様な要因を背景とした地域紛争、あるいは大量破壊兵器、ミサイルの拡散といった状況があって、依然として不安定で不確実な状況が存在しているという基本認識を我々は持っております。そういう中で日本は、ご案内のとおり、日米安保条約というものを米国と堅持する中で、自らの自衛力のみでは自国の安全が脅かされるようなあらゆる事態に対処できないという状況の中で、この日米安保条約を引き続き堅持することで米軍の前方展開を確保し、その抑止力の中で多様な脅威に対処をし日本の安全を確保してきたと考えております。沖縄における米軍基地の前方展開の役割ということですが、特に海兵隊について申し上げれば、高い機動力、即応性等を通じて在日米軍の重要な一翼を担っており、日本及び極東の平和と安全の維持に寄与しているというのが政府の基本的な認識ということです。その上で、普天間基地の返還ということが、在日米軍再編という大きな課題の中で、まさに最優先課題で取り組まなければならないということは、大臣も何度もこの場でも申し上げてると思いますが、現実に周辺住民の方が直面をする危険というか、そういう問題があるわけですから、これを先延ばしすることなく取り組んでいかなければいけないというのが、日本政府の今の基本的な立場だと思います。まさにこの点について、昨日から今日にかけてゲイツ米国防長官が来日され、鳩山総理、岡田大臣、あるいは北沢防衛大臣とこの問題についても議論をされて、先程の共同会見でもそれぞれの大臣の方からお話があったと承知しております。
(共同通信 斉藤記者)ラビア・カーディル氏の訪日で中国側から強烈な不満と改めて抗議がありました。この点についての感想と実際に中国側から申し入れや抗議がきているのかどうか確認をお願いします。
(報道官)ラビア・カーディル氏の訪日というのは、我が国の民間の関係者による招聘であると承知しております。昨日から訪日が始まっていると承知しておりますが、同氏の訪日そのものが日中関係に悪影響を与えているとは我々は考えておりません。他方、中国政府の方からは同氏の訪日問題に関して、一昨日の19日に北京の在中国大使館の和田公使に対して中国外交部の呉江浩・アジア司副司長の方から懸念の表明があったということです。なお、政府関係者と接触するという予定はございません。
(共同通信 斉藤記者)くどいようですけれども、抗議ではなくて懸念でしょうか。中国側は強烈な不満という言い方をしているのですが。
(報道官)抗議と受け取ってもらっても結構です。懸念の表明であり、抗議があったということで、受け取ってもらって結構です。
(報道官)日本政府は今月27日から30日にかけてシンガポールで開催される拡散に対する安全保障構想、PSI訓練に参加をいたします。日本からは外務省、警察庁、財務省、税関、海上保安庁、及び防衛省、自衛隊の職員、更には護衛艦1隻、並びにP-3C哨戒機2機を派遣し、洋上における捜索・追尾及び乗船、立ち入り検査訓練、港における貨物検査訓練及び机上訓練に参加する予定です。
このPSIは国際社会の平和と安全の脅威となり得る大量破壊兵器・ミサイル及びそれらの関連物資の拡散を阻止するため、国際法・各国国内法の範囲内でとりうる措置を検討・実践するグローバルな取り組みです。日本政府は上記人員・装備の派遣によって今次訓練の成功に最大限貢献する考えです。
ちなみにこのPSI訓練は2003年から始まっており、毎年1回アジア太平洋地域で開かれているものです。
(問)PSIですが、普段の内容と違う点とか注目する点などはありますか。
(報道官)私の理解する限り、特に今回何か新たな訓練を追加したということはないと承知しています。もう少し具体的に訓練活動内容についてご披露しますと、一つは洋上における捜索・追尾、それから乗船・立入検査訓練が予定されています。今回、海上自衛隊の護衛艦やP-3Cが、この乗船・立入検査訓練に参加をするということです。それから机上訓練、いわゆるデスクで訓練をするということですが、これにも各省庁、関係省庁、外務省も含めて職員が参加をする。それから三つめの訓練の対応として、港における貨物検査訓練というものも行います。これには警察庁のテロ対応専門部隊や財務相税関の合同検査チームといった関係者が参加をするということです。
(問)日本は例年これに参加をしているのですか。
(報道官)日本はこれに毎年参加をしています。
(問)前回と参加規模は大体どれくらい違いますか。
(報道官)昨年と比べてというのは後で確認しフォローしますが、今回の参加国は、主催はシンガポール。豪州、ブルネイ、カナダ、フランス、韓国、ニュージーランド、フィリピン、ロシア、米国、そして日本です。
(補足説明)2005年にシンガポール主催として実施された第1回目のPSI訓練には13カ国が参加し、オブサーバーを含めれば計17カ国が参加しました。なお、昨年にニュージーランド主催で実施された同訓練には計28か国(含オブザーバー)が参加しました。
(報道官)二つ目は、会見で毎日進捗状況を報告させていただいておりますが、アジアにおける最近の自然災害への緊急対応についてです。本日お伝えしたいのは、インドネシアのパダン沖地震の災害の緊急援助隊の動静についてです。
緊急援助隊は、これまで(10月)2日に活動を開始して今日に至っている訳ですが、昨日ご案内しましたように、5日に国連及び現地政府による救助活動ニーズは終了したという判断を受けて、日本チームを始め外国からの援助チームは撤収を決定しています。
明日8日の午前8時30分、成田空港においてこの援助隊の解団式を行うことになっております。解団式には西村政務官及び在京インドネシア大使が出席をする予定になっています。
この援助隊による生存者の救出は残念ながらありませんでしたが、5日に西スマトラ州知事からは「日本チームは一番のりで救助に来てくれた。生存者の救出はなかったものの、日夜真剣に救助にあたる姿に心を打たれた。今後の日インドネシア関係に必ず良い影響があると思う」との言葉がありました。それから、6日に日本チームが使用していたテント・発電機・テーブル・椅子・水・食糧といった物資は西スマトラ州に供与することになっております。