【共同通信 斎藤記者】日韓関係でお伺いします。自民党の一部有志の議員の方々が竹島に近い鬱陵島への視察を計画していると伝えられていますが、この件について、日韓の政府間でこれまでどのようなやり取りがあるか。そして、日本政府のこの問題に対する基本的な立場について、お伺いしたいと思います。
【大臣】これについては、日本の国会議員が合法的に入国して視察をするものだと理解をいたしております。ただ、これに対しては韓国国内では大きな反発が起きていることも承知をしておりまして、私どもとしては不測の事態が起こらないように韓国に申し入れなどを行うと同時に、関係される議員については、そういった状況など収集した情報についてはお伝えをするようにしているということでございます。
【共同通信 斎藤記者】政府の方から自民党側、関係する議員の方々に対して、できれば渡航は控えた方がいいですよといったような、いわゆる自粛というものは求めていますでしょうか。
【大臣】行政府から立法府に所属される議員に対して、立法府ないし政党ないし議員お一人お一人の判断で行動されることについて、何らかのことを申し上げる立場にはないと、基本的には考えております。
ただ、先ほど申し上げたように、議員の方々にはそういった韓国内で大きな反発が起きているなどの状況については、お伝えをさせていただいているということであります。
【毎日新聞 犬飼記者】韓国政府の方から、韓国の外交通商部の報道官が4人の議員の入国について、空港での入国拒否を示唆するなどの報道も出ています。こうした入国拒否について、何らか韓国政府から説明があるのかということと、もし仮にそういったことをした場合について、日本政府としてはどのように対応するのか、お話しいただければと思います。
【大臣】韓国側から、現段階でまだ申し入れなり、何らかのことを行ったということは、私(大臣)のところに報告が来ておりませんけれども、先ほど日本時間というか、韓国だから一緒なんでしょうか。午後3時をめどに我が方の在ソウルの武藤大使が韓国の外交通商部の方に呼ばれているとは報告が来ておりますが、まだその内容の報告を受けるには至っておりません。
【毎日新聞 犬飼記者】もし、仮に入国拒否をするというようなことであれば、政府としてはどのように対応するお考えでしょうか。
【大臣】仮にというお話に今の段階でお答えをすることはできないと思いますが、いずれにせよ、私どもとしては日韓関係は大変重要な関係でありますし、両国にとって、これを安定的かつ友好的に深めていくことは意義があるものだと考えておりますので、さまざまもちろん近い国であるがゆえに課題があるわけでありますけれども、冷静に対処されることが日韓双方にとって望ましいし、また双方がそれぞれ努力をしなければいけないと思います。また、日韓それぞれ国民を代表する立場である国会議員の方々においても、日韓関係の重要性は既に十分ご理解をいただいていると思っておりますので、日韓関係に資するような行動を積み重ねていただけると、私ども外交当局としても非常にありがたいというように思っております。
【NHK 稲田記者】今の関連で2点お伺いしたいのですけれども、最初に大臣の方から、合法的に入国するものと理解しているというようにおっしゃられました。勝手な話になってしまって大変恐縮であるのですが、合法的だけれども駄目というのは論理が通らないと受け止める人もいらっしゃると思うのですが、そのような行動を冷静な対応というように呼びかけていらっしゃいましたが、そのような対応をとった場合には、日本政府としては、それは抗議の対象となられるのでしょうか。
また、双方が冷静に対処されるのが望ましいということですけれども、立法府の人に言う立場ではないけれども、日本側の議員の方々にも冷静な対応を求めるという理解でよろしいのでしょうか。
【大臣】まず、最初の質問は、仮にという話は、犬飼さんにもお答え申し上げられないと言ったのと同じでございますので、答えは同じでございます。
冷静に、かつ、また日韓関係に資するように皆さんも是非行動されていただければ、外務当局としてはありがたいというように申し上げたのは、もちろん、国会の関係の方々にでありますが、いわゆる両国政府はもとより、国民も含めて広くという意味で申し上げさせていただきました。
【読売新聞 小川記者】ニューヨークで米朝の高官協議が行われましたけれども、まだ初日が終わって、2日目はこれからですが、何か初日のやり取り等について報告を受けている点はありますでしょうか。
【大臣】日米韓の連携というのは、先日もバリで確認をしていただいたところで、各レベルで緊密に情報交換をしてくれているものというように思っておりますが、今の段階では、私(大臣)自身も今朝からは、国会の委員会、それから引き続いて、渉外知事会の方々がお見えになる等ありましたので、私(大臣)の今手元に来ている段階では、国務省が対外的に発表されたご報告、これについては皆さんももうご承知だろうと思いますので、繰り返しません。私どもとしては、まさに今お話しされたように、まだ1日目でありますが、この米朝対話のお話なども、米国ともしっかり連携をとっていきながら、日米韓で緊密に連携をして、今後の北朝鮮をめぐる問題についても対応していきたいと考えているところであります。
【読売新聞 小川記者】大臣は、インドネシアのバリのARFか、日米韓かもしれませんけれども、南北を行い、それから米朝や日朝を行った上で、六者協議に臨みたいという旨の発言をされたと記憶していますが、その六者協議の前にも日朝を行いたいというようにもとれるのですが、その発言の趣旨をもう少し詳しく説明していただけますでしょうか。
【大臣】ちょっと思い出してみないとわかりませんけれども、正確にそういう発言をしたかどうか、今はパッと記憶が浮かび上がってこないのですが、日米韓の間では南北を優先することは、昨年1年間のこともあり、確認をされてきたことだと思っておりますが、南北も既に六者協議の代表レベルで会談が行われておりますし、また、正式な会談ではありませんけれども、バリにおいては記者さんの目の前でもありましたが、私(大臣)の目の前でも南北の外相レベルでお話をされているのは、私(大臣)も横で拝見をしてまいりました。
その意味では米朝も今ちょうど行われているところでありますが、日朝は日朝間にも課題がありますので、私(大臣)としても対話の扉は開かれているということは、これまでも申し上げてまいりましたし、今回のARFでも北朝鮮がいる場でそのことは申し上げさせてまいります。
他方で、対話を求めて対話のための対話になるということは、適切でないと考えているところから、今後も日米韓の連携を維持していきながら、我が国としてしっかりと外交努力を重ねて、必要な対話は行っていきたいと思っておりますし、今お話がありましたように、今の段階でいろいろな会合の順番というのを決めて、何らかのことで手を打とうと思っているわけではありませんが、六者会合についても私どもとしては対話のための対話とすべきではなくて、これまでの合意、そして累次の安保理決議、これは合意の中には六者会合の共同声明なども含まれるわけですけれども、こういったものを実際に北朝鮮が具体的な行動をもって、これを実行する意思を示すことが必要であるということを申し上げているわけでありまして、このことがどのような形であらわれて、六者会合に進むのが適切だと考えられる段階に行くかというのは、これからまさに日米韓、また六者会合のロシア、中国などにも十分理解をいただくと同時に協力もいただいて、そのようになるのが望ましいと思っております。
そういった中で日朝についても先ほども申し上げたように、対話を求めて対話のための対話となることのないようにということを言いつつ、他方でしかし私どもとしてもしっかり対話をして、これまでの課題・問題を解決に進めていきたいという気持ちは持っていますので、対話の扉を開かれているということで、先方に対しても私どもの立場は伝わっていると考えます。
【共同通信 斎藤記者】今の日朝の件でお伺いしたいのですが、今の大臣の話の中にあった対話のための対話にはしないといった点です。その中に拉致問題をめぐって現在、北朝鮮は大臣ご案内のとおりで、拉致問題は解決済みだと北朝鮮側は発言されているわけですが、こうした拉致問題は解決済みであるという主張をしている以上は、日本の立場から見て対話に資する対話にはならないとお考えでしょうか。
【大臣】個別の言葉一つひとつを取り上げて、すべてを前提条件とするということを考えているわけではありませんけれども、先般のARFの会合では、私どもとしては拉致問題の解決が必要であり、2008年8月の合意に基づく再調査ということも、これを実施することが重要であるということを、北朝鮮側がいわば同席をしている会議の場で申し上げました。その場で北朝鮮側からは拉致問題は解決済みであるという発言があったことはご承知のとおりでありますが、その後、私(大臣)も発言の機会を得て、拉致問題が解決済みということではないということもお話をさせていただきましたし、議場の他の発言からも、北朝鮮の拉致問題が解決済みという発言が事実だとは理解していないというご発言もいただいておりますので、国際社会が拉致問題は解決済みでないと理解をしていることを、北朝鮮は十分に理解をその場でもしたのではないかと私(大臣)は思っています。
【NHK 稲田記者】これまでの累次の安保理決議を具体的な行動をもってということを日本政府は常に言い続けています。この具体的な行動というのは、例えば不可逆的なということになると、封印なり、施設の破壊なりといったことを指すのか。それとも、今このように、特に米朝での対話の扉が開いている中で、そこは必ずしも破らないと見られる約束を何らかの形でするということで、具体的な行動と理解するのか。それはどういったことをもってして行動と認識されるのでしょうか。
【大臣】対話のための対話とならない、逆に言えば実りのある対話となる可能性があるということでなければいけないということを申し上げてきているわけでありまして、それにつながるような具体的な行動をもって意思を示す在り方ということについては、これは北朝鮮側がどのようなこと、ないしはどのような形で、彼らの言動を見て我々が評価するわけでありますので、どれだからということを今限定して申し上げる性格のものではないと思っています。
【毎日新聞 犬飼記者】先ほど、日朝の質問がありましたけれども、バリで行われた南北とか、あるいは現在行われている米朝との関係をお伺いしたいのですけれども、核問題について南北・米朝で話していまして、これと拉致問題などについて話す日朝協議とは、どういう関係性を持つのかということをお伺いしたいと思います。例えば、今行われている米朝対話で、大臣がおっしゃる具体的な行動、あるいは進展がなければ日朝協議というものは行わないというお考えなのかどうかお伺いしたいと思います。
【大臣】米国とは十分に連携をとってやっていきたいと思いますし、米朝協議の状況についてはよく私どもも情報を得て見据えていきながら我が国の対応を考えていきたいと思っておりますけれども、米朝協議と全く関連がないということはないと思いますけれども、米朝協議でどういう条件がでたからそれで日朝ということでも必ずしもないのではないかと思いますけれども。
【毎日新聞 犬飼記者】米朝協議で、「もちろん関連はあるのですけれども」と前提をおきながらおっしゃいましたけれども、進展がなかったとしても、これはこれで日朝というものはある程度切り離して考えられるものだというように受け止めてよろしいのでしょうか。
【大臣】「切り離して」と言われるとそこは少し引っかかってくるところがあろうかと思いますし、全体としても日米韓で連携をとっていきながら、核の問題、そして、ミサイルの問題、拉致の問題、これが問題であるという認識そのものは日米韓でも共有をしていただいているというように私(大臣)は理解をしておりますので、連携をとって問題の解決につなげていくという意味では、切り離してということにはならないと思いますし、実際の問題としては日米韓が連携していく中で、どれかだけ極端に進むということは実際問題としては考えにくいかなと私(大臣)は思いますけれども。
【時事通信 西垣記者】先ほど、渉外知事会の方々が要望書を持っていらっしゃっていました。その中で、日米地位協定の改定、とりわけ米兵容疑者の引き渡しに絡む条項の改定についてお話があったと思うのですけれども、これについて大臣からどういうご回答をされたのでしょうか。
【大臣】いただいた文書の中には、恐らくたくさんの項目が書いてあったのではないかと思います。その場のやり取りの中では、やはり地位協定の改定というものが要望事項としてあるということは、知事会の方々から言明されておられました。
そして、やはり事件・事故の問題であるとか、環境の問題であるとかに触れられましたので、私どもとしても地位協定の改定については、当面の喫緊の課題などにしっかり対応していく中で検討していきたいということをお話しさせていただきましたし、個別の事件・事故の対策であるとか環境については、日米間での協議が行われているものもありますので、そういった経過を渉外知事会の方々に御報告いたしました。
【琉球新報 松堂記者】知事会が要請した地位協定の改定についてですが、大臣として改定の必要性を感じていらっしゃるのか。もしくは運用の改善で対応できると感じてらっしゃるのか教えてください。
【大臣】大切なことは、方法ではなくて、恐らく内容だろうと思っておりますので、今、我々として少しずつでも前進をさせることができる、最も適切な方法を選択しながら前進させていきたいと考えておりまして、今、私どもとして地位協定の改定も今後の中で、日米の同盟が深化する中で、また、喫緊の課題に取り組んでいく中で、その進捗を見ながら検討していきたいと申し上げておりますが、今、目の前にある事件・事故や環境の問題については、今、既につくることができた枠組みの中で前進させるところはしっかり前進させていきたいというのが、今の私(大臣)の立場です。
【NHK 稲田記者】一連の事故を巡って、今信号機のトラブルということが一つ挙げられておりますけれども、その一方で中国の国内からも車輌を埋めたりだとか、その原因が分かっていたのに発表していなかったのではないかということで非常に厳しい指摘がでています。その一方で温家宝首相は現地で「とにかく安全が第一である」という姿勢を鮮明に打ち出しました。これから日中間の人の交流が非常に増えていく中で、将来日本人の人が全く使わないということはあり得ないと思うのですけれども、大臣としては今回の一連の車輌を埋めたりといった行動であるだとか、一方で温家宝首相の「安全をやはり最優先にすべきである」という姿勢の表明といったものをどのように評価されますでしょうか。
【大臣】中国の鉄道事故については、残念ながら被害を受けられた方々、亡くなった方々にはお悔やみ、お見舞いを申し上げたいと思っております。その上で事故そのものに対する評価は、しっかりと調査・検証を行うということを中国側としては言っておられると私(大臣)は理解をしておりますので、その結果を見て、また私(大臣)から申し上げなければいけないことがあればコメントすることになろうかと思いますけれども、まずは中国側の調査・対応を見ていただくということになろうかと思います。もちろん、これまでも大変大きな自然災害などの場合にも温家宝首相自らが現地に赴かれたことがあるわけでありますけれども、今回も中国において温家宝首相が自ら赴かれたということは、この事故の大きさと中国国民、ないしは国際社会も含めて与えたインパクトの大きさということを十分に認識されていると同時に、ご発言を見る限り事態究明の重要性ということについても深く認識をされての行動ではないかというように思っておりますので、私どもとしては、しっかりとした事故の究明が行われて、今後の安全向上に資することを期待したいというように思います。
(1)トンルン・シースリット・ラオス副首相兼外務大臣の訪日について
【松本大臣】8月1日(月曜日)から4日(木曜日)までの4日間でトンルン・シースリット・ラオス副首相兼外務大臣ご夫妻が外務省賓客として訪日されます。滞在中に私(大臣)との間で会談を行う予定になっております。また、政府、議会関係者、財界関係者との間で意見交換を行う予定になっております。また、大震災からの復興に対する両国の連帯を示すために、滞在中に宮城県の名取市を訪問する予定だと承知をいたしております。
【NHK 稲田記者】東アフリカを中心としたアフリカの干ばつについてお伺いしたいと思います。東アフリカで非常に深刻な干ばつが続いています。それによって1千万を超える難民の流出が、特にソマリア等から発生しておりますけれども、大臣としてはこの干ばつの現状をどのように認識していらっしゃるのか。また、FAOを始め国連機関からも各国への支援を呼びかけていますけれども、日本政府としてはどのように対応するお考えなのかをお聞かせください。
【大臣】今指摘があったように大変深刻な人道危機に見舞われていると理解をいたしております。過去数年で最悪の飢饉との報告を受けておりまして、国連でも潘基文事務総長が緊急支援を要請していると理解いたしております。
我が国の緊急の対応として、(7月)19日の閣議において、「アフリカの角」地域の深刻な飢饉を踏まえ、緊急の支援として500万ドルの緊急無償資金協力を行うこととしており、WFPと協力しつつ実施をしたいと思っております。これについては先週の火曜日にここで発表させていただいたとおりです。
【NHK 稲田記者】一方でNGO等からは、特に先進国の支援が非常に遅い、もしくはその額が足りないという指摘もありますけれども、今後更にそれを増やすなり、また別途の支援等の考えはございますでしょうか。
【大臣】支援の要請を受けてから、今回の私どもの支援が遅いとは、私(大臣)自身は理解をいたしておりません。まずはこれを実施をするということでありますが、私どもとしても、これまでも今回に限らず、必要な人道支援には国際社会の一員として対応してきておりますので、今後も情勢を見つつ、もし必要がある場合は、本件に限らず人道支援を行っていくということになろうかと思いますけれども、現段階では今決定をした支援をまずは実施をするということになろうかと思います。
【香港フェニックステレビ リー記者】中国の高速鉄道の事故に関してですけれども、事故が発生して、事故の調査、そして、その原因の究明などに関して、日本側からもいろいろな発言がありました。大臣のご感想、そして、今もう既に運行が再開されたのですけれども、それに関してはいかがでしょうか。
そして、日本の閣僚からも、日本からは是非技術の提供をしたいと、事故の調査に協力をしたいといった発言もあったのですけれども、具体的に日本からはどういった技術を提供したいのか。その理由は、やはり中国の事故に関しては、調査が不十分なのかどうかということを教えてください。
【大臣】まずは、残念ながら、大変大きな事故でありましたので、亡くなった方々やご家族にお悔やみを申し上げると同時に、けがをされている方にお見舞いを申し上げたいと思います。
現在、中国側において、事故の調査・検証が行われ始めている段階だというように理解をいたしております。具体的な技術等については、私(大臣)もよく承知をしておりませんけれども、日中の関係というのは、もし私どもの技術が必要である、調査が必要であるということであって、協力を求められれば、喜んで協力をさせていただくという立場にあるというように理解しております。
【香港フェニックステレビ リー記者】大臣の事故へのご感想を。
【大臣】大変大きな事故でありますし、先ほども申し上げたように、残念ながら直で被害を受けられた方には、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたいという率直な気持ちであります。
背景がわかりませんので、まだ事故原因等も究明中だというように承知をしておりますので、事故そのものについてコメントをする立場にありませんが、結果として、このような大きな事故が起きたことは、本当に残念だというように思います。
【共同通信 斎藤記者】北朝鮮核問題に向けた各国の動きに関連してお伺いします。
北朝鮮の金桂冠氏が既に米国に到着したとの報道もあります。米朝協議が近く行われるということですが、この米朝協議を日本政府としてどう位置づけ、どう期待するのか。
そして日本としては、現時点で六者協議再開に向けた機運というものがどの程度高まっているのか、あるいはそうでないのか。その辺の現時点での認識、そして日本政府として、この再開問題にどういうようにコミットをしていくのか。この点についてお願いします。
【大臣】私(大臣)としては、ここでも何度か申し上げてきましたけれども、核・拉致・ミサイルの北朝鮮の問題に対しては、我々として対話をするということは、「対話の扉は開かれている。他方で、対話のための対話とならないようにしっかりとやっていきたい」ということを申し上げてまいりました。この点については、つい先週も日米韓で会談を行いましたけれども、認識が共有をされているというように思います。
今お話がありました米朝の協議については、たしか先週末に米側からもこういったことを行うということが、対外的にも言及されていると理解いたしておりますけれども、まさに今お話をさせていただいたように、たしか予備的な会談であるといったような表現もとられておりましたように、単なる対話のための対話にならないようにしつつ、しかし対話を通して問題を解決したいということで、今回そういった機会がもたれると理解しております。
それに先だって南北の六者代表同士の会談も行われているわけでありますが、私どもとしては、今申し上げたように、その意味で対話の機会があるということ自身は肯定的に受け止められるべきことだと思いますけれども、同時に具体的な進展がどのようなことがあるのか、日米韓の連携の中で、双方でしっかり情報を共有して進めていきたいと思っております。
そのような意味では、六者会合というのは問題を解決するのに有効な枠組みだと理解しておりますので、このことが機能することそのものは意義があると思いますが、他方で対話のための対話になるような六者会合にならないような、そこまでの積み重ねも必要だろうと思いますので、現段階では、南北の会談が行われた直後でありますけれども、米朝の協議がまだこれからという中で、北朝鮮側も含めた、いわゆる対話の内容を見て、どのようなことが進められるのかということを判断すべきだと思っております。
【共同通信 斎藤記者】今の点について2点ほど補足してお伺いしたいと思います。
1つは、日米韓では引き続き北朝鮮の具体的な行動を求めるという原則があると思います。この具体的な行動というものが何を指しているのか。この点について、現時点でもし詳しく説明できるのであれば説明いただきたいと思います。
2つ目は、日朝協議です。これは六者(会合)と切り離して日朝協議を、できれば早いうちにやりたいという意思を日本政府として持っているのかどうか。この点について確認させていただきたいと思います。
【大臣】六者(会合)については、核・拉致・ミサイルすべて六者(会合)で取り上げることができると考えておりますけれども、今お話がありましたように、それに向けて、まさに具体的な行動が示されることによって、初めて前進する対話になるというのが、私ども日米韓の考え方でありますので、この具体的な行動については、当然、今、皆さんもお考えのように、いろいろなことが想定されるわけでありますけれども、私どもとしては北朝鮮に具体的な行動をもって前進させる意思を示してほしいというメッセージは既に届いていると理解しておりますので、これを受けてどのように北朝鮮側が行動するのか、その評価については我々としては、それを見てまたしっかり評価させていただきたいと思っています。
日朝の協議については、重ねて申し上げますけれども、私(大臣)自身は対話を拒むものではないと申し上げてきておりまして、このことについても、こういった公開の場で申し上げ続けてきておりますので、私(大臣)の考えは既に理解されていると考えています。同時に、やはり私どもとしても具体的に前へ進むような形で対話を進めていきたいと思っておりますので、そういう意味では、対話をすることを急ぐということが前進になるかどうかということは、よく考えながら対応したいと思っています。
【読売新聞 小川記者】日朝の関係で、中井元拉致問題相が先週後半に中国で北朝鮮の高官と接触し、協議したという一部報道がありますけれども、これについては昨日の伴野副大臣の会見でも、外務省としては承知していないし、関与していないというご回答をいただいていますけれども、一方で、もし外務省が承知していないところでそのような協議が行われた場合には、二重外交になってよくないのではないかという批判も上がっております。
そういう観点から、この中井元大臣が協議を行ったのかどうかということを確認する意向があるのか。それから、確認しない場合には、二重外交という批判に対してはどのようにお考えになるのかお聞きしたいと思います。
【大臣】仮定が多過ぎて、お答えのしようがないと思いますが、中井元大臣は中野大臣に協議をしてないと答えたと記者会見で中野大臣がおっしゃっていたと承知しています。
【琉球新報 松堂記者】尖閣諸島付近で起きた中国漁船の衝突事件についてお聞きします。先日、検察審査会が二度目の起訴議決をしまして、不起訴となった船長が強制起訴されることになりましたが、中国側の声明では「尖閣諸島は中国の領土で、その海域での日本側の取り締まり自体が不法行為だ」と主張しています。大臣として、中国側の主張をどう受け止めているのか、それともう一点、日中間で共助条約があると思いますが、今後強制起訴される船長を日本の公判に出廷させるよう中国側に働きかける予定はあるのでしょうか。
【大臣】後半から申し上げれば、必要な手続きは法ないし規則に基づいて進められるものと理解しておりますが、現段階では私どもとして何らかの行動や判断をしなければいけないような条件が整っているとは理解しておりません。
一つ目は尖閣諸島についての我が国の立場は、我が国の固有の領土であり、有効に支配をしており、そこに領土問題は存在をしないというのが、我が国の立場でありますので、今お話をされたような中国側の発言については、今手元では確認できませんけれども、もしそうであるとすれば、それは我が国としては受け入れられない内容だということになると思います。
【フリーランス 上出氏】軍事政権とアウン・サン・スー・チー女史の関係改善の動きなどが一部報道されています。日本は既に他の欧米諸国とは少し違って、軍事政権への一定の評価と言っていいのか、評価をしておりますが、それを踏まえて、改めまして日本政府としての今のミャンマー政府に対する民主化の問題での評価と具体的な支援政策などの変化、現実に行われているものがあれば、それも含めてその根拠とか今後の対応についてご見解をお聞かせください。
【大臣】昨年の総選挙・民政移行というのは、一歩前進というように私どもとしては評価をしているということでこれまでも申し上げてまいりましたし、ミャンマー政府自身にも、私(大臣)との外相会談、ないしは菊田大臣政務官のミャンマー訪問などでも伝えています。同時に国民和解、そして法の支配、また民主主義の推進などがさらに必要である、また欧米各国ともしっかり対話をしていただかなければいけないということは申し上げてまいりました。
今回のASEAN関連外相会合においても、米国とメコンの関係の国々との会合においても、今回はミャンマーも招かれていたという状況であり、私(大臣)も同席をいたしましたけれども、その場に来ておりました。表現はそれぞれ各国異なる部分があろうかと思いますし、強弱はあろうかと思いますが、総選挙・民政移管の評価が全くゼロだという国は必ずしも大勢ではないのではないかなと、その意味では我々も欧米と横並びでなければいけない必要はありませんけれども、そんなに異なった方向の判断をしているというようには、今の状況では理解をしておりません。
また、菊田大臣政務官がミャンマーを訪問した際にも、私どもは今後の考え方として、いわゆる基礎生活分野、保健や教育などの経済協力や人的交流、そして、またできれば経済関係なども伸ばしていきたいということは申し上げてまいりました。その中でも、若い党員の方々を日本との交流でご案内をするといったような人的交流については、既に一部始まっておりまして、ミャンマーの複数の政党の若い方々が日本を訪問して、既に帰国をされていると思います。
【日経新聞 永井記者】拉致問題について、政府はこれまで国際社会に関心を高め協力を求めるような働きかけをこれまでもしてきたと思うのですが、先週南北対話があり、今週米朝対話もあるという中で、改めて日本がどのように国際社会に訴えていくのか、取り組みについてお考えをお願いいたします。
【大臣】日本国政府としては、日本の国民に係わることでありますから、是非、我々としても外交努力によって問題を解決をしたいと考えておりますが、同時に多くの国々に理解を得て協力も得たいと考えております。その意味では私(大臣)自身からは、今回のASEAN関連外相会合でも、いわゆるマルチの会合においても拉致問題についても言及をし、現状をご理解をいただくと同時に、2008年8月の再調査も含めて前進が必要であることを訴えてまいりました。また、日米韓の会談なども含めて機会がある方々には、是非拉致については、既にご理解は随分と少なくとも外交の当局の方々はいただいていると思っていますけれども、改めて我が国として、是非これは早期に解決をしたい問題として取り組んでいるという意思を表明するという意味で各国には求めてきたとご理解をいただいていいと思います。
【日経新聞 永井記者】今週の米朝協議で拉致問題を取り上げるように、そういうように米側に働きかけているということも含めてということでしょうか。
【大臣】米国側にはこれまでも随時働きかけをしてきております。個別具体的にどのような働きかけとどのように求めているかというのは、ここで今申し上げるのは差し控えたいと思いますが、私どもの働きかけを同盟国として十分理解をいただいているというように考えています。
(1)第二次補正予算について
【松本大臣】今朝の閣議で、いわゆる二次補正予算が決定されたことは皆さんご承知のとおりでありまして、国会に提出されて審議が始まったところであります。外務省としても15億円、日本ブランド復活のための対外発信力強化ということで計上しているところであります。是非、在外公館などを活用した地方の魅力発信プロジェクト、それから、対日理解促進のための招へい事業を柱として、これから東北を中心として、しかし東北に限らず地方の魅力、日本の技術や産品をしっかりアピールし、また復興の状況などを海外に積極的に発信をすることで、これからの復旧・復興に全力で貢献をしていきたいと思っています。
【共同通信 斎藤記者】ARF・EASの会合の関係でお伺いします。EAS・ARF、また日ASEANといろいろ会議があります、日米韓もあります。一連の会議で大臣は日本政府を代表してどのようなメッセージを発信するおつもりがあるのかどうか、そして特にARFではどういったことについて言及していくのか、特に海の安全等々踏まえてご説明いただければと思います。
【大臣】そもそも全体として、ASEAN外相会合と呼ばれているように、やはりASEANを中心としてさまざまな国が集っている中で、さまざまな議論をしようということでいくつかの枠組みが重層的に行われてきたわけですけれども、まず、私どもとしてはASEANと我が国というのもかなり長い歴史を積み重ねている中で、特別のと言ってもいい関係があろうかと思っています。今年の4月9日に特別外相会合、ASEAN側からの申し出で開いていただいて、震災の連帯も確認をしたところでありまして、その際やはり、まず一つの政治の根幹である国民の命を守るという意味での災害対策・防災についての協力というのをお互いに確認をしてきたとところでありますので、今回、さらにこれを具体的に進めていこうという認識を共有できればいいなと思っております。もちろん、それに加えてさまざまなASEANの連結性の強化やASEANが一体となって発展できるような基盤造りなどについて、あらゆるレベルの議論で行われると思いますし、それについて日本も大きくこれまでも貢献をしてきましたけれど、今後もよく連携をしていきたいということをお話しすることになろうと思います。
今、海洋のお話があったかと思いますが、生活・社会・経済あらゆる面からの海洋をもってまさにつながっている部分もあるし、この海洋が、いわばつながっていることが発展の一つの大きな基盤にもなっているわけですから、海洋において関係国の緊張等が高まるとすれば、それは懸念されることだということをこれまでも申し上げてきましたけれど、そういった問題意識というのは既に多くの関係国においても示しておられるところもあるわけですけれども、是非これがいわば高まるのではなく、収まる方向になるように、そして、そのさまざまなことはやはり国際社会には平和的に是非問題は解決していただきたいと思います、国際法も含めた国際的なルールがありますので、これに基づいた形で収まっていくということが望ましいと思いますので、そういった私どもの考え方を伝えると同時にそういう方向にいくことを期待しながら、我々もまたどういう役割が果たせるかを考えて臨んでいきたいと思っています。
【共同通信 斎藤記者】今の大臣のご発言の関係で海の安全の部分ですが、日本近海、あるいはアジア周辺海域で、大臣のお話にもありました懸念が予想されるにも、あるいはその懸念があればそれを減少させなければいけないと思われるような地域は現に存在しているのかどうか、この点について大臣は一連の会合の中で、場所等々も指摘しながらご発言する予定があるのかどうか、この点について確認させてください。
【大臣】これまでも、例えば南シナ海において関係国からさまざまな発言がでているという現状については、私どもも注視をしているわけでありまして、これついては摩擦が生じていると、少なくとも国との間で発言があるわけですから、そういうような表現を現状認識としてはすることはできるのではないかと思っていますけれども、具体的な発言ぶりとかそういったことについては、それぞれの関係国の考え方などをしっかりと聞いて確認をしていきながらお話をさせていただきたいと思っております。
【朝日新聞 鶴岡記者】海洋航行の自由に関連して伺います。本日、米国のマレン統合参謀本部議長とお会いになりましたけれども、会談の中で大臣、またはマレン議長から中国がベトナムなどと領有権を巡って争っている南シナ海での航行の自由について、もしご発言があったのでしたら、ご紹介願えますか。
【大臣】マレン議長からは「中国に行ってきた」という意味で中国という言葉はありました。議長の方は先ほど私(大臣)も間接的に聞いただけですので正確ではありませんけれども、記者会見で「領有権についてはポジションはとらない。航行の自由については強いポジションをとる。大変死活的な米国の利益であると思っている」という発言が記者会見であったと理解しておりますけれども、私(大臣)とお会いをした時も今申し上げたことを全て申し上げたかどうかは正確に記憶をしていませんけれども、そういう趣旨のようなお話であったと理解しています。
【共同通信 下江記者】ARFの関係ですけれども、去年は岡田外務大臣が行かれたときには、積極的にバイ会談も入れられたと思うのですけれども、今回、松本大臣が行かれるときには、どういう国とどういう重点方針でバイ会談をしたいかということと、あと22日に日米韓の外相会談があると米国政府の方で発表があるのですけれども、この三か国会談で大臣として、どういうことを確認したいかという、その2点をお願いします。
【大臣】去年、人が変わって、タイプが変われば行動パターンも変わると思いますので、何とも申しようがないと思いますけれども、せっかくの機会で多くの方がいらっしゃいますから、いろいろな機会をとらえて、積極的にいろいろな方とお話をしていきたいと思っています。
日米韓については、私(大臣)もずっと国会などで出ていたので確認ができませんが、昨日まで私(大臣)が承知をしている限りでは、米国は是非開催を期待するというような趣旨の話だったと思いますが、きちんと時間が調整ができたのかどうかということまでは報告を聞いておりませんが、昨年12月に日米韓の外相会談をたしかやっていると理解をしていますが、私どもにとっても、また米国にとっても韓国にとっても、このアジア太平洋地域が安定をしているということは、共通の利益であり、目標であるということで、一致をして行動をすることが安全保障の分野においても大変多いわけでありますので、そういった面から意見交換をさせていただいて、ここまでも日米韓は大変連携良く、いい結束でしっかりとそういった私どもの目標について、国際社会からも理解が得られる形でアピールができていると思いますが、今回ももし実現をするとすれば、そういったお話をさせていただいて、多くの国際社会から共感をいただけるような形で、地域の安定と繁栄のために貢献をすることをしっかりと三国の共通の意思として示したいと思います。
【フリーランス 安積氏】日米韓の3か国会談についてお伺いいたします。8月15日に竹島で韓国の国会が開かれるという話がございます。これについて、大臣は認識されていらっしゃるのかどうなのか。それと、もしそれが認識されている場合には、3か国外相会談でこの話を取り上げられるのかどうなのかをお聞きしたいです。
【大臣】8月15日ということが、私(大臣)が今ここで申し上げられるのは、報道でそのような報道があることは承知をしていることは申し上げたいと思います。3か国外相会談で何を取り上げるかということは、今ここで決まっておりませんので、確たることを申し上げることはできないと思いますが、竹島に関しては私どもの立場はこれまでも、私(大臣)自身は外務大臣に就任以降、韓国側に伝え、必要なことについてはしっかり申し上げてきたつもりでありますけれども、3か国の会議というものの中で、議論をすべきものが何なのかという観点からも含めて、私(大臣)としてはお話をすると思いますので、現段階では確たることは申し上げられないと思います。
【毎日新聞 犬飼記者】今の日米韓に絡むところですけれども、昨年12月以来の日米韓外相会談ということで、去年やったときには延坪島の砲撃事件、あるいはウラン濃縮が発覚した辺りだったと思います。それから7か月近く経って、今度の会談で改めて北朝鮮、六者協議、あるいは日本にとっては拉致問題とかもあるかと思いますが、どのようなスタンスで行かれるのか、教えていただければと思います。
【大臣】北朝鮮の問題については、昨年の挑発行為といったものは、それに対する北朝鮮側はしっかりと態度を取っていただくべきだと、私(大臣)自身は思っているわけですし、また同時に核問題についても、私どもは対話のための対話はしないという表現を取らせていただいていますけれども、しっかりとこれまでの約束も含めて、北朝鮮が具体的な行動で前へ進めるという意思を示していただく必要があると申し上げてきております。
このことは南北からの会談から始まるということも、そこと関係をしてくるというか、その一連の文脈の中でそういう整理になっていると理解をしていますので、これについての日米韓の変わらぬ結束についてしっかり訴えることで、是非我々の結束が変わらない中で、北朝鮮側に行動ないしはそれに対する必要な対応を具体的な形で動いていただくような、私たちの意思が伝わるようなものであってくれればいいと。伝わるには向こうが受け止めるわけですから、確定的なことは私(大臣)から申し上げませんけれども、そういうメッセージが伝わるようなものであるようにしていきたいと。それによって具体的に北朝鮮の核問題、私たちにとっては拉致問題などが前へ動くようにしていきたいと思っております。
【共同通信 斎藤記者】ARFでは北朝鮮の外相も出席するのではとの報道に接しております。この事実関係と、仮に北朝鮮から出席があった場合、大臣として接触するご意思をお持ちかどうか、対話をするご意思があるかとか、この点について確認させてください。
【大臣】出席については、今、私(大臣)がここで皆さんに申し上げられるのは、報道ベースではそういうことになっていると承知をしているということであります。私(大臣)自身も国会においても、北朝鮮との対話を拒むつもりはないということは申し上げてまいりました。いくつかの課題についてしっかりと交渉して対話をすることによって拉致の問題、核の問題を解決していきたいとも思っています。
ただ、他方で、繰り返しになりますけれども、単に対話のための対話になることによって、前進なくいたずらに時間が過ぎるということは避けたいと思っておりますので、今回、今の状況でお会いをして対話をするというときに、どういう前進につながるような形で私(大臣)がお話をすることができるのかということは、確たる整理ができている段階ではないと私(大臣)自身は今思っていますけれども、そういうことも考えながら、今まだ具体的にどういう行動をするかというのを完全に決めたわけではありませんけれども、現状認識としてはそういう認識です。
【朝日新聞 松村記者】総理が先日会見して表明された脱原発社会を目指すという方針ですけれども、その後、総理も内閣としての方針ではないとお考えを述べられていますが、まずこれについての受止めと、新成長戦略の中で外務省が掲げる原発の輸出を含むインフラ輸出といったものとの整合性について、どのようにお考えになるか、お考えをお聞かせください。
【大臣】後ろの方からいきますと、私どもとしても当然、原子力発電所の最大の課題は、安全性の確保でこれまでもあったわけですけれども、今回の事故を経て改めて少なくとも安全性の確保というのが、高いレベルで再確認をされなければいけないということが求められているというのは、だれしも共通の認識ではないかと思います。
ただ、その上で私(大臣)自身も各国の方々と話をしていて、今朝も一部の報道でリトアニアだったかと思いますけれども、日本企業が落札をしたという報道があったかと思いますし、各国とお話をさせていただいても、是非日本の原子力の技術を供与してほしいというのは、実は私(大臣)は3月9日に就任をしていますので、私(大臣)がお会いした方はほとんど原子力発電所発災以降というか、全部と言ってもいいのですけれども、率直に申し上げて私(大臣)が驚くほど引き続き多いというのは事実であります。
そこの方々が期待しているのは、当然安全性の問題もあるわけですけれども、世界を見渡したときに引き続き日本の技術というのはかなり高く評価されているということは、少なくともそういった方々の話を聞く限りは認識をするところでありまして、そういう意味で必要とされている技術をどういう形で私たちが提供するのかということについてはよく考えながら、他方で、しかし、これだけの大きな事故を起こした国が責任者として安全性についてどういう形のことが言えるのかということをよく考えながら話をしていくということになるのだろうと思っております。
安全性という意味では検証・調査というのがまだ途上のところがありますので、大きく希望があり、また大変日本とも近い関係にある国々から希望があることについて、私(大臣)はそういう技術をお渡しする窓口、話し合いの窓口を切る必要はないというように思っていますけれども、最終的に実際に提供するに当たっては、安全性などについてはよくその国とは従来以上に話をするというスタンスが必要なのではないかなというように思っています。
1つ目は脱原発社会、脱原発依存についての受け止めということでありました。既に報道などで必ずしも内閣としての意見ではないというお話でありました。イコールなのか、イコールでないのかというのが正確なところではありませんけれども、今回の事故が発災した後に、4本柱というのがあったのは皆さんご記憶だと思います。
原子力発電所については安全性を確認すると。それはある意味では引き続き使う部分がある。今回も脱原発依存でありましたから、官房長官もおっしゃっていたようですけれども、使わなくなるということを言っているわけではないという話でした。
2つ目は化石燃料の利用の効率化、環境に対する配慮も含めて効率化を促進する。
3つ目は、順番は違いますけれども、再生可能エネルギーを積極的に増やしていく。
4つ目は需要側として省エネということで、本当にこれだけの電気の使用量が必要なのかということを見直していくというような柱があって、私(大臣)はこれについては極めて生産的なある意味では考え方ではないのかなと思ってまいりました。
それぞれの思いということで脱原発依存ということで、私(大臣)の個人的な感想を申し上げると、かつて脱官僚依存・政治主導という言葉がありました。私(大臣)はどちらかというと政治主導という言葉を是非使っていただきたいということを申し上げてまいりました。というのは、やはり脱何とかというのは余り創造的だとは思いませんし、どちらかというと単なる現状否定に終わってしまうのではないかと思いますので、何をするかということを考えるのが我々の役割ではないかなというように思いますので、あえて先ほど4つの柱を申し上げたのも、4つの柱には何をするべきかということが見えてきていたと思いますので、そういう形で進める方が国民に対しても、我々がもし国のリーダーであるとすれば、そういう形が望ましいのではないかなと思っております。
【NHK 稲田記者】4つの柱の中には見えているけれども、今回の脱原発という言葉遣いの中にはなかなか見えづらいと理解したのですが、それについてどう思ってらっしゃるのかということと、本日の閣僚懇では中野国家公安委員長らが菅総理の脱原発依存について閣僚として全然話が事前になかったと、その後、総理も個人の見解であるという趣旨の発言をしてらっしゃいますけれども、一国の総理が国のエネルギー政策を左右するような発言を閣内で相談することなく発言し、更にそれは私自身としての発言であるというようなことを述べてらっしゃることについて、松本大臣としてどのように考えておられますでしょうか。
【大臣】前半の方は、私(大臣)も現場におりましたので、相当それは確かにそう言えばそう言えるのかもしれませんけれども、曲がった伝わり方だと思います。中野大臣は、「所管で十分ご相談をいただいていると思うけれども、かなり大きな問題なので内閣の一員としても今回決まった後、しっかり共有をさせていただきたい。別途資料をいただくなり共有をさせていただくなりしたい」ということで、私は聞いていないとかという言い方だとか、何の相談もないとかというような言い方とはニュアンスが全然違ったというように認識をいたしております。
これはそもそも先ほど脱官僚・政治主導という話をさせていただきました。少し話が横になりますけれども、政治主導というのは本来やはりもし役所であれば、私たちを含めて政務が責任を持って役所と共に働くところは働きながら、最終的には責任を持って方向付けをしていくということが役割であったので、脱官僚とか反官僚ではないわけですけれども、脱官僚とかということでネガティブにとらえることによって、共に働くという形がうまくいかなったとすれば、政治主導イコール脱官僚では私(大臣)の中では全くなくて、ある意味では政治主導という形で総合的にきちんとやっていきたい。
今回のエネルギーについても、具体的にそうしたら何をしていくのかということを一つひとつ示していくことが私(大臣)は必要ではないかなと思うので、先ほどそういう言い方をさせていただいたとご理解をいただけたらと思います。これからということになる部分もあるのだろうと思います。
【NHK 稲田記者】ブラジルでの高速鉄道の入札について、これまで企業が集まらなかったということで新たに入札条件を検討したいという方向になりました。今回の入札については、日本企業も含めて、どこも入札をしなかったということですけれども、ブラジル政府のこのような動きをどのようにとらえていらっしゃるのか。また、日本政府として、新しい入札の仕組みについてどのように取り組んでいこうとお考えなのかをお聞かせください。
【大臣】結果として、今回の入札に応じるところがなかったということまでは、私(大臣)も承知をしております。現在の条件では入札に応じるところがないということを踏まえて、ブラジル政府側が条件をどのようにお考え、受け止めて変えられるのかということについては、まだ確定したことはこれから確認をしなければいけないと思っておりますので、私(大臣)の方で何かコメントをすることはありませんが、累次にわたりブラジルと接する中では、日本の高速鉄道の技術をブラジル側としては高く評価をしていただいており、また、期待もしていただいていると私(大臣)自身は受け止めておりますので、是非ブラジルと日本の良好な関係からしても、期待に応えることが望ましいと思っていますが、他方でこれ自身は民間企業が応じることになりますので、民間企業が応じることが可能であるような条件設定になることが望ましいということは、これまでも申し上げてまいりました。今回の入札の条件がそのままであれば、民間企業はなかなか応じにくいのではないかという見方がされておりましたので、それも言っておりました。
1回こういう入札を経て、後ということになりますが、私(大臣)としては是非、民間の企業が入札に応じられるような環境が整うことを期待したいと思います。また、我が国の民間企業には是非、積極的にブラジルの高速鉄道案件に取り組んでいただきたいと思いますし、政府としては、日本の高速鉄道の輸出ということに関してはこれまでも取り組んでまいりましたので、しっかりとそういうことにも取り組んでいきたいと考えております。
【NHK 稲田記者】本日の閣僚懇で、菅総理が三次補正(予算)に向けた準備をすると指示をしたと理解をしています。官房長官は別に総理が延命を図っているわけではないと説明していらっしゃいますけれども、総理ご自身が退陣の条件の1つとして二次補正を挙げている中、三次補正を指示されたことをどのように受け止めていらっしゃるか。また、復興も視野に入れて三次補正はどのような形になるのが望ましいとお考えなのか、お聞かせください。
【大臣】政府としては、今、復旧・復興というのが最優先課題であることは言うまでもないことでありまして、二次補正の政府としての策定作業にめどがついた中で、これですべてが賄えるともし判断をしているのだとすれば、その次の作業はありませんけれども、そのような位置づけであるというようには理解はしておりませんので、その意味ではすべてを止めて待つという状況ではありませんから、やらなければいけない準備は常に早め早めにやっていくという趣旨であるとすれば、それは通常のことを言われたに過ぎないと考えておりますし、それは行政の長としての仕事の指示であると考えていまして、政治的な意味をそこに込めるべきではないのではないかと私(大臣)自身は思っております。
【NHK 稲田記者】改めてになりますけれども、松本大臣としては三次補正は次の総理の下でと理解をしてらっしゃるのでしょうか。また、その際は、どのような政権が望ましいとお考えでしょうか。
【大臣】総理ご自身もめどというのを、ご自身の枠ではめられていると理解しておりますし、また、6月2日の総理自身の発言の国民の受け止めであるとか、実際に復旧・復興をできるだけスピーディーに進めるための国会の環境であるとか、国民の信任とか、そういうことを考えれば、我々現政権としては今できることをしっかりとやって、速やかに、更に力を入れて前進できる体制を整えることが望ましいと思っています。
後については、私自身は今まさにこの立場で全力を投球する立場でありますので、何かコメントするのは差し控えたいと思います。
【琉球新報 松堂記者】民主党の前原前外務大臣ら超党派の方々が沖縄に行って「どのような政権になっても普天間飛行場の辺野古への移設を推進する」と発言したそうですが、その受け止めを教えてください。
【大臣】普天間飛行場の危険性除去、そのための移設・返還が必要であるということは、もう10年以上前からの認識だろうと思います。この移設先を辺野古にするということに関して、当初からさまざまな議論があるけれども一度辺野古にするべきではないかという結論になって、それで進められ、また、民主党政権になってからも、いくつか改めての議論も率直に申し上げればあったわけですけれども、普天間の移設・返還の道筋として昨年の5月に辺野古への移設・返還によって普天間の危険性除去、移設返還を実現をしたいという道筋をとるということを、日米間での合意も得て、政府としての考え方として今整理をされていると理解をしています。その意味では、今回、前原前外務大臣が沖縄に行かれた中には、私(大臣)が承知をする限りは自公民の3党の方だったのではないかと思いますが、いずれも考えた末に普天間の移設・返還の道筋としては、今考えられるのは昨年5月の合意の道筋だということでお考えの方が集まっておられますから、当然そういう道を進むべきだというご発言になられるだろうと思います。
少し違う視点から申し上げれば、政権交代というものは何もかも全て変えるという、米国でも大統領を代えたときに、かつてブッシュさんになった時には「Anything but Clinton」でクリントン大統領がやったことでないことなら何でもというか、まったく全面否定であったり、またブッシュさんからオバマさんの時でもそういう話があったりして、選挙の場合は違いを強調するから政権交代という面になりますけれども、全てを変えるというのが必ずしも政権交代ではなくて、若干禅問答のような答えになるかもしれませんけれども、「変えるべきは変える。続けるべきは続ける」というのが政権交代だと思います。そういう意味では外国との関係のある外交の案件というのは、自国の政権と国民との間だけで変えられないものもありますので、一般的に申し上げれば外交の関係というのは一定の継続性が求められるだろうというようにも考えられますので、少なくとも今回の前原前外務大臣と一緒に参加をしたメンバーというのは、政権交代は想定をしていると思いますけれども、連続性のない形での政権の移行というのを想定をしている方々はないと思いますので、そういうことも含めてそういうご発言だったのではないかと思っております。
【フリーランス 上出氏】今週になってから、菅総理への内閣支持率が下がったりしていろいろ新聞でも書いておりますが、外務大臣のお立場でいろいろな外国との交渉などにとって何らかの形で不利益になっているなというようなお感じがあるのか、全く関係がないのか、その辺のご所見をください。
【大臣】そういったところは、結果として後から振り返ってさまざまな分析は可能なのかもしれませんけれども、現段階ではおかれた状況の中で私どもとしてはベストを尽くすわけでありまして、特に政権の支持率といったものから直接外国との関係で何らかの支障が出たということは今私(大臣)としては認識しておりません。
【NHK 稲田記者】ASEANやARFというのが非常に近づいてきています。それを前に米中でも先ほどマレン議長が中国に行ったりとか、米中や中国と東南アジアの国々との対話というものが急速に進められていますけれども、改めて大臣としてこのフォーラムへの出席のご意向はどうなのか、また、出席した場合にどのように対応していこうとお考えなのか、お聞かせください。
【大臣】それぞれの国にはそれぞれの政治の文化というか決まりというのがありますので、我が国の場合は閣僚は国会のご了解を得て、ご理解を得て海外へ出るというのが原則基本になっておりますので、現段階ではARF等を含むASEAN関連外相会合というのは既に日程は国際的に決まっておりますので変えようがありませんし、日本も毎年出席してきているものでありますから、これについて出席が可能かどうか今後国会にお諮りをするということになるだろうと思いますので、すべてはその結果を待ってからコメントしたいと思います。
【読売新聞 白石記者】南スーダンについてお聞きします。明日、南スーダンが独立することになっていると思います。先日、日本も閣議で承認をするということになりました。独立について日本として、今、どのように考えているのか、また今後、日本からの支援や国家の安定に向けてどういったような役割を果たしていきたいとお考えになっているかというのをお聞かせいただけますでしょうか。
【大臣】今お話がありましたように、明日9日に独立の記念式典が行われ、我が国としては明日付けで国家承認をし、同時に外交関係を開設をする予定になっております。我が方からは、菊田真紀子大臣政務官が独立記念式典に出席をする予定で、今まさに現地に向かっているころではないかと思っております。
私どもとしては、これまでのスーダンと南スーダンについては、これまでの包括的な和平合意(CPA)のプロセスに基づいて、ここまでの歩みが着実に進んできたわけで、明日の独立ということは南スーダンの皆さんに心から祝意を表したいと思いますし、また、スーダンのこれまでの協力によってCPAのプロセスが進んできたことも歓迎をしたいと思っております。国際社会としてもこれをバックアップをしながら、そしてまた、時にはこれを推進すべく関係の国々と努力をしてきたわけです。私(大臣)自身も昨年の秋に国連のスーダン閣僚会合に副大臣の際に出席をいたしました。日本としては、これまでもアフリカ全体の支援も行ってくる中で、スーダンに対しても安定的な推移が見られるように取組をしてきたわけですけれども、今後も独立後、着実な発展を遂げていくように、私どもが出来る支援というのがどのようなものがあるのか、具体的に検討して、また進めていきたいと思いますし、同時に国際社会とともに、まだいくつか南北間の課題も残っておりますので、これが対話の中で平和的に解決をするようにということを国際社会と協力をして、そういった方向に進むようにということにも努力をしていきたいと考えています。
【共同通信 斎藤記者】7月中旬に提出予定といわれている二次補正(予算)に外務省から風評被害対策を盛り込むと側聞しております。この風評被害対策は具体的にどういった目的を持って、どういう事業、どういう効果を期待するのか、この点について大臣のご所見をお願いします。
【大臣】外務省としては、今回の二次補正に関しては日本ブランド復活のための対外発信力強化として約15億円の予算を要求しているところです。これについては、今お話がありましたように、いわゆる輸入規制措置などに対して日本の産品の理解を深めることが必要である、またこれは喫緊の課題であるということで、できるだけ早い段階でこういった活動を実現できるようにということで求めていたもので、今後、予算策定される過程でできるだけ予算が認められるようにしっかり説明をしてまいりたいと思っております。私どもとしては、これまでも在外公館を活用した地方の魅力発信プロジェクトであるとか、対日理解促進のための招聘事業などを通じて、このジャパンブランドの復活・強化を図ろうとしているところでありますので、これをしっかり進めていくといったものに当てていく形で努力をしていきたいと思っているところです。
【共同通信 斎藤記者】震災から相当の月日が経ったわけですが、これまで風評被害、いわゆる国際社会による風評被害をどの程度抑えられたか、そして、現在の風評被害のレベルがどの程度にあるのか、大臣がこれまで見てこられた、感じてこられたものから率直な受け止めをお伺いしたいと思います。
【大臣】残念ながら、原子力発電所の事故がまだ収束をしていない段階でありますので、外国の皆さんが一定の懸念を持つことについて、全く否定をするわけにはいかないというのが率直なところであろうと思っております。そういう中で、我が国としても必要な検査や調査などを行って農水産物を中心とする産品については一定の基準を設けて、必要なものについては出荷停止を求めるなど対策をとってまいりましたし、また、人については、立ち入ることができない区域などをしっかり定める形で対策をとってまいりましたので、現に我が国で流通をしている産品等については安全であるということを是非理解をいただくように各国に対しても状況を説明し働きかけをしてまいりました。私どもとしては、一つは輸入規制措置も、実質的な輸入禁止措置と、それから輸入規制が禁止をしているわけではないのですけれども、手続きが大変複雑、もしくは負担がかかる手続きになっていることによって、実質的に貿易がストップをしているというケースがありまして、それぞれの実情に鑑みて、両方で対策をとってまいりました。輸入規制、もしくは禁止についても、例えば米国であるとかブラジルであるとか、私(大臣)が直接お話をしたところでも対象地域が縮小される等の効果が上がってまいりました。また、具体的にこの書面のあり方について、今、日本で進められているあり方に合わせてもらうことによって、実質的に輸出入、貿易が回復をするような措置もとることができてきたと思います。数字としてどのくらい出てきて何割くらいが回復をしているというのは残念ながら実情を把握するには至っておりませんし、元々何らの働きかけをしなかった場合にどうなっていたのかというのも、仮定の話ですので、少し分かりにくいところがありますが、私どもとしては、今できる限りの説明をしていく中で効果を上げつつある状況だと、引き続き努力をしていきたいというのが現状だと思っています。
【毎日新聞 犬飼記者】中国の江沢民前国家主席に関してですが、昨日辺りから危篤、もしくは死亡いう報道が内外のメディアで相次いでおります。これについて、日本政府として何か情報、もしくは中国から何かしらの連絡はあるのかということと、また、江沢民前主席については歴史認識問題とか、いわゆる対日強硬派として知られているのですが、亡くなった場合の日中関係、対日政策への影響についてはどのようにお考えになっているのか、もし何かありましたらお聞かせください。
【大臣】本件については 報道は承知をしておりますが、それ以上、私(大臣)から申し上げられることはありません。また、ましてや、亡くなった場合の話をするということは、とても私(大臣)が申し上げるような話ではないと思いますので、それについては申し上げられないと思いますが 、江沢民主席については、さまざまなお声があることは自由な国日本の意見として私(大臣)も承知をしておりますが、他方で来日した際には日中のパートナーシップの共同宣言をまとめられるなど、日中関係も来年40年を迎えますけれども、その中で一定の前進にも尽力をした部分があるというのも客観的に評価すべきではないかと思っております。
【共同通信 下江記者】南シナ海問題でお伺いしたいのですが、先日の日中外相会談でもこの問題は取り上げられたと思うのですが、中国が主張している二国間対話による解決というのをどう評価されるかということと、ASEANの中で議論がある行動宣言を行動規範に格上げすべきであるという議論があるのですが、この二国間対話と行動規範についてどう評価されていますか。
【大臣】日中での会談に限らず、私(大臣)自身としては海上の安全・航行の自由というのは国際社会の関心事である、世界の経済はつながっているということは今回の震災のサプライチェーンの問題でも明らかになっているように、世界の経済をつないでいる一つの大きな役割を果たしているのが海洋でありますから、その意味では海洋については国際的な関心事であるということは申し上げてまいりました。海洋について関係国の緊張が高まるような形になることは望ましいことではなく、高まるとすればそれは懸念されるということを申し上げてまいったということです。個別のやりとりについては具体的に今ここでもうしあげられることには限りがありますけれども、今申し上げたような趣旨の話は日中間でさせていただいたということは申し上げさせていただけると思っています。
それから、行動宣言を行動規範にするという話ですが、これはASEANと中国との間でそういう議論で2001年か2002年の行動宣言以降、そういうことで話が進んでいるというように思いますが、対話が進んで南シナ海が安定する状況になることは望ましいと思いますので、行動規範ということになって、事態が安定すると評価することができるのだとすれば、それが望ましいことだと申し上げたいと思います。
【フリーランス 安積氏】10月に菅首相が訪中されるというような話が出ているのですけれども、これについて、具体的に外務省の中ではどう進められているのか。
また、退陣ということがちまたで言われている菅首相ですけれども、10月、今から3か月後ですが、それまでもつという前提でこういうことを進められている、進められていたらもつという前提なのでしょうけれども、退陣がうわさされて、レーム・ダックになっている首相が外国に行かれるということは、外国にとってはちょっと失礼に当たるのではないかというような話もありますけれども、これについて、いかがお考えでしょうか。
【大臣】10月に訪中をするということは、私(大臣)は報道以外では見たことがありません。
日中間においても、首脳が毎年、相互に往来をしておりまして、今年が日本側から中国へ首脳が訪問をする番であるということは先般の日中外相会談でも確認をいたしておりますが、具体的なことについては、今年ということになると残り半年でありますから、これから調整しなければいけませんねというのが両方の認識であるというようにご理解ください。
【NHK 稲田記者】原子力発電所の再開をめぐって、ストレスチェックを行うということが昨日、急遽、発表になりました。そのプロセスをめぐって、菅総理や海江田大臣の間で非常に大きな認識があったというように理解していますし、本日の閣僚懇談会でも中野国家公安委員長から苦言が呈されたというように理解しています。
その原発をどうするかという、非常に大きな政策をどっちの方向へ持っていくかという大きな政治の判断がこのようにぶれて、しかも閣内や、当然ながら、地元からも非常に強い反発が出ていることについて、松本大臣としては、どのようにお考えでしょうか。
【大臣】所管ではありませんので、ぶれたのか、変わったのか、一致していないのかというのを私(大臣)が直接コメントをし、評価をする立場にはないと思います。
その上で申し上げれば、少なくとも、一政治家としてお聞きさせていただきますと、当該自治体はもちろんでありますし、聞かせていただいている関係者からすれば、必ずしも、この間の一連の説明を全部つなげてみたときに、わかりやすい、もしくは納得のいく説明に結果としてなっていなかったことは事実だと思いますし、玄海の町長さんが、一旦は再開とおっしゃったものを、撤回せざるを得ないという趣旨の話だったと思います。撤回するとおっしゃったのも、そういった説明が最終的にはご納得をいただけなかったという結果があるということは、やはり我々としても重大に受け止めなければいけないと思っております。
おっしゃったように、我が国においては、エネルギー政策というのは非常に、どこの国でもそうですけれども、特に先進国の我が国にとっては、エネルギーというのは、経済活動においても、生活においても、かなり重要な要素を占める内容でありますし、その根幹に関わる部分について疑念を抱かせた、もしくは先行きに不安を抱かせるような説明にとどまっているという状況は大変好ましくないので、早急にこれが解消されるように努力をしなければいけないと思っておりますし、既に同僚に努力をしていただいているものと思っておりますので、そういった早い結果を待ちたいと思っております。
【NHK 稲田記者】先ほどのエネルギー政策をめぐることについて、疑念を抱かせたことは好ましくないと大臣はおっしゃいましたけれども、何でそういうようになってしまっているとお考えなのでしょうか。
【大臣】抱かせようとしたかどうかがわかりませんので、一般的には内容が整理されてなかったのか、内容は整理していたけれども言葉が悪かったのか、そのどちらかしかない思いますが、いずれにせよ、我々の仕事はお伝えをして、きちんと理解をしていただいて、納得をしていただくのが、できればそうしなければいけない仕事でありますし、稲田さん自身が言われたように原子力政策は大変重要な政策でありますから、それについて結果として理解をいただく、納得をいただくことが今できているとは評価できないと思いますので、それは早急にその状況を修正していく必要があるということで取り組んでいただいていると思っているところです。
【NHK 稲田記者】先日、自民党の石破さんが、内閣改造を行ったので、不信任案を否定しないということをおっしゃいました。それを受けて、西岡さんは、それはありだという認識を示しましたけれども、本日、衆議院の川端議院運営委員長、松本さんの後任の方は、参院に言われる筋ではないという話をしていらっしゃいます。
そもそも、一時不再議という原則がある中で、衆参で認識が違うということについて、また、議長と議院運営委員長と、院が異なれども、そのような形で見解が異なっている、摩擦が生じていることについて、どのようにお考えでしょうか。
【大臣】一時不再議について、前議院運営委員長に聞くと、これも話が長くなる話だと思いますが、私(大臣)の記憶では、過去の例では、一国会で不信任案を二度出した例はあるはずです。あるけれども、たしか一時不再議で認められなかったということでありまして、これは、お出しになった方はできるという解釈でお出しになったのだと思いますし、院としては、内容を見る限り、一時不再議であるからできないという結論に達したのだと思いますので、その一時不再議の解釈をどうするかということについては、それぞれの党がそれぞれ、その場で解釈をされている部分があると思いますが、最終的には院でご議論をいただいて、結論を出していただくものだと思います。
【共同通信 橋本記者】TPPについてお伺いします。
本日の閣議で、海江田大臣が通商白書を報告したと思うのですけれども、その中で東日本大震災を乗り越えて、日本経済を再生させるために、TPPというのが、経済連携の強化が必要だという趣旨のことが書かれているのですが、この一連の政治のごたごたでTPPの議論というのが全然、国内的になされていないのですが、その現状について大臣はどう受け止められますか。
【大臣】昨年の包括的経済連携の基本方針においても、まず基本的に、経済連携の推進が我が国の将来を見据えた場合に必要だという趣旨のことを申し上げてきていると思いますし、その後の政策推進の基本方針であったかと思いますが、震災後にまとめた政策推進の在り方でも、やはり経済連携の必要性というものについては肯定的に認めていると。その意味で、通商白書においても政府の一致した見解を申し上げていると思っています。
ただ、物理的に、やはり経済連携についての議論は1から2か月、2か月ぐらいと申し上げた方がいいのかもしれません、実質的には我々もやる余裕がなかったということは事実でありますが、既にFTAAP・EPAの閣僚会合も再開されておりますし、関係をするさまざまな議論もスタートされていますので、これから、その議論を加速させていくというようなことで考えればいいのではないかと思っています。
【毎日新聞 犬飼記者】先ほど質問があった南シナ海の関係ですけれども、少し前の話ですが、先月21日のワシントンでの2+2で、大臣の方からこういうことを語ったという説明があったのですけれども、要するに中国は南シナ海と東シナ海で航行の自由との関係で摩擦が生じているという大臣からご発言があったという説明がありました。これは、南シナ海と東シナ海を並列して言っているということですけれども、この東シナ海にあえて言及したのは、去年の尖閣事件を念頭に置いているのかということと、更に南シナ海の問題が、尖閣諸島などがある東シナ海、日本の安全保障にとっても無関心ではいられないという趣旨でご発言したのかどうかお伺いしたいと思います。
【大臣】航行の自由・海上の安全という文脈でお話をさせていただいたと思っておりますし、南シナ海の、国名は挙げませんけれども、いくつかの国などがさまざまなことを言っておられるような状況の中では、客観的に結果として複数の国が、しかもいくつかの国同士の間で、異なる立場でやりとりが行われている以上は、摩擦が生じているというように状況として認識をせざるを得ないのではないかという趣旨のお話をさせていただいたと記憶しております。
【毎日新聞 犬飼記者】それは要するに南シナ海と東シナ海を並列したということについては、どういうお考えでおっしゃったのですか。
【大臣】南シナ海と東シナ海というのは、いずれも航行の自由と海上の安全という文脈でお話をさせていただいていまして、緊張が高まらないようにすることが必要だという趣旨でお話をさせていただいたということであります。
【毎日新聞 犬飼記者】そうすると、特に去年の尖閣とか、そういったことをあえて念頭に置いているということではないと。
【大臣】個別具体的な事象をそこで取り上げてというようなお話をさせていただいたわけではないと理解しております。航行の自由・海上の安全という文脈でお話をさせていただいて、緊張が高まることが懸念されるという趣旨でお話をさせていただいたように記憶しております。
【琉球新報 松堂記者】オスプレイについてお聞きします。昨日、宜野湾市議会がオスプレイの普天間飛行場への配備に反対する要請をしましたが、今後、地元が危険を感じているという理由で米国側に対してオスプレイの配備計画を撤回するよう日本側が働きかける可能性はあるのでしょうか。
【大臣】オスプレイについては、私どもとしてはまずオスプレイに関する情報をしっかりと収集して、地元の皆さんに提供させていただきたいと考えております。
この配備については、これまでの老朽化したヘリコプターから新しい機種に替わるものという趣旨の変更という位置づけだと理解しておりまして、まずはその情報を提供して、地元の皆さんにご理解をいただけるようにするのが、今の段階での私どもの立場であります。
【共同通信 斎藤記者】オリンピック、IOCの関係でお伺いします。北朝鮮の委員について、日本政府は今度、この北朝鮮の委員をOCA総会出席ということで受け入れをめぐって調整していると聞いております。この調整の進捗状況、ビザの発給手続状況、そしてこの問題についての大臣のご見解をお伺いします。
【大臣】現段階では、このOCAの総会が開催されて、ロゲ会長など、スポーツの関係者が多数来日を予定しているということは、私どもも聞いておりますが、北朝鮮の関係者については、改めて正式な査証申請があった段階で、適切に対処したいと思っております。
ご案内のとおり、北朝鮮籍者の入国は、特別な事情がない限り認めないということで、この特別な事情をどう解するかということは、直接はこれを所管する内閣官房のご判断になろうかと思いますが、スポーツの関連ということであれば、平成18年の原則禁止以降では、昨年2月の東アジアサッカー選手権決勝大会について、北朝鮮女子選手団について、特定の国・地域の者であることのみをもって差別することはしないとし、入国を認める方針であったと承知しております。
(1)ティム・グローサー・ニュージーランド貿易大臣の来日について
【松本大臣】ニュージーランドのティム・グローサー貿易大臣が来日されます。7月7日(木曜日)から12日(火曜日)まで、第3回日NZパートナーシップ・フォーラム出席のために来日をされる予定であります。この間に私(大臣)も会談をさせていだたく予定であり、今回の訪問で、日ニュージーランド関係が一層深まることを期待しているところであります。
(2)南スーダン共和国の国家承認について
【松本大臣】本日の閣議において、7月9日に独立する予定の南スーダン共和国について、我が国として、同日付で国家承認をする旨の決定を行いました。これを受けて、菊田大臣政務官に7月9日にジュパで行われる予定の南スーダン共和国独立式典に出席してもらう予定にいたしております。
【共同通信 斎藤記者】海の安全保障・航行の自由の関連でお伺いしたいと思います。南シナ海の領有権問題を巡っては、日本政府はいわゆる領有権を争っている当事者を含む多国間の対話を通じて解決をしようと、すべきであるという提案をしていると理解をしているわけですが、多国間の枠組みを通じた解決をなぜ求めるのか、なぜ一対一、いわゆる二国間対話での解決よりも多国間解決の方が望ましいと考え提案されているのか、この狙いと意義について大臣のご認識をお伺いしたいと思います。
【大臣】海上の安全・航行の自由というのは、海洋は通じて多くの国々がつながっておりますし、また、今回の震災のサプライチェーンの問題でもはっきりとご理解をいただけるようになったと思いますが、あらゆる国の経済というのがつながっている、そして、つないでいるものの大きな役割を果たしているのが海洋でありますので、海洋の安全・航行の自由というのは国際社会の関心事であるという面で国際社会における議論というのは、これを確保するための議論は必要であると考えております。そのような意味で、例えば海洋の安全や航行の自由に影響を与える可能性があるような緊張が高まるというようなことは避けるべきであると考えておりますし、それは国際社会の努力によってそういったものが避けることに資するのであれば、そういう努力もされるべきであるという考え方です。
【共同通信 斎藤記者】今の大臣のご発言の中では、特に南シナ海とか東シナ海という特定の海域を指摘した発言ではなかったとお聞きしたのですが、実際、、東シナ海と南シナ海という特定海域について大臣の理解としては、現時点で各国船舶の航行の自由というものは守られているのかどうか、この点についてはいかがお考えになりますでしょうか。
【大臣】現段階で直接的に航行に支障があるというような報告は聞いておりません。
【共同通信 出口記者】本日、名護市長が伴野副大臣のところにお見えになられて、先般の2+2合意の見直しというものを求められました。先だっては仲井眞知事が大臣のところを訪問されて同趣旨のことを伝えられていると思います。2+2を経て沖縄の思いというのが改めて鮮明になっていますけれども、大臣は今後、沖縄の理解を得るためにどのような働きかけをしていこうと考えられておりますでしょうか。できるだけ早い移設を実現するために、今の市長や知事が代わるまで待つのか、それとも今の市長や知事にどういった働きかけをしていこうと考えておられるのでしょうか。
【大臣】私どもとしては、普天間の危険性除去、そして、そのための移設返還ということが大きな課題としてあがってきたことを踏まえて、代替施設についてもさまざまな議論がこれまでも行われてまいりました。遡れば、具体的に普天間の移設返還ということが出てきてからでも15年というような時間が経っているわけでありまして、私どももいろいろな具体的な話については常に議論についてはオープンでなければいけないと思っておりますけれども、私どもとしては、これまでの議論の経過をもう一度踏まえ、今、我々として考えられる道としては、これまでの合意を踏まえた昨年5月の合意の道筋に則って進むこと、それを具体的には今年6月の2+2で確認をさせていただいたと思っております。是非とも、普天間の移設返還を実現したいという思いからも、その気持ちを私どもも持って、沖縄の民意を代表される立場の方々とは引き続き対話を続けていく中でご理解を得られるように努力すると、私(大臣)としては現段階でそのようなことをいわば真正面から求めていくということで進めていきたいと思っています。
【琉球新報 松堂記者】今、大臣が引き続き対話を続けていくとおっしゃっていましたが、本日、名護市長との面会に応じなかった理由と今後、地元の理解を得るために、名護市長に面会して受け入れを求めるお考えがあるのか、お聞かせください。
【大臣】本日、名護市長は、そもそも私(大臣)の方も国会の日程や私(大臣)自身の日程もあって、日程的にお会いできる状況にあったとはそもそも理解をしておりませんので、別に名護市長とお会いしないということを決めているわけではありません。ただ、名護市長については、これまで政府側の方のご説明はお聞きにならないとおっしゃっていたような対応をされたというようにも、少し聞いておりまして、その辺は正確に把握した上で対応したいと思いますが、むしろ市長の方が対話をしていただくということで今回お越しをいただいたのであれば、対話をすることを拒むということは全く考えていません。
【読売新聞 小川記者】昨日の日中外相会談で、海洋の問題についてやりとりがあったというように説明を受けておりますが、より具体的にお聞きしたいと思います。最近、中国の漁業監視船が尖閣諸島の接続水域のところを通行したり、中国海軍の艦艇が宮古島と沖縄の間を通過したりといった行動がありました。こうした行為は国際法に直接的には触れないかもしれませんが、大臣としては会談の中でこういった点について中国側に日本の立場をどのように説明されたのかお聞きしたいと思います。
【大臣】私どもとしては、一つは東シナ海における我が国の領土、領海についての立場については明確に申し上げてまいりました。また、海洋については航行の自由・海上の安全を確保すべきだということをお話をさせていただきました。東シナ海についても、これまで課題になってきている資源開発の国際合意締結交渉の再開を含めて東シナ海における協力についてもお話をさせていただくということもさせていただきました。東シナ海という言葉も使われておりますけれども、それ以上の個別のやりとりについては申し上げられる範囲にとどめさせていただきたいと思っております。ひとつだけ補足をすれば、これまで申し上げてまいりましたが、例えば危険な事案であるなどの、申し入れをすべき事案があるということの改善については、私(大臣)の方から申し上げたということは申し添えておきたいと思います。
【朝日新聞 大島記者】先ほど、自民党の外交部会で外務省の北野審議官の方から、「松本大臣の方からは漁船の海域への派遣について提起をした。海洋の安全について適切な対応を求めるという文脈の中で漁船の問題、航空機の艦船への近接飛行を取り上げ、適切な対応を求めた」というのが外務省の事務方の説明だったのですが、こういうやりとりがあったという理解でよろしいですか。
【大臣】全部は覚えていませんので正確に申し上げられませんが、確認します。
(補足説明)日中外相会談において、松本外務大臣から楊外交部長に対し、近年の中国の周辺海域での活発な活動に対し強い関心を表明する文脈の中で、会談前日の中国漁政船の尖閣諸島周辺海域への派遣、及び今春の中国政府航空機の我が国艦船への近接飛行といった我が国周辺海域での活動について、適切な対応を求めました。
【NHK 稲田記者】もう一人の松本大臣が就任されて、非常に短い期間で今回辞任をされました。ご本人も被災者に、言葉遣いについて傷つけてしまったのは申し訳ないということをおっしゃっていますし、被災地、そして野党、一部与党からも、そうした松本大臣の対応に対して非常に批判が噴出していました。
このような非常に短い間で復興担当大臣を辞任されたことの受け止めと、政権に与える影響、そして、新たに担当されることになった平野さんについての受け止めをお聞かせください。
【大臣】まず、松本龍復興担当大臣の辞任については、私(大臣)自身としては、非常に残念に思います。この場でも何度か申し上げたことがあるような気がいたしますが、私(大臣)自身も海外に出ておりましたので、言葉の全文を聞いておりません。報道だけ拝見をさせていただくと、私どもも言葉というのは大変大切に使わなければいけないという立場からすると、話した相手、もしくはテレビを通じてごらんになる方々に、必ずしも真意が伝わる言葉ではない、これは松本復興担当大臣自身もおっしゃっているようですけれども、そうであったことは残念ですけれど、否めないかなというようには思います。
ただ、例えば「知恵を是非出してほしい。出さない方は」というような発言も、その後に、「というぐらいの気持ちで」という言葉が入っていたやにお聞きをいたしますし、また、「是非地方に頑張れ」と言う前に、「国に甘えるところは甘えていい」という言葉が入っていたやにもお聞きをいたしておりますので、必ずしも松本龍復興担当大臣の真意も伝わっていないのかなというように思います。もちろん、我々がこうやってお話をする中では、発言をどういう形でお伝えをされるかということ自身も、メディアの皆さんのご判断でありますので、松本龍さんの人柄というのは、なかなか短い言葉では伝わりにくかったということは残念だなというように思います。
私(大臣)も民主党の国会議員を務めて11年になりますけれども、その間、松本龍さんという人の人柄というのは、本当に人を思う人であると思いますし、行動力と実行力もある方でありますし、私(大臣)もこの間、内閣の先輩でありますけれども、同僚として防災担当として事実上、復旧・復興の最先頭に立ってこられたのは、松本龍さんでなければ進まなかったものもたくさんあると感じております。
また、外務省としては、環境大臣として昨年の名古屋のCOP10、それからメキシコのカンクンのCOP16については、事実上、最前線で松本龍環境大臣が指揮をしていただいて、生物多様性もまとまりましたし、メキシコのカンクンで日本の考え方をしっかりと国際社会に伝えることができたというのも、松本環境大臣の大きな力だと思っています。
私(大臣)が報告を聞いている限りでは、日本の主張が大分通る形で会議が進んでいた分、海外の残念ながら主張を通せなかった方々は、「松本龍さんだからしようがないけれども、今後また巻き返すよ」という言葉があったぐらい、松本さんのお人柄と交渉力というのは国際的には高く評価をされていたと思いますので、非常にその意味では残念に思っております。
(復興担当大臣は)平野達男さんになったのですかね。私(大臣)も報道でしか拝見はしていないので正式にお聞きをしていないのですが、もし平野さんであるとすれば、私(大臣)も半年間、副大臣としてさまざまな複数の省庁にまたがる会議などでご一緒してまいりましたけれども、まさにありきたりの言葉ですが、人物、識見、能力、卓越した方だということは間違いなく言える方だと思います。また、この間、直接復旧・復興にも内閣府の副大臣として携わってこられましたし、ご自身が岩手県のご出身でもいらっしゃるわけですから、その意味ではまさに明日からというよりは、たった今からまさに戦力としてご活躍をいただけるのではないかなと思っております。
若干気になるのは、非常に幅広い分野をカバーされていた副大臣でいらっしゃいますので、副大臣の後をどなたがおやりになるのか、余人をもって代え難いというのはむしろその部分ではないかと思うぐらい大変能力の高い、また、仕事をされてこられた方ではないかなと思います。
【NHK 稲田記者】政権への影響をお尋ねしたのを改めてお伺いしたいのと、今回、特に党側に何も説明がなかったということで、安住国対委員長は公然と総理を批判していらっしゃいます。菅政権については既に総理の退陣の時期をめぐって非常に求心力が落ちているということもありますけれども、改めて政権に対する今回の辞任の影響と、与党内から、しかも執行部の幹部から公然と1秒でも早く辞めてくれという声が上がっていることについてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
【大臣】私(大臣)としては、今の内閣としては、最優先課題の復旧・復興を1日も早く進めると同時に、外交は各国とも動いておりますので、1日もゆるがせにできないということで、ここに万全を期するのみであります。
【テレビ東京 秋山記者】7月1日から運用が始まりました中国人観光客へのマルチビザに関してですけれども、これについても改めて意義と効果、そして沖縄の効果も含めて期待という意味でお願いします。
【大臣】関係の省庁ともいろいろ打ち合わせをして、ビザを拡大するに当たっての課題というのを克服しつつ、課題の中で問題ができるだけ発生をしないようにということでいくつかの条件を付ける形でマルチビザの発給をさせていただきました。これは地元からもご要望をいただいたということもあります。
長い目で見た場合には、やはり是非開かれた国にしていきたいと私(大臣)は考えておりますし、また観光というのは、少し前までは我が国においては必ずしも中核的な産業の位置づけのイメージを持たれることは少なかったのではないかと思いますけれども、本格的に取り組むと、この観光というのは相当大きな経済・雇用効果が期待できる分野でもあるというように思っておりまして、その意味では、近隣であり、かつ今後大きな需要が考えられる中国に対する観光需要の喚起をする制度を進めていくということは非常に重要だと思います。
ちょうど、沖縄の皆さまからもご要望をいただきましたので、是非これを活用していただいて、良い結果が出ることによって、沖縄の活性化にも、またその沖縄を起点に我が国の活性化にもつながるということを期待したいと思います。
【フリーランス 上出氏】もう一人の松本大臣の辞任に関連して、ちょっと見過ごしにできない問題がありまして、ほかの大臣にもお聞きしたのですが、冗談めかして言ってはいたのですけれども、言ったことに対して、「今の言葉はオフレコだから、これを書いた社は終わりだからな」という言い方をしています。これはテレビでも新聞でも書かれているのですが、本来であればマスメディアは抗議をしなければならない問題、要するに一般の国民や私たちフリーから見ると、こういうオフレコということで大事なことが報道されないのではないかという誤解を招く、あるいは本当かもしれないのですけれども、そういう発言でもあるので、ほかの大臣も含めて、こういったことを発言するということに関しては、やはり私たちもきちんと聞いておかなければならないと思いますので、実際に中国に行っていておられなかったわけですが、報道などでご覧になっていると思うので、このようなことに対してのご見解をお聞かせいただければと思います。
こちらはオープンにやっていただいてはいるのですけれども、基本的に大臣の会見というのはオフレコなどということはあり得ないわけでございますから、いかがでしょうか。
【大臣】あそこの場面と状況とがわかりませんので、あのオフレコという言葉が適切だったか、不適切だったかということを判断することは、私(大臣)としては今ここではコメントを申し上げることは控えさせていただきたいと思います。一般的に、私(大臣)自身ということはなかなか考えにくいかもしれませんが、何らかの形でバックグラウンドを説明するとか、そういうときにそのまま引用しないという意味でのオフレコというのはあるかもしれません。
また、あとは、あの場面が正式な会見ではなかったわけなので、まさに先ほども松本龍大臣の発言でも申し上げましたけれども、会見ということではなくて、何らかの、たまたま出会ったとか、たまたま話をするときに非常にわかりやすい比喩を使ったりというのが、そこにおられる方々の間では適切に理解をされても、その言葉だけが独り歩きすると、必ずしも適切に理解されないような比喩を使う場合には、今の表現はそのまま引用しないでほしいという意味で、オフレコにしてほしいということを言うことはあるのではないかと思いますけれども。ですから、あれもどういう場面と、どういう雰囲気と、どういう状況であったかということによると思いますので、その是非を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。