(1)臨時国会召集
【岡田大臣】まず、先ほど天皇陛下のご臨席をいただき、国会開会式が行われました。今回は短い期間ではありますが、参議院選挙によって参議院の構成が変わった後の初めての国会であるということで、しっかりと気を引き締めて頑張りたいと思います。外交案件は幸いにして全会一致ということが、条約案などの審議で多いわけでありますが、丁寧に、そして与野党での話し合いということをしっかりと行っていく中で、充実した国会審議を経た上でさまざまな条約案や法案が可決されることを期待したいと思います。私(大臣)の方もできる限り、与党だけではなくて、野党の皆さんに対しても、さまざまな説明など時間を割いて丁寧に進めていきたいと考えているところです。
(2)スリランカ・ピーリス外務大臣及びラージャパクサ経済開発大臣との会談
【大臣】2番目ですが、昨日、スリランカのピーリス外相、それから、ラージャパクサ経済開発相と会談を行いました。全体で2時間強ありましたので、いろいろな話し合いができたわけでありますが、私(大臣)からは、内戦末期になされたとされる人権侵害の問題について、まずどのように対応していくかということについて、かなり意見交換を突っ込んでやりとりを行いました。その過程で問題になったのは、国連のパネルといいますか、一時期、国連との対立状況もありましたので、そこのところについて、彼らが自分自身の努力としてやろうとしていることと、それに対して国連事務総長の下の3人の専門家といいますか、パネルがどういう役割を果たすのかということについて、意見交換を行ったところであります。この件に関して、もう一つは、最後まで紛争地であった北部へなかなかメディアとかNGOが入りにくいということについても意見交換をいたしました。その前に2人はジャパン・プラットフォームとも意見交換をしておられたということですが、ジャパン・プラットフォームに属するようなNGOであれば、そういう制限はしないということでありましたので、そういう意味では多くの日本のNGOは入ることができるのかなと思いますが、そういったNGOの力も是非活用して、国内避難民の生活の保証といいますか、改善といったことにしっかりと取組んでもらいたいということを申し上げました。
メディアに関しても、もちろん日本のメディアも含めて、既に入っているメディアもありますが、より改善を求めたいということで、両大臣の方から日本のメディアを含む外国メディアについて、多くの取材の機会を与えることについてよりオープンにやりたいということでありました。とはいえ、許可制ではありますが、その許可に当たって、いろいろな条件を付けることなく対応するということについて、両大臣は非常に前向きな対応をされましたので、また皆さんの中でスリランカの北部の現状について実際に取材をするということをしていただければ、そのメディアを通じて国民にも現状が正しく伝わるということです。どういう現状かということは、私(大臣)は申し上げませんが、私(大臣)からは、そういったことで国民がきちんと理解をするということが現状を理解し、本当に事態が改善しており、例えば、国内避難民の数がこれだけ減ったとか、生活がこれだけ安定したということは、言葉で語ってもなかなかわからないわけで、現実にそういったことがメディアを通じて伝えられれば、我々としても本格的な援助がし易いということを申し上げたところであります。もし、皆さんの方でそういうご希望があって、そしてスリランカ政府との間の話し合いが上手くいかないということであれば、外務省としても働きかけをしっかりと行っていきたいと思っております。
(3)対スーダン緊急無償資金協力
【大臣】3番目はスーダンへの緊急無償の問題で、本日の閣議で発言をいたしました。来年1月に行われる予定の住民投票の実施を支援するために、UNDPを通じて約817万ドル、7億6800万円の緊急無償資金協力を行うこととしたということでございます。この住民投票は皆さんご案内のように、2005年の包括和平合意の履行の最終段階に当たるものであります。その重要性にかんがみて、円滑な住民投票、公正かつ円滑な実施を支援するためのものでございます。本日の閣議で、そのことについて発言をさせていただきました。
【琉球新報 滝本記者】昨日、沖縄の普天間の飛行場をめぐる爆音訴訟というものの控訴審判決が出まして、そちらの中で一審では認めていなかった低周波という、ヘリコプター特有の低周波の健康被害の認容も盛り込まれました。従来、危険性の除去ということで一刻も早い移設完了ということですけれども、現状にある危険性、あるいは騒音被害ということに、普天間の危険性除去ということの文脈で、今、まずしなければいけないということがやはり直近にあるのではないのかなと思います。そういうことについて、現状、大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】判決が出たことは重く受け止めなければいけないと思います。そして、そういう騒音の被害というものを軽減するために、米軍と、米側との話し合いについてもしっかりと行っていきたいと思います。日米合意の中にも騒音の軽減ということも含まれております。しっかりと米国政府側と話し合いを行っていきたい。日米合同委員会もありますが、そこで前進しない、十分でないものについては、私(大臣)のレベルでもしっかりと話をしていきたいと思っております。判決が出ましたので、改めてこれを機会に、どこかの機会でルース大使とも話し合ってみたいと思っております。
【TBS 樋口記者】普天間関連でお聞きします。繰り返しこの場でも質問に出ているように、8月末までの専門家の協議を終えて、その後、2+2ということは既に決まっていて、ずっとこれからも普天間問題についての日米との、あるいは国内での調整が続くと思いますけれども、そこにおける11月の知事選の位置づけを大臣はどのようにとらえていらっしゃいますか。
【大臣】日米合意の中に何か知事選のことが書いてあるわけではありませんし、前提にしているわけではありません。日米の話し合いは話し合いとして、しっかりと決められた8月末、それから2+2は速やかに行われるように努力していきたいと思います。
【琉球新報 滝本記者】普天間関連で今、質問が出たことにも関連するのですが、地元の沖縄の理解を得るべくということを常に大臣も仰っておられて、いよいよ福山官房副長官が沖縄に来月にも行かれて、沖縄との対話スタートかというような報道もあります。沖縄との対話ということが8月末の日米合意までにスタートすべきということになっているのかどうかということと、沖縄との対話はどのように進めていくべきだと大臣はお思いになりますでしょうか。
【大臣】特に負担を緩和するための、日米合意の中にも出てくるさまざまな項目について、沖縄の意見もよく聞かなければなりません。先ほどの騒音の問題もその一つでありますが、そういうことについて、今でもワーキング・グループというのですか、ワーキング・チームでしたか、そういったレベルでの話し合う場はありますけれども、もう少しきちんと、そういった沖縄の声を受け止める場ができないものかと思っておりますので、今、政府の中でいろいろ議論を行っているところです。
【琉球新報 滝本記者】確認です。今おっしゃられたワーキング・チームというものは、大臣、どのことを指しておられるのでしょうか。沖縄県知事と政府とが参加してやる協議会とかという意味でしょうか。
【大臣】知事レベルではなくて、部長レベルのものです。
【琉球新報 滝本記者】地元も参加しているものですか。
【大臣】はい。沖縄で行っているものです。
【琉球新報 滝本記者】普天間の件ですか。
【大臣】普天間というより、沖縄の基地全体の問題についてです。
【琉球新報 滝本記者】それは外務省も入ってのワーキング・チームのことですか。
【大臣】そうです。
【琉球新報 滝本記者】わかりました。ありがとうございます。
【NHK 市原記者】専門家の協議が8月末まで進められている中で、来週には審議官級の協議も行われるということが伝えられていますけれども、このタイミングでの審議官協議では、どのようなことに重点を置いて話し合われることを期待されていますか。
【大臣】そういう中身の、途中の問題はお答えできませんので、8月末を目指してしっかりと議論していきたいと思います。8月末までには、位置とか工法とか、そこに書かれたとおりですが、そういったことについて議論を、前回は課長レベルで、今回は審議官クラスで行っているところです。
【北海道新聞 島田記者】北方領土に関してお願いします。先日、一部報道で、択捉島に日本人がロシアのビザを取得して、商用で択捉島に渡航したという話がありまして、実は私、その社長に取材をしたところ、その事実を認めた上で、他にも多くの、例えば水産加工技術の指導とか、魚の買いつけなどで行っているビジネスマンが日本から沢山行っているというお話をされていました。現実的に、そういう日本人がかなり行っているようなのですけれども、その点を大臣はどのような形で把握しているかということが一点。あと、これはやはりロシア側の実効支配を強めることにもなりかねないと思うのですが、こういう点について調査などをする考えなどはおありかということをお願いします。
【大臣】まず、そういう報道があったことは承知しております。そして、それが事実であれば極めて遺憾。当該日本企業に対して厳重に抗議をする必要があると考えております。同時に、事業の関与の即時中止を求めたいと思っております。外務省としても連絡を取ろうと努力しておりますが、なかなかつかまらないというのが本日の昼頃までの現状であります。すなわち、当該業務の具体的内容、それから、対応などを見ますと、あたかも北方領土に対するロシア連邦の管轄下を前提としたかのごときものがあるとすれば、これは北方領土に関する我が国の立場と相入れないということであります。我が国国民がロシア連邦の出入国手続に従うことを始めとして、ロシア連邦の不法占拠の下で我が国国民が北方四島へ入域することは、あたかもロシアの領土であるがごとく入域することになるということで、これは平成元年9月19日の閣議了解に反するものということでございます。
【北海道新聞 島田記者】その当該の方の調査は、今、確認中ということですけれども、具体的に調査などをされたり、するべきだというお考えなどはありますでしょうか。
【大臣】事実をよく把握する必要があると思います。ですから、他にもあるという情報があるのであれば、その実態について調べてみる必要があるということです。少なくとも注意喚起をしっかりと行う、つまり、閣議了解というものがあって、それに反するということを十分に周知徹底する必要があると思います。
【日本インターネット新聞 田中記者】大臣が冒頭に仰られましたスリランカの日本メディア、許可制でなく入れるようにする。
【大臣】いや、許可制だけれども、そのときにいろいろな条件を付けて、事実上、入れないということはないようにするということです。
【日本インターネット新聞 田中記者】ということですが、私、このスリランカの北部地域、過去2度ほど入って、民宿のようなところに泊まりながら、ずっとタミルの方々の生活を見て歩いたので、今度、もし入れるようであれば、どこがどう変わって、国内避難民がどうなっているとか、元に戻れなくなっているのか、一目瞭然わかるのですが、問題は、検問所を通るときに、いろいろ言っても、現場でいろいろへっちゃくれをつけられて、通してもらえないこととかがあるのですが、そうならないように、事前に大使館ルートで調整していただけるとか、何らかジャーナリストが入る場合、バックアップみたいなことはしてくださるのでしょうか。
【大臣】すべてのジャーナリストということなのかどうかです。相手側もいろいろな考え方があると思いますが、昨日の話し合いで日本のメディアについてはということで、両大臣は言っておられましたので、大使館としても努力したいと思います。
【日本インターネット新聞 田中記者】では、日本インターネット新聞社が入りたいといった場合はどうなりますでしょうか。
【大臣】ですから、すべてのということでは必ずしもないかもしれませんが、しかし、ここに出ている田中さんであれば、しっかり活動できるようにバックアップします。
【日本インターネット新聞 田中記者】ありがとうございます。
【毎日新聞 西岡記者】広島の祈念式典に潘基文国連事務総長や、ルース米国大使が参加されることについて、核軍縮や核不拡散を重点課題に掲げられる大臣としては、これをどのように評価なさるのか、そこをお聞かせください。
【大臣】それは大変歓迎すべきことであると思います。同時に、潘基文事務総長は、式典においてご発言もあると私(大臣)は承知しておりますが、そこで是非、率直に語っていただきたいということを期待しております。ルース大使も、米国大使として初めてこういう形で、いろいろな議論が米国政府の中にもあるかもしれませんが、そういう中でご出席いただくことは大変嬉しいことであります。
【中国新聞 岡田記者】関連して、今回、ルース大使が初めて米国代表としていらっしゃるということで、被爆地が求めているオバマ大統領の被爆地訪問について、いい影響があるのかどうかというのをお聞かせいただけますか。
【大臣】これは、基本的に日本が決めることではなくて米国政府がお決めになることなので、あまり日本政府、あるいは外務大臣である私(大臣)がそれに対してコメントするのはどうかと思います。まず、大きな第一歩が記されるわけですから、大使が来られるということで、その次のステップについて、我々も静かに期待をしたいと思います。しかし、最終的に決めるのは米国側であるということだと思います。
【毎日新聞 吉永記者】今の広島の関連ですけれども、大臣は今度、国連総会の時期に、非核国の外相などが集まって会議を開きたいと、日本などがある程度主導権を取っていく形で進めたいと(いうことですが)、今回の潘基文国連事務総長とか、もしくはルース大使が、米英仏という今まで参加しなかった国々が来たということは、どのような影響があるというか、効果があると思いますか。
【大臣】まず、国連を代表して潘基文事務総長が来られるということですから、国連の核廃絶に向けての取組み、核軍縮・不拡散といったことについて非常に追い風になると思っております。もちろん、潘基文事務総長は、もともと核の問題に熱心に今までも取り組んでこられましたので、そのことがより世界中に伝わるということは、世界全体の核軍縮・不拡散の動きを後押しするものであると思っております。フランスや米国の代表が来ていただくということも、これは核を自ら持っている、持っていないにかかわらず、やはり「核なき世界を目指す」というのは、世界共通の課題であるということを表していると思っております。
【フリーランス 安積氏】竹島問題についてお伺いします。韓国では簿班海洋公安庁が外国人大学生を対象に独島一日名誉灯台長体験ツアーのようなものを実施しているそうです。これは韓国が竹島を実効支配しているということを海外にアピールする一策だと思うのですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】竹島を巡るさまざまな問題については、従来から日本の考え方を伝えているところであります。それ以上、具体的なことは、私(大臣)はこの場で申し上げるつもりはありませんが、日本政府の主張というものはしっかりと伝えております。
【フリーランス 安積氏】先ほども具体的に仰らないということでしたけれども、国会の方でも質問主意書を出しても具体的な返答が政府の答弁で返って来てないということですけれども、国民にとっては、日本国政府がいつ、どのように韓国に対して竹島の領有を主張しているのかということは非常に関心事であるとは思うのですが、これについて公開されるというおつもりはあるのでしょうか。
【大臣】外交交渉の詳細について、いちいちは語らないということは今の野党が与党の時から行ってきたことであります。
【共同通信 斎藤記者】今の件で確認ですが、民主党が野党時代だったときから当時の自民党与党がやってきたという趣旨でご発言されたのでしょうか。そのくくりでお伺いしたいのですが、例えば、北方領土は我が国固有の領土であるが争いのある領土として、これまで大臣もぶら下がりであるとか、ブリーフであるとか、ときにはラブロフ・ロシア外相とのやりとりで、直接的な表現は避けながらも相当正確に趣旨をご説明されてきたことを、私自身も同行していましたから、よく記憶しています。やはり、竹島の扱いについては若干違うようにも受け止められるのですが、大臣ご本人としては北方領土、竹島いずれも同等に扱っている、同等に発表するときは発表し、同等に発表しないときは発表しないという位置づけで対応されているのでしょうか。
【大臣】基本的には同じ次元の問題だと考えますが、あとは具体的な場合に則して考えていかなければいけないということです。先ほどの北方領土の、日本人があたかもロシアの領土であることを前提にしたかのような手続きを経て入るということは、これは日本人自身の行動の問題ですから、そのことに対して、これは閣議了解に反すると我々は申し上げるわけです。それは状況によって対応が変わるということです。
【共同通信 斎藤記者】防衛白書の発表時期を政府が先送りしたと報道された件について、菅総理自らもコメントされていますので、これは一つの決着と言えるのかもしれませんが、大臣ご自身は今回の件について、何が原因であって、それに対してご自身どう考えられているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
【大臣】この点は既に官房長官も会見でお話になっていますので、それに尽きると考えております。それに加えることは特にございません。
【NHK 石井記者】昨日、民主党の両院総会が行われました。執行部批判等いろいろ出たかと思いますが、菅総理大臣は次の代表選にも出られるということを事実上表明されましたが、代表選に関して「選挙になるべきだ」という意見もありますが、岡田大臣はどうあるべきだと思いますか、また、大臣ご自身は立候補するお考えはありますでしょうか。
【大臣】代表選という仕組みがある訳ですから、それをどうあるべきかということを言うべきではないと思います。自然体で行われるということだと思います。候補者が他にも出てくれば選挙になるし、それがいけないということではないと思います。多くの党員サポーターもいらっしゃる訳ですから、我々がやるべきだとか、やるべきでないと、そういうことを言う立場にはございません。私(大臣)がどうするかということは、既に昨日のテレビ(収録)でも申し上げたとおりです。それに加えることはございません。
【日本テレビ 野口記者】先程、昨日テレビでご発言されたと仰いましたが、もう一度この場で代表選に関してどういったお考えなのかということをお聞かせ願いたいというのがまず一つ。そして、菅総理が出馬を表明されました。その菅総理の支持にも絡んでくるお話しになると思いますが、菅総理をもし支持されるのであれば、その理由も含めてお願いいたします。
【大臣】私(大臣)が申し上げたことは、総理大臣がそう短期間に代わるということは、日本の国益を損なうということで、やはり、ある程度長くやることが必要であるということを申し上げたところです。
【共同通信 斎藤記者】EUが独自の対イラン追加経済制裁をまとめて、既に発表しました。米国は米国で既に独自でやっておりますが、日本も今、安全保障理事会の内容に基づいて作業を進めていると理解をしております。日本としては、米国、EUそれぞれが、それぞれのメニューを出してくる中で、どういう形で、どういうバランスをとるのか、そして今後の対イラン関係をどう進めていくのか、これについてお願いします。
【大臣】追加的な措置については、現在作業中です。EU側も実際に実行に移されるのは多少時間がまだかかると理解しています。そういったEUや米国の措置について正確に把握をしながら、日本としてどういったことが取り得るのか、これはもちろん国内の企業、あるいは個人にも影響があり得る問題ですから、そういうことを総合判断しながら、そう時間をかけずに日本の対応というものを明らかにしたいと考えております。
【日経BP社 森記者】日本の石油会社は原油の取引について、円の決済を認める方向にシフトしているようですが、その点はどのように評価をされていますか。実際に対応する場合に円の決済を認めないということも検討されているのでしょうか。
【大臣】対応の中身は発表の時に説明申し上げたいと思います。
【共同通信 西野記者】イランのモッタキ外相とは、岡田大臣は就任されてから何度もお会いになられて。
【大臣】4回ですかね。
【共同通信 西野記者】私どももモッタキさんという人のことを知ったかのような気になっているのですが。さて、直近にお会いした時に、いわゆるウラン濃縮の20%濃縮の関係で、いろいろな前提をつけながらもブラジルとトルコの仲介案みたいなものについて前向きなことは言っていたのでしょうか。実は外電で、「20%濃縮はやめてもいい」というようなことを示唆し、米側も話し合いに前向きなコメントをしている状況なので、改めてお聞きしたいと思います。
【大臣】その外電をまだ私(大臣)は承知しておりませんけれど、この前カブールでモッタキ外相と会いまして、話しの中身はあまり従来、前回と変わらなかった訳ですが、ブラジル、トルコと合意したテヘラン合意の実施については、私(大臣)は、それはもちろんいろいろな前提がつきますが、そういった国際社会の理解を得ながら進めてもらいたいと申し上げました。それに対して否定的な反応はありませんでした。ですから、イランは基本的にそれを進めるという気持ちを未だにきちんと持っているというように私(大臣)は理解をしております。そして、もう一つは、それがきちんとできるのなら、20% 濃縮するということは必要がないではないかという形で、「医療用の濃縮されて加工されたものが手に入る訳ですから」というように申し上げた訳ですが、そこは残念ながら、今言われたような、そういうものはやめるとか、それを示唆するとか、そういう発言は、私(大臣)に対してはありませんでした。
【NHK 市原記者】米国の国務省がイランと北朝鮮への制裁強化に向けた連携を呼びかけるために、日本と韓国へそれぞれ担当の特別顧問と財務省の次官補代理を送るということを発表しましたけれども、この呼びかけに対しては日本としてはどのように対応するお考えでしょうか。
【大臣】日本としては、北朝鮮には追加措置をやる余地が少ないのですが、そういう中で既に追加措置を発表しております。イランに対しては、先程申し上げたように今、検討しているところです。米国政府ともよくコミュニケーションをとって、お互い連絡をよくしながら、協力しながら進めていくというのが日本政府の基本的なポジションです。
【東京新聞 竹内記者】冒頭ご発言になりましたように、本日臨時国会が招集されまして、再びねじれ国会になりました。ねじれの解消法として、仙谷官房長官からも言及がありましたし、自民党の一部からも出ているのですが、「大連立」ということが最近よく話題には上ります。「大連立」というものについて、一般論で結構ですので、大臣のお考えを改めてお聞かせ願いたいと思います。
【大臣】これは軽々しく言う話ではないと思います。具体的にそういう話し合いがなされているというように私(大臣)は全く承知しておりませんし、可能性があるというようにも承知しておりませんので、仮定の質問にあまり答えるのはいかがなものかと思います。いずれにしても、国会を少し動かしてみて、そういう中でお互い話し合いで前に進めることができるのか、できないのか、できない時にではどうするのかというのはいくつかの選択肢があると思いますが、そういうことは総理を中心に党の方でよく考えていくということだと思います。私(大臣)も必要があれば総理や幹事長に意見を申し上げることはあるかも知れませんが、こういう場であまりフラットにお話しすることではないと思っています。
(1)出張報告
【岡田大臣】それでは、私(大臣)からは、まず出張報告です。もう詳細には申し上げる必要はないと思いますが、アフガニスタンにおけるカブール国際会議、ベトナムにおけるASEAN関連会合、すなわち日・ASEAN、ASEAN+3、EAS、ARF外相会合、日メコン外相会合、その後、ベトナムとラオスの公式訪問ということであります。その合間を縫って、ベトナム、ラオスも含めて、全体で15の国の外相とのバイの会談を大体30分から40~50分ということで行いました。
今回、カブール会議は、カブールでこれだけの主要な国の外務大臣が集まってアフガニスタンの、あるいはカルザイ政権の支援ということで一致をしたということの政治的なメッセージは非常に大きなものがあると思います。加えて、そのことはやはりアフガニスタンの国民にも、大きな勇気付けになったのではないかと考えております。
ベトナムにおけるASEAN関連の会合はそれぞれ興味深かったわけですが、特にARF外相会合が非常に興味深い会合になったわけで、特に北朝鮮の問題と南シナ海の問題について、かなり活発な意見交換というと少し言い過ぎですが、各国外相がその強弱の差はあるにしろ、触れたということであります。
北朝鮮の方は天安号の沈没事案について、多くの国の外務大臣がこれに対する北朝鮮の批判といいますか、あるいは安保理議長声明に対してきちんと実行に移すべきといいますか、それをきちんと受けとめるべきだといったことを述べたわけであります。
私(大臣)が聞いていて、北朝鮮を擁護する声というのは、北朝鮮自身はともかくとして、ほかにはほとんど聞かれなかったと、全くゼロだったということではありませんが、多くの国が韓国に対して哀悼の意を表して、こういうことが繰り返されないようにという趣旨で話をされたと思います。
南シナ海の方は、南シナ海が平和であるためにASEANの国々がそれぞれ発言を行ったということであります。ASEANの多くの国、特に関係国から2002年の「南シナ海における関係国の行動に関する宣言」に基づいて平和的に解決することを求めるという発言が、これも強弱はかなりあるのですが、なされました。
全体の会合、発言は原則1回といいますか、時間的にいってそう長くは話せないのですが、私(大臣)もいつ発言することが一番いいか、効果的かということを考えて、韓国はかなり早い段階で当事者として発言をされましたが、最終的に各国がすべて発言して、残ったのが北朝鮮と中国と日本と米国という状況になって、その中で北朝鮮の朴外相が発言をされました。
北朝鮮側からは、例の調査、韓国政府中心に終わった調査というのがちゃんとしたものではないということを述べつつ、自らを擁護する発言をかなり大きな声で発言をされたということであります。
それを受けて、私(大臣)も手を挙げたのですが、クリントン長官が先に北朝鮮の話と南シナ海の話のそれぞれ含む一連の発言をされました。
私(大臣)は最後から2番目、楊潔箎外相の前だったのですけれども、この北朝鮮の問題について特にでっち上げといいますか、そういう発言が調査についてありましたので、「そういう発言は受け入れられない」ということを申し上げた上で、強く反論をしたわけであります。同時に南シナ海の問題についても、「アジア太平洋地域が海洋で結ばれている。周辺海域の平和と安定あるいは海洋交通の安全確保はこの地域の発展にとって特に重要であるということを発言させていただきました。
最後に楊潔箎中国外相が南シナ海の問題は二国間で話すべき問題ではないかということで、少し長くお話しになりまして、それを受けてもう一度私(大臣)の方から発言をして、最後更に楊潔箎外相が発言して終わったという流れでありました。
いずれにしても、ああいう場でこういった北朝鮮や南シナ海の問題がきちんと議論されたことは、私(大臣)はよかったと思いますし、南シナ海の問題は建設的な話し合いが行われて、今ある問題が前向きに解決されることを期待したいと考えております。
出張報告は以上であります。もちろん、ベトナム、ラオスではそれぞれの要人の皆さんと率直な意見交換ができたということであります。
(2)ピン・アフリカ連合(AU)委員長の来日について
【大臣】もう一つは、ピン・アフリカ連合(AU)の委員長の来日について、8月1日から3日まで外務省賓客として来日をされます。私(大臣)も当然、会談をいたしますが、AUが平和安全保障及び開発の両分野でより自由な役割を果たすようになってきたということにかんがみて、より一層関係を強化したいと考えております。
今年はアフリカ17か国が相次いで独立したアフリカの年から50周年に当たるということもあり、3日の午後にシンポジウム「アフリカ統合の現在と未来-新しい日・アフリカ関係に向けて」を国連大学において、こういったものを開催することにしております。ピン委員長には基調講演を行っていただくことになっておりますので、是非ご関心をお持ちの方はふるってご参加をいただきたい。ホームページに案内が載っているということでございます。
(3)ソロモン諸島への我が国の選挙監視団の派遣について
【大臣】もう一点は、ソロモン諸島への我が国の選挙監視団の派遣についてということで、8月4日に予定されているソロモン諸島総選挙において、自由かつ公正な選挙が行われることを支援するために、岩撫明在ソロモン臨時代理大使を団長とする本省職員、在外職員、民間有識者、合計7名からなる選挙監視団を派遣するということでございます。
依然として潜在的な民族対立が残る同国にとって、今回の選挙は民主主義の定着を図る上で非常に重要な選挙である。我が国の選挙監視団はソロモン政府の要請を受けて、UNDPが組織する国際選挙監視団の一員として従事するということで、我が国のほか、豪州やニュージーランドも参加をするということでございます。
【ロイター通信 久保田記者】普天間問題についてお伺いしたいのですけれども、今朝、首相や北澤防衛大臣が関係閣僚の方々と協議したと伺っているのですけれども、この協議の内容を教えていただけないでしょうか。お願いします。
【大臣】今朝、集まりましたのは、官房長官も記者会見で述べておられるように、私(大臣)の出張の報告も含めて、さまざまな問題を議論いたしました。もちろん、普天間の問題も話題になったことは事実であります。ただ、そう突っ込んだ議論をしたわけではありませんし、もちろん、総理の下で閣僚が話したことを明らかにするということは、基本的には、それはないということでございます。
【NHK 藤田記者】仙谷官房長官は午前の記者会見で、情報集約とか対応を考えていくと、官邸を中心に普天間問題を処理していくのだと。そのための仕組みづくりも総理と相談しながら考えたいと言っているのですけれども、それはどういうイメージなのか。外務大臣として、どう受け止めていらっしゃるかということと、それから、今後の普天間問題は8月末までに専門家で検討を終えるということが日米合意されているわけですけれども、今後どういう段取りをイメージされているのかを教えていただけますか。
【大臣】まず官邸が中心になってというのは当然のことであります。米国の関係もありますけれども、同時に沖縄の関係もありますから、全体の司令塔といいますか、官房長官なり、あるいは副長官にその司令塔を担っていただくということだと思います。具体的にだれがどうということについては、官房長官がお話になるべき話だと思っております。今後の段取りについては、日米合意にあるとおりであります。それ以上のことを特に申し上げることは、内容としては特にございません。
【時事通信 水島記者】今後の段取りで、日米合意に書いてある以上のことは今の時点ではないということなのですけれども、専門家の検討の完了を受けた2プラス2の開催時期は、12月28日の沖縄知事選よりも前にできるというような認識でよろしいのでしょうか。
【大臣】先ほど申し上げましたように、8月末に専門家の検討を終えるということは日米合意の中に書いてありますが、2プラス2の時期は書いてございません。ですから、先ほど答えたとおりであります。その前であるとか後だとか、まだ、それを申し上げる状態ではございません。
【共同通信 西野記者】ただ、余り遅くならないようにということは共同声明の中にも書いてあったと思うのですけれども、そこら辺はいかがですか。著しく遅くなってはいけないということは触れてあったような気がするのですが。
【大臣】具体的にどういう表現になっていましたか。
【共同通信 西野記者】そこまでは。不勉強で申し訳ありません。
【大臣】いずれにしても、この日米の共同発表どおりであるということを申し上げておきたいと思います。
【NHK 別府記者】この問題は、日米の外相会談でも出ましたように、沖縄の理解ということが非常に重要だと思うのですが、沖縄の知事選を待った方が沖縄の理解が得られやすくなるのか、あるいは待たない方がいいのか。いずれにしても、待つことによって理解が深まるというようには見ていらしゃるのでしょうか。
【大臣】そういうことも、現時点ではあまりお答えできません。私(大臣)の感想を言うわけにはまいりませんし、どう答えても、それはまた翌日の新聞に記事が躍るわけですから、新聞ではなくて7時のニュースかもしれませんが、それについてはお答えしない方がいいというように思います。
【共同通信 西野記者】そういったことも本日の午前中はお話しになられたわけですか。
【大臣】本日は普天間についても触れたということですけれども、そんなに深く議論をしているわけではありません。
【共同通信 西野記者】ただ、今後の8月の期限とか、その後、どうやっていくのかとかというようなことは、やはり政権にとってもかなり大きなことなのではないでしょうか。
【大臣】そのことと、本日話したかどうかは、また別の話だと思います。
【琉球新報 滝本記者】米国議会の下院の歳出委員長を務めていますフランク議員が、海兵隊の存在について、冷戦時代の遺物だと、沖縄に海兵隊がいる必要はないというような論文を、民主党だけではなく共和党の方との共同論文で出されたりというような形で、米国議会の中でも海兵隊の撤退論といいますか、不要ではないかというような、財政面も含めた背景があると思いますが、そういう声が出てきていることについて、大臣はどのように受け止められておられますか。
【大臣】国会議員の中にもいろいろな議論があるというのは、日本もご承知のとおりであります。ですから、私(大臣)が一つ一つについて、何かコメントするということはございません。
【フリーランス 上杉氏】先日ですが、米国の内部告発サイトのウィキリークスで、アフガニスタンに関する軍事作戦の機密情報が一部公開されました。それに基づくと、かなりこれまでの米国の政府の報告と違う部分があると思われるのですが、この内容によって日本政府のアフガニスタンへのいわゆる政策、それから、テロ特措法も含んだ部分について変更の可能性はあるのかどうかをお聞かせください。
【大臣】まず、その中身を詳細に承知しているわけではございません。分析をしたわけではございません。そういう段階ですから明確なお答えは非常にしにくいのですが、そもそも漏れたものが、それは事実なのかどうかということについても確認されておりませんので、特にそういった状態でコメントするのは適切でないと思います。
【フリーランス 島田氏】先日、タイで日本語でアニメソングを歌うカラオケコンテストが大使館主導で行われたという報道があったのですけれども、その後、外務省として、各国でこういうアニメとか、日本の文化を伝えるようなカラオケコンテストなどをやるような方針とか考えというのはおありでしょうか。
【大臣】すみません、タイのことは、私(大臣)は承知をしておりません。しかし、日本文化を伝えるための一つのいいきっかけになったのであれば、他の大使館においてもそういうことを考えるというのは、アイデアとしてはあり得ると思います。タイで行われたものがどういう状況だったのか、よく把握をしてみたいと思います。
【毎日新聞 西岡記者】本日から東シナ海のガス田の条約締結交渉が始まりましたが、今回の交渉のねらい、進捗状況、あとは見通し等についてお聞かせいただきたいと思います。
【大臣】これは交渉が始まったということでありますので、まだ、その途中の段階で詳細にお話しするわけにはまいりません。しかし、これは局長クラス、あるいは長官、長官というのはエネルギー庁長官です。長官クラスでのそういった話し合いというのは、長年、我々が求めていったもので、それがようやく始まったことは非常に感慨深く思っております。しかし、問題は中身でありますので、より充実した議論が行われるということを期待したいと思います。
今回、どういう議論が行われたかということについては、特に現時点でお話しすることはございません。私(大臣)が充実した話し合いが行われることを期待すると申し上げたのは、一般論として申し上げましたので、今回が充実していなかったということを意味するものではございません。
【共同通信 斎藤記者】ガス田関係ですが、中身はまさに協議中のことなので、お伺いしませんが、これだけ長年懸案となってきた問題です。大臣として、大体どれくらいのスパンで、この問題の落としどころを見つけていきたいのか、大体ゴールを何か月後、あるいは何年後というのでしょうか、大体決着に向けたイメージを説明していただければと思います。
【大臣】これは率直に相手のある話ですから、こちらだけの希望を述べることはいくらでもできます。なるべく早くということでありますが、実際、交渉をやってみないとわからない部分が多いと思います。
しかし、これはそもそもこの局長クラスでやろうと、今回始めるきっかけは、我々はずっと求め続けてきたわけですが、5月末の温家宝首相の訪日時の首相のご発言ということですから、そういう意味では、円滑に議論が、交渉が行われるということを期待しております。
【共同通信 斎藤記者】今回の協議では、少なくとも日中合意に基づけばテーマは2つあって、1つは北部海域の共同開発。2つ目は、白樺(中国名:春暁)への日本企業の出資参加と、2つの柱があるということだと思いますが、東シナ海はそれ以外にも、いろいろなガス田、既に中国側が開発済みのガス田もありますし、今後、開発される可能性のある有望な海域もあるわけですが、そうしたその他の海域について、どのように協議を進め、どのように開発への道筋を付けるつもりなのか、大臣のご所見をお伺いします。
【大臣】今、言われた北部海域における共同開発、それから白樺中国語で言えば、春暁プロジェクトについての日本企業の出資という2つの問題について、今、交渉が始まったばかりですから、それ以外のことについて、今、言うことは、それはちょっと時期的に早いのかなと、まず、この2つを確実にきちんと議論して結論を出すと、その信頼関係に基づいて、それ以外のことについても議論していくと、こういうことだろうと思います。
【琉球新報 滝本記者】海兵隊のグアム移転に関連してですけれども、米国の議会の方で、予算の原案からの削減の委員会の通過とかもありますけれども、報告書の方で、2014年までの移転完了というのがなかなか難しい、17年になるのではという見解を出されたりとかありますけれども、これは議会の1つの見方、そういう見方もできると思うのですが、米国の中で、そういう声が出てきていることについて、どのようにお受けとめになられるのかということと、それが更にひいては、普天間の移設について、どういう影響を与えるのかということを併せてお伺いしたいのですが。
【大臣】米国からは、まず、公表予定の報告書が報じられているわけですが、これは正式に公表されたものではないということですので、それに基づいて日本政府として何か申し上げるということではないと思います。ただ、米国側からは、2014年を移転完了のターゲットとしているということは変わらないという説明は受けているところであります。
したがって、2番目のご質問について、米国側が変わらないと、現時点では言われているわけですから、特にコメントすることはございません。
【琉球新報 滝本記者】グアム移転に関連して、地元の方ではインフラの整備とかも含めて、これのお金では足りないのではないかというようなことがグアム州政府の方は米国政府の方に要望なりを出されているようですけれども、そういう意味で、グアム移転全体の額が膨れ上がるのではないか、更に増額されることになるのではないかというような見立てもいろんな部分で出ているのですけれども、その関連で、日本側の負担が更に増えるのではないかという考えもありますけれども、そのことについて、グアム協定では枠を決めていますけれども、更にそれが増額という米国側の要求があれば、どのように日本政府として対応するのかということについては、いかがでしょうか。
【大臣】要求があればということですから、それは仮定の議論ですから、仮定の質問に対してお答えをする話ではないと、我々は今、決まったことについてきちんとやっていくということに尽きると思います。その前提が変わるということになれば、正式にそういうお話があれば、その時点でどうするかということを考えていくということだと思います。
【フリーランス 安積氏】7月17日に中国の珠海市の方で、3名の邦人が麻薬容疑で逮捕された等の報道がありました。今年4月には、同罪で4名の邦人が死刑に処せられていることから、今回も厳罰が予想されますが、これについてどのように対応されるというおつもりでしょうか。
【大臣】麻薬容疑ということで身柄を拘束されたということは承知しております。基本的には、それは各国が自らの法令に従ってやっていることでありますから、そのことについて、逮捕拘留そのものがおかしいという議論はできないと思います。今後、裁判が始まれば、裁判の状況などを見ながら、対象になった方のご要請に応じて、どういった日本政府としての対応ができるかということは、よく考えていきたいと思います。
残念ながら、既に死刑になった方々に対しても、日本国大使館としてはアプローチをして、その要請にお応えしたりしてきたという経緯はございます。日本国政府ですから、そういった容疑で逮捕されたとしても、日本人に対して法令の許す範囲で、できる限りのことはしていかなければいけないというように考えております。
【ブルームバーグニュース 坂巻記者】大使の任命についてですけれども、中国とギリシャにおいて、民間人を日本の大使とされましたが、例えば米国のようなところでも積極的な民間人の登用をしていきたいとお考えでしょうか。あるジャーナリストの名前も取り出されているようですが、いかがでしょうか。
【大臣】何回もよくその質問が出るのですね。そのたびに私(大臣)はお答えしているつもりですが、一般論として言うと、それは適材適所、いい人がいれば、それは必ずしも外交官である必要はないと思います。しかし、外交官の中には、非常に経験もあり、優秀な方はたくさんいますから、外交官だからだめだというつもりは全くありませんし、それはまさしく適材適所で考えていくということだと思います。
【読売新聞 川崎記者】25日にロシアで事実上の9月2日の対日戦勝記念日を定める改正法が大統領の署名で成立をいたしました。これに関しまして、先に武正副大臣の会見では、特にロシア側に何か申し入れるとか、そういうことはないようなことを仰っていたのですが、大臣に改めてお伺い致しますが、この記念日が定められたことについての大臣のご所見と今後に与える影響、それから、成立した後で改めて日本政府からロシア政府の方に対して何らかの申し入れや抗議等をしていないかどうかについて、改めて確認致します。
【大臣】ご存知のように、この改正法は先ず、9月2日を祝日とするものではない。第二に日本への言及も含まれてはいないということです。そういう意味では、我が国の立場に一定の配慮を行ったものであると考えております。しかし、「今回の法改正は現在の日露関係に相応しいものとは思えない。本件が日露関係に否定的な影響を及ぼさないように適切の対応して欲しい。日本側としては、今後のロシア側の対応を注視していく」旨の申し入れを行ったところです。
【読売新聞 川崎記者】今、大臣が仰られたことの確認ですが、ロシア政府に申し入れを行ったところといいますのは、これはいつの時点で申し入れをされたということでしょうか。
【大臣】27日、東京において、欧州局参事官から在京ロシア大使館の臨時代理大使に申し入れを行いました。
【世界日報社 山本記者】ロシアにとっては、ロシアの事情に詳しい人の説明によれば、逆に対独戦、いわゆる欧州をナチスの支配から解放したという意味で、この対独戦が終わったということがロシア人にとっては、戦勝記念日であり、ほとんど戦争の終わりであったという印象であったと。その後、極東のことで日ソ不可侵条約を破って攻めて、あるいは北方領土をその延長で占拠されたということは、ほとんどロシア人にとっては印象の薄いことで、いわんや歴史的にもほとんど習っていないし、当時生きて戦った人にとっても印象の薄い戦いであったという見方もある訳で、そういう意味ではこれを逆手にとってと言えばおかしいと思いますが、逆にこの「第二次大戦終結の日」という制定を踏まえて、日本側がどういう経緯でそういう終結になったのか、北方領土はどういうことで今の状態になったのか、ロシア人の一般的な見方としては、日本が領土欲でそれを主張しているというような印象も持っているやにも言われておりますので、そういった事実関係を逆に明確にすることで北方領土返還に対しての何かの布石に利用していけるのではないかという見方もあるのですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】8月15日以降、日本とロシアの間でどういったことが起きたのかということは、日本政府としては今までも主張をしておりますし、昨年12月、ラブロフ外相と私(大臣)が会談をした時も、主張はかみ合いませんでしたが、かなりこの問題で明確にこちらの考え方を説明をしております。
【共同通信 斎藤記者】根本的にこの問題は、第二次世界大戦の終わった日を8月15日とみるのか、それとも9月2日とみるのか、簡単に言えばここに対立点があると思いますが、9月2日を終戦の日とする見方に、これはロシアだけでもないようですが、こうした見方に一定の合理性があるのか、この点については大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】そこは定義の問題です。日本としてはポツダム宣言受諾の発表をしたということです、8月15日をもって無条件降伏を明らかにした訳ですから、そこで終わったというように考えている訳ですが、9月2日というのは戦艦ミズーリの艦上で日本が無条件降伏文書に署名をした日です。それも一つの区切り、つまり法的にはそこで戦争状態が終了したということも言えますので、9月2日そのものが適切でないかどうかということについては、一つの考え方としてあるのだろうと私(大臣)は思います。一般論として申し上げて、今回のロシアが9月2日を記念日にしたということが妥当かどうかということと離れて考えれば、日本政府としての意志を明らかにした日とサインをした日と、両方一つの区切りだろうと思います。
【NHK 別府記者】欧州局参事官からの臨時代理大使への申し入れの件ですが、一つはレベルとしてはこのレベルが妥当だという判断はどこにあったのでしょうか、よりもう少し高官で申し入れるお考えはなかったのかということと、申し入れの内容で「現在の日露関係に良い影響を及ぼすものではない」とのことですが、もう少し分かりやすく具体的にどういったメッセージを伝えたのか教えて下さい。
【大臣】まず、ベール駐日ロシア大使はロシアに一時帰国中です。したがって、臨時代理大使がロシアを代表して東京におられる訳で、臨時代理大使に見合った欧州局参事官から申し入れを行ったということです。中身は先程申し上げたところですが、第一に今回の改正法は現在の日露関係に相応しいとは思えない。日本国民、特に元島民の方々の感情にかんがみれば、このような法改正は残念である。第二に、今後本件が日露関係に否定的な影響を及ぼさないよう適切に対応して欲しい。第三に日本側として今後のロシア側の対応を注視していく。この三点の申し入れを行ったところです。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。先日のことですけれども、コーエン米財務次官補が来日しまして、核兵器開発の疑いのありますイランに関連しまして、金融制裁への協力を日本のメガバンクに直接要請したとの報道がございました。メインは財務省だとは思うのですけれども、原油調達への影響もあり得る問題でございます。現段階におきまして、大臣、外務省はこの米国独自の動きに対しましてどのようなご見解をお持ちでしょうか。
【大臣】今のお話は、まずこれは米国だけではなくて、EUも外相会議で決定を行いまして、そういう意味では、米国が自分だけでやっているのではなくて、こういった追加的な制裁について協力していこうという流れの中にあります。したがって日本としても、よくEU、米国の制裁内容等を吟味しながら、日本としての取り得る措置ということについて決定をし、発表をしたいというように考えているところであります。現在まだ検討している最中であります。もちろん日本の銀行が対応することについては日本政府が決定することであって、先般、米国高官が直接そういった発言をしたというようには考えておりません。意見交換をしたということだと思います。
【日本テレビ 野口記者】先ほど大使人事に関連しまして、大臣は適材適所だと仰いましたが、今度中国に行かれる丹羽大使ですけれども、歓送迎会の席だったということなのですが、中国の国防費に関して、大国として当然と言えば当然であると、要するに莫大な国防費を計上していることに対して、当然と言えば当然だというような発言をされたということですけれども、中国の国防費の不透明性等が批判される中で、大使として今度赴任されるというお立場で、それが適切な発言かどうか、適材適所の人事という観点からご覧になって大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】どういう発言をしたかというのは、全体を捉えなければ、一部だけ切り取って言うのは適切でないというように思います。丹羽大使が言われたことは、大国としては当然のことといえば当然かもしれないという趣旨のことは言われたと思いますが、それはいわば枕詞であって、中国の軍事費の透明性の重要さということをその時言われているわけですから、そのうち一部だけ切り取るという報道というか発言はいかがなものかと考えています。
【NHK 藤田記者】本日夕方に臨時閣議が開かれて概算要求の組み替え基準という言い方をするのか、1割削って出してきてくれと、政策コンテストをやって成長に繋がるような分については特別枠として1兆円を超える範囲内で認めますよということなのですが、今日の閣僚懇談会で議論をして閣内は収まったようですけれども、前原大臣などは非常に批判したりして、閣内でいろいろな意見はありますけれども、大臣としてはこのやり方をどう受け止めているのか。外務省としてはどう対応されていきますか、特に何を削って何を上積みで出そうとされているのかを教えて下さい。
【大臣】一律削減よりは、よく各大臣の意見を聞いて、実質的に考えてもらいたいということは、私(大臣)は今まで何度か発言をしてきております。しかし今日は特に発言をしませんでした。十分私の考えはもう伝えたつもりですし、そういうことも踏まえた上で総理や官房長官、あるいは玄葉大臣が一律10%ということを打ち出されたわけですから、今日は私(大臣)は黙って聞いていたところであります。いろいろな議論があり得ると思いますが、そういう方向でいくと決めたわけですから、正式に決めるのはこれからですが、その方針に沿ってしっかりやっていきたいと思います。外務省もなかなか厳しいところがあります。人件費の割合が高いとか、国際的に約束しているODAなどはかなりコミットしておりますので、10%と言われると相当厳しいなと思いますが、一方で我々、既存の予算を如何に組み替えて新しい物にそれを使っていくかということを、選挙においても述べてきたわけなので、「10%位削れなくて」という思いもあります。知恵と工夫をしながら、概算要求をまとめていきたいと考えているところです。
【毎日新聞 西岡記者】金賢姫元死刑囚の来日についてお尋ねします。大臣には以前にも質問させていただいたのですが、その都度「コメントできない」というお答えだったのですが、元死刑囚も帰国されて、その理由も消失したということで改めて金賢姫元死刑囚の来日の成果、評価、または日朝交渉にどういう影響があるのかという点についてお聞かせ願いたいと思います。
【大臣】今までコメントできないと言ってきたのは、政府として決めていませんでしたので、想像で物を言えないということで私(大臣)は申し上げて参りませんでした。たまたま私(大臣)が海外に行っている間にお見えになりましたので、実感としてはあまりよくわからないところがあるのですが、映像などで横田ご夫妻をはじめ関係者の皆さんとお会いして、十分な時間をとって意見交換もできたわけで、私(大臣)はそういう意味で拉致家族の皆さんにとって、ひとつの機会ができたのかなと思います。それから、もう一つは拉致の問題に関する国民の関心が改めて高まったという意味でも、意味のあることであったと考えています。
【共同通信 西野記者】辻元清美衆議院議員が社民党を離党しました。正式に記者会見をして、離党届を出したということです。これについての受け止めをお願いします。
【大臣】それぞれ議員の一身上のことですから、私(大臣)が何かそれに対しコメントするのは適切ではないと思います。ただ、辻元議員は非常に優秀な政治家であり、国土交通副大臣としても国会答弁を、私(大臣)は何度か聞く機会もありましたが、非常に立派な答弁をされておりましたので、大変能力のある方だと思っています。いろいろ考えた末でご決断された訳ですから、それ以上のことを私(大臣)が何か申し上げるつもりはございません。選挙でも応援に幹事長として確か2回行ったと思いますので、当選してくれたことは大変嬉しかったのですが、それ以降のことは彼女自身の判断の問題ですから、現時点で申し上げることはございません。
【共同通信 斉藤記者】ARFの会議で取り上げられた南シナ海の問題についてお伺いします。大臣は記者のぶら下がりで、南シナ海の問題について「日本としても無関心ではいられない」と発言したと聞いております。日本としてどういう形で南シナ海を注視していくのか。そして、我が国にとって南シナ海という場所がどういった意味で重要なのか。これは、東シナ海とは違って南側にあって、まだ十分ご存じでない方々もいらっしゃると思いますので、この南シナ海を注視している理由、そして、我が国にとっての重要性という点について、大臣のご所見をお願いします。
【大臣】南シナ海は交通の要所といいますか、マラッカ海峡を艦船が通過をしていくということですから、我が国の艦船も沢山航行する訳であります。従って、ここが非常に不安定になると、日本への通商に障害が生じるということになる訳であります。そのことが一つです。我が国への影響という意味ではそういうことです。もう一つは、やはり、ASEANの国々と中国との間で、あるいはASEANの国々の中で、領有権を巡っていろいろな見解が分かれている訳で、そういった不安定さというものが、このアジアの平和というものに対して影響を及ぼしかねないということです。私(大臣)は前から言っていますように、アジアを平和で豊かなアジアにすることによって、日本自身の平和や豊かさを実現していくと、これが最も基本的な日本の外交方針の一つであると考えておりますので、こういうところに不安定さがあるということは、早く解消したい、解消しなければならないと考えているところです。
【共同通信 斉藤記者】この問題に関して、もちろん、ASEANの国の中でも濃淡がありますが、総して言えば、ASEAN各国は南シナ海の問題について、米国であれ、日本であれ、他国も参加する大きなマルチの議論の中で議論したいというような意向があるように受け止められます。一方で、中国の方は、バイの中でこの問題を処理していきたいということで、若干スタンスも違うようです。この点、中国の主張ですが、いわゆる、領海問題、経済水域の問題というのは、バイで処理すべきではないかという立場について、どのようにお考えになりますでしょうか。
【大臣】その点は、私(大臣)がこのARFの場で、中国の外相の発言を受けて申し上げたところでもある訳ですが、先ほども申し上げたかと思いますが、「アジア太平洋地域が海洋で結ばれていると、そして、周辺海域の平和と安定、海洋交通の安全確保は、この地域の発展にとって重要である」と申し上げました。そして、領土問題というのは、最後は二国間の問題かもしれないが、これだけ、いろいろな国の主張が錯綜している訳ですから、まさしくARFの場などを使って建設的な議論をしてくべきではないかと申し上げたところであります。
【伊勢新聞 中森記者】大臣の地元の四日市港のことですが、国の戦略港湾に応募しているのですが、劣勢が伝えられています。地元では、有力大臣、岡田大臣への期待が高まっているのですが、どのように後押しされるか、教えていただけますか。
【大臣】私(大臣)も地元の伊勢湾港、名古屋、四日市、そこがスーパー中枢港に選ばれればいいなという気持ちはあります。ただ、やはり、これは客観的に判断をされるものだと前原大臣からも伺っておりますので、あまり口出しは過度にしないほうがいいと思っているところであります。
(1)フィヨン仏首相表敬について
【岡田大臣】まず、フィヨン首相を私(大臣)が表敬したわけですけれども、約30分間非常に有意義な意見交換ができたと思っております。それに先立って、菅首相と非常に充実した、特に経済の問題を中心に意見交換をされたと聞いておりますが、私(大臣)に対して、これは昨日のイギリスのヘイグ外相も同じなのですが、日本に対する関心がやや薄れていたかもしれないが、日本とフランスの重要性ということを改めて認識をし、しっかりとした関係を作っていきたいと仰っていただきまして、私(大臣)からは、それは日本が、総理大臣、外務大臣が毎年のように替わってきたということもその一因ではないかということも申し上げ、首相ご自身は日本に対して非常にご関心の深い方でありますので、日仏間のいろいろなレベルでの交流というものをしっかりと深めていきたいと申し上げたところであります。その他、アフガニスタンの支援の問題でありますとか、イラン、アフリカの開発問題、その関係で革新的資金調達、フランスは大変関心の深い問題でありますが、そういったことについて意見交換をしたところであります。
(2)ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動の継続について
【大臣】本日の閣議でソマリア沖やアデン湾における海賊対処行動の継続について閣議決定されたわけであります。今回の閣議決定は、7月23日で期限が切れる現行の海賊対処行動を更に1年間延長するものであります。私(大臣)からも発言をいたしましたが、ソマリア沖やアデン湾における海賊事案というのは、我が国だけではなく、国際社会にとって引き続き大きな脅威であるということで、海洋国家、貿易国家である日本にとって、海上航行の安全確保は極めて重要な課題であり、我々も参議院のマニフェストにおいても、自衛隊などの海賊対処行動を継続すると書いたわけでありますが、各国からも高い評価を受けている自衛隊による海賊対処行動について、日本国民の生命、財産の保護、海上輸送の安全確保の観点から極めて重要であるということを、私(大臣)の方からも発言をさせていただきました。閣議で異論なく決まったところでございます。
(3)外交日程について
【大臣】私(大臣)自身の来週の日程でありますが、7月20日(火曜日)から25日(日曜日)までの日程で、アフガニスタン、ベトナム及びラオスを訪問するということにしております。アフガニスタンでは、カブール会議への出席、ここにおいてはアフガニスタン政府が表明してきた国づくりの方針の進捗状況、あるいは今後の目標、国際社会の関与のあり方について議論をする見通しであります。
そして、その後、ベトナムで日ASEAN外相会議、ASEAN+3外相会議、EAS参加国非公式外相会議、日メコン外相会議、ARF閣僚会合といった一連のASEAN関連の会議に出席いたします。そして、同時に、バイの会談といいますか、各国の外務大臣が集まっておりますので、かなり数多くの外相会談を行う予定にしております。
併せてベトナムには、単に会議に出るというだけではなくて訪問するということで、ベトナムの首脳との会談、それから、ラオスも同じでありますが、有益な意見交換をしてきたいと考えているところでございます。
【NHK 禰津記者】先ほどの外遊の件ですけれども、アフガニスタンのカブール会議の出席についてですが、これまでアフガニスタンの復興支援会合はなかなか国会の日程などもあって、大臣は出席できなかったこともあると思いますが、今回はご出席されて、改めて、どういった日本としての立場を直接ご説明されたいか。その意気込みなどについて、お伺いできますでしょうか。
【大臣】先般もカルザイ大統領は日本にお見えになりまして、さまざまな意見交換をしておりますが、今回のカブール会議は、もちろんアフガニスタン政府から国際社会に向けて、自分たちがどういったことを行うのかという発信であるとともに、多くの国の外務大臣が参加をしておりますので、そのことを受けて、国際社会がしっかりとアフガニスタンを支えるということを内外に明らかにするという会議だと認識をしております。したがって、私(大臣)からもそういう観点に立って、日本の具体的支援についてお話をしたいと思っております。5年間最大50億ドルというのがありますけれども、例えばタリバン兵士の社会復帰の問題などについても日本政府として積極的に取り組んでいくことを申し上げたいと思います。やはりガバナンスとか、腐敗防止とか、そういうことも重要ですけれども、これは先般、カルザイ大統領以下、財務大臣や外務大臣がお見えになったときに申し上げたのですが、そういうことはもちろん国民の税金ですから大事なことですが、同時にやはり今のアフガニスタンの政権を信頼し、そして、しっかり我々が支援するということをメッセージとして発信したいと思います。あまりに手足を縛るようなことばかり言っていても仕方がないといいますか、もちろん、いつまでも国際社会は寛容であるということはないと思いますが、今のこの厳しい時期にしっかりと我々が支援するということを明確に発信することが非常に重要なことではないかと思っております。
【共同通信 斎藤記者】外遊というくくりでお伺いします。
【大臣】外遊という言葉はあまり好きではないので、なるべく使わないでください。
【共同通信 斎藤記者】では、出張にしましょうか。アフガニスタンではなくて、ARFの方ですが、お話の中にもARFに出席した際に、さまざまなバイ会談があるだろうという話でしたが、その中で、今回、北朝鮮の外相、朴宣春も出席するということを既に先方も表明していると記憶しておりますが、現地で日朝外相会談を開催するという希望を大臣はお持ちかどうか、呼びかけるご意思があるかどうか、この点をお聞かせください。
【大臣】今、具体的なことは何も決まっておりません。
【共同通信 斎藤記者】決まっていないとは思うのですが、岡田大臣の今のご自身のお気持ち、機会があれば、朴宣春外相と話したいのかどうか、お気持ちについてお伺いしたいと思います。
【大臣】これは、どこの国と話をしたいとか、したくないとか、そういうことは事前には言わない方がいいと思います。それは、相手もあることですし、周りの国々もあるわけですから、決まったときにお話ししたいと思います。
【NHK 別府記者】斎藤さんの質問の関連ですが、朴宣春外相と同じ部屋にいることになるわけですけれども。
【大臣】同じ部屋。
【NHK 別府記者】同じ会議場になりますけれども。
【大臣】それは、そうでしょうね。同じところに泊まるのかと思った。
【NHK 別府記者】同じ会議場にいることになりますが、それで、ARFというのはご存じのように、北朝鮮が唯一参加している多国間の枠組みですけれども、接触ということの際に、当然すれ違ったり、人と話しているときに、話の輪に入ってくるということも想定されますが、その場合の対処の方針というのは何かございますか。
【大臣】自然体です。あとは結果をお伝えしたいと思います。
【共同通信 斎藤記者】同じ関連の質問で恐縮ですが、実は今、大臣のご発言を聞いて、若干、私は意外に思ったのですが、つまり、この状況の中で北朝鮮と接触するということは、核実験、そして韓国の哨戒艦沈没、さまざまなことを起こしてきた北朝鮮に対して、日本は追加制裁、厳しい姿勢を示してきました。そうした中で、北朝鮮の外相と会うという前提そのものが、私はないのではないかと(思っておりましたので)、したがって、大臣はそうした可能性はないとお答えになるかと、私は予測していたのですが、若干違うので、そうするとその可能性は完全に否定できないのではないかと、私はそういう意識を持ったのですが、その点でもう一回確認してお伺いするのですけれども、会わないという考えはないのですか。
【大臣】これはどなたであれ、絶対に会わないと事前に公言するのは、私(大臣)は失礼だと思いますので、先ほどのお答えで尽きていると思います。
【NHK 別府記者】ちょっと観点は違いますけれども、ARFの場及びその前の各種ASEANの会合で、先の哨戒艦の沈没事件を受けて、日本としては北朝鮮の攻撃という立場ですので、各国にどのようなメッセージを大臣として呼びかけ、どのようなメッセージに対して同調を求めたいとお考えでしょうか。
【大臣】基本的に、これはある種、妥協の産物ではありますが、国連安保理における議長声明も出たわけでありますので、そのことを基本に議論することになると思います。もちろん、直接の当事者である韓国もいるわけですので、韓国がどのように言われるかということもあると思います。ただ一方で、ここが非難合戦だけになってしまってもいかがかと思っております。つまり、この問題以外にも議論すべきことはたくさんあるわけなので、基本的には我々、今回も天安号事件というのは誠にひどい話だと思いますけれども、しかし、それだけで年に1回の機会を非難するだけで終わってしまうということもいかがなものかとも思っております。
【共同通信 西野記者】バイ会談の関係ですけれども、北朝鮮という話に集中していますが、クリントン米国務長官や韓国や中国の外相も来るのですけれども、こういったところとも外相会談をやっていく方向だと考えてよろしいのですか。
【大臣】今、さまざま調整を行っているところであります。決まった段階でお話したいと思います。ほかにもASEANの国々からも外相が来られますし、そういった機会を最大限に生かしたいと思っております。
【共同通信 西野記者】米国の当局者は、クリントン米国務長官のアジア歴訪に関連して、日米外相会談が行われると、普天間問題も含めて幅広く議論が行われるだろうという見方を示しているのですけれども、日本政府の方はまだ調整中ということで、なかなかうまく調整が進んでないということなのでしょうか。
【大臣】米国は、よくお喋りになるなとは思いますが、まだ時間が設定できないのです。ですから、決まり次第ご連絡したいと思います。基本的にやる方向であることは間違いありません。
【NHK 別府記者】ARFの関係で、天安号の事件に関して日本のメッセージというのがあると思うのですが、ARFという場はどうしても数も多いですし、日本とは違うスタンスの中国もいますし、ASEANの国を見てみましても10ヶ国とも北朝鮮と国交もあります。この会合の中で北朝鮮に対する日本の立場というのに同調を得ていくというのは、なかなか簡単ではないと、なかなか全員が「そうだ、そうだ」と、「日本、米国や韓国の言うとおりだ」ということにならない会議だなという認識はお持ちでしょうか。
【大臣】それはどのレベルのことを求めていくのかということにもよると思います。ですから、議長声明がなされたということ、これは安保理で決まったことに基づいて議長声明が出されている訳ですから、その線のことであれば、これは多くの国が当然賛同されると思います。
【共同通信 比嘉記者】クリントン米国務長官との会談の見通しがあるということですが、今の時点で普天間問題について日米の外相でお話になるとすれば、どのような内容になるのでしょうか。
【大臣】現状について、日米の合意がある訳ですから、その状況についてお話することになるかもしれませんが、非常にまだ実務的な議論ですので、あまり中身に深く立ち入った話をすることにはならないのではないかと思っています。
【フリーランス 上杉氏】普天間問題について質問します。5月28日の日米合意では、8月末日までに、いわゆる工法決定、代替施設の位置、配置及び工法に関する決定を行うと、検討の完了を行うとなっているのですが、何をもって完了とするのかというのをもう少し具体的にお聞かせいただけますか。
【大臣】まず、8月末までというのは専門家の検討です。それ以上でもそれ以下でもございません。専門家がその専門性に基づいて技術的可能性を検討するということです。その結果としての工法とか場所というものが出てくるということです。実際に決まるのは2+2の場ですから、それまでにはさまざまな政治的なことも含めて、あるいは沖縄の受け入れ可能性とか、そういうことも勘案しながら政府としての決定になっていく訳ですが、あくまでも8月末は専門家としての結論というように考えて頂きたいと思います。
【フリーランス 上杉氏】その専門家の決定というのは複数案という可能性はあるのでしょうか。
【大臣】まだ議論している最中ですから、あまりいろいろなことを申し上げない方がいいと思います。ただ、複数案の可能性について、私(大臣)はかつてこの場で言及をしたことがございます。
【琉球新報 滝本記者】8月末までの専門家の方々の検討完了の内容は公表されるのでしょうか。
【大臣】まだ、そこも含めて、予め決めたものはございません。
【共同通信 井上記者】専門家の協議の内容を踏まえて2+2で決めるということですが、この2+2の開催時期、オバマ大統領が11月に来日する見通しという中で、その前までには2+2を開くというお考えでしょうか。見通しをお聞かせ下さい。
【大臣】そのことについては、まだ決めておりません。総理とも官房長官とも十分相談できておりませんので、今お答えするのは避けた方がいいと思います。
【共同通信社 西野記者】専門家間の交渉に関して、それを公表するのかも決めていないということでしたが、政治的な決定や沖縄の理解を得るためには何らかの段階で公表されないと、どういった形で決まったのかとか、理解の取り付けや政治的な判断の基準とか材料がないということになってしまいまして、ちょっと理解に苦しむのですが、今、2+2の時間の関係もまだ決まっていないところですが、もう少し整理していただけないでしょうか。大臣が考えている段取りについて11月もまだ決まっていないというような話になっているのでお願いします。
【大臣】それは私(大臣)が勝手に決めていいならいくらでも決めますが、新しい政権もスタートしましたので、よく相談しなくてはいけないと思います。まだそこまで至っていないということです。常識的には専門家で検討したものは結論が出れば、当然沖縄県側とも協議をしていくことになると思いますが、具体的に、大々的に公表するのか、それともそもそも専門家での検討という性格からしても、それを公表するという形にするのか、事実上それが明らかになるとしても公表するという形をあえて採らないのか、そういったことについてもこれからよく検討していきたいと思います。日米合意の中ではそういったことについて何も触れていないということであります。「公表しない」とは言っていません、「決めていない」と言っています。
【日経新聞 山内記者】普天間問題について、米国上院の歳出委員会が、グアム移転経費のうち、政府原案の7割削減を含む予算法案を可決したという報道がありますが、グアム移転が米国の議会の事情によって一層不透明になっているという見方がありますが、大臣はこれについてどう考えられていますか。
【大臣】米国の上院というのは最近の話ですか。ちょっと私(大臣)は、そのニュースを聞いておりません。理由もはっきりしておりませんので、確かに現在のグアムの状況から見て、今のスケジュールで物事を進めていくのは、環境負荷の問題とか、困難さもあるとの指摘もありますので、そういったことも踏まえての結論かもしれません。まだ、よく情報収集をしておりませんので、コメントは差し控えたいと思います。
【共同通信 西野記者】先ほどの質問の関連ですけれども、日米外相会談が調整中という段階で、日米合意に関連した今後の段取りとか、その運び方について日本政府の考え方が、選挙とかいろいろとあったことを分かった上ですが、まだ決まっていないというのは、あまりにもまずいのじゃないでしょうか。当然、日米外交の間で非常に懸案であることは間違いないわけで、政権交代があろうが、選挙があろうがそこら辺の段取りを一緒に確認していく作業の方が重要なことであって、何かまだ決まっていないというのは、そのまま訪米に出発されるということになるのでしょうか。決まらないままで。
【大臣】ですから、8月末に大々的に公表するかしないかとか、2+2も含めて、そういうことは決めておりませんけれども、物事は進捗状況を見ないといけません。しかも沖縄の皆さんの理解も得つつ、進めていかなければなりませんので、皆全てをかちんと事前に決めてやるというよりは、走りながら考えなければいけないところも多いということです。別に何も決まっていないとかそういうことではなくて、そこは緊密に連絡を取りながら、今の課長レベルでの専門家による議論を行っている、それは政府としての対処方針に基づいて行われているということであります。
【フリーランス 安積氏】朝鮮日報紙が韓国併合100周年に合わせまして、「日本政府が談話を発表する。その談話の内容は1995年の村山談話よりも踏み込んだ内容になるかもしれない」との報道がありましたけれども、それについてお考えをお聞かせ下さい。
【大臣】一つの憶測に基づいてお書きになった記事だと思いますが、そういったことについて、いちいちコメントする必要はないと思います。この100年にあたってどうするかということは、今、政府の中で検討中でございます。
【共同通信 斎藤記者】今の関連です。今の関連と申し上げるのは、日韓併合100年に向けた政府対話という意味であって、朝鮮日報とは無関係です。韓国側では、日韓併合100年に合わせて、日本の総理による新たな談話の発表というものに対する期待感が高まっていると仄聞しております。日本は既に村山富市総理の時代に村山談話が出ている訳ですが、これに新たに上乗せするというか、新たに総理の談話を韓国向けにメッセージとして発信するべきなのかどうか、この点について、外務大臣としても結構ですし、個人としても結構ですので、岡田大臣のご見解をお聞かせください。
【大臣】私(大臣)は外務大臣ですので、こういうものに個人の意見はないと思います。そして、政府の中で今、検討をさまざま行っているということです。この100年という一つのくくりの年について、どのような政府としての対応を行うかということを現在検討を行っているということで、その中身についてコメントすることは差し控えたいと思います。そして、50年で村山談話の話がありましたが、自民党の小泉総理も60年に同様の談話を出しているということを申し上げておきます。
【共同通信 斎藤記者】誤解を生まないために、今の大臣の話の確認ですが、検討しているというのは、将来出すであろう談話の案文について検討しているのか、それとも、出すか出さないのかを含めて検討しているのか、そこのところを整理して頂けると助かるのですが。
【大臣】「どういう対応を行うか」検討しているということです。
【朝日新聞 鵜飼記者】国家戦略室についてお伺いします。役割を見直して、総理に対する意見具申機関というか、アドバイスをするような機関にするというようなことですが、そもそもの構想としては、外交・内政の両面に渡って政策立案をするという発想だったと思うのですが、国家戦略室というのは、今後、外交に関してはどのような役割を担っていくべきだとお考えでしょうか。
【大臣】まず、国家戦略室の位置付けについては、総理によって異なってもいいのだろうと思います。何らかの法律が成立したということであれば別ですが、現状ではそういうことではない訳であります。総理がやり易い形というものがあるのだろうと思います。そもそもの発想は、省官房長官。調整はそれに代わって国家戦略室の長たる国務大臣ということだった訳でありますが、いろいろな試行錯誤があっていいと思います。そして、新しい今回の位置付けの中で外交というものが、どういう扱いを受けるのかということは、これはまだ我々も意見交換をしておりません。相互調整は官房長官がやられるということです。それは、本来的にそういう権限をお持ちな訳ですから、総理大臣の持っている相互調整権限というものを、官房長官がいわば代行するというか、現実に実施するということであります。一般論として言えば、全てのものについて相互調整というものは当然関わることであります。しかし、外交というのは、やはり二元外交になってはいけないというのが、私(大臣)の信念でありまして、そこの兼ね合いというものをどのように調和させていくかということです。そういう問題はどこの国でも実はある訳です。幸いにして、仙谷大臣と私(大臣)との間にコミュニケーションというのは、非常にしっかり取れる関係が出来ていると思っておりますので、よく相談しながら進めていきたいと思っています。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。国家戦略室、鳩山政権の大きな特徴の一つだったと思うのですが、もう一つ特徴としまして、これに関連しまして、東アジア共同体構想というのがあったと思います。現政権におきまして、今後、東アジア共同体構想について、具体的に発展、展開していくことはあるのでしょうかという質問です。
【大臣】基本的に、それは「イエス」とお答えしたいと思います。これは、鳩山総理だけではなく、菅総理においても、東アジア共同体というものに対して、非常にご関心をお持ちであるというように、私(大臣)は理解しております。したがって、この構想を更にふくらませていくということは、菅政権にとっても非常に重要なことだと、私(大臣)は認識しております。
【朝日新聞 石塚記者】資産公開に関連してお伺いします。今回、子供二人への預金についてなのですけれども、昨年の資産公開と比べてそれぞれ114万、110万というように増えているのですけれども、一方で贈与税というのは対象にならない額は年110万以下というようにされているのですけれども、今回の増額分は節税対策の一環ということなのでしょうか、それともたまたまということなのでしょうか。
【大臣】その質問は前回も出たのですけれども、私(大臣)というより、私(大臣)の父親が孫に対して、法律の認められた範囲でお金を贈与しているということであります。
【朝日新聞 石塚記者】増額分については。前回は額についてだけだったのですけれども、今回その1年間の増額分についてそれは節税対策なのでしょうか。
【大臣】節税対策という意味が良くわかりませんが、法律の認められた範囲で贈与を行っているということです。私(大臣)ではありませんので、誰に対する節税対策なのかと、もし節税対策という言葉をお取りになりたいのであれば。
【共同 土屋記者】関連で資産公開についてお尋ねします。まず発表されたご自身の資産についてどのように捉えられているかという点が一つ、もう一つは2度目の公開ですけれども、制度上の問題点や戸惑いとかそういったものを感じることがありましたらお尋ねしたいと思うのですが。
【大臣】今回はこれは閣僚としての公開だった、国務大臣としてのですね。家族も含めてということですが、それは当然のことだというように思います。本来、国会議員全体について同じような制度があってもいいのではないかと思っております。国会議員の方もそうですが、罰則とかそのようなものはあまりないのですね。もちろんうっかりということはままありますけれども、悪質な場合に対してそのようなことを許さないという仕組みというのはあって良いのではないかと私(大臣)はかねがね思っております。今回、私(大臣)の方もだいぶ借金を返すことができて大変うれしく思っております。議員年金がなくなったことは非常に悲しいことですが。
【北海道新聞 島田記者】PKOについて改めてお伺いしたいのですが、スーダンのPKOが派遣見送りとなりましたけれども、国際貢献の立場から外務省は派遣したいということがおありだったと思うのですけれども、今回の見送りをについて改めてお考えというか、ご感想を聞かせて下さい。
【大臣】一般論として言えば残念なことですけれども、しかし、やはりこれは関係省庁がきちんと合意をした上で送り出すべきものであって、さまざまな理由でそれが叶わないことであれば、それはやむを得ないというように思います。またチャンスがあればハイチに続いて是非日本のPKOがさらに活躍できるように期待をしております。
【日本テレビ 野口記者】現在、事務次官が中国を訪問してらっしゃいますが、その訪中の目的と、出発されるにあたって事前に大臣から何か指示をされたのかということ、鳩山前総理と温家宝総理との間でガス田の共同開発について協議を行うという合意ができておりますが、まだスタートしていないのですけど、何か障害になっていることがあるのかということと、その見通しをお願いします。
【大臣】まずガス田の共同開発に関する議論ですが、これは特に障害があるわけではございません。日程をしっかりセットして、そして議論を進めていきたいというように思います。それが滞っているとかそういうことはございません。双方の日程が、これは局長クラスですけれども、折り合うようなそういう日程を調整しているということであります。今回、次官は、中国政府や党関係者と意見交換のために行かれたということであります。私(大臣)も楊潔チ外相との会談というものを現時点では予定をしておりますけれども、それに先だって、さまざまな有意義な意見交換がなされることを期待しております。そういうものを踏まえて外相同士の会談ということになると思います。
(1)参議院選挙の結果について
【岡田大臣】私(大臣)からは特にございませんが、ただ、選挙が終わった後での初めての記者会見でありますので、私(大臣)もあちこち選対のご指示によりまして応援にはまいりましたけれども、非常に残念な結果になりました。これはもちろん消費税の問題もありましたが、消費税の問題に関して言えば、必ずしも意図したところが伝わっていない、すぐ上がると理解している人が非常に多かったというのが事実だと思います。
そういうこともありましたが、ある意味では去年の民主党政権スタート以来の全体的なことについて、国民の判断が示されたということでありますので、そのことを謙虚に受け止めて、国民の皆さんが1年前に抱いていただいた期待感にしっかりと応えるだけの実績を、これから残していかなければいけないと思います。
私(大臣)は選挙戦を通じて、我々の任期が3年強残っておりますので、次の総選挙までには何を成し遂げたかということで判断をしてもらいたいと、今回の参議院選挙というのはまだ10か月なので、最終的にご判断いただくには早過ぎるということを申し上げたわけでありますが、そうは言っても10か月間の中間評価を国民からしていただいたということだと思います。
ねじれというのは非常に厳しい国会運営を迫られるわけですが、しっかりと案件ごとに与野党の垣根を越えてと言うと少し言い過ぎになりますけれども、よく説明をして理解をいただいて、案件ごとに賛同いただく政党というのは違うのだろうと思いますが、丁寧にやっていく必要があると思います。
従来にも増して国会というのが重要になるわけで、恐らくいろんな法案、あるいは条約も含めて、国会の委員会での場の協議が非常に重要になってくると思いますので、外務省としても委員会の現場と意思疎通とよくしながら、物事を詰めていく必要が更に増したということだと思っております。
しかし、物事は待ってはくれませんので、外交だけではなくてすべての案件について、待ったなしの状況だと思いますので、しっかりと力を合わせて対応していきたい、菅総理の下で団結して頑張りたいと思っております。
【TBS 樋口記者】今、大臣がお触れになった選挙のことについてですけれども、消費税にも触れられましたが、残念な結果となった敗因はどうごらんになっているのか、もう少し具体的にお聞かせいただけますか。
【大臣】一言でいえば、10か月間、国民が期待しただけの結果が出せなかったということだと思います。それはそれぞれあると思いますけれども。
【共同通信 西野記者】次の総選挙までに、何を成し遂げたか判断していただきたいという国民向けのお言葉だったのですけれども、衆参の逆転状況というのは非常に民主党政権の政策を実現する上で厳しい状況で、まさに民主党らしさが実現できない状況ではないかと客観的にはそう思います。そこら辺について、どのような形で民主党らしさを今後の政策、国会に法案を出していくのも含めてやっていけばいいのか、そこら辺の見通し、あるいは見立てをお願いします。
【大臣】まずすべてが止まるとか、デッドロックに乗り上げるということではないです。法案を見ても半分以上は野党の一部の賛成も得て成立をしているわけですから、そういうものについてはこれからも期待できるわけであります。
ただ、民主党の新しいマニフェストで訴えているような政策については、それぞれ他の政党にはご意見がおありだと思いますから、そういったもので何が受入れ可能で、何が可能ではないかの見極めをつけながら、進めていく必要があるということだと思います。
かなり大変なことではあると思いますが、1つは国民の皆さんの選択の結果でもありますので、その大変な状況の中で知恵を出して、汗をかいていくしかない。ただ、それぞれ与党、野党を経験いたしましたので、国民の立場という観点に立てば、お互い合意できる点はあるのではないかと、そうでないと政治が前を向いて動きませんから、そういうように考えております。
【週刊金曜日 伊田記者】先ほど10か月間で国民が期待しただけの結果を出せなかったと仰られたのですが、その国民が期待しただけの結果ということに、普天間飛行場の移設が「最低でも県外」と言いながら、結局辺野古となったことは含まれるとお考えでしょうか。
【大臣】普天間の問題は、その中に含まれることは間違いないと思います。ただ、「県外」ということを我々はマニフェストに書いたわけではありませんので、もちろん時の代表が沖縄に行って「最低でも県外」と言われたわけですから、沖縄の皆さんはそのことを当然期待されたと思いますが、全国的に民主党がそういったことを約束したと受け止めておられたかどうかは、また別の問題だと思います。
最終的には日米合意に至ったわけでありますが、そのプロセスについて、必ずしも国民の皆さんが期待したようなプロセスではなかったということは事実だと思います。
【日本テレビ 野口記者】参議院選挙の結果を受けまして、党内の一部には執行部の進退も含めて責任をとるべきだという声が挙がっておりますが、この点に関しては大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】そういう声があるのかもしれませんが、先ほど言いましたように私(大臣)は10か月間の国民の評価だと思います。ですから、スタートしたばかりの今の菅政権にすべてを責めに帰するというのは、私(大臣)は違うと思っています。
【AERA 大鹿記者】先ほど消費税の話が、必ずしも私(大臣)たちが意図するように伝わっていないというお話がありましたけれども、選挙戦の早々、菅総理があういう格好で消費税の増税を持ち上げた手法、あるいはタイミングはどうお考えになっていますでしょうか。
【大臣】菅総理は増税をすると言ったわけではありません。検討を行うと言われたわけで、それは従来、私たちが民主党として申し上げてきたことと変わらないわけであります。しかし、自民党の10%を参考にすると言ったところが、直ちに10%上げると理解した人が多かった、あるいは報道を通じてそう受け止めた人が多かったということは事実で、そこは言い方、伝わり方の問題というのがあったと思います。
【琉球新報 滝本記者】参院選の関連で、沖縄の選挙区ではご存じのように民主党の候補がいなかった中で、基本的にほとんどの候補が県内はノーだという形で、結果的には自民党の候補が勝たれたわけですけれども、その自民党候補の勝たれた方、それ以外の部分も全部合わせても、その票数が県内移設にノーだというような民意を表しているようにも受け止められると思うのですけれども、その状況について、あと、比例区では民主党の喜納さんが落選されたという事態もどのようにごらんになられているかというのをお伺いしたいのですが。
【大臣】ここのことは、なかなか評価が難しいと思います。喜納さんは「県外」と言われたわけですから、別に「県内」と言われたわけではありませんので、それをどう解釈するかというのは、私(大臣)は評論家ではありませんので、申し上げるべきではないと思います。
今回は、そういう意味では、県内移設と言った候補者はおりませんでしたので、ある意味では選択肢が県民の皆さんになかったということかと思いますが、しかし、現時点で考えれば、県民の多くの方が「県外だ」というようにお考えだということははっきりしておりますので、この選挙の結果が何を語るのかというのはなかなか難しいのですが、選挙をするまでもなく、ある意味では「県外」という意見が現時点で見れば多いということは明らかだと思います。そういう中で我々が候補者を擁立しなかったというのは、我々の考え方、つまり日米合意という考え方に立つ候補者が見つからなかったと、県連で考えた候補者は県外ということですので、それは我々として、政党として公認できないということになったものであります。
自民党の方がどういうようにお考えなのかというのは、よくわかりません。党として「県外」というように必ずしもお考えではないと思いますので、そのことと、当選された候補者との整合性といいますか、そういったところについては私(大臣)はよくわかりませんが、それはむしろ当該候補者なり、当選された島尻さんなり、あるいは自民党が説明されるべきことであると思っています。
【共同通信 西野記者】選挙の話ばかりで申し訳ないのですけれども、いろいろな理由というものは今回の敗因であると思うのですけれども、一方で、現実として大敗したという事実はあると思います。それで、この大敗というものに対する責任の取り方がやはり、今後、党運営でも大きな焦点になってくると思うのですけれども、外相は党代表で選挙を戦ったこともあれば、幹事長として国政選挙を戦ったこともあるというお立場、経験もあるので、この国政選挙大敗ということを受けて、どのような形で党再生を果たしていくのか。党のありようについて、是非、外務省での記者会見ではあるのですけれども、お願いしたいと思います。
【大臣】質問の趣旨がよくわからなかったのですけれども。
【共同通信 西野記者】民主党の代表や幹事長もやった経験があるリーダーの一人として、国政選挙での大敗という事実を受けて、執行部の責任というものはどのように取られていくべきだと考えているかということです。
【大臣】それは、状況によって変わるのだと思います。ですから、2005年の総選挙のときに、私(大臣)は即日辞任をしたわけであります。しかし、今の菅政権はスタートしてまだわずかでありますので、それで今回の選挙の責任を取れというのは、私(大臣)は違うと思います。
これはテレビ番組でも申し上げたわけですが、その直前のことを考えれば、よくこれだけ盛り返したという見方もできるわけでありまして、さまざまなこの10か月間の凝縮の結果が今回の選挙結果だと私(大臣)は思っておりますので、その最後の部分だけを担った菅総理、あるいは幹事長に対して責任をというのは、私(大臣)は誤った考え方であると考えています
【伊勢新聞 中森記者】地元の三重選挙区では芝さんが勝ちましたが、かなり差は縮まったと思うのですけれども、その辺の感想についてお願いします。
【大臣】全体の最後の1週間の地殻変動といいますか、そういった中で、よく芝候補は踏みとどまったと思います。ただ、今回の選挙を見ても、より地元にしっかりと訴えていく、そのことの重要さというものを芝さん自身も感じておられるのではないかと思います。
【毎日新聞 吉永記者】先ほど、選挙の大敗の原因は菅総理とか現在の執行部だけではないということをおっしゃっていましたけれども、代表選については、やはり無投票で、菅代表がそのまま代表になられるのが望ましいとお考えですか。
【大臣】これもテレビで申し上げたと思いますが、2年に1回の、党員・サポーターも参加しての代表選挙というものが制度としてあるわけですから、それに「我こそは」という方が手を挙げて出られることに対して、それが間違っているとか、おかしいとか、そういうつもりは全くございません。あとは有権者が判断することだと思います。
【日経新聞 山内記者】先ほど大臣は、案件ごとに垣根を越えて協力も必要だという趣旨のことをおっしゃったと思います。ブログでも、野党とテーマ別に協力できることもあるのではないかということをおっしゃっていますが、連立の形としてはどのようなものが一番適切だとお考えですか。あとは、例えば、何が協力できるものだと考えていらっしゃいますか。
【大臣】私(大臣)は、連立ということは特に考えておりません。現在の連立を前提にはしておりますけれども、それ以上に他の政党と連立を組むということを私(大臣)は考えているわけではありません。もちろん、それを考えるべきは代表であり、幹事長ですから、私(大臣)が決めるわけではありませんが、今、客観情勢を見ても、民主党と連立を組む意欲を示しておられる野党はないわけですから、そういうことには直ちにはならないと思います。もちろん、将来的にそういうことがあるのか、ないのか、それはそのときになってみないとわからないのですが、当面はそういったことは考えにくい状況だと思います。従って、この法案について賛同してくれるところ、例えば、公務員改革はどうかとか、それぞれについてパートナーを探すということだと思います。
【朝日新聞 山尾記者】スーダンのPKOの件でお伺いします。仙谷官房長官は、本日にも結論を出すというようなことをおっしゃっていましたが、話し合いの結果、もう結論は出たのでしょうか。
【大臣】結論はまだ出ておりません。恐らく(午後)4時に官房長官がお話しになると思います。
【共同通信 土屋記者】六者協議の再開の問題について伺いたいと思います。哨戒艦の沈没について、国連安保理で議長声明が採択されましたけれども、そうした状況の変化を踏まえまして、日本国政府の立場を教えていただけないかと思います。
【大臣】これだけの事件があった後ですので、もちろん、議長声明が出たからそれですべて水に流すということではないわけで、それを受けて北朝鮮側がどういう態度を示すかにかかっていると思います。もちろん、核の問題、ミサイルの問題、或いは拉致の問題も含めて、話し合いは必要で、我々は六者協議というものを否定するつもりはありませんが、何事もなかったようにあれだけの事件が起きて、そして、議長声明も出て、それですぐにということにはならないのではないかと思っています。
【フリーランス 上出氏】選挙に少し関係があるのですが、衆議院選挙。この選挙の直前に、衆議院議員の比例の定数を80減らすという、参議院選挙後にこれを提案するということに対して、いくつかの新聞、地方紙を中心に少し批判的な記事が出ています。例えば、東京新聞では、80減らしてもたかだか60億円ということです。これに対して政党助成金は税金からもらっていて、これは320億円ということです。本当に身を削るということは、こっちの方が先ではないかということです。そして、民主主義の根幹にも触れる問題ですが、少数政党が埋没してしまう、消えてしまう。これについては、岡田さんは、どのようにとらえておりますか、これを強行してやっていくおつもりでしょうか。
【大臣】法案をどういう形にするのかというのはこれからの問題ですから、先ほど来、お話が出ておりますように、民主党だけでは通らないわけですので、政党間の話し合いにならざるを得ないということです。従って、現時点で直ちに法案を出せる状況にあるかというと、出すなら出せてもそれを通すだけの見通しはついていないということだと思います。ただ、いろいろな議論があるかと思いますが、私(大臣)は選挙制度にずっと関わってきた者として、小選挙区、比例、並立制という骨格は、単純小選挙区よりもいいと考えておりますが、今の比例の割合が多過ぎるという状況で、やはり単独で過半数を取るということが必ずしも簡単ではない。過去2回の総選挙は、そのことが可能になったわけですけれども、本来は、小選挙区が300、比例が100くらいの割合が最も望ましい割合であるというのが、私(大臣)の持論であります。これは、経費の節減ということよりも、物事を意思決定していくにふさわしい選挙制度というのは一体何なのかということに関わると思います。多様な民意をなるべく鏡のように反映させるべきだという議論というのは、それは比例制度がいいという結論になるわけです。しかし、それだと恐らく小党分立ということになりかねないので、民意を集約するという意味も選挙制度にはありますから、私(大臣)は300小選挙区、比例100くらいがいいのではないかとずっと思っているところであります。
【フリーランス 安積氏】7月7日の記者会見で、仙谷官房長官が政府として新たな戦後個人補償を検討する必要があると述べられたと報道がありました。これについて、大臣はいかがお考えでしょうか。
【大臣】官房長官の発言を、私(大臣)、詳細には承知していないのですけれども、具体的に何を考えておられるのか、そういったことについて、よくまず承知をしてみたいと思います。まだ、そのことについて話し合いを、外務大臣と官房長官の間で行っておりませんので、まず、ご趣旨をしっかりと伺ってみたいと思っております。
【フリーランス 安積氏】報道によりましたら、官房長官は「政府として」というように仰ったと出ています。そうすると、日本国の代表としてというか、日本国の意思として補償をするというようなことを仰ったと出ていますけれども、大臣は、どのようにお考えですか。
【大臣】それは官房長官のご意見ですが、政府として何か具体的な議論をしているわけではありませんので、よく議論してみたいと思います。何に関して仰っているのか、例えば日本にある朝鮮半島の皆さんのご遺骨を返還するという話については、今もやっているわけで、それをよりスピードアップするといいますか、やっていくというようなことは、1つの考え方としてあり得ると思いますし、中身次第だと思います。ですから、もう少し具体的に話し合ってみる必要があるということであります。
【フリーランス 安積氏】。もし個人補償を認めるとするならば、日本と韓国との間の請求権については、1965年の基本条約で既に解決済みということで、双方の国としては、そういう立場に立っていますけれども、日本が新たに韓国の個人の請求権を認めるとするならば、日本国民の朝鮮半島に残していった財産権の請求権はどうなるのかという問題が生じてくると思いますが、大臣としては、官房長官とお話しされるときは、そこまで、例えば検討されるということでお話しされるご予定でしょうか。
【大臣】官房長官が言われた趣旨が、もう既に日韓基本条約で1つの答えに至ったことを、また覆すという意味で仰ったのかというと、私(大臣)は必ずしもそうではないと受け止めていますが、そこの事実関係も含めて、よく確認をしてみたいと思っております。基本的には、日韓基本条約の中で、両国政府が一定の合意に達しているということであります。
【時事通信 水嶋記者】参院選の敗北によって、日本外交に与える影響について伺いたいのですが、日米関係でいうと普天間問題の解決に導いていく政権の力が弱まるのではないのかですとか、あるいは北朝鮮外交で北朝鮮が日本の足下を見てくるのではないかとか、いろいろなことが考えられるかと思うのですけれども、参院選を受けて日本外交とか安全保障に与える影響について大臣のお考えを伺います。
【大臣】幸いにして条約などは、あまり国会で賛否が分かれることは少ないのです。全会一致のことが多いわけで、圧倒的多数とかですね。そういう意味では、参議院でねじれが生じていることの影響というものは、他の法案に比べれば、より限定的ではないかというように思っております。そして、そもそも外交というのは、もちろん政党間で意見の違いが当然あるわけですけれども、しかし、なるべく日本の国の利益、国民の利益を体現して行っているわけですので、政党間の対立を越えて、共通の認識、合意に至ることが望ましいと思っております。そういったことについて、より丁寧に野党に対しても説明と働きかけというものを行っていきたいと考えております。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。外交に関連してですが、参院選の結果を海外も注目しておりますが、政権基盤の弱体化によって、中国、ロシアが様子見の姿勢に変化してくるのではないかとの見方が一部にございます。シャトル外交も難しくなるかもしれません。国民に対して分かり易い成果が求められると思いますが、中国、ロシアに対する関係強化の秘策などありますでしょうか。
【大臣】「秘策」という言葉は、私(大臣)はあまり好きではありませんが、ただ、衆参でねじれになったことが、先ほど言いましたように、直接、外交力の低下に結びつくというようには必ずしも思っておりません。ただし、より丁寧に野党に対しても説明を行って、民主党政権になって、外交が180度変わったわけでは必ずしもありませんので、多くのものは基本的に引き継いでやっているものも多いわけですから、そういったことについてより丁寧に説明して与野党を越えて共通の外交というものに答えを見いだしていきたいと思っております。
【共同通信 西野記者】同じ趣旨ですけれども、普天間問題の8月もありますし、11月のAPECの際の同盟深化、普天間問題、こういうことに影響はしてこないのかということが一点、それから地球温暖化対策に関して、民主党の大きな政策の柱の一つと掲げ、鳩山政権、それから菅政権でもやっていくということですが、これを巡っては与野党の対立がこの間の国会でも見られたということもあります。外交政策とも位置づけることができるわけで、こういった面でやはり影響が出てくるのではないですか。
【大臣】普天間問題は、まず8月末までに専門家での議論を行う、専門家レベルの結論を出すということになっておりまして、その議論というものをきちんと進めていく必要があるというように思います。もちろん沖縄がそれに対して理解して頂けるかどうかは少し先の話で、これは丁寧に進めていかなければいけない問題と考えております。今の野党がそういった日米合意についてどう考えるのかということについては、例えば、自由民主党は、元々辺野古沖ということで、当時の政府としての考え方を持っていたわけでありますので、話し合いをきちんと行うことによって、共通点を見いだしていきたいというように思っております。いずれにしても、沖縄の皆さんの理解が得られなければ、前に進められない問題であるということは事実であります。
地球温暖化は、野党の意見は確かに分かれましたが、民主党のその一定の条件の下での、2020年25%ということに対して、公明党はむしろ生ぬるいと、2020年25%、そういう条件を付けずにやるべきだと主張していたというように思います。自民党の方は、2020年25%は、数字として大きすぎるという観点だったと思いますが。ですから、政党によって、それぞれ意見は異なりますので、なるべく民主党の考え方に近いところを中心に話し合いをしっかりと行っていきたいと考えております。
【沖縄新報 滝本記者】今大臣がお話し頂いた沖縄への理解ということで、私がその前にお伺いした参院選の部分で今の現時点では沖縄の皆さんの意向というのは県内はNOだと、反対だということが今の時点では、多くあるわけですけれども、今仰られたように、「理解を求めるということは8月よりももう少し先になるかもしれないが」とあったのですが、いつまでに沖縄の理解というものを11月のAPECにオバマ大統領が来られた時までにその理解を得て整った形にしておかなければいけないとお考えなのでしょうか、それとも知事選が11月にありますけれども、その知事選を経て、その後知事選の結果を見た上でというようにをお考えなのでしょうか。
【大臣】これは理解を頂くことが最優先でありますので、あまりいつまでにというように期限を切らない方がいいと思います。なるべく早くというように思いますが、そういう理解を得られないまま先にどんどん進むということは結局答えになりませんので、そこは慎重に物事を進めていく必要があると思います。もちろん米国もありますから、なるべくしかっりとやっていかなければいけませんが、慌てすぎることが良い結果をもたらさないということはそれは米国も分かっていると思いますし、我々もしっかりそのことは説明をしていかなければならないというように思っております。
【琉球新報 滝本記者】従来お伺いしているのですけれども、その場合の沖縄の理解というのは大臣のお考えの中では、どういうものを沖縄の理解を得たということになるのでしょうか。改めてお伺いしたいのですが。
【大臣】それを今定義付けることはあまり生産的ではないと思います。多くの沖縄の皆さんが理解していただくということです。
【時事通信 水島記者】普天間に戻ってしまうのですけれども、普天間に関してて自民党とも元々辺野古なので共通点を見いだしたいというようなお答えがありましたけれども、今まで割と敵対的な雰囲気の中でこの普天間問題は進んできたと思うのですけれども、これからは自民党に何らかの形で協力を求めたりとか、そういうことも場合によっては考えられるというようなことになるのでしょうか。
【大臣】協力を求める時はそれで何らかの前進があるという見通しがついた時にはそういったこともあるかもしれませんが、現時点では必ずしもそういうことではないというように思いますので、少し時間をかけて信頼関係を醸成していく必要があると思います。私(大臣)はそもそも前の国会を経験して、やはり外交なのだからここまでいろいろな意味で対立的に考える必要はないのではないかと思ったこともあります。もちろん対立するべき点はあっていいですけれども、そうではなく、協力してやっていくというものももっと本当はあるはずでありまして、そういうことは我々も努力が足りなかった、もう少し丁寧にしっかり説明をするべきではなかったかというように思っているところであります。
【NHK 別府記者】自民党と、この問題で協力するというのがちょっとイメージが湧かないのですが、問題は今、対沖縄の説得というか理解を得るということですので、政権与党・政府と沖縄の関係で今焦点だと思うのですが、この文脈で自民党との協力というのは具体的にどのようなイメージなのでしょうか。
【大臣】現に国会の中で進めていこうとすれば、ねじれになっているわけですから、やはりそれに対する理解、国会の中でも理解し支持してくれる政党が必要になってくるということです。ただそれは少し先の話であることは間違いありません。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読します。普天間基地問題を巡る代替施設の位置決定等は8月末、名護市議選、民主党代表選が9月と、さまざまな問題が同時期に集中いたします。ここで改めてお伺いしたいのですが、前政権時、一時官邸主導となり外交交渉が混乱した時期もありましたが、外務省としましてこの辺りの交通整理はできているのでしょうか。
【大臣】先ず、今仰った中で、8月末に位置とか工法が決まるというのは必ずしも正確ではなくて、専門家の中で検討する、その結果が出るということであって、政府として8月末に決める訳ではありません。専門家の結論を得た上で、おそらく2+2、防衛・外務両大臣4人で何らかの形にするということです。それまでには、一定のプロセスが必要になるということです。それから、混乱したという面があったということは率直に言って否めないと思います、途中の段階で、やはりこれは国務省と外務省でやると(決めて)、そのほかのルートというのは正式なルートではないということを確認し合って進めてきておりまして、その考え方は現在も変わりません。二重三重にルートができるということは、私(大臣)は誠に稚拙な外交であると思っておりますので、そういうことは絶対に避けなければならないと思います。それは外交の基本だと思っております。
【AERA 大鹿記者】先日も質問があったかもしれませんが、朝日新聞社の船橋洋一室長が駐米大使とかに起用するという話が一部噂で出ていますけれども、そういうお考えはございますでしょうか。
【大臣】人事の話をあるないというように言い出すときりがないので、基本的に申し上げるべきでないと思いますが、私(大臣)は初耳でございます。いや、初耳ではありませんが、何回も聞きましたけれども、私(大臣)の口からそういうことが出たことはございません。
【AERA 大鹿記者】本人からの売り込みとかということでもないですか。
【大臣】それは私(大臣)は承知しておりません。船橋さんとお会いすることはありますけれども、そういう話が出たことはありません。
【AERA 大鹿記者】何らかの形で外務省のポストに起用するということはありえますか。
【大臣】現時点ではそういうことはないと思いますが。
【AERA 大鹿記者】分かりました。
【大臣】そういうように一人ずつ聞かれたら、そのうちこの大使は誰か等、だんだん分かってしまうので、これからはその質問には答えないようにしたいと思いますが。
【週刊金曜日 伊田記者】5月28日の日米安全保障協議委員会の共同発表の正文が英文であって、日本語が仮訳になっていることについてご質問いたします。大臣就任以来、情報公開で国民の立場に立ったり、先日の外務省顧問の退任などについて、今までの慣行であっても直すべきところは直すべきといろいろ改革されてきたことを高く評価されます。共同発表が、日米合意のときに、正文も日本語のものも作るべきではないかと思うのですが、今回の共同発表の正文を英文だけにするというのを大臣が何らかの日本語の正文も作るべきではないかと内部で検討されたことがあるのかないのかということが1点です。それから、やはり日米関係を考えるときに日本語で正文を作るべきだと私は考えるのですが、今までずっと共同発表が英文だけであっても、今後は日本語の正文を作る努力をされていくおつもりがあるのないのか、議論も含めてお聞かせください。
【大臣】まずは今回の合意の正文は英語です。それは英語で最終的に合意をしているわけで、交渉も英語での表現を巡ってやってきたわけであります。我々はある程度英語がわかりますが、恐らく米国の交渉相手は日本語がわからないので、結局英語で交渉する、英語の文書でやり取りするということになります。それに対して日本語の正訳というかそういうものをつけるということも考えられますが、むしろそれが本当に一字一句何の疑問もないかどうかということをやるとなれば、また時間がかかるわけです。そういう意味で正文は英語、それを我々なりに訳すとこうなるということでお示しをしているものであります。是非英文で判断していただければと思います。
【週刊金曜日 伊田記者】例えばロシアとの交渉については、日露両方の正文を作っていると理解しておりますけれども、対米国との関係について米国の言語だけが正文であるということについて、今後も続けられることに疑問はないのでしょうか。
【大臣】時間がかかるということがあります。日米の正文を同時に発表することになると、発表にもそれだけ時間がかかることになります。そういう問題もあるということです。英文以外の言葉ですと、ほとんどの人がわかりませんので、そういう意味で日本語訳をつけて正文にするということも当然あります。別に他意はないのですが、英文でそこまでする必要があるのかという感じはあります。
【世界日報 山本記者】増税の問題を菅総理が言われて、それを誤解されたという形で理解が進んでいるのですが、そもそものこの消費税の増税という問題が俎上にのぼってきたのは、おそらくサミットに行かれるということで「財政再建のプランをどのように日本は考えているのか」という形もかなり要因としてあったと思います。外相も一緒に同行されまして、そのような方向で今後やっていこうという形は整ってきたのではないかというのは私の憶測ですが、そうした場合に同行されながら選挙での消費税増税という形のことも理解を求めなければいけないのかなということで、総理が外相と打ち合わせたりとか、そういういきさつについてはどのような形だったのでしょうか。
【大臣】打ち合わせとか、そういうことはございません。それから、消費税の増税については、先程も申し上げましたように、議論はするということで我々は総選挙を戦っております。ただし増税はしない、増税をする前にもう一回総選挙をするということです。1年前の代表選挙で鳩山さんと私(大臣)が戦った時の争点の一つがこれだったのですが、私(大臣)は「議論は行うべきだ。上げるのはその前に総選挙を行うべきだ。議論をもっとしないのはおかしい」と申し上げました。鳩山さんは当時「議論すらしない」と言っておられこともありますが、民主党の代表選挙の中で、「それは議論すらしないということではない」というように変えられたと私(大臣)は認識しております。したがって、マニフェストの中にも税制全体の抜本改革についての議論というのは盛り込まれていたはずですし、議論もしない等ということは考えていなかった訳で、その当然のことを菅総理は言われたということです。そういう意味では規定方針と変わっていない訳です。ただ、受け止めた側は、民主党はもうすぐ、この選挙が終わったら増税するのかというように受け取った方が多かったことも事実です。「次の選挙まで増税はしません。皆さんの考え方を聞いて、その上で信任が得られれば増税ということはあるかもしれないけれども、それまでに勝手に消費税を上げることはありません」と演説すると拍手がでましたから、ということは、増税すると思っている人がいかに多かったかということです。そういう誤解の中で投票日を迎えたということは非常に残念なことだと思っています。
【世界日報 山本記者】自民党の方は10%上げるということで正式にマニフェストというか、そのようなものを書いて発表して自民党の方が勝ったという点がありますし、増税発言が誤解されたという一つの要因としては、それがいろいろと論議される中で首相が所得制限とか還付の問題とかふらついてきたということで、政権担当の政党として少し心許ないのではないのかというイメージを与えたという面も指摘されているのですが、その辺りについてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】いろいろなことがあったかも知れませんが、それは全部想像の世界ですので、数値的に裏付けられている訳ではありませんので、あまり私(大臣)が評論家のようにコメントするべきことではないと思います。自民党は10%上げるということを知らずに、民主党は(消費税)上げるのでけしからんから自民党に、という方も結構いらっしゃったのでないかと思います。何より「みんなの党」が最大の受益者であったというか、消費税を上げないということを強調されましたので、民主党が上げるというように思われた方は結果的には「みんなの党」に投票したというケースが非常に多かったのではないかと思います。もう少し、いろいろなことを考えて発言をすればよかったということも言えるかもしれませんが、選挙ですから完璧はありませんので、いろいろなことが起こりうる訳であります。
【フリーランス 上出氏】自民党が10%消費税を掲げながら票を伸ばしたということから見たら、消費税が否定されたとはとらえられないのでしょうが、ある意味では民意は消費税に対して反対であるということを突きつけたとも取れるのですが、全く議論をやるというスタンスは変えないで、あくまでも消費税の議論を始めていくという、少し民意に配慮して、そういう問題はもう一度最初からやり直す、あるいは無駄使いの削減のことは言っておりますが、それも含めてもう一度仕切り直しをするというようなスタンスはないのでしょうか。
【大臣】まずこれは、必ずしも私(大臣)が決めることではないのです。もちろん最終的には内閣でということになる訳で、そういう意味では関係はあるのですが。我々は消費税の話だけを言っているのではなく税制全体の改革です。税制全体の改革の前にやはり歳出として、どのくらいの年金・医療・介護や子育て支援や教育でどのくらいの歳出を見込んでいくかということ、そして既存の歳出をどれだけ削れるか、その差額は国債発行と増税になる訳ですから、その増税の中で消費税というものをどう位置付けるかというトータルの議論というものをこれから始めていきましょうということで、消費税の増税だけを切り離して議論するつもりは元々ありません。そういうところも若干誤解されているのかもしれません。今の国の財政を考えれば議論すらしないというのは、極めて無責任だと私(大臣)はむしろ多くの国民はそう思っていると思いますが。
(1)キルギス情勢(新政府との関係)について
【岡田大臣】今朝の閣議において、キルギス共和国新政府との関係について発言をいたしました。キルギス共和国においては、本年4月に政変が発生しましたが、民主化プロセスを経て、6月27日に実施された国民投票の結果、新憲法案及びオトゥンバエヴァ移行期大統領への信任が得られました。我が国はこれまでキルギス共和国における情勢の推移を注視してきました。今般、在キルギス日本国大使館から、7月6日付口上書をもって同国外務省に対し、国民投票が平和的に実施され、オトゥンバエヴァ移行期大統領への信任が得られたことに祝意を表し、日本との関係の継続をすることとしたものであります。
(2)外交文書の公開について
【大臣】外交文書の公開について、別途、報道発表を配付しておりますけれども、明日10時に沖縄返還交渉関係ファイル29冊、日米安全保障条約改定交渉関係ファイル8冊を外交史料館において公開いたします。一定期間を経過した行政文書については、国民共有の知的資源として、これを原則公開する、主権者である国民が主体的に利用できるようにすることが重要であるということは、何度も申し上げてきたところであります。言わば、これは外務省だけではなく、政府全体として取り組むべき民主主義の根幹に関わる重要な政策課題であると判断をしております。ただ、今回の公開対象を考えていたファイルの中に、他省庁との調整が必要なものがあり、現在、調整を行っているところでありますので、その1冊については今回の公開を見送り、残りの37冊をまず公開するということにしたものであります。今後ともスピード感を持って公開審査を進め、準備の整った外交記録を順次公開することとしたいと考えております。
【AFP通信 長谷川記者】先週末に沖縄県宜野湾市長が国に対して、普天間飛行場の関係で提訴する意向を示しましたけれども、それについての受け止めをお聞かせください。
【大臣】そのように言われたという事実は承知をしております。裁判になれば、それは堂々と裁判において国の主張を展開するということだと思います。
【フリーランス 岩上氏】ゲイツ国防長官がグアム移転費用の日本側の負担増額要求をしたという話が伝えられておりますけれども、これに対して政府はどのように対応するのか。また、このグアム協定を改定することにつながるのではないかと思うのですけれども、もし、このような米側が自分の一方的な要求を突き付けてくるのであれば、日本側ももっと日本の国益とか、あるいは現地沖縄の県民益ということを考えたタフな交渉をする余地があったのではないか、あるいはこれからもあるのではないかと思うのですけれども、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
【大臣】おっしゃるような報道があることは承知しておりますけれども、そのことについては特にコメントいたしません。そして、そのことを前提にした後半のご質問に対しても、今、お答えする状況にはないと考えております。
【フリーランス 岩上氏】それはなぜですか。
【大臣】前半のことについてコメントいたしませんので。いずれにしても、日本としては、少なくとも私(大臣)は、米国とタフな交渉をしてきているつもりであります。
【フリーランス 上出氏】それでは、一般論でお聞きします。今までも、いわゆる思いやり予算その他で、国の税金がこういう問題に使われるということになる訳です。それで、先般もお聞きしたのですけれども、日米合意の中に8月までにやるいろいろな討議と関連して、思いやり予算を流用するということが普天間の問題では日米合意の中で合意された訳です。このグアム移転というものも、そういう予算を出すという点では同じだと思うのですが、一般的な考え方として、国民感情として、米国の言いなりになっているのではないかというような世論もある中で、これを一般的に使うということ、受け入れるということ、一般論でいいのですが、どういう姿勢でこれから臨まれるのか。このような普天間の交渉の後を受けて、国民向けにどのような説明責任を果たせるのか。その辺を、こういう増額についてお聞きしたいと思うのですが。
【大臣】思いやり予算についての今のお話ですが、日米合意の中で、若干それに触れた部分はありますが、具体的なことは別に書いてある訳ではございません。それから、思いやり予算そのものについて、これからどうするかということについては、納税者である国民にきちんと説明できる、そういったことが前提になると考えております。いずれにしても、日米同盟、日本の安全のために米軍が存在しているという中で、全体としてどのようなお互いの負担を行っていくかということについては、しっかりと議論を行っていきたいと考えております。余り、このことの一部だけをとらえて、それが言いなりであるとか、そういう次元で私(大臣)はものを言うべきではないと思います。
【琉球新報 仲井間記者】海兵隊のグアム移転について伺います。5月末に合意した日米共同声明には、グアムに行く海兵隊の構成を再検討するという趣旨の文言も書かれていると思うのですけれども、一方で日本政府の費用負担を定めたグアム協定というのは、指令部が海兵隊について行くことを前提につくられた協定だと思うのですが、移転する兵員の構成が変わるとなれば、グアム移転協定も変化を必要とされるのか、それとも日本政府としては、移転する要員が変わったとしても、日本側の資金負担というのはグアム移転協定に基づいてやるのか、再検討の余地はないのかということをお聞かせください。
【大臣】基本的な人数については、現在、違いはございません。そして、若干の中身の違いというものは、当初想定していたものとは違うものがあるかもしれませんが、それはこれからの話し合いであります。日本にとってそのことが受け入れ可能かどうかということは、しっかりと議論していきたいと思います。その結果として、協定の見直しが必要であるとか、そういうことになるのかどうかというのは中身次第でありますので、今、仮定の議論は余りしない方がいいと思います。
【フリーランス 岩上氏】今、2、3分考えていたのですけれども、先ほどの大臣の回答では、やはりどうも釈然とせず、もう一度お尋ねしたいのですが、ゲイツ国防長官の増額要求というのは、当然国民の血税が使われることになる訳ですから、そうした要求があるということに対して、我々国民の血税を預かっている日本政府が、それに対してどう応じるか、応じないかということに関して、我々一般国民は、もう少し知らされてもよろしいのではないでしょうか。納税者に対して、税金の使われ方ということに対する説明責任という意味でも、この他国からの増額要求ということに関しては、センシティブな問題であるかもしれませんけれども、もう少しご説明をいただきたいと思います。
【大臣】もちろん、日本政府として何か決定をするというときは、国民に対してもご説明するというのは当然だと思います。今はそういう段階ではございません。
【共同通信 斎藤記者】前回に引き続き、イラン情勢についてお伺いいたします。ご案内のとおりで、オバマ政権は先日、対イラン制裁法を成立させた訳ですが、報道によるとこの制裁法は石油開発をめぐってイランと取引きをしたり、石油製品をイランに輸出したりした外国企業を対象にしているということです。この制裁法の発動によって、日本企業の経済活動に何らかの影響を及ぼしているとお考えになるかどうか。そして、経済活動に支障が出ないように、米側に働きかけるとか、あるいは調整するといったようなお考えはありますでしょうか。
【大臣】法律が成立したことは事実でありますが、その詳細について、現在慎重に検討を行っているところであります。日本企業にどう影響が及ぶのかということについて見極めた上で、必要に応じて米国政府と協議をしていくということになると思います。現時点では特に具体的なことを申し上げる状況にはございません。
【共同通信 斎藤記者】改めてお伺いしますけれども、イランというと核問題にどうしても焦点が当たりますし、それは当然のことだと思いますが、一方で日本とイランの経済関係、これは歴史的に見て深いものもあると思いますが、イランと日本の経済交流、日本企業のイランとの経済活動の全般調整について、大臣はこの重要性といいますか、どのように認識されているのかについて、お伺いしたいと思います。
【大臣】まず、経済関係というより、もう少し広い範囲で考えますと、イランというのは中東における大きな国でありますし、日本との歴史的な今までの交流もございます。そういう意味で、非常に重要な国であると考えております。ただ、イランの累次の安保理決議に対する違反行為に対して、安保理で再度、制裁の決議が行われた訳で、その制裁の決議は日本としてしっかりと、これを守っていく必要があることは当然であります。それに加えて、独自の制裁措置がどのようなものが考えられるかということは、今、慎重に見極めているところであります。我々としては、イランがそういった安保理の決議違反という状況を改めて、そして、孤立化への道ではなくて、国際社会の中で共に生きていくという路線を取ることを非常に強く期待しているところであります。
【NHK 別府記者】イランの追加制裁、独自制裁についてですが、日本として独自制裁を出さないという選択肢はあり得るのでしょうか。
【大臣】まだ今、検討に着手したところでありますので、その結論について予断を持って答えることは避けたいと思います。EUなり米国の今回の成立した法律を含めて、それぞれの国の独自の制裁措置をしっかりと見極めた上で、日本としてどういったことが可能なのか、よく検討してみたいと考えているところです。
【読売新聞 川崎記者】本日、核軍縮に関する有識者懇談会の第1回目会合があったと思いますけれども、改めてこの会合の提言は9月までにという話になっているようですが、その提言を具体的にどのように大臣としては生かすおつもりなのかどうか。また、その提言について、本日、委員の方からは、NPTの検討会議の内容も超えるものにしたいという意欲的な発言もあったようですけれども、実際のところ、それを政策として具体化できるかどうかはまた別の問題だと思いますが、そのことに関しまして、大臣のお考えをお聞かせください。
【大臣】まず、本日の核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会の立ち上げでありますが、9月までに結論を出すということはどこにも言っておりません。ここでさまざまなテーマについて議論をしたいと考えておりますが、その内の1つが、やはり9月の国連総会の折に開催をする各国外相との議論、そこでどういったテーマで主として議論すべきかということであります。本日は、どういった国の外相に声をかけるべきかということと、どういう内容について議論すべきかということについて、主としてご意見をいただいた訳でございます。言わば、これは核軍縮・不拡散に関する新しいグループの立ち上げということになる訳で、いろいろな余り偏りないような形で、しかも核軍縮・不拡散に熱意を持った外務大臣に対して、是非お声をかけていきたいと考えているところであります。ただ、この有識者懇談会は、そこに留まるものではなくて、その後、さまざまな課題について、しっかりと議論していきたいと思っております。例えば、先般合意された米露の核軍縮条約、その後、どういう形で核軍縮というものを進めていくのか、どの範囲で、どういうものを対象にしてやっていくのかということでありますとか、それから、核の役割の低減、消極的安全保証というものが言われておりますが、消極的安全保証の実効性を高めるためにはどうしたらいいか、あるいは消極的安全保証の先の新たな目指すべきものは何なのか。唯一目的とか、主要な目的とか、あるいは先制不使用とか、いろいろなことが言われておりますが、そういうことについても議論をしていきたいと考えております。先般、インドの問題がありましたが、NPTに加盟していない国々というものを、これから核軍縮というものの枠の中にどのようにして取り込んでいくのかということも重要なテーマだと思っております。そういった基本的な、さまざまな核軍縮・不拡散、あるいは平和利用を取り巻く問題について、骨太の議論と提言をお願いしたいと考えているところです。
【読売新聞 川崎記者】関連でお伺いいたします。今、大臣、インドのお話にお触れになりましたけれども、先の日印原子力協定につきまして、一部の報道で、インド側の方から説明をしたいということで、特使を派遣するとか、そういう報道が流れておりますが、これは大臣の方では、既にご承知を何かされていることなのかどうかについてお伺いします。
【大臣】特に承知しておりません。
【フリーランス 上杉氏】今、参議院選挙というさなかで、ちょっとさぼっていたので、もしかして重複する質問かもしれませんが、マニフェストの中で「安保理常任理事国入りを目指します」と明記されているのですが、大臣がその件に関してお話をされたというのは、余り記憶にないのですが、具体的にどのようなアプローチでそれを目指すのかというのを改めてちょっとお伺いしたいのですが。
【大臣】安保理常任理事国入りというのは、これは日本の外交をやっていく上で、基本的に非常に重要なテーマであるというように思っております。私(大臣)の外交演説の中でも触れていたと、私(大臣)は思いますけれども、具体的にどうやって今後進めていくかということについては、今、政府の中でさまざま議論を行っているところであります。まだ、少し方向性を申し上げるのは、時期尚早かと思っています。
【フリーランス 上出氏】参議院選挙全体の議論の流れをどう見ておられるかということなのですが、今の安保理も含めて、外交問題が全然出ていないと、しかも普天間は完全に忘れられていると、消費税が中心になって、これに対して、これでいいのかなといういろいろな疑問の声を聞くのですが、これはマスメディアの取り上げ方の問題もあると思うのですが、こういう中で、大切な日米安保の問題だとか、そういうことがほとんど触れられていない、こういう状況をどう捉えて、それについて何か外務大臣として是非言っておきたいこと、マスメディアに対してのことですが、そういうことがございましたら、お答え頂けますでしょうか。
【大臣】外交がテーマになるということは、実は非常に限られたこの選挙期間の中では、今までもそうたくさんあった訳ではございません。外務大臣としては、少し寂しい感じはありますが、安全保障の問題とか、あるいは温暖化とか核とか貧困とか、そういうグローバルな問題について、是非議論になればうれしく思いますけれども、残念ながら、そういう状況ではございません。
いろんな討論番組を私(大臣)もできるだけ見るようにしておりますが、消費税の問題が議論の中心になっております。ただ、消費税を今上げるというように言っている政党は、私(大臣)は多分ないと思う訳で、政府も上げるときには、その前に総選挙をやりますということを我々は申し上げている訳で、議論をしましょうと言っているだけですから、それがなぜかすぐ上げるかのようなニュアンスで論じられているケースも結構ありまして、そこは非常に強く、私(大臣)は感じております。
【日本インターネット新聞 田中記者】安保理の常任理事国入りを目指すということですが、ころころ首相が代わる国が安保理に入って、しかもジャーナリストとの真剣勝負を避けて、記者クラブと慣れ合う政治家がいるような国が安保理に入って、果たしてこれは国際的な信用は得られるかという素朴な疑問が浮かぶのですが、大臣のご所見をお伺いいたします。
【大臣】今の説明は、少し取って付けたような感じがしない訳ではないのですけれども、やはり私(大臣)も外務大臣を10か月やってきて、安保理のメンバーに入っているということが、いかに重要かということを改めて感じております。今、理事国ではある訳で、だからこそ、例えば天安号事件なども安保理の理事国ではない韓国にいろいろサポートしている訳ですけれども、やはり安保理の理事国であるか、ないかというのは非常に影響力という意味で大きく異なってまいります。
その中でも、特に常任理事国というところで、まず、いろいろな話を固めた上で、他の理事国に対して相談があるというのが通常でありますので、やはりこれだけの経済力もあり、そして民主国家であり、世界からドイツと並んでいい影響を及ぼしている国だと見られている日本、しかも核を持っていない国が常任理事国になって、そして世界のためにしっかりと役割を果たしていくということは、非常に意味のあることであると思います。
ただ、それを唱えるだけではなくて、実現していかなければいけませんので、そのためにどうしたらいいのか、以前もチャレンジをして結果が出なかったということもありますから、よく前回のことも踏まえながら、どういうようにやっていくべきかということについて、いろいろとまず省内で議論しているところであります。
先般5月にアフリカに行った折も、バイの会談で各国の外務大臣に日本の安保理常任理事国入りについて、私(大臣)は例外なくお話をいたしましたし、いろんな意味で少しずつ、そのための準備は静かに行ってきているというのが現状であります。
【共同通信 西野記者】外交文書のことについてお伺いします。今回、37冊を公開されたとのことですけれども、冒頭、一般論としての情報公開の意義についてはご説明があったような気がしますが、今回、1960年の日米安保改定、それから沖縄返還に関する、大きく言うと2つの柱があると思います。安保改定、沖縄、これは密約解明関連というくくりもできると思うのですけれども、沖縄ということについては普天間の問題もいろいろ絡んできます。それから、今後の対米関係ということについても関係してきます。この2つの課題に引き付けた上での今回の公開の意義、それから、どういったことを国民に訴えたいのかということについて、改めてお伺いしたいと思います。
【大臣】どういうことを訴えたいかということではなくて、やはり期限の来たものを順次きちんと公開していくということの一環だと考えていただいた方がいいと思います。特別の意図を持ってやっている訳ではなくて、なるべく迅速に、30年経ったものを公開していく、当たり前のことを我々はやっているということであります。
沖縄返還、あるいは安保ということですが、今回に尽きる訳ではなくて、まだそのほかにも資料はございます。そういったものを順次、中身を見た上で、必要があれば関係省庁と調整しながら公開していきたいと考えているところです。
【共同通信 西野記者】関連省庁との調整ということで、今回、1冊が公開できない、現段階ではできないということなのですけれども、これは差し支えない範囲で言うと、どういうようなやりとりが省庁間で行われているのか、今後の見通しも含めてご説明ください。
【大臣】調整が終わり次第、速やかに公開したいと思っております。そう時間をかけるべきものではないと思っておりますので、1か月とか2か月とか、そういうようには考えておりません。調整中でありますので、それ以上のことは今、申し上げるべきではないと思っております。
【NHK 別府記者】沖縄返還と安保改定に関する外交文書、まだまだたくさんあると思うのですけれども、その中で今回この37冊が来たということは、どう理解したらいいのか。特に機械的にというよりも、これが面白いからとか、これは重要だという何らかのセレクションのクライテリアはあるのでしょうか。
【大臣】特にそういう判断はいたしておりませんし、すべきではないと思います。順次公開できるものを公開していくということであります。ただ、この分野で安保、沖縄返還について38冊本というくくり方で今まで言われてまいりましたので、そのくくりで出させていただいたということでございます。
しかし、ほかにもこの関連の文書がいろいろなファイルに入っているということは、当然想定される訳で、これがすべてということではございません。
【フリーランス 上杉氏】駐米大使の人事についてですが、ユーラシア21研究所の吹浦氏のブログによると、駐米大使が朝日新聞の船橋洋一氏に内定したと書かれているのですが、そのような事実はあるのか、あるいはそのような予定はあるのかお聞かせいただけますか。
【大臣】ございません。
【フリーランス 岩上氏】少し前の話になりますが、G20の方で先進国の財政赤字問題が話題になって、その時に日本が仲間外れにされたなどという言い方で、日本は非常に問題児であるかのような報道、論評がかなり流されました。ところが、ゆくゆくきちんと調べてみると、ストロスカーンIMF専務理事は、先進国の財務赤字の削減目標の中で、日本が例外扱いされたのは、実は差し迫ったリスクが日本の財政状況になく、つまり、逆にリスクが少ないから仲間外れというか、例外扱いをしたというようなことが報じられています。こういう非常に混乱した報道が続いていることと、同時に選挙の真っただ中で、各党の表現は控えますが、少なくとも菅総理は、ギリシャを何度も何度も引き合いに出されて、財政破綻が起こるリスクは日本にもあるのだというようなことを述べられてきています。こうしたことを、この報道の混乱だけではなく、政府もその混乱に拍車をかけて、日本がいかにも財政破綻が間近に迫っているかのような表現で国民に対して説明していることは非常に問題があると思うのですが、この点、いかがお考えでしょうか。
【大臣】日本とEUの加盟国を同列に議論すべきではないという発想があったからこそ、扱いが変わったということだと思います。しかし、日本の現在の国債発行残高などを見ても、それが他の世界のどこの国を見てもないだけの、例えば、対GDP比で見て、飛び抜けた発行額になっていることは事実であって、こういう状況を更に悪化させていくということは、これは許されない状況にあると私(大臣)は思います。ですから、やたら危機感を煽る必要はないと思いますが、やはり政治の責任としてそういう状況に歯止めをかけて、そして是正していくということが、私(大臣)は強く求められていると考えています。
【フリーランス 岩上氏】しかし、日本は同時に250兆円の対外資産があり、500兆円の政府資産があり、1400兆円の個人金融資産があるとも言われております。純債務で見たら、日本はさほどの大きな債務国家という問題もあります。こうした見方に立った上で、ただ一点、非常に心配なことがあって、米国債を日本は大量に保有し、あるいは買い増しをしているということです。この米国債の暴落のリスクというものがあるのではないかということが予てよりも噂されております。米国との特殊な関係からかんがみて、日本が自由に米国債を売ったり買ったりできている訳ではないのではないか、いざとなると暴落のリスクがもしあったときに、現実にそうなったときに、日本の対外資産というのは、大変な大きなダメージを受けるのではないかという不安があるのですが、この米国債の保有とリスク、それから、それに対して日本政府は売却も含めて自由にリスク・コントロールができるのかどうか、これについてご見解をお示しください。
【大臣】さまざまなことを考えて、政府としては、米国債を買っていると思います。それ以上のことは、マーケットに関わる話ですから、大臣が、閣僚がコメントすることは控えたいと思っております。それから、今のお話の中で、日本政府としての債権ということを言われましたが、具体的にどのようなことを指しておられるのか、よく討論会などでも、日本政府の持っている、例えば、貸付債権というようなことが言われることがありますけれども、それは一方で、原資になっているものといえば、従来で言えば、それは郵貯であったり、今で言えば国債であったりする訳ですから、本当の意味での純債権とは言えないものが沢山含まれている訳で、その辺はもう少しきちんとした議論が必要だと思います。
【NHK 別府記者】スーダンのPKOですが、ようやく5年前に和平合意があって、来年1月の南部独立の住民投票の運びで国際社会の関心も非常に高いものだと思うのですが、高い意義と比べて、何がネックになっているのか、治安なのか、お金なのか、どこら辺に今あるのか、分かる範囲で教えていただけないでしょうか。
【大臣】これは政府の中で議論しているところであります。官房長官も一週間後に結論出すというように言われておりますので、中でどういう議論をやっているかというのは、あまり言わない方が良いと思います。言えば、またバラバラだとかというように表現されてしまいますので、結論が出た段階で、その結論に沿ってきちんと説明したいと思っております。
【共同通信 齋藤記者】先日、トルコのダーヴトオール外相と電話会談されたという発表がありましたので、その件についてお伺いしたいのですが、ダーヴトオール外相が国内紙とのインタビューで、例のガザ支援船の襲撃事件について、イスラエルは断固謝罪すべきであると、もし謝罪できないのであれば、国際的調査を受け入れろと、そうでなければ断交だと、かなり踏み込んだことを発言したと伝えられております。この件についてお伺いしたいのですが、トルコのイスラエルに対する非常に強い姿勢について、我が国として支持するのかどうか、そして、トルコが言うような国際的調査の受入れを求めていく場合に、日本として協力する用意があるのかどうか。これは、日本国内ではそれほど大きなニュースになっていませんが、かなり現地では大変な波紋を呼んでいる話でありますので、その点明確なコメントをいただければと思います。
【大臣】まずは、トルコの外相との電話会談の中身は、お話はしない方が良いと思います。ただ、沢山の方が亡くなった事案でありまして、トルコ側の主張、伝えられるような主張と、私(大臣)は断交と言われたのかどうかは確認できておりませんけれども、国際的な調査か、あるいは謝罪というようなことをトルコが主張しているということは私(大臣)も耳にしております。これを国際社会がどう受け止めるのかということについては、それを議論する場がある訳ですから、そういう場で議論に委ねるべきで、日本が個別にあまり方向性を明確にしない方が現時点では良いと思います。まだ当事者間で話し合いが行われている最中であります。ただ、トルコの外相には、私(大臣)の方から沢山の方が亡くなり、あるいは怪我をされたことに対するお悔やみとお見舞いは申し上げ、そしてそういうことが繰り返されてはならないということは申し上げたところであります。
【共同通信 斎藤記者】イスラエルは「緩和してきている」と言ってはいるものの、実際にガザに対する封鎖というものは、まだ完全に解除された訳ではありません。日本政府は完全解除を求めていますか、そして、完全解除を求めてイスラエル側に働きかけるお考えはありますか。
【大臣】この話とガザの話、そして、今回の事件は一応別の問題として、私(大臣)は議論されるべきことだと思います。ガザの封鎖といいますか、そこにアプローチすることについて制限を加えるということについては、基本的に、あまり省内で、私(大臣)のところに上がってきていないので、率直に申し上げられないのですが。この記者会見で初めて詰まりましたね・・・、なかなか難しい問題だと思います。難しい問題ですが、ガザ地区に対して直接外からアプローチするということは、ガザ地区の今、置かれている国際的な位置ということとも関係いたしますので、そう簡単な問題ではないと思います。自由にそこへ船舶が着いたり、離れたりすることができるのかどうかということについては、かなり国際法的にも微妙な問題だと思います。したがって、少し専門的に議論してみないと、この場ではお答えできません。
【共同通信 西野記者】これは、G8の首脳会談の宣言の中にも扱われていて、「一定の緩和については評価すると同時に一層緩和していく」ということは、G8の中でも合意されている内容だと思いますが、今のご答弁というのは、それよりも後退したものなのでしょうか。
【大臣】ですから、完全に自由化できるかどうかということについては、少し検討が必要だというように申し上げました。
【毎日 西岡記者】北朝鮮拉致問題についてですが、一部報道で金賢姫元死刑囚の来日の可能性が報じられていましたが、窓口はおそらく外務省が担当されていると思いますが、現時点で訪日の可能性とその日程的な目途みたいなものでお伝えいただけるものがあればお願いします。
【大臣】特に申し上げることはございません。
(1)核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会の立ち上げについて
【岡田大臣】まず、第1点は、核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会の立ち上げであります。「核兵器のない世界」を目指して、我が国が核軍縮・不拡散の問題で引き続きリーダーシップを発揮していくために、私(大臣)に対するアドバイザリー・グループとして、政府外の有識者から構成される懇談会を立ち上げることにいたしました。
メンバーは、座長に黒澤先生。黒澤先生はご案内のとおり、大阪女学院大学の教授であります。あと、一橋大学の秋山先生、NPO法人ピースデポの梅林さん、拓殖大学の佐藤さん、朝日新聞の論説委員の吉田さんの5名であります。懇談会の委員は、外務省参与に任命をし、守秘義務のかかる非常勤国家公務員といたします。
原則、月2回程度開催をしようと思っておりまして、第1回は6日(火曜日)午前中に開催することにしております。私(大臣)も適宜出席するほか、この問題について、政務レベルでは徳永政務官に担当してもらおうと思っておりますので、徳永政務官や軍縮不拡散・科学部長が会合に出席するということでございます。
懇談会メンバーには、中長期的視点から、核軍縮・不拡散外交に係る諸課題と我が国の取るべき方針、それから国際会議の企画立案などの短期的課題についても意見を述べていただくことにしております。
まずは、9月の国連総会に際して開催を検討しております核軍縮・不拡散に関する外相会合に関して議論をしていただくほか、新たに締結されたSTART条約後の核軍縮の方向性、あるいは核兵器の役割低減の具体化に向けた道筋について議論をしていただく予定であります。
(2)外務省顧問の退任について
【大臣】外務省顧問の退任について、現時点で、外務省顧問を5名の方にお願いしておりましたが、7月1日付で全員にご退任いただくことにいたしました。これは、本年3月から取り組んでおります外務省の顧問・参与の見直しの一環として行ったものであります。ちなみに、参与につきましては、3月現在20名だったものを現在半減しております。全体の見直しをいたしました。質問主意書などでもご指摘いただいたこともあり、全面的に必要性について見直したものであります。特に顧問につきましては、外務省改革に関する「変える会」の報告書の中にもそのことが言及されておりまして、次官ないしはそれに準ずる方が退官された後、10年間顧問を務められるという慣行があったということでありますが、もちろん、それぞれの方は立派な方ですから、これからもご意見を聞くことはあると思いますが、それは別に顧問という肩書である必要は必ずしもない訳でありまして、次官経験者が自動的に顧問になるというのは必ずしも適切ではないと考えて、この度、ご退任をいただいた訳でございます。もちろん、ご退任いただくにあたっては、5名の方の内4名とは、お集まりいただいて、私(大臣)が直接話をし、様々なアドバイスをいただいたところであります。これからもそういう形でのアドバイスというものはいただいてまいりたいと考えております。
(3)エスピノサ・メキシコ外務大臣の訪日について
【大臣】エスピノサ・メキシコ外務大臣が5日から6日まで訪日されます。本年は、日・メキシコ交流400周年という節目の年でありますし、彼女の方は本年だけで3回目の訪日であります。1月のFEALAC、そしてカルデロン大統領に随行して来られ、今回3回目であります。エスピノサ外相は、本年末のCOP16、気候変動枠組み条約第16回締約国会議の議長を務めることになっております。私(大臣)と5日に会談を行い、二国間関係や気候変動問題について意見交換を行いたいと考えております。
【朝日新聞 鵜飼記者】外務省顧問についてお伺いします。顧問の方々のこれまでの役割、どういうことをやってこられてきたのかということと、今回廃止するということですが、これまで顧問の方にかかっていた経費とか人件費といったものはあったのでしょうか。
【大臣】顧問は無給でありますので、特にこのために費用がかかっている訳ではありません。役割は、まさしく適宜アドバイスを行うということでありますが、直接私(大臣)が大臣に就任してから、顧問という形でアドバイスをいただいたということはありませんでした。いずれにしても、これからも顧問というものをお願いしないということではなくて、つまり、制度そのものは残す訳でありますが、それは適宜判断してもらっていけばいい。次官経験者だけが、あるいはそれに準ずる方が自動的に顧問になり10年間務められるというのはいかがなものかと判断をした次第であります。やはり、現役から見ても少し重たいですから、いろいろなアドバイスをいただければいいので、わざわざ顧問という肩書を残す必要はないと思っております。
【時事通信 鈴木記者】確認ですが、経費等は余り関係ないということだったのですけれども、部屋とか秘書とか、そういうところは今、この役所はどうなっていたのでしょうか。
【大臣】顧問のためだけの部屋はないと私(大臣)は承知しております。ただ、たしか大使が帰国された際にそのためのスペースがあって、それを共用しておられるということでないかと、私(大臣)もこの目で見たことはないのですが、そのように理解しております。それぞれ職業をお持ちでありますので、外務省に頻繁に来るとか、そういうことはないと理解しております。
【共同通信 太田記者】日米密約のことについてお聞きしたいのですけれども、先日来、弊社で報道しているのですけれども、米国の方でまた新たな公文書がいろいろ出てまいりまして、まず1つは、1963年3月15日付けの米国の在日大使館がロバート・フィアリー、当時の北東アジア部の日本担当官ですけれども、こちらに宛てた書簡の中に、フィアリー氏の言葉を引用しながら、1960年の日米安保改定の段階において、機密討論記録2項Cに関しましては、この意味を岸首相と藤山外相が明確に理解していたという記述が確認されました。また、別の書簡、1961年の6月14日付、これは日米首脳会談用に国務省が用意したケネディ大統領宛の秘密メモですけれども、この中においても、船に積まれた核については事前協議の対象としないということについては、日本政府がこれを密かに同意しているというような記述が発見されまして、米国の2つの複数の文書から、やはり60年段階において日本側には密約の認識があったということが文書から確認できるのですけれども、この結論は実は有識者委員会の調査報告の結果とは食い違っております。こういった新たな米側の文書が発見されたことを踏まえまして、今後どのように日米密約の問題をお考えになられるか、改めて調査をなさるか、その点をお聞きしたいと思います。
【大臣】非常に興味深いお話だと思います。ただ、外務省に残された資料を調査した結果が外務省の調査報告書で、その結果はそれを示すようなものはなかった。むしろ逆に、その後、そういったことを知らないということを示唆するようなものはあったということであります。こういった米側の公電といいますか、内部文書でどう書かれているかというのは1つの資料だと思いますが、それが全面的に正しい認識を示したものかどうかということも、検証のしようがない訳であります。例えば、大平・ライシャワー会談の結果についてのライシャワー大使の本国宛の公電なども、果たしてそこに書かれたことがすべて、日本側の大平首相の認識と一致していたかどうかというのは検証のしようがない訳でありまして、そういう意味では、これは有識者によって、学者によって、より検証されるべきものであって、新たな資料が出てきたことは1つの事実だと思いますが、それをもって直ちに何か言えることでは必ずしもないと思っています。いずれにしても、外務省の調査、あるいは外務省がお願いした有識者の皆さんの調査結果でも、1968年にはもう明らかに外務省は認識していた訳でありますので、その8年間、最初からなのか、途中からなのかというところの認識のずれがある訳で、今後、更にいろいろな資料が新たに発見されることによって、事実関係が明らかになっていくのではないかと思っています。
【共同通信 太田記者】したがいまして、現時点においては、特段外務省として、米国で米国の資料を再度調査するとか、そういったお考えは現時点ではないと解釈してよろしいですか。
【大臣】米国の資料を調査しても、それが事実であるかどうかということは確認しようがありませんので、そういったものがたくさん出てくれば、その事実である可能性は高まるということになると思いますけれども、もちろん、新たに出てきた過去の資料について、それを確認することはやぶさかではありませんが、だからといって何か断定できるということでは必ずしもないということだと思います。
【琉球新報 仲井間記者】先日、中国と台湾が関税をゼロにすることに向けての協定を結びましたが、それに対する大臣の評価をお聞かせください。
【大臣】それに対して、特に評価することではないと思います。それは中国と台湾がそれぞれの判断に従って合意されたことでありますので、第三国である日本が何かそれに対してコメントするということではないと思います。
【琉球新報 仲井間記者】今の件に関連して、民主党政権というのは東アジア共同体というのを掲げていると思うのですけれども、中国と台湾がこのように経済的な結びつきを強める一方で、中台の緊張というような安全保障上の懸念とかも指摘されることがあると思うのですけれども、経済的な関与、関係が深まることで、北東アジア、東アジアにおける安全保障環境の変化へ今回の件は影響を与えるとお考えでしょうか。
【大臣】なかなか難しいご質問だと思います。もう既に台湾と中国との経済関係というのは、相当依存関係が深まっておりますので、今回のことによってそれが一層深まるとしても、質的に何か異なるのかどうかというのがなかなか難しいご質問だと思います。
【共同通信 斎藤記者】中国のくくりでお伺いします。東シナ海のガス田交渉の関係ですが、5月31日に温家宝首相が来られて、条約締結交渉に前向きな姿勢を示されて、日本側もそれを評価した訳ですけれども、あれから1か月経ちました。現時点では、まだ具体的な日中間の締結交渉の日程が入ったという話を私は聞いておりませんが、1か月経ちましたので、そろそろやってもいいのではないかという気もするのですが、その見通しと、政治的理由で開けない要素があるのかどうか、それがもしあれば、ご紹介いただきたいと思います。
【大臣】温家宝首相が来られたときに、そういった確認が行われました。その後、特にそれが障害があって止まっているという事実はございません。
【共同通信 斎藤記者】その関係でおさらいとしてお伺いしたいのですが、条約締結交渉は当然、共同開発がテーマになります。共同開発がテーマになれば、それはいわゆる東シナ海の北部海域が共同開発の対象ですので、そこが当然、協議の中心になるかと思いますが、もう一つ、白樺があります。白樺は2008年6月の日中合意では共同開発ではなくて、中国の国内法に基づいて日本企業が出資するという中身だと認識した訳ですが、これについてもきちんと協議の俎上にのっていくかどうか。そして、それ以外に断橋、天外天、つまり、白樺以外に東シナ海にいくつかガス田が点在していまして、中国が既に先行開発をやっています。その部分は2008年6月の合意では、協議事項になっていると私は理解しております。断橋、天外天です。日本名で言うと「樫」とか何とか言いましたけれども、それについての扱いはどうやっているのか、実際にこれは議論をしていくのかどうか、その点を併せて教えてください。
【大臣】温家宝首相が来られて確認されたことは、国際条約交渉ということでありますので、それは基本的に北部海域の共同開発と、白樺(春暁)に対する出資、この2つがテーマになると考えております。そのほかの問題については、前回の合意の中で扱われている線上の問題として、それは切り離して議論が行われていくということだと思います。
【時事通信 鈴木記者】東シナ海のガス田そのものを開発する日本にとっての経済的なメリットといいますか、なかなかこの事業化は、実際は難しいのではないかとか、そういうことも長らく言われておりますけれども、その辺については大臣はどういうご認識を持っていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】事業化が難しいかどうかというのは、それはいろいろな意見はあるかと思いますけれども、事業開発を行う会社があって、開発したいということであれば、国としてそれに対して何か言うことはございません。
【時事通信 鈴木記者】では、経済的にも日本にとって、東シナ海のガス田は大切なものだと、簡単に言えば、そういうご認識ということでよろしいでしょうか。
【大臣】基本的には、これは民間が開発する話でありますから、開発したいという企業が出てきたときに、それに対しては日中両国政府で合意した線に沿って行われていくということであります。
【読売新聞 川崎記者】本日午前中に外務省の大臣の下に広島の秋葉市長がいらっしゃいまして、日印の原子力協定について「NPT体制の崩壊にもつながりかねない。核廃絶を進める上で極めて重大な支障である。あるいは被爆地の訴えを踏みにじるもので理解しがたい」という、かなりきつい内容のお話があったかと思いますが、これについての大臣のご所件と、これについて、どのようにご説明をされたかということについて、お伺いします。
【大臣】私(大臣)がお話ししたのは、前回ここで皆様にお話ししたのと同じことであります。もちろん、インドがNPTに入っていないことは事実でありまして、それを認めることになりかねないという問題はあります。しかし、他方で全く野放しではなくて、一定の枠の中に入れるという効果もあるということであります。NPTに入るように求めていくということもいいのですけれども、核兵器を既に持っているインドがそれをすべて放棄してNPTに加入するというのは、目指す理想としてはいいですけれども、現実の可能性としては非常に厳しいものもあります。そういう中できちんと、緩やかであっても一定の枠組みの中に入れるという効果はあると思います。併せて地球温暖化とか、さまざまな要素を考慮した上での非常に厳しい決断をしたところであります。もう既に国際社会の中では結論が出ている話でありますので、日本としてはそれを慎重に見極めながら、最終的に決定をしたということであります。そういったことについて、ご説明させていただきました。併せて、やはりNPTに加盟していない核保有国について、これからどういう形で制約を課していくのかということについて、先ほどの核の有識者懇談会のテーマの一つでも実はある訳ですけれども、そういったことについて、しっかり議論をし、方向性を出していかなければいけないと思っています。
【共同通信 太田記者】今の日印の関係ですけれども、1つの交渉入りの判断というのは、2008年にインドが示した「約束と行動」、これがある程度履行されているということがあったと思うのですけれども、この中には、たしかカットオフ条約の条約交渉を進めていくというようなインドの前向きな姿勢があったのですけれども、現状としては、カットオフ条約、CDで全くパキスタンの反対で進んでいないという状況がございますから、この点については、インドについて、やはり被爆国としてプラスアルファ、すなわちFMCT交渉が進んでいないならば、せめてモラトリアム、生産停止を求めていくとか、そういう個別のスペシフィックなベンチマークをお求めになっていくお考えはございますか。
【大臣】交渉はこれからですから、様々なことが議題に上ると思います。特に核実験について行った際の扱いとか、そういったことについて、これから具体的に交渉を行っていくにあたって、いろいろ議論していく必要があると思っています。まだ交渉は始まったばかりでありますので、具体的中身について、今、申し上げるつもりはございません。
【共同通信 太田記者】濃縮再処理に関しましては、これはやはり個別のことをお答えになるおつもりはないと仰られたのですけれども、大変、核軍拡、垂直拡散を論じる上では非常に重要なファクターであり、また、水平拡散を論じる上でも非常に重要なファクターですから、この濃縮再処理については、日本としては、ここはインドには認めていかないのだというような、日本とのディールにおいては、そこは許さないのだというお考えはお持ちですか。
【大臣】これもこれからの議論ですけれども、ただ、日本だけがそれを言ったところで、どれだけの意味があるのかという問題もあると思います。既に他の主要国は、原子力協定を結んで民生用の核についての協力の話が進んでいる訳でありますので、そういったことを全体的に判断しながら進めていかなければいけない問題だと思います。インドの核の問題は、私(大臣)、国会議員としては最もこだわってきたテーマの1つでありますので、非常に最後までいろいろ考えるところが多かったのですけれども、余りメディアの皆さんも取り上げることはなくて、原子力協定がスタートすることになったら、社説で皆さん書かれたので、もう少し早くからいろいろ言っていただいた方がよかったのではないかという思いがしない訳ではございません。
【中国新聞 荒木記者】被爆地では、今回の外務省の方針については、かなり強い反発があって、被爆者は即刻やめてほしいという声が上がっているのですけれども、本日、市長からも要望を受けて、これまでの方針はやはり全く変える考えはないということでよろしいのでしょうか。
【大臣】もちろん、日本が唯一の被爆国であるということも含めて、さまざま慎重に考えて、今回の決断に至ったものであります。核なき世界を目指すという思いにおいては、私(大臣)は非常に人一倍強い、そういう気持ちを持っているということは、知る人は知っていることだと思います。
【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】菅総理は、かつて米国との信頼関係をしっかり維持しながら、中国の関係も同様に重要視していくと語られましたが、民主党の参議院選挙のマニフェストに盛り込まれた文言は、日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安全の礎ということです。つまり、優先順位はどうですか、日本政府はもう決められたのですか。米国が第1位ですか、アジアが第1位ですか、米国と中国は平等的に扱っていますか、教えていただけませんか。
【大臣】この点については、私(大臣)はたびたび申し上げておりますが、日本にとって中国は非常に重要な国であると、そのように思っております。ただ、米国との関係は、これは同盟国、安全保障上の同盟国でありますので、中国も含め、他の国々との関係とは質的に異なる深い関係が日米間にはあるということであります。どちらが大事だとか、大事ではないという次元の問題ではなくて、質的に異なるものがあるということをご理解いただきたいと思います。
【共同通信 比嘉記者】国連の安保理改革についてお伺いします。日本は2010年末で、非常任理事国の任期が切れますが、連続再選ができませんので、2012年まで動けないかとは思うのですけれども、安保理の改革、常任理事国入りも含めて、今後の戦略を教えてください。
【大臣】いろいろ中で検討を行っているところです。今、私(大臣)から申し上げる段階には至っておりません。
【フリーランス 安積氏】6月29日からロシアがボストーク2010を実施していますが、8000人規模であった2008年のものと比べて、今回は2万人と大規模なものになっています。これが極東の安全保障に与える影響について、ご所見をお伺いしたいのですけれども。
【大臣】ロシア側が極東シベリアで軍事演習を行うということは承知をしております。軍事演習を行うこと自身を取り上げて、何か批判をするとか、そういうことではないと思います。これは日本も、あるいは米国も軍事演習そのものは行う訳でありますので、そのこと自身がけしからんとか、問題があると言うつもりはございません。
【フリーランス 安積氏】今回は、太平洋艦隊のほか、北方艦隊、それから黒海艦隊の艦隊が参加して、かなり大規模なものになっております。それで、ロシアの将校の方も、直近15年で実施されたことのない大規模なものとコメントもしております。こういった大規模なものを今回、今年、特に北朝鮮による韓国の哨戒艇の爆破事件とか、そういった感じで、今、極東の方が少し不安定な状況になっていますけれども、この時点において、ロシアが、こういう大規模なものを敢えて行ったことについて、どのようにお考えでしょうか。
【大臣】韓国の哨戒艇の撃沈、沈没事案というものが、今回の演習とどういう関係にあるのかということは、承知をしておりません。したがって、コメントすることはできません。ただ、一部に報じられておりますように、もし、この演習の範囲が択捉島にある演習場も含むというように一部報じられておりますが、もし、そういうことであるとすれば、北方四島に対する我が国の法的立場にかんがみて、到底受けられないということであります。
【琉球新報 仲井間記者】外務省沖縄事務所についてお伺いします。二週間程前に弊紙のインタビューで樽井大使にお答えいただいているのですが、外務省沖縄事務所に暗号化する機械が存在するということでした。暗号化して公電を送るのがルールということになっているのですが、在外公館に暗号化する機械があることは理解できるのですが、国内の事務所に暗号化する機械があるというのは少し違和感を感じるのですが、その理由についてどのようにお考えでしょうか。
【大臣】これは、保秘、秘密を守るということを考えたときに、いろいろな情報を外務本省に送る際に、その過程においてそれが外に何らかの形で出るリスクはある訳ですから、暗号化するということが何か問題であると私(大臣)は考えておりません。
【琉球新報 仲井間記者】樽井大使は「何故あるか」という理由の一つとして、「米軍基地があるから。安全保障上の情報のやりとりもあるから」というような説明をされています。情報の秘密を守るという意味では、沖縄だけに限らず、日本国内の他の米軍所在の都道府県とのやりとりも外務省はされていると思うのですが、そうなると、あらゆるところと国内同士のやりとりも暗号化されてやっていると理解してよろしいのでしょうか。
【大臣】事務所という形であるところというのは、限定されていますので、それを一般化するということでは必ずしもありません。
【琉球新報 仲井間記者】そうなるとやはり、沖縄だけにもちろん事務所があって大使も置いてあると、そして基地がたくさんあるから、このような施設が必要であるというような判断だと思うのですが、いろいろと沖縄から情報をあげる際、安全保障上の情報、米軍からもたらされた情報以外に、沖縄県民の民意だとか要望、沖縄県での世論の状況、そういったものも暗号化されて送られているのでしょうか。
【大臣】私(大臣)は承知しておりません。そもそも樽井大使が何を言われたのかということを私(大臣)は承知しておりませんので、この場合、即答はできません。必要があれば、確認してみたいと思います。
【琉球新報 仲井間記者】大使が何と言われたか分からないとか、沖縄のいろいろな報道の状況だとか、即座にはもちろん把握されないと思うのですが、一般的に大臣は沖縄で大使が何を言ったかとか、どのように対応されたとか、どういう報道がされているかとかいう情報というのは、どのような頻度で、どのような方法で確認されているのでしょうか。
【大臣】大使が本省に対して、電報の形で報告されたものについて、必要なものが私(大臣)のレベルまで上がってまいります。その判断というのは、一定程度、事務方が判断する訳でありますが、私(大臣)のところには毎日、厚さにすると5センチ~10センチぐらいの電報が上がってまいりまして、それを読むだけでも最低1時間はかけておりますので、重要度に応じて私(大臣)のところに上がってくるということであります。もちろん、沖縄タイムスと琉球新報のコピーは大体目を通しております。
【共同通信 斎藤記者】イラン情勢についてお伺いします。米国のオバマ大統領が、イランに対する米国独自の制裁法案に署名されました。内容については、ガソリン金融などと聞いております。オバマ大統領はオーストラリアとEUの名前を挙げて、「それぞれ独自制裁に踏み切った」と評価しております。このオバマ大統領の対イラン制裁法への署名と、足並みを揃えていると言っていいオーストラリア、EUの対応について御所見をお伺いしたいと思います。
【大臣】EUの方もまだ最終的な決定ではありませんので、それについてコメントする段階ではありません。我が国としては米国及びEUの対応を確認しながら、日本として何ができるかということについて検討していきたいと思います。
【共同通信 斎藤記者】オバマ大統領、米国がこのタイミングで独自制裁に乗り出すという米国の判断を同盟国である日本としてどう捉まえるか、そしてどのように評価するか、この点についてはいかがでしょうか。
【大臣】米国の議会の判断ですので、そのことについて日本政府が何かコメントするのは適切でないと思います。しかし、イランに対してしっかりした制裁が必要であるというのが、議会の意思であるということはよく理解しています。
【共同通信 斎藤記者】我が国として6月の安保理追加制裁決議とは別に、新たな措置を採るべきかどうかという点について、現時点で大臣自身はどのようにお考えになりますでしょうか。
【大臣】これは慎重に検討しなければいけない問題であります。慎重にという意味は別にやらないということではないわけであります。なるべく、米国やEUと歩調を併せてとも思いますが、他方で日本の経済的な利益もかかった話でありますので、簡単に答えが出る問題ではありません。全体的な状況について十分把握しながら、国際社会と協調して対応していきたいと考えているところです。
【NHK 禰津記者】米軍再編のロードマップの件でお伺いしたいのですが、本日、一部報道でグアムへの米軍の海兵隊8000人の移転について、米国側が移転部隊の構成を見直すことを日本政府に伝えてきたという報道があり、その中でヘリコプター部隊等を指揮する第一海兵航空団司令部を沖縄に残して、代わりに歩兵部隊は移転することをを検討ということでありますが、このようなことが今、検討されているのかどうかということを先ずお伺いできますでしょうか。
【大臣】5月28日の2+2の共同発表において、「米側は地元の懸念に配慮しつつ、抑止力を含む地域の安全保障全般の文脈において、沖縄に残留するⅢMEF要員の部隊構成を検討する」となっている訳です。それ以上の中身については現時点で申し上げることは特にございません。米国政府としては、共同発表の範囲内において、地元の懸念に配慮しつつ、抑止力を含む地域の安全保障全般を含む文脈において、沖縄に残留する第3海兵機動展開部隊の構成について検討を行うことになるということであります。その検討は現在、米国政府の中で行われているということでありまして、その後日米間で協議をしていくことになると思います。
【NHK 禰津記者】安全保障環境というのは、昨今の北朝鮮情勢等が緊迫している状況など、そういった状況を受けて米国側が部隊編成を見直しているというように、大臣はご認識でしょうか。
【大臣】もう少し先の話ですから、8000名の第3海兵機動展開部隊の移転、それから、9000名のその家族の移転というのは、これから行われることで、若干タイミング的には少し先を睨んだ話です。もちろん、その時に朝鮮半島情勢がどうなっているのかという問題はあると思いますが、したがって、あまり目の前の短期的なことではなくて、もう少し全体を見ての判断と考えた方がいいと思います。
【大臣】外交記録の公開に関して、時を置かずして、この場で申し上げたと思いますが、多少遅れております。公開にあたって他省庁との調整が必要なものがあり、その調整が今まだ、整っていないということで、私(大臣)が最終的に決裁することができないと状況にあります。なるべく早く調整を終えるようにと事務方とは意見交換も行い指示もしているところですが、相手のある話であって、もう少し時間がかかると思います。調整がすぐにつかない場合には、その他の大部分については来週のなるべく早い段階で公開を開始するということにしております。念のために、これだけ申し上げておきたいと思います。
【ビデオニュース 竹内記者】メキシコ湾の原油流出事故について、先日、米国政府が、他の複数の国と一緒に日本の支援の受け入れを決めましたが、その具体的な支援の支援内容を教えていただきたいのと、この日本の貢献でどういった効果を期待しているかをお聞かせていただけたらと思います。
【大臣】この非常に深刻な影響を与えておりますメキシコ湾の原油流出事故に関しましては、我が国から「支援をする用意がある」ということを申し上げてきた訳ですが、米国側から、「オイルフェンス及び沖合油回収装置2台を提供するとの我が国の申し出を受け入れる」という連絡があったところです。今後、オイルフェンス及び高速大容量沖合油回収装置の貸与について詳細を米国側と調整する予定です。
【ビデオニュース 竹内記者】具体的にどういった貢献で、効果を期待しているのでしょうか。
【大臣】ですから、オイルフェンス及び沖合油回収装置を貸与するということでありますので、油の回収、それから油が広がっていくことに対して一定の効果があるということです。
【中国新聞 荒木記者】先程ペーパーが配られた有識者懇談会についてですが、外相会談のこととか、核軍縮の方向性について議論してもらうということでしたが、今の段階で、それ以外に想定しているテーマがあれば教えていただきたいのと、どういった時期に答申を順次受けていきたいか、今考えているところがあれば教えて下さい。
【大臣】外相会談は9月に予定しておりますので、それに向けてということになります。その他の問題につきましては、様々なテーマが想定されますが、そのことも含めて有識者の皆さんにしっかり議論してもらおうと思います。先程お話ししました、NPTに加盟していない国々について、どのようにしてそこに制約を課していくのかというような問題も一つ大きなテーマであると思いますが、具体的なことはこれからよく相談していきたいと思います。少し骨太の議論を期待したいと思っております。
【伊勢新聞 中森記者】参院選についてお聞きしたいのですが、公務の合間を縫って全国遊説をされていると思うのですが、情勢認識と手応えみたいなものを聞かせて頂きたいと思います。
【大臣】サミットへ総理に同行して行っておりましたので、まだ告示の日、それから昨日、地元を除くと、その2回です。明日、明後日は九州を回ることになっておりますが、参議院選挙ですから、衆議院ほど細かい選挙にはなっていないということもあるかも知れませんが、まだ十分に盛り上がっていないのではないかなという感じがしない訳でもありません。私(大臣)が回っておりますのは、比較的に県庁所在地とかというところではなくて、むしろ人口密度の低いところを中心に回っておりますので、よけいにそういう感じがするのかもしれませんが、もう少し熱気が上がってきていいのではないのか、これからこの週末を挟んで、そうなることを強く期待しているところです。