記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成21年11月)


INDEX









外務大臣会見記録(平成21年11月27日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)第4回FEALAC外相会合

(外務大臣)それでは私(大臣)から何点がご報告します。第4回FEALAC(アジア中南米協力フォーラム)外相会合の開催についてご報告したいと思います。明年1月16日及び17日、第4回FEALAC外相会合を東京で開催します。このFEALACは、アジア15ヶ国、中南米18ヶ国の合計33ヶ国からなる国際的な枠組です。原則的に2年に1回外相会合が行われ、前回2007年のブラジル会合が行われた際に、次回2010年は、日本で、1月16日、17日に開催することが決まりました。環境・持続可能な発展、国際的経済危機、格差是正などの問題について、発足後10年が経過したFEALACのこれまでの活動を振り返りつつ、今後のアジアと中南米の交流促進等についても議論する予定です。なお、併せて、日・ベトナム協力委員会第3回会合、日・中米外相会合も同じ時期に行います。もちろん、バイ(二国間)の外相会談も行いたいと考えています。

(2)いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会第1回会合

(外務大臣)第2点は、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会の第1回会合については、後程、北岡座長のほうから会見が行われるということであります。その場で北岡先生のお話を聞いて頂きたいと思います。基本的に、今まで外務省が行ってきた調査結果を検証して頂くということでございます。先程、北岡先生とお話しまして、(有識者委員会を開催する期間は)1月中旬までにと思いながら、1月いっぱいくらいになるかもしれない。ただ、2月に入ることは避けたいとお話しましたので、そういうスケジュール感の中でお願いをしたいと思っています。これは、単に外務省の調査結果の検証だけでなく、どういう時代背景の中でこういった問題が発生をしたのかということについても、歴史的な評価も含めて行うようお願いしたところでございます。そして必要に応じて、元外務省職員を含む外務省関係者からの意見の聴取も行う、併せて、今後の外交文書の公開のあり方についての提言も頂くということでございます。会合は、現時点では5回程度と考えております。先ほど委員の先生方にもお話ししたところでございますが、いつでも、委員の先生方の要望に応じて、24時間体制で、場所を確保して、そこで関係の書類をお読み頂くという体制を外務省として整備しているところでございます。

(3)政務三役会議

(外務大臣)私(大臣)の方からは、閣議の報告、それから閣議に先だって、これは正式のものではありませんが、気候変動に関する関係閣僚が集まって今後の見通しなどについて意見交換をしたことの報告、それから密約に関する有識者委員会、昨晩のクリントン米国務長官との電話会談などについての報告をいたしました。併せて、私(大臣)の方から、行政刷新会議の事業仕分けの結果を外務省として整理をし対処方針を検討するよう指示したところであります。武正副大臣からは第7回WTO閣僚会議への出席について、吉良大臣政務官からは、中南米大使会議についての報告がございました。西村大臣政務官からは、男女共同参画会議についての報告がありました。それから、国際連帯税について、税調で議論がなされることになっていますが、外務省としての考えをもう一度整理して、本日の税調に提案するということを確認したところであります。

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いわゆる「密約」問題に関する調査(有識者委員会等)

(朝日新聞 鵜飼記者)密約の調査チームについて、今回、有識者委員会が立ち上がって、15人でやって来られた調査チームは今後どうなるのでしょうか。抑え役として、このまま継続して活動するという形になるのでしょうか。

(外務大臣)少なくとも、事務局的な人間は何人か必要ですので、必ずしも全員ということではありませんが、そのうちの一部は、引き続きチームを組んで、この委員会の様々なニーズに対応するということにしております。

(毎日新聞 須藤記者)密約の件ですが、本日も大臣は仰っていましたけれど、「密約については事実関係だけでなく、歴史的な意義、評価、時代背景から発生した理由等」というのもやって欲しいと有識者委員会にお願いしたということですが、事実関係だけでなく、そういうことをお願いした理由をもう少し詳しくお願いします。

(外務大臣)「密約」と言われるものには、それなりの当時の時代的な要請があったかもしれない、そういうことも検証して頂きたいということです。中身は申し上げませんけれども、単にこういうことがあったとかなかったといったことを暴露して明らかにするだけでは、私(大臣)は責任を果たしたことにならない。当時の総理がどういう時代背景の中で、どういった決断をしたのか、そこに苦渋の決断があったのかなかったのか、そういうことがキチッと分かるようにしたいというのが私(大臣)の思いです。

(広島中国新聞 林記者)密約調査についてお聞きしたいのですが、時代背景とか過去の調査というのも重要だと思いますけれど、今後の日本の外交とか、非核政策についてどのようにつなげていきたいと考えているでしょうか。また、密約の真相を解明するということが、日米関係に影響を与えるものだというようにお考えでしょうか。

(外務大臣)勿論、この密約の検証をしていく中で、必要に応じて米国側とも協議をすることはあるかもしれません。いずれにしても、これからの問題については今、私(大臣)はあえてあまり考えないようにしています。まず事実をしっかり出して、そして、検証することが重要で、その上で今後のことを考えればよいと基本的にはそう考えております。

(朝日新聞 倉重記者)密約についての質問ですが、本日の初会合に大臣も出席されていくつか議論に参加されたと思うのですが、差し支えない範囲で結構なので、大臣の本日の初会合の印象と、歴史的な背景の分析という注文が出ているのですが、最終的に今の政権の今後の核政策の在り方まで、判断材料としてこの有識者委員会の提言というものを利用していきたいと考えておられるのか、今後の見通しをお願いいたします。

(外務大臣)有識者会合の任務というのは先程説明したとおりであります。今後のことまで含まれるものとは現時点では私(大臣)は考えておりません。それから、今日の会議に我々は参加をしたというか、有識者会議では私(大臣)も挨拶はしましたが、議論に参加した訳ではありません。むしろ聞いていたと言うべきだと思います。さすが、それぞれこういった問題に対する日本を代表する皆さんだけあって、私(大臣)がなかなか及ばなかったような御意見もあったなというように思っております。それから、有識者の皆さんはそれぞれ意欲満々で、いい議論がなされるのではないかと期待しております。

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米軍再編問題

(毎日新聞 野口記者)普天間基地移転の問題に関して、昨日、外務省と防衛省の局長が帰国して、大臣に報告したと思います。そして、本日の昼、関係する4 閣僚が集まって話し合いをされていました。年内に結論を出したいという意向を大臣は示しておりますが、その結論に向けて、かなり具体的な進展が今回あったということでよろしいでしょうか。

(外務大臣)まず、年内にということは、私(大臣)の思いですが、最終的には総理が決めることですので、総理がお決めになることまで私(大臣)が言及することはできません。そして、今、ワーキング・グループで議論をしている途中ですので、その途中の段階で、私(大臣)がコメントすることは適切ではないと考えております。

(毎日新聞 野口記者)関連ですが、結論が出た場合、もう一度沖縄に行って、大臣として、「こういう結論を政府として方向性を出しました」ということを伝えるお考えははございますか。

(外務大臣)今、まだ結論が出ていない中で、その先のことを何か考えている訳ではございません。ただ、そういったことに関わらず、沖縄にはまた機会があれば、是非訪れたいと考えております。

(琉球新報 滝本記者)大臣の前回の会見で、沖縄タイムスの記者が書かれた本の中で、佐賀空港というものが、かつて米国防総省の側から日本側に提案されて、それが結局実現に至っていないというような経緯があることについて、「検証されるお考えは」という質問が岩上さんから出たときに、「直接のこのワーキング・グループの目的ではない」というように仰って、検討するお考えがないと思ったのですが、過去の会見で、大臣はワーキング・グループの対象について、何を検証する対象なのかということのお話の中で「基本的には今の日米合意に直接至った経緯になると思います。ただ、それ以前にも様々な提案がありましたが、そういった中でも、場合によってはそれを取り上げるかもしれない。それが有力な案になり得るということであれば、排除する必要はない訳だから。」というように仰られて、つまり、今のまさに、V字型、或いは米軍再編の中での合意だけではなくて、過去に遡った形での検証ということの可能性までも言及されておられます。その意味で、佐賀空港なり、その他の有力な案ということも検証されないのかと思い、是非それも検証していただくことも如何かと思いました。

(外務大臣)まず、全体のワーキング・グループのスケジュールについては、先ほど申し上げたとおりです。

(琉球新報 滝本記者)対象の中身についてのお話をお伺いしたいのですが。

(外務大臣)その期間の中で、最終的にいつまでにと決めている訳ではありませんが、迅速に結論を得るということが大前提です。例えば、今までにない新たなものを取り上げて、そして、ある程度の地元の理解も得なければいけないといったことが短期間で出来るとは考えにくいと思っております。

(琉球新報 滝本記者)私の質問は、新たにないものを取り上げるということではなくて、取材の中で出てきた過去に日米の協議のテーブルに載った案、琉球新報の取材では北海道の案などが出ており、全くなかった案ではなくて、過去に取材ではあがっていたと聞いているものがあるということを前提にお伺いしています。

(外務大臣)その新しい話、かつて出たかもしれませんが、今の普天間をそこに移転するということについて、短期間で見通しが得られるものではないと私(大臣)は思っております。

(NHK 禰津記者)普天間基地問題における移転先に関して、大臣はかねてから、県外・国外は難しくなってきたとの認識を示していらっしゃって、防衛省側も同じ認識だと思います。一方、同じ政権与党内でも社民党や国民新党はやはり県外・国外ということを今も強く求めているという状況だと思います。なるべく早く迅速に結論を出さなければいけないという中で、今こうした状況について、どのように考えていらっしゃるのか、どのように対応していきたいと思っていらっしゃっているのかということを、大臣のお考えを改めてお伺いできますか。

(外務大臣)出来るだけ早くというのは、来年度予算との関係もある訳ですから、そういったことに対応できるようなタイミングで物事を進めていくべきではないかと私(大臣)としては思っております。

(朝日新聞 内田記者)普天間飛行場の関連でお伺いします。沖縄県の仲井眞知事が、朝日新聞のインタビューで「現計画を受け入れる場合、滑走路の一部を今よりも沖合に移すことが必要である」という考えを話されたのですが、この知事の見解について、大臣はどのようにお考えですか。

(外務大臣)まだ、検証の途上ですので、個々のことについてはコメントすることは避けたいと思います。

(共同通信社 西野記者)嘉手納(基地)統合案を一つの選択肢と大臣が言われた時に、現行案は、沖合修正案というものも論理上はありうると思っているのですが、今の財政状況の中で、名護のキャンプ・シュワブの沿岸部で埋め立てをするということになれば、多額のお金がかかる、数千億円規模のお金がかかるのではないか。さらに、沖合修正すれはもっとお金がかかると、それから環境面の問題もあるという論点があると思うのですが、岡田大臣はキャンプ・シュワブ沿岸に(基地を)造る案については、どのようなメリット、それからどういうデメリットがあると現時点でお考えでしょうか。

(外務大臣)そういったことをそれぞれコメントしていきますと、何かそのことを捉えて、その案を考えているとかということになりますので、コメントは慎重にと思っています。嘉手納については、いつか申し上げたと思いますが、時間があまりかからないのではないかということが最大の利点だと思います。これから何か造る、一から造るということは必要ではありませんので、もちろん多少の付帯工事は必要だとしても、時間があまりかからない、つまり普天間の危険な状態が長く続くということはないということだと思います。現在の「日米で合意した案」の利点というのは、日米で合意されているということが最大の利点だと思います。そして、地元の市長や沖縄県知事もそれを望んでいる訳では必ずしもないと思いますが、県外に移設できないのであれば、それでやむなしと言っておられるということは、他の案にないところだと思います。
 私(大臣)はどの案が良いと予断をもって言っている訳ではありません。客観的に申し上げました。

(時事通信 高橋記者)最初に大臣が嘉手納(基地)統合案を検証したいと表明した時に、この案について閣内で認識を共有できるようにもっていきたいと仰っていたことを記憶しておりますけれども、ここ数日の北澤防衛大臣の国会答弁等を聞いておりますと、必ずしも今の現行案に固執しないと言いますか、岡田大臣が嘉手納を検証していることに理解を示すような発言も、昨日や今日の答弁を聞いているとみられますけれども、大臣がこれまで粘り強く嘉手納の検証に取り組んでいることが、じわじわと閣内で共有を得られつつあると認識していらっしゃるのでしょうか、その辺りはいかがでしょうか。

(外務大臣)検証している訳ですから、この案が良いとか悪いということではなくて、どういう問題があるのかということを検証している訳ですので、共有するというのは検証結果が出た後の話だと私(大臣)は思います。北澤防衛大臣が国会で何か答弁しておられるのは、私(大臣)に対する友情ではないかと思っています。

(日経新聞 山内記者)本日、社民党と国民新党の代表が会談しまして、普天間の問題について民主党だけではなくて、社民党と国民新党も議論に参加させて欲しい、具体的には、閣僚委員会の下に、3党の協議機関を作って欲しいとの方針を決めたのですが、これに対する大臣の考えと、政権内は連立与党なので、政権内の意見集約をどのように進めていくのかの見通しをお願いします。

(外務大臣)まだ、関係閣僚の間で意見の集約をしておりませんので、その様子を見つつ、他の連立のパートナーに対して、相談をしていくということになるのだろうと思います。いずれにしましても、そこの部分については、私(大臣)は、官房長官が、基本的にタイミングについて判断する職責にあると思っています。

(フリーランス 岩上氏)先般、琉球新報の滝本記者からの質問の中で大臣は普天間の移設に関して、普天間の移設を本土の方に持っていくのはこの短期間では難しいというように仰られましたが、基地そのものを移設するということではなくて、例えば外来の訓練機、年間三万回くらい離発着がある訳ですが、こうしたものの一部機能だけでも本土の空港のどこかに移転させるということで沖縄の負担軽減を図るということはあり得ないのでしょうか。また、ワーキング・グループでそれを検討するということはあり得ないのでしょうか。それからもう一つ、嘉手納統合案に関し、家島の飛行場の利用を考えるというプランがある訳ですが、これは検討課題に入り得るのでしょうか。

(外務大臣)具体的なことは私(大臣)は申し上げません。それから、一部機能を県外にというのは、嘉手納(統合案)もそういう考え方です。ですから、そういうことまで排除している訳ではありませんが、問題は短期間にそういうことができるのかという視点になると思います。

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行政刷新会議(事業仕分け)

(J-CASTニュース 亀松記者)事業仕分けについて、前回の会見のときに、枝野さんに対して「存分にやってください」と仰られたということでしたが、実際に在外公館とか在勤手当について検討されましたが、それをご覧になってご感想をお伺いしたいと思います。

(外務大臣)存分にやってくれたと思います。我々は、それを全部受け入れる訳ではなくて、良く検証して、もちろん受け入れていくものもあると思いますし、我々として、これは受け入れ難いというものもあるかと思います。その辺の整理をこれからしっかりしたいと思っております。

(J-CASTニュース 亀松記者)今の関連ですが、テレビの報道等では、外務省の担当者の方が一生懸命お答えになっていたかと思いますが、もう少し説明が上手くてもよいのではないかと指摘をしている人もいたのですが、外務省の説明という点について何か評価はありますでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)は見ておりませんので、コメントできません。

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気候変動(COP15)

(朝日新聞 五十嵐記者)気候変動についてお伺いします。今朝の閣議の前に関係閣僚が集まって意見交換をしたということですけれども、どういうテーマについてお話になったのかということと、米国と中国が各々の目標について相次いで発表しております。こうした目標に比べると日本の目標というのは高すぎるという指摘も今後出てくると思いますが、そうした指摘も含めながら、COP15で日本がどのように議論をリードしていきたいとお考えかということをご説明頂ければと思います。

(外務大臣)本日、関係閣僚が集まりまして、これからCOP15に向けての我が政府としての取り組みについて、先ず認識を共有しようということで、現状の認識について外務省の方から説明をし、小沢環境大臣も御発言になって様々な議論を行ったところです。
 私(大臣)は米国や中国が数字を出してきたことは評価できると思います。数字の中身がどうかということは、これからの交渉でありますので、そのことについてコメントすることは控えたいと思います。
 9月の初め頃の状況を思い出していただくと、12月にはまとまらないのではないかという悲観論が強かったと思います。そういう中で、鳩山総理の国連での演説があり、それをきっかけに、もう一度気運が盛り上がって、中身はともかく中国も米国も数字を出すということに至った。つまり話し合いのテーブルにはつくということになったと思います。したがって、実際に非公式・公式にいろいろな議論をしてまいりましたけれども、そういう中で日本の存在感といいますか、日本がリードしてきたという側面は非常にあると思います。私(大臣)は鳩山総理の演説がその大きなきっかけを作った、そして気候変動について、もちろん楽観はしておりませんが、議論が最終的にまとまる見通しが強くなってきたと思います。「強い」というのは、何もなかった9月始めと比べれば強くなったという意味ですけれども、そういう意味で喜ばしいことだと思っております。
 本日、私(大臣)は他の閣僚に申し上げたのですが、まだまだ議論すべき点はたくさん残っており、各国それぞれ数字を出してきましたけれども、いろいろな意味で議論しなければなりませんので、最終的にCOP15でどういう形でまとまるのかということについては、決して楽観を許さないと思います。我々としては、政治的な拘束力がないような合意だけができて、そして後は京都議定書を延長するだけということには絶対にしないという強い決意で交渉に挑みたいと考えています。

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その他

(フリーランス 岩上氏)先程、密約問題についての座長の記者会見がこの(大臣の定例)会見の後に行われると仰られましたが、実は私ども(フリーランス)はこの会見の方には出席させていただいているのですけれども、こちらの座長の会見には出ることが許されないと言われております。なぜそういう差別的取り扱いになるのか、どうして我々(フリーランス)はこの座長の会見を聞くことができないのか。こちら(座長の記者会見)は外務省主催のものになるわけです。公平に国民の知る権利に応えるために働いているということでは、クラブの記者も外部の記者も平等であると思われますので、是非改めていただけないかと思っております。お考えをお示しください。

(外務大臣)何か理由はあるのですか?

(外務省担当官)フリーランスの方には定例の記者会見への御参加をお認めしているということでありまして、定例でないものについてはまだ参加を認めるということにはなっておりません。

(外務大臣)それは常識的ではないですよね。(参加しても)かまわないと思います。

(フリーランス 岩上氏)よろしいですか。今日、参加させていただいても。

(外務大臣)はい。

(フリーランス 岩上氏)ありがとうございます。

(日本インターネット新聞 田中記者)昨日、外務省のある課に取材を申し入れたところ、全くの門前払いです。内容を聞かずに記者クラブ以外の記者はお受けできないと。理由を聞いたところ、記者クラブと外務省との取り決めになっていると言うのです。どういうことなんでしょうか。今の岩上氏と一緒で、国民の知る権利というか、税金で運営されているはずの外務省が特定の社だけにしか答えないというのはおかしいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

(外務大臣)少し議論を整理したいと思います。時間を頂きたいと思います。先程の件も含めてですね、議論を整理いたします。

(日本インターネット新聞 田中記者)密約の方(会見への参加)は今日はよろしいのでしょうか。

(外務大臣)今日は、いいです。

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外務大臣会見記録(平成21年11月24日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)イエメン邦人誘拐

(外務大臣)それでは私(大臣)から最初に3点申し上げたいと思います。まず、イエメンで誘拐されました眞下武男(ましも・たけお)さんが、23日の夜、無事に解放されました。御本人、そしてご家族はじめ関係者の皆様に心からお喜びを申し上げたいと思います。そして、この犯人側との交渉を含め対応に尽力されたイエメン政府に心から感謝申し上げたいと思います。先程、私(大臣)からカルビー外相、マスリー内相、それからドウェンド・サヌア州知事に対してそれぞれ謝意を述べる書簡を発出したところでございます。今回、眞下さんが無事解放に至ったのは、イエメン政府が身の安全を最優先としつつ、粘り強くかつ毅然と犯人側と交渉された結果であり、こうした対応を高く評価したいと思います。外務省としては今後とも、海外で活動する日本人の安全を守るべく努力をしていく所存でございます。

(2)いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会の立ち上げ

(外務大臣)それから2番目でありますが、いわゆる密約の問題に関し、最近様々な報道もありますが、9月16日にこの場(記者会見)で密約問題に関する調査を薮中次官に対し指示を出したところでありますが、その後、その調査は順調に進んでおります。調査がかなり進んだという現時点で、第三者からの有識者委員会を立ち上げるということは御説明してきたところでありますが、その第一回の会合を今週の金曜日の27日に外務省内で開催することとなりました。有識者委員会は座長に北岡伸一東京大学教授、そして河野康子法政大学教授、河野さんは沖縄を巡る政治と外交に関する論文も書かれている専門家でございます。それから坂元一哉大阪大学教授、坂元さんも日米同盟に関する様々な論文等で著名な方でございます。そして、佐々木卓也立教大学教授、波多野澄雄筑波大学教授、そして元共同(通信社)の記者を務められた春名幹男名古屋大学教授、こういったメンバー6名で構成される有識者委員会をスタートさせたいと考えております。この有識者委員会は、これも私(大臣)から何度か申し上げておりますように、まず外務省が行った調査をもう一度検証するとともに、当時の時代背景を踏まえた歴史的な評価、そしてそういったものを含めた今後の外交文書の公開の在り方についても提言をまとめて頂き、来年1月中旬を目途にこれらを踏まえた報告書を私(大臣)に提出していただく予定であります。ただもちろん作業は始めてみないとわからない部分もありますので、1月中旬は現在のところ考えられるひとつの目途だということでございます。各委員には、資料にもそれぞれ目を通していただいて、これは会議を開くだけではなく、外務省に場所を確保して、いわば24時間体制でいつでも事前に、連絡はもちろん必要ですが、来ていただいて必要な資料は読んでいただくという体制も整えて、十分にそれぞれ検証していただいた上で、提言書をまとめていただくということを考えているところでございます。

(3)政務三役会議

(外務大臣)もう一点だけ私(大臣)から、今日の政務三役会議、それからその前に閣議がありました。閣議については特に申し上げることはございません。そして政務三役会議では、今日と明日に行われます事業仕分けの現状について、午前中の現状についてご報告をいただきました。APEC関係費用は2割削減、それから日本国際問題研究所の補助金は廃止というように判断が示されたということであります。午後はJICA(国際協力機構)の運営交付金がまないたの上に乗っているというように思います。昨日たまたま、東京駅でタクシーに乗ろうとしておりましたことろ、枝野(衆議院議員)さんに会いましたので、「思う存分やってください」というように申し上げておきました。ただ、最終的に決めるのはこれは政治の場と言いますか、予算をどうするのかというのは、閣議で最終的に決定するわけであります。もちろん私(大臣)は、まだ中身は見ておりませんが、行政刷新会議で下された結論というのは重いと思いますので、できるだけ尊重したいというように思いますが、しかしそれだけではなくて、そこで十分に議論が至らなかった点も出てくると思いますので、それは当然仙谷行政刷新担当大臣も含めて、閣議の中で意見交換をしながらより良いものを考えていくことだと思っております。それから、福山副大臣からアフガニスタンのカルザイ大統領就任式に出席したことの報告がございました。

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いわゆる「密約」問題に関する調査について

(朝日新聞 鵜飼記者)密約の第三者委員会のことでお尋ねしますが、以前OBに聞き取りとか、米国に行っての調査というものも考えていると仰っておられましたけども、この第三者委員会はそういった機能を持つという理解でよろしいでしょうか。

(外務大臣)基本的にそういう理解で結構だと思います。どこまでやるかというのは委員の先生方のご意向もありますので、それを踏まえてということになりますが、基本的にOBの意見を聞くこと、或いは必要に応じて米国側と、ただ米国側と調整するのは外務省の仕事になりますが、役割分担しながらやっていただくということになります。

(時事通信社 水嶋記者)密約の関連なのですが、仮に密約の存在を認めることになれば、非核三原則との関係で、「持ち込まない」という政策について整合性が問われるということになると思うのですが、これについて大臣はどうお考えになっていますでしょうか。

(外務大臣)その質問もこの場(記者会見)で何回か出たと思いますけども、今はとにかく事実を明らかにするということが重要でありますので、調査の中身を、仮定に基づいて、その先のことまでいうのは適切でないというように思っています。

(共同通信社 西野記者)第三者委員会と、密約の調査全体の関係なのですけれども、先程大臣から第三者委員会から提言をいただくというお話だったと思うのですが、それがそのまま、9月15日から始まった密約調査の報告書となるのでしょうか。それともまた、外務省の方で、その諮問を受けて調査報告というのを、提言に加えて大きなものを作るというかまとめるというか、どういう関係になるのでしょうか。

(外務大臣)外務省の事実関係についての調査はほぼ終わりつつあるというのは、先程申し上げた通りであります。それ自身も検証していただくことになります。最終的にはその有識者委員会の報告・提言、それと外務省でまとめた(調査)結果、もちろんそれは有識者委員会で検証していただいた上でということになりますが、その事実関係を示す外務省としての報告、この二つがひとつのワンセットになったものだというように考えております。それからこの有識者委員会の皆様にはそれぞれ、公務員としての守秘義務をかけますので、その点も併せて申し上げておきたいと思います。

(フリーランス 岩上氏)外務省の第三者委員会のことに関連してお伺いしたいのですけれども、公開の在り方について提言をいただくというお話がありました。その公開以前の段階で、外交関係も進んでいけば、機密とか、或いは密約が今後も発生するかも知れない。この密約の取り結び方といってはおかしいですけれども、こういったものをどうするのかというルール作りであるとか、或いはそもそも文書や証拠の保全をきちんとするためのルール作りとか、公開以前のルールに関しても検討いただくということなのでしょうか。

(外務大臣)何か具体的問題があるようでしたらそうなのですが、外交には様々な、直ちには外に出せない、そういう機密というものがあることは当然だと私(大臣)は思います。ただ、それが一定期間を過ぎてもなかなか開示されないというのは問題で、もちろんそれは機密の中身にもよるわけですけれども、基本的に一定年限が経てばオープンにしていくというのは基本姿勢でなくてはならない。それでオープンにできない時は、どういう理由でできないかということがしっかりとルール化されていなければならないというように思います。そして、それを客観的に判断するという機能が本来求められていると思います。そういったことも含めて、それではどういうルールなのかとか、どういう体制でやっていくのかとか、そういうことを有識者委員会でも提言を頂こうと思っているところです。

(フリーランス 岩上氏)そのなかなか出せないという機密に関して、なかなか出せないものですから途中で廃棄したのではないかと今回もそういう情報も流れました。実際に今後廃棄とか、その存在を完全に抹消してしまうというような動きがあった場合、それはどのようなペナルティーを課すとか、どの様に調査を行うか、あってはならないケースですけれど、それを想定したときのルール作りというのはどうなのでしょうか。

(外務大臣)公文書を勝手に廃棄はできないわけであります。それが法令に触れるということであれば、もちろん法令に基づいて粛々と対応していかなければいけないというように考えております。

(共同通信 斉藤記者)確認ですが、本日発出された有識者委員会立ち上げに関する外務省報道発表の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)で四つの密約が書かれています。外務省としてはこれまでの調査で、この四密約について、「何れについても特定した」と考えればよいのか、あるいは「もう既に特定をした」ということなのか、どのような理解をすればよろしいでしょうか。

(外務大臣)全く違います。

(共同通信 斉藤記者)この(外務省報道発表)にある特定した文書、並びにこれに関する文書を外務省が閲覧することができるということは、それなりにほぼ材料が揃ったという意味ではないでしょうか。

(外務大臣)言っておられる意味が分からないのですが、我々が特定したと言っているのは、ここで数百冊、或いはそれ以上のファイルの数を示したと思います。それが四つの密約に関連するといいますか、その周辺の文書全体です。特定したというのは、密約の存在があるとか、そのことを意味するものでは、もちろんありません。それに関してはニュートラルで、何も私は言っておりません。正確に話を聞いて頂きたいと思います。

(共同通信 斉藤記者)ここに(外務省報道発表)に書いてあるのは、三千数百冊の中から絞り込んだというものではなくて、これまで既に発表されている全ての関連する資料を指していると。ここに書いてあるものは、就任会見のときに大臣の方から言われた調査チームでこれまで調査してきた何千冊のファイルということですか。

(外務大臣)就任会見の時の話を言っているとしたら、あなたの意見をそのまま受け取れば、就任の時から特定されていたということになるではありませんか。もう少し正確に私(大臣)の言っていることを聞いて頂きたいと思います。二ヶ月前からこうして決まっていたということはあり得ない訳ですから。

(共同通信 斉藤記者)そうではなくて、その段階からここに書かれてある文書というのは、ある程度絞り込みをしたものを書いているという訳ではありませんか。

(外務大臣)これは全体のことを意味しています。

(共同通信 斉藤記者)わかりました。

(読売新聞 村尾記者)先程大臣は、調査についてかなり順調に進んでいると仰られましたが、これは分析作業が客観的なファイルに目を通したり、そういうことが順調に終わったという理解でよろしいのでしょうか。それとも大臣の最初のお見立て通りの結果が出つつあるということなのでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)は、別に予断をもってこの調査に挑んでおりませんので、ファイルに目を通す作業が順調に進んでいると、ほぼ終結に近づいているということを申し上げただけです。

(朝日新聞 倉重記者)少し先の話ですが、公表の仕方で、第三者委員会が纏めた提言書をどういう形で我々に示して下さるのか、まだ決まっていないと思うのですが、それ以外に元となった原本を、例えば開示請求をするなり、我々が見ることが可能なのかどうか、大臣はお考えになっておりますか。

(外務大臣)どこまでそうするかということは、今後の検討課題です。

(朝日新聞 倉重記者)密約についてですが、今回外務省内の保管ファイルということで、大臣命令が出ているのですが、例えば沖縄返還に関するものは、結構、総理と密使とされた「若泉 敬」さんの関係でやっていたという話もありまして、例えば総理官邸の書庫ですとか、他の役所に保存されている分まで、調査を今後広げる可能性があるかどうか、そういう提案を大臣がされるかどうか見通しをお願いします。

(外務大臣)外務省の中のことは私(大臣)で出来ますが、その他のところまで広げるとしたら、どのように、どの範囲でやるか、かなり詰めなければなりません。他省庁にあるものは本来外務省にあるはずです。現時点で私(大臣)は、調査の範囲を広げようとは思っておりません。また、時間もたいへんかかると思います。今回の検証作業の中で、提言としたら外務省の調査結果を見なければ分かりませんが、説得力のあるものが出て来ればそれで十分ではないかと思います。

(毎日新聞 須藤記者)「密約」調査の作業の対象とする文書は、概ね1989年迄のものとするということですが、その理由。また、一部で文書が破棄されたのではないかということと関係があるのかどうか、この二点をお願いします。

(外務大臣)本来であれば1970年代位でいいと思いますが、ここは冷戦終結前まで広くということで、1989年ということに致しました。外務省で調査していたのは、基本的にこの報道発表の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に書いてある四つの密約に関する文書ということにしてきた訳ですが、それよりやや幅を広げたと考えて頂いて良いと思います。これは(密約が)あるのではないかということで、有識者側からのリクエストに基づくものであります。

(AFP 長谷川記者)大臣ご自身は、四つの密約に関する文書をご覧になられたのかどうか。もし差し支え無ければご覧になられたとしたら、印象をお願いします。

(外務大臣)膨大なファイルを一字一句見たということはありません。ただ、その中でより四つの密約に関係があると思われる文書について説明を受けました。現時点では中身について、申し上げられません。

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核の傘(戦略体制委員会)

(広島中国新聞 金崎記者)昨日から、本日にかけて一部報道がありました米国の議会が設置した戦略体制委員会に対して、日本政府側が小型貫通核の保持や核トマホ-クの退役に関しては、日本に相談するように求めたという内容の報道について、大臣は事実関係をお調べになる意志はございますでしょうか。

(外務大臣)あります。前政権の時のことではありますが、どういうことを述べたのか私は大臣ですから、私(大臣)なりに把握したいと思っています。

(広島中国新聞 金崎記者)大臣ご自身は小型貫通型の核ですとか、戦術核、トマホ-ク等は日本に米国の核の傘いわゆる構成要素として必要ないとお思いでしょうか。日本の核の傘の強化に役に立つ、或いはならない、逆にマイナスが多い等どういった考えをお持ちでしょうか。

(外務大臣)そういうことを先に言ってしまいますと、いろいろな予断が生まれますので、私(大臣)は事実関係をしっかりと確認したいと思っているところです。

(広島中国新聞 金崎記者)戦略体制委員会自体は米国のNPR核体制の見直しに関連して議会が設置したものですが、核体制の見直しを議会に提出されるのが今年の末迄と決まっておりますが、そういった意味でのタイムスケジュ-ルというのは考えておりますでしょうか。

(外務大臣)日本も政権交代があったので、また状況は変わっているだろうというように、おそらく米国でも認識をされていると思います。いずれにしても自主体制をしっかりと、予想といいますかあまり勝手な議論をすべきではないと思いますので、事実関係をしっかり確認した上でどう対応するか考えたいと思います。

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行政刷新会議(事業仕分け)

(朝日新聞 東岡記者)事業仕分けについてお尋ねします。午前中対象となりましたAPECの開催費用の20パ-セント削減であるとか、日本国際問題研究会の補助金の廃止、まずこの2点についてどういう感想をお持ちなのか。また、外務省はよく事業官庁ではないとか、諸外国との関係もあるという視点もよく意見として出されますが、今回の事業仕分けで大臣としてどういう議論をお持ちなのかその意見についてお願いします。

(外務大臣)いろいろな議論はあるかと思いますが、今までにない視点で行政刷新会議が様々な指摘を頂くことは私(大臣)は参考になると思います。それがどれだけ説得力あるものとして受け取るかどうかは別ですが、まず意見をぶつけて頂くことは私(大臣)は大歓迎です。議論はそこから始まりますから。個別の話は私(大臣)は、今申し上げない方がいいと思います。それぞれに大臣がいちいちコメントしていたら刷新会議側の者が言いにくくなるかもしれませんし、まず全部出してもらいたいというように思います。

(読売新聞 川崎記者)本日午後に大臣が先程言われたとおり、政府開発援助も仕分けの対象になるわけですけれども、事業仕分けにあたりまして、政府開発援助については、鳩山総理が9月の国連総会でも倍加させるというような表現で非常に力を入れると仰ったばかりなのですが、今回事業仕分けの対象になって、これが大幅に削られるとなると、総理が仰っていたことと矛盾が生じることになります。もちろん大臣が先程仰られたとおり、最後は政治が決めるということではあると思いますけれども、大臣のお立場として、この政府開発援助が大幅に一律ざっくりと削られるということになると、非常に影響が大きいというようにお考えなのかどうか、その辺について大臣の見解をお伺いします。

(外務大臣)総額ということになりますと、これは政策論です。行政刷新会議におそらく求められているのは、こういう所に無駄な使い方をしているとか、例えばここは民間の力を借りるともっと効率的にできるじゃないかとかいうような御指摘だと思います。そういうものは是非、目指して頂きたいというように思います。内閣として、鳩山総理が約束された大きな方針は、それはよほどのことが無い限り、簡単に変えるわけにはいかないというように思いますけれども、中身において問題があるものがあれば、そういうものは改めていくことは当然のことだと思います。

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米軍再編問題

(琉球新報 滝本記者)普天間移設に関連するワーキング・グループについて、1回目が開かれましたけれども、今後のその流れとして、スケジュールというか、事務方の会議とかも御予定されているように思いますけど、その辺についてちょっとお伺いさせて下さい。

(外務大臣)個々の中味や具体的なスケジュールとかそういうことは、申し上げない方が良いと思います。ワーキング・グループをしっかりと動かしながら、日米で検証作業を急ぎたいと考えております。

(琉球新報 滝本記者)その場合、大臣が仰る検証という意味合いは、大臣が仰られる定義はどういう意味なのでしょうか。検証としての見直しではまずないということでしょうか。

(外務大臣)これは、私と(ルース駐日米)大使との合意文書をご覧頂ければ、分かると思いますが、それ以上でもそれ以下でもありません。普天間を移設するということに関しての検証、なぜそうなったのかということの検証を行うということです。

(琉球新報 滝本記者)その中で沖縄の負担軽減ということで、防衛省の側が負担軽減策ということもそこで議論されようかという話も聞かれますけれども、それはまた別個に本来、日米合同委員会でなされるべき話ではないかと思いますが、設置されているからそこで話をしてもいいんじゃないかというような議論もあると思いますが、その見直しということに本来特化した場ということの理解でよろしいでしょうか。

(外務大臣)本来はそうです。ただ私(大臣)も沖縄で様々な皆さんから現状を聞いていますので、そういうことについて、せっかく機会があるのであれば、そういうことも併せて議論していくということは決して悪いことではないと思います。それはそれで会議が別だからと言って、時間をおくというよりは、なるべく早くという趣旨で議論していくことは、私(大臣)はむしろその方が良いと考えております。

(琉球新報 滝本記者)その中で具体的に、嘉手納の負担軽減と騒音の軽減、地元も要望している部分、まさにお聞きになったあれだと思いますけれども、どのような具体的な方策としてお考えになられて交渉にあたられようとお考えですか?

(外務大臣)中身は言えるはずないじゃないですか。

(共同通信 上西川原記者)前回の会見で確認をお願いしました、北澤防衛大臣の発言に対するコメントというのは頂けますでしょうか?

(外務大臣)なんでしたか。

(共同通信 上西川原記者)北澤防衛大臣が、前回会見の前の朝の会見で、「普天間のワーキング・グループに関して、防衛省の案を官邸と外務省に提示したとの話がありました。」との質問をしたのですが、それについてご自身で確認されたいということでしたが。

(外務大臣)それについては、私(大臣)は確認しておりません。

(フリ-ランス 岩上氏)普天間基地移設問題について、お聞きしたいと思います。沖縄タイムスの記者が書かれている本の中にあるのですが、佐賀空港が米国側の外交官、米軍関係者にとって、視察したとき「ナイス・ロケーションである」と、これは朝鮮半島に近くて民家もないということで、候補に挙がったということですけれども、何故かこれが立ち消えになってしまった、その過程についてご存知かどうか。また検証する予定があるのか。或いはこうした空港、基地機能の一部移転という形で沖縄の負担を軽減するためにも、再度候補として浮上する可能性があるのか。その辺りを教えて頂きたいと思います。

(外務大臣)今のお話に出た具体的な空港名が米国側からでたものかどうか、私(大臣)は確認しておりません。それが事実かどうか分かりませんので、コメントのしようがありません。

(フリ-ランス 岩上氏)今後確認していくというか、検証していく可能性はありませんでしょうか。

(外務大臣)現時点においては、今の案になったことの検証ということでやっていきますので、直接のワーキング・グループの目的ではないと思っております。

(NHK 別府記者)普天間の関係ですが、政権交代を受けて、折角なので現行計画に替わるものがないかという声が沖縄等で高いということですが、現在のところ現行案について、大臣は県外・国外は時間の関係があって白紙からというのは難しいというご認識を示されていらっしゃいます。そうした中で、嘉手納基地統合案というのも言及されていますが、それが二つ目だとすれば三つ目のオプション、それでも何とか現行案でないものはないのだろうか、という模索はされていると理解してよろしいでしょうか。

(外務大臣)現在、いろいろ議論しているところですので、中身は申し上げる時ではないと思います。

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防衛力整備に関する閣僚委員会

(共同通信 西野記者)防衛力整備に関する閣僚委員会が開かれると思うのですけれども、PAC3について、大臣がその中で御発言されたと他の閣僚の会見で出たのですけれども、発言の内容について、まあ正確なところを聞いておきたいので、他の閣僚のお口から出たところではあるのですけれども、発言されたという事実関係はもうオープンになっているので、内容を教えていただけないでしょうか。

(外務大臣)どういう発言をしたということは申し上げません。あの会議において、各閣僚がどういう発言をしたかということは言わないことになっているそうですので、私(大臣)から申し上げることはございません。ただ、一般論として言わせて頂くと、PAC3は、大変お金のかかる、防衛予算の内のかなりの部分を占めるものなので、その有効性ということについて国民にしっかりと理解される説明が求められるということを申し上げた訳です。

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外務大臣会見記録(平成21年11月20日(金曜日)16時27分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)欧州理事会議長の選出

(外務大臣)本日は私(大臣)からご報告すべき点は二点であります。一点はEUの欧州理事会議長が選出されました。欧州理事会議長にファン=ロンパイ現ベルギー首相、外務・安全保障政策上級代表としてキャサリン・アシュトン現貿易担当欧州委員(英国)が選出されたということであります。日・EUの関係は非常に重要でありますので、新しく選出されたこの二人の皆さんとしっかり協力しながら、日・EUの関係をさらに深めて行きたいと思っております。

(2)2010年APECの日本開催

(外務大臣)もう一点は今朝の閣議に関わる話ですが、今朝の閣議において私の方からAPEC閣僚会議及び首脳会議並びに関連会合の開催についてということで、来年の我が国が議長国を務めるAPEC会議、或いは関連会議について各省庁におかれてもご協力をお願いしたいということを申し上げ、経済産業大臣からも同趣旨の発言がありました。そして、その上で官房長官の方から本日、内閣総理大臣決定によって官房長官を議長とする日本APEC準備会議を内閣に設置したところである、というお話で一年後のAPEC日本開催に向けて様々な準備が始まるということであります。私(大臣)の方からは、この関連で閣僚懇の場で、APECも20年を迎えるということで、今後のAPECの新たな目標、そしてより意義の深いものにするための様々な議論も併せて行っていきたいと、それから来年は日本が議長国で、再来年は米国が議長国というこの2年間で、太平洋をまたいだAPECという組織をより意味のあるものにするために日米間でも協議をしていきたい、こういうことを発言したところでございます。

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米軍再編成

(琉球新報 仲井間記者)普天間飛行場の移設問題についてお伺い致します。大臣はかねてから時間がないので県外を探すのは難しいと、時間をかけることで普天間の危険性をより放置することになるということで、「早急に」ということをずっと仰っていますが、飛行場をかかえる宜野湾市の市長は、かねてから普天間飛行場の危険性除去というものと、移設先探しというものは絡めないでほしいと、別々に分けて検討してほしいということをずっと仰っているのですが、大臣としては普天間の危険性除去と移設先探しを分けて考えるというお考えはあるかないかということと、その理由もあわせてお聞かせいただけますでしょうか。

(外務大臣)(宜野湾)市長は、普天間飛行場の廃止、撤去ということを仰っているのではないでしょうか。ですから、移設というお考えはないのではないかと思います。そこで食い違いがそもそもあるということではないかと思います。

(共同通信 上西川原記者)続けて普天間(基地移設)問題です。北澤防衛大臣は今朝の会見で、ワーキング・グループに関して、「防衛省の案を官邸と官房長官と外務省に提出した」という発言をされていますが、外務省としてはこれに対して、対案というか外務省案を作られるのかどうか。内容として、嘉手納基地の訓練移転縮小とか、地位協定の環境情報挿入とか、いろいろと言われていますが、これについてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)まず、北澤大臣が公の場でどういう発言をされたのでしょうか。

(共同通信 上西川原記者)記者の質問に対して「我々が今の時点で考えられる最良の方法を外務省、それから官房長官に提示した。」

(外務大臣)私(大臣)から閣議のときに、最近の報道で少し気になるところがあったので、防衛大臣に「報道にあるようなことを言われたのですか」と確認しましたところ、「そういったことは言っていない」と言われましたので、直接、私(大臣)の方で確認しないと、今のお話に対してコメントができないという状況です。昨日も総理もいろいろと仰ったのですが、本日の報道でも、私(大臣)の参議院外交防衛委員会での発言が一部で引用されていましたが、聞いておられた方はよくお分かりだと思われますが、「ここで言い方を気を付けないと、何か私(大臣)が特定の方向を持っているように書かれかねない」とこのように断った上で、質問者が「論理的に可能性はないのか」と繰り返し聞かれましたので、「論理的に可能性がないとは言えない」と、「しかし、それが、私(大臣)が一定の方向性を持っていると書かれないように気を付けなければいけないと、そのように受け取ってほしくない」と、そのように重ね重ね断った上で答弁を致しましたが、それがまた「私(大臣)が現行案通りの決着の可能性について言及した」とか、そういうように一部報道されました。ですから、そういうようにして、明らかに意図と違うような、答弁と異なるような、そういう記事になるということですと、私(大臣)も「ここで誰がこういう発言をしましたが、」と言われても、それが本当にご本人の発言がどうだったのかということをきちんと確認しないと、申し訳ないですが、コメントをなかなかしにくい状況です。総理も「岡田外務大臣が参議院外交委員会で現行案通りの決着の可能性について言及したが、総理はどうですか」みたいな質問で、総理はいろいろと答えられたと思いますが、もう少しやはりメディアとして、正確に「誰がどう言ったか」ということを伝えた上で聞いていただかないと、私(大臣)は少し、いかがなものかと思っております。

(共同通信 上西川原記者)私は今、正確に伝えたつもりですので、大臣が確認してコメントをお願いします。

(外務大臣)確認したいと思います。

(朝日新聞 内田記者)普天間飛行場の関係ですが、ワーキング・グループの方に普天間飛行場の移設に伴う沖縄の負担軽減策のようなものを外務省として提出するお考えは、今のところございますか。

(外務大臣)このワーキング・グループの中で何を議論するかということですが、私(大臣)も先日、沖縄に行きまして、嘉手納町長や知事からも様々なお話を頂きました。現在の沖縄の負担、重荷を背負っている状況について、ご意見を頂きました。そういうことについて「何とかしなければいけない」と私もそういう思いで改めて確認させて頂きましたので、折角日米が集まっている訳ですから、そういったことについても、その場を利用して申し上げていくと、物を言っていくということは、私(大臣)は必要だと思っております。

(NHK 別府記者)沖縄の負担軽減の(外務省の)案をワーキング・グループに出すということでしょうか、出さないということでしょうか。それと、総理の方に出すということでしょうか、出さないということなのでしょうか。確認をお願いします。

(外務大臣)まだ、そこのところは何も決めておりません。出す、出さない、当然そういった議論になると思いますが、何かきちんとした形で出すのか、出さないのかということについては決めておりません。

(フリーランス 岩上氏)先日、嘉手納基地統合案に関してご質問させて頂いたのですが、それに関連して、嘉手納基地統合案を強く主張されている国民新党の政調会長である下地幹郎議員に昨日お会いして、いろいろ詳しくお話を伺ってまいりました。下地議員のお考えは、岡田外務大臣に直接膝詰めでお伝えしてあるということも仰られておりました。その上で三点ほどお聞きしたいのですが、先ず一点目、この嘉手納への統合というのは、必ずワンセット、沖縄の負担軽減とセットでなくてはならない、負担というのはつまりは航空機の離発着、これを外来機の訓練機に関して本土の関西空港であるとか、佐賀空港であるとか、静岡空港であるとか、どこかの空港ということは特定できませんけれども、こうした空港にも持っていって頂いて、嘉手納の負担を軽減すると、このセットでないと沖縄は納得しないだろうと。

(外務大臣)下地議員のお考えは聞いたことがありますが、私(大臣)の考えは下地議員と同じではありません。私(大臣)が申し上げていることは、今の騒音レベルを考えると、嘉手納が統合されたとして、その時の負担が今よりも減らないと、それは案にならない。そのことだけを申し上げております。

(フリーランス 岩上氏)そうしますと、そのレベルが下がるということで、訓練機の離発着の回数を本土の方の空港に持っていくということを、今お考えではないということでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)が今申し上げたことは、私(大臣)が言っていることの全てです。

(フリーランス 岩上記者)そのことも含まれるのでしょうか。

(外務大臣)ですから、それが全てです。

(フリーランス 岩上氏)それに関連して、これは下地議員から聞いたことですが、大阪府の橋下知事が非公式な場ですけれども、もし、関空の方に米軍の(沖縄の)負担といいますか、それを持ってくるという話が正式に政府から申し込まれた場合は、検証・検討すると仰ったというのですが、この点について何かお聞きになっていること、お考え、話し合うというご予定はありますでしょうか。

(外務大臣)その発言は確認しておりません。

(NHK 禰津記者)嘉手納統合案に関連してですけれども、本日の午後の外務委員会で大臣は「嘉手納を統合するのを検証の対象にすべきだと考えた前提として、現在の騒音レベルが上がるようではだめだと、それを前提として、現在の嘉手納の基地機能を一部移すのが前提になり、そういうことが可能かどうかということも含めて検証しています」と仰っていましたが、これは嘉手納の基地機能を一部移すということに関して、今検証されているということではないでしょうか。

(外務大臣)そのことが可能かどうかを、検証しているということです。

(NHK 禰津記者)基地機能を一部移すということは、訓練を本土、または別の場所でやるということが可能かどうか今、検証されているということでしょうか。

(外務大臣)(すでに)私(大臣)が言った以上のことは申し上げておりません。

(共同通信 西野記者)嘉手納基地統合案について、大臣が言っておられることは変わってないと思うのですが、一方で日米のワーキング・グループや沖縄に行かれた時、今日の国会の議論でも、嘉手納統合案に関する、いろいろなこれまでの経緯であるとか、環境面、騒音の関係とか、否定的な立場は別として、否定的な意見はたくさんあったと思います。最初に「普天間の危険性を出来るだけ早く」という思いで言われた時と、それなりにいろいろな声を受け止められてきたと思うのですが、嘉手納案に関しては、嘉手納統合ということが可能かということの検証においては、結構最初に思っていた時よりも難しくなってきているという認識は今あるのでしょうか。それとも、全く最初の時と変わらないのでしょうか。

(外務大臣)もともと、簡単な話ではないという前提で議論しております。ただし検証の途中ですから、途中の感想を申し上げることはありません。

(日本インターネット新聞 田中記者)うち(日本インターネット新聞)はインターネットでカメラも入れてますから、大臣の話はそのままストレートに細大漏らさずに伝わりますので、ご安心してお答えください。辺野古の基地の問題ですが、グアムに相当な数が移れば、無理矢理、辺野古に基地を作らなくても、ある程度解決することも可能なのですが、大臣個人のお考えとしては、やはり選挙で公約したこともあることですし、辺野古にはできたら造りたくないとお考えでしょうか。

(外務大臣)今は、自分の好みを言う段階ではないというように思います。グアムに移転すればというお話ですが、それはどういう機能を移転するかということであって、やはりヘリの発着のための施設というのはどこかには要るということでありますので、それをすべてグアムに移すというのは、それはそう簡単な話ではないというように思います。ご存じのように8000人の海兵隊員はグアムに移転するということは日米間で合意をされているわけですが、主としてそれは本部機能を中心に移設をするということになっています。それ以上にさらに、例えばグアムに完全に移転するというようなことは、今までの経緯の中で日米間でも随分議論してきたことだと思いますが、そう簡単なことではないというように思います。

(読売新聞 川崎記者)再度普天間に戻りますが、本日沖縄県の仲井眞知事が記者会見で普天間のことに触れまして、来年1月の名護市長選で、もし移設反対派の候補が当選した場合は現行計画は極めて困難になるという認識を示されたわけですが、大臣も名護市民にこの是非を委ねるような形に、その前に結論を政府が下さないで、名護市民に結論を委ねるようなことがあってはならないというような主旨のことを仰ったように聞いておりますが、改めてそういう名護市長選の前に政府として結論を下すべきかどうかということについての認識をお伺いいたします。

(外務大臣)最初に仰ったお話は、知事がどういうふうに表現されていたか私(大臣)は承知しませんが、選挙の結果によって困難になるとかならないとか、そういう点について私がコメントするのは適切ではないと思います。選挙ではA候補、B候補があって、A候補が勝ったら普天間移設がうまくいかないとか行くとか言うことは、ある意味で選挙に予断を与えることになりますので、私(大臣)はそういう言い方はすべきではないというように思います。ただ、私(大臣)が沖縄で申し上げたことは、本来国のレベルで判断すべきことを名護の市民の皆さんに判断を強いるというのは、これは適切ではないということです。したがって、市長選が行われる前に国として決断をし、結論を出した方が私(大臣)は良いと思うと、こういうように申し上げたところです。

(J-CASTニュース 亀松記者)普天間問題ですが、嘉手納(基地)統合案について、11月2日の予算委員会で下地議員が自身の案を提示しながら質問した時があるのですが、その時に大臣が「嘉手納(基地統合)案は何度も日米双方から提案されたということは、それなりに可能性もあると考えている」と仰っています。日本側からだけではなく、米国側からも提案があったということで、具体的には2005年に提案があった訳ですが、そのことは嘉手納(基地)統合案にとってプラス材料と考えていらっしゃるかというのが一点と、あとは何故その時に日本側はそれを飲めなかったのかにつき、どうお考えでしょうか。

(外務大臣)当時のことは本当のところはよく分かりません。ただ、嘉手納(基地統合)案についての大きな問題の一つは、これ以上負担が増えるのではないかという地元の反対、もう一つはやはり運用上の難しさ、この二つだと思います。運用上の難しさについては、確かに難しいという主張は分かりますけれども、しかし、それが受忍できないような程度のものなのかどうかということは検証の必要があります。本当に受忍できないようなものであれば、客観的に分かる訳ですから、米国側から果たして提案しただろうか、これが私(大臣)の疑問の一つであります。地元の問題というのは、依然として残ります。これは米国側が提案したこととは関係なく、地元の反対ということは、それはそれでクリアしなくてはいけないということになると思います。

(J-CASTニュース 亀松記者)米国から提案があったということが、2006年以前ではありますが、今回ひとつのプラス材料というか、強調材料になるとお考えでしょうか。

(外務大臣)検証を必要とする点の一つです。

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拉致問題

(フリーランス 上杉氏)本日は記者クラブの問題ではなくて、拉致問題についてお伺いします。昨日、日付としては本日ですが、国連総会第3委員会で、北朝鮮の人権問題に対する非難決議(北朝鮮人権状況決議)が採択されました。これを受けて、改めて大臣の拉致問題に対する方針をお聞かせ願えますか。

(外務大臣)拉致問題に対する方針は、基本的に前政権と変わっておりません。拉致の問題はもちろん、これは人道上、人権の問題であります。そして、この拉致の問題と核の問題とミサイルの問題、それを全体として解決した上で、日朝の国交の正常化というものを目指していくと基本的にそう考えております。

(フリーランス 上杉氏)国連総会第3委員会の決議に対するコメントをいただけますか。

(外務大臣)今、手元に国連決議の資料を持って参りませんでしたが、改めて北朝鮮の人権状況について、指摘がなされたというように思います。その中にはもちろん、拉致の問題も含めてということであります。拉致の問題、或いは北朝鮮における拉致の問題以外の今北朝鮮で生活している北朝鮮の人たちの状況も含めて、非常に人権侵害が現に行われているという状況にあるということをしっかりと是正していくということは、日本にとっても重要なことだと思っております。

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米高官の訪朝

(共同通信 斎藤記者)米朝、北朝鮮の関係でお伺いします。ボズワース特使の訪朝日程がまとまりました。オバマ大統領が話されました。今回のその米朝協議の受け止めと、米朝協議が始まることによって、日朝協議を考えるステージにいくのかいかないのか、現時点での見通し及び考えをお示し下さい。

(外務大臣)米朝協議、実際に12月8日にボスワース特別代表が訪朝されることで、何らかの進展があることを期待したいと思います。ただ、北朝鮮の今までの様々な交渉を見ておりますと、そう簡単に道が開けるという感じは、今まではありませんでしたので、何らかの進展を期待しつつ、しかし過剰な期待は禁物であるというように思っております。

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外務大臣会見記録(平成21年11月17日(火曜日)16時45分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)政務三役会議

(外務大臣)政務三役会議については特にご報告するようなことはございません。定例の省議とか明日の政策会議についての事務的打ち合わせを短時間で行ったところです。

(2)日中外相会談

(外務大臣)中国の楊 潔チ外務大臣が19日から22日まで外務省賓客として訪日される予定でございます。19日には日中外相会談も予定しております。上海、或いは北京でかなり突っ込んだやりとりをさせていただきましたが、今回、訪日して頂くということで、もちろん、私(大臣)以外、関係者と幅広く会って頂こうと思っておりますが、日中間に関わる、或いはそれ以外の問題も含めて、さまざまに議論出来ることを楽しみにしております。

(3)沖縄訪問

(外務大臣)昨日、一昨日と沖縄に行って参りました。知事はじめ、関係者の皆さんと短い時間ではありましたが、有益な意見交換が出来たと考えております。どちらかというとお話を聞く機会にしたいと思って参りました。私(大臣)自身の意見も多少申し上げたところではありますが、また、機会を上手く作る事ができれば、再度、訪れたいと感じております。具体的な日程が今あるわけではありません。

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米軍再編問題

(毎日新聞 須藤記者)普天間移設問題に関するワーキング・グループの性格付けについてお尋ねします。時期についてはこれからだとは思いますが、ワーキング・グループでいずれは結論を出すということですが、結論を出した場合、閣僚級とはいえ日米間におけることですので、その結論について、平野官房長官は総理が判断すると仰っているのですが、ワーキング・グループで出した結論を日本の政府内で、どのように位置づけてやって行くのか。つまり、そのワーキング・グループで出した結論を基本的に尊重してそのまま日本政府の基本的な結論としていくのか、それとも、やはりもう一度、総理が改めてそれも含めて判断し直すということなのか、そういった事も含めて位置づけを説明していただきたいと思います。

(外務大臣)議論の前提として、ワーキング・グループでは一体何を議論するのかということがまずあると思います。このことは、この場でもご説明した訳ですが、私(大臣)とルース駐日米大使との間で基本的に合意しております。中身は「日米の合意に至った経緯」の検証作業であります。従って、その検証作業について、それを行うということと、今、ご質問で考えておられるように、どこにするのか、しないのかとか、そういう話とは次元の違う話であります。あくまでも、ワーキング・グループで行うのは検証作業であるということです。

(朝日新聞 鵜飼記者)今の(ワーキング・グループの)関連ですが、大臣は午前中の(衆議院安全保障)委員会で最終的な結論が両国の外務・防衛の閣僚間で合意、確認をするということになると仰っているのですが、これは一定の方向性をワーキング・グループ検証結果の中に見い出していくということではないのですか。

(外務大臣)検証結果という意味です。その検証を踏まえた上で、担当の外務・防衛大臣として日米間でその検証結果を踏まえた上で、何らかのさらに一歩進めた結論というものを得て、各国にそれを報告するとか、そうことがないと今の時点で言う必要はありませんが、このワーキング・グループそのものがそこまで想定しているものではありません。

(毎日新聞 野口記者)ワーキング・グループについて、これまで、防衛省・外務省が個別に検証作業をやっていると思います。また、米国の司令官を呼んで、大臣は話を聞いていると思いますが、今回、共同でやるということで、これまで個別でやっている検証作業のどこの部分が足りないから、今回このような共同の検証作業をやるのかということを(ご説明)お願いいたします。

(外務大臣)そういうお話をすると、今までどういう検証をやってきたかという中身をお話しすることになります。従ってそのことを特に申し上げるつもりはございません。但し、事実関係だけ申し上げますと、米国の大使、司令官、あのときには、米国から(他の)人が来ていたと思いますが、その時には、防衛省と外務省が一緒に話を聞いています。ですから、それぞれ別々にやってきたというのは正しいご指摘ではありません。

(フリーランス 上杉氏)大臣は沖縄の方へ行かれまして、実際これまでご持論とは仰っていましたが、普天間の統合、嘉手納統合という考えを示されていましたが、米国の方では嘉手納への統合自体がそもそも海兵隊と空軍が一緒になること自体が有事の対応ができないという声もあるのですが、そのあたりへのご見解をお聞かせ願えますか。

(外務大臣)嘉手納統合というのは、一つの案として今検証の対象にしているということであります。私(大臣)は、その案でなければならないという主張をしているものではありません。過去、嘉手納統合というのは、何度か日米双方から提案されたことがあります。今日も(衆議院安全保障)委員会でも議論が出ましたが、運用上の問題として航空機とヘリコプターが同居するということはリスクが高いという意見もあります。確かにより慎重な運用を求められることは事実だと思いますが、それは決定的なものかどうかというのは、様々な意見もあるところだというように思います。それから海兵隊と空軍が同居できないというのは、それが決定的な理由かどうか、私(大臣)にはよく理解できない部分もありますので、そういうことも含めて検証の対象にしていくことになるだろうと思います。

(フリーランス 岩上氏)沖縄の基地問題ですが、沖縄県外移設という選択肢は、完全に消えてしまったのでしょうか。飛ばしの記事かも知れませんが、本日付の「日刊ゲンダイ」で、一つの候補ということなのでしょうけれども、(普天間の移設先として)関空を使ったらどうだというような話があって、それを政府部内でも実際にそうした検討がなされている指摘がありました。また、国民新党の下地議員がそうした御意見を国会で述べられたというお話もあります。関空というのは降ってわいたような話でありますけれども、国内の代替施設を沖縄県外で考える、検討するという選択肢はありえるのでしょうか。

(外務大臣)沖縄県外の可能性はないのかというご質問だと思いますが、それを排除しているわけではありません。私(大臣)がざっと見たところなかなか難しいなということでありましたが、それは私(大臣)の意見でありまして、北澤大臣がどうお考えなのか、或いは他にもお考えをお持ちの方もいらっしゃるかも知れません。様々なご提案について、そのフィージビリティー(実現可能性)をワーキング・グループで一遍に直ちにやるというよりは、政府の中でまず検討してみるということはそれは当然あって然るべきだというように思います。ただ、どこについて検討するかどうかということの、具体的な地名については、これはこの場で申し上げることは差し控えたいというように思っています。

(琉球新報 仲井間記者)普天間のワーキング・グループについてお伺いしたいのですが、現在の日米合意に至った経緯について検証するということですが、検証の対象は現在の日米合意、所謂2006年の日米合意を指しているのか、それとも、そもそもこの議論は1995年から始まったと思うのですが、1995年から今までを検証の対象としているのか、検証の対象とする期間及び対象の物をもう一度説明いただけますか。

(外務大臣)基本的には今の日米合意に直接至った経緯ということになると思います。ただ、それ以前にも様々な提案がありましたが、そういった中でも、場合によっては、それを取り上げるということがあるかもしれません。それが有力な案になり得るということであれば、排除する必要はない訳ですから。

(共同通信 上西川原記者)普天間問題ですが、大臣はできれば年内、迅速に早期に決着と仰っていますが、嘉手納統合案については、今回沖縄に訪問されて、地元の3市町がかなりはっきりと拒否の姿勢を示されたのではないかと思われます。そういった中、嘉手納統合案をまだお持ちでしょうか。

(外務大臣)嘉手納町長をはじめ、3人の市長、町長の皆様と意見交換をさせて頂きました。騒音レベルが非常に高い、むしろ最近(騒音レベルが)上がっているとのご指摘を頂いた訳ですが、私(大臣)が嘉手納統合を考えるときには、今の騒音レベルを今より下げるということが大前提であるということは、何度も申し上げてきているところであります。そういったことが早期に出来るかどうかという点も含めて検証の対象になる問題だと思います。

(NHK 別府記者)本日の作業部会について質問ですが、日本側は今の説明等もありましたが、あくまでも「検証」だということですが、先日のサントリーホールでのオバマ大統領の演説を聞きますと、作業部会を通じて今ある日米合意を「implement」、「履行していく」ことを目指していくということで、位置づけに若干違いがあるのかと思うのですが、そのすり合わせはどのように達成していくのでしょうか。

(外務大臣)本日のワーキング・グループの冒頭で確認します。あくまでも基本は、私(大臣)とルース駐日米大使の間で合意した位置づけだと思います。

(J-CASTニュース 亀松記者)今とほとんど似たような質問になってしまいますが、オバマ大統領は共同会見とサントリーホールで、この作業グループの目的について、「implementation of the agreement」、つまり「合意の履行である」とはっきり2回言っているのですが、それは、つまり、大統領の認識が実態とずれているということでしょうか。

(外務大臣)記者会見と、それからサントリーホールにおける演説と、表現は違ったはずです。そして、オバマ大統領がその表現にどういう意味を込めたのかということは、推測しかできません。しかし、日米で合意したのは、私(大臣)とルース駐日米大使との間の合意であります。そのとき、ルース駐日米大使も言われましたが、この場でも私(大臣)は紹介しましたが、現在の案が唯一の案であるという認識は、米国は変わっていないが、検証はやろうということであります。それ以上の大統領の意図したところはどこにあるのかということは、先ほど申し上げましたとおり、本日の会合で確認したいと思っております。

(朝日新聞 鵜飼記者)作業グループのことでもう一つお伺いしたいのですが、スケジュール感について、大臣がシンガポールでクリントン国務長官とお会いになったときに「何週間もかけてやるものではない」ということを確か仰っていたと思うのですが、いつ頃までに目処を出したいと大臣の中でお考えなのでしょうか。

(外務大臣)「何週間もかけてやるものではないと」私(大臣)が言ったかどうか、申し訳ありません、いま記憶にございません。確認されたことは「出来るだけ早く」「迅速に」ということであります。数字は特に確認されておりません。

(フリーランス 上杉氏)作業グループについて、一つだけ確認させて下さい。ルース駐日大使と大臣で日米合意の検証をということで設置したグループですが、その範囲というものは普天間だけに留まるのでしょうか、それとも米軍の再編というか、その周りにも広がっていくというように捉えていいのでしょうか。

(外務大臣)日米合意というのは普天間だけではありません。グァムへの移転もあれば、その結果に伴う基地の返還もあります。トータルとしての日米合意です。

(フリーランス 上杉氏)日米同盟まで広がりますか。

(外務大臣)いや、具体的な日米合意です。新聞などを読んでいますと、少しここのところがきちんと理解されていないと思われる記事が散見されます。普天間の話だけと受け取っておられるのかなというところが散見されますので、それはそうではありません。日米合意について、それに至ったことについての検証であります。

(毎日新聞 須藤記者)閣僚級ということですが、実際には4人でやることは難しいということで、今回、米側はルース駐日米大使とグレグソン米国防次官補ということですが、そういうことにしたのは、おそらく手続きを早く進めたいということだと理解しているのですが、そういうことですか、また、これは要望ですが、今回重要な(会合で)形の上でも閣僚級ですので、これまでもそういうことがあったと思うのですが、終わった後に大臣が短くこの問題についてだけ、ぶら下がり(記者会見)とかをして頂きたいという二点です。

(外務大臣)閣僚級でありながら、本日はルース駐日米大使、グレグソン米国防次官補という組み合わせになったのは、ご指摘のように(日本の)両大臣がワシントンに行くにしても、或いは(米国の)両大臣が東京に来るにしても、それは頻繁に出来ることではありませんので、本日はこの組み合わせになったということです。閣僚級で作ったということですから、最終的な確認といいますか、一定の検証作業が終了した、或いは合意に達したという時には、閣僚級でそのことについては行ったということになるということです。本日の会議が終わった後については、私(大臣)は時間的にその余裕がありませんので、会議に出席した者から簡単なブリーフをさせて頂きたいと思います。

(読売新聞 川崎記者)作業部会(ワーキング・グループ)のスケジュール感について、出来るだけ早く迅速にということを繰り返していらっしゃいますが、大臣の念頭には年内で作業を終えて方向性を出したいという思いは変わらないということでよろしいでしょうか。

(外務大臣)言い方を気をつけないと、また(総理・閣僚の発言は)バラバラだというマスコミの餌食になってしまいます。最近少し、どれだけ率直にものを言うのかと考え直しているところです。従来から言ってきた私(大臣)の思いは変わりません。ただ、従来から申し上げておりますように、最終的には、鳩山総理はご自分が決めると仰っていますが、正式に言うと内閣で決めるということになると思います。従って、私(大臣)一人で決める訳ではありませんので、そういう意味で私(大臣)の思いは思いとして、内閣としていつまでに、ということは差し控えたいと思います。

(朝日新聞 内田記者)ワーキング・グループについてですが、大臣は以前、10日の会見で、検証の対象について「普天間の検証についてワーキング・グループを設置したのである。広く検討、議論する場ではない」と仰っているのですが、先程、日米合意全般というお話をされましたけれども、これは何か想定される対象が変わったということでしょうか。

(外務大臣)そのような不正確な言い方をしたかと思いますが、普天間だと言ったのは、要するに具体的な日米合意だということです。二つの話しがあって、混同されますので、そこを分かりやすく説明したつもりです。もう一つの「2+2」で日米安保50年を控えて、日米同盟を深めるという、そのような作業を行うという話が別途あるわけです。その話と今回の話は違う話です。そういう意味で普天間という分かりやすい表現を使いましたが、正確には日米合意ということです。その話ともう一つの日米同盟の50年を来年に控えて、それに向けて作業をすることとは別のことですという意味で前回申し上げました。

(朝日新聞 内田記者)関連ですが、今、仰った後者の方の(日米同盟)50年に向けて「2+2」でやると、これは改めて何か「2+2」という枠組みなのか、また違うものを目指して始めるということなのか、そこもご説明頂ければと思います。

(外務大臣)少し紛らわしいのですが、防衛・外務の両大臣、日米の大臣をヘッドにするような形で行われることになると思います。具体的にまだそのことについて、何か決めた訳ではありません。今、目の前にワーキング・グループがありますから、これがある程度見えて来ないと、そちらの方の作業には、なかなか移りにくいだろうと思っています。いろいろなことをやりだすと、まさしく混同しますので、一つ一つと思っております。

(NHK 別府記者)作業グループに関して、日米の認識のずれについての関連ですが、大臣は全権委任されたルース駐日米大使とあくまで合意していると、その直後にその国の大統領が全世界に中継されている演説の中で、これは合意を「implement」するための作業部会だという認識を示されたのをどのように受け止めましたでしょうか。

(外務大臣)大統領の意図がどこにあるか確認したいと、先程申し上げたとおりです。ルース駐日米大使との合意を踏まえて大統領が言っておられると私(大臣)は思っておりますが、英語の読み方といいますか、そういうことかもしれません。

(共同通信 西野記者)本日始まる検証の中で経緯を検証し何らかの合意もあるかもしれないということですが、そうなった場合は岡田大臣、北澤防衛大臣のスタンスが固まる、直接の担当者のお二人の方針が固まり、それから内閣の方針が固まるという段取りでよろしいでしょうか。

(外務大臣)具体的にどうなるか、同時並行的ということもあるかもしれませんし、今申し上げられません。個々に固まるというより、最後は内閣で決める訳です。

(毎日新聞 野口記者)ワーキング・グループの対象の範囲の確認ですが、日米合意は普天間だけではないということで、どこまで範囲を広げて、今回検証されるのかということを、もう一度お願いします。

(外務大臣)日米合意というのは普天間だけではなくて、グアムへの移転とか、それに伴う基地の縮小等、具体的な日米合意というのは紙になっている訳ですから、そこに至った検証を行うというのが基本です。先程のご質問のように、もっと前の様々な合意なり、議論があったではないかと、それについては必要に応じて取り替えることもあると理解をしております。

(J-CASTニュース 亀松記者)今大臣が仰った日米合意というのは、2006年5月1日に「再編実施のための日米のロードマップ」という名前で発表されているものでしょうか。

(外務大臣)基本的にはそういうものです。

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日中外相会談

(共同通信 斎藤記者)日中外相会談が19日に行われるということで、その関連でお伺いしますが、習近平副主席の早期訪日を巡って、これまで日本・中国外交当局で議論されたという話を聞いております。この副主席訪日が、今回の外相会談の一つのテーマになりうるかどうかということについてお伺いしたいと思います。

(外務大臣)習近平副主席の件は現時点では何も決まっておりません。テーマになるかどうかと言えば、テーマというか話題にはなると思いますけれども、もちろん、別にそのために来られるということではありません。

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米中関係

(共同通信 斎藤記者)もう一問ですが、現在オバマ大統領が中国を訪問中で、米中首脳会談も行われました。米中の接近といったら良いのでしょうか、連携の強化といったら良いのでしょうか、非常に国際社会の注目を集めていると思いますが、大臣の目から見て、今回の米中首脳会談をどのように見えているか、この点について感想をお願いいたします。

(外務大臣)米国はもちろんですが、中国も経済的にも政治的にも大きな存在ですから、米国と中国がお互い理解を深めるということは、私(大臣)は世界にとっても日本にとっても良いことであると考えております。

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イエメンにおける邦人誘拐事件

(NHK 禰津記者)中東のイエメンで邦人が誘拐されたという話が入っているかと思いますが、最新の情報について教えていただけますでしょうか。

(外務大臣)そういう事件があったということは事実で、現地において外務省の方も適切に対応をしているところであります。具体的な中身については、まだ最終的な解決に至っていませんので、コメントを差し控えたいと思います。

(共同通信 藤井記者)イエメンの日本人拉致事件について、最新の安否情報についてのコメントを差し控えるということでしたけれども、その理由について教えて下さい。

(外務大臣)誘拐事件ですから、本人の安否に関わる話ですので、そういう意味でコメントは差し控えさせて頂きます。最新の安否情報については、必要があれば事実関係を外務省としてご連絡をするということになります。

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日露関係

(北海道新聞 佐藤記者)日露首脳会談についてお聞きします。先日、シンガポールで行われた会談で、鳩山総理の方から二島返還では理解できない旨の発言をされ、それを受けメドヴェージェフ大統領の方は、鳩山政権の間に前進を図らなければならないというお話はありましたが、具体案の提示はなかったというように聞いております。会談の中では大臣も早期の訪ロについてもまた改めてお話が出たようですけれども、今回の会談の成果について大臣のご見解をお願いします。

(外務大臣)首脳会談というのは、日露の首脳会談の中で領土問題だけを目指してやっているわけではありませんので、日露両国の首脳が会うということは様々な意味があるということだと思っております。領土問題については、もちろん今日まで解決してきていない訳ですから、簡単な問題ではないと思います。しかし、鳩山総理に対するロシア側の期待感も高いわけで、この機に解決に導きたいという意欲が垣間見れたことだけでも私(大臣)は意味のあることだったと思っております。

(北海道新聞 佐藤記者)大臣の訪ロについては、どうでしょうか。

(外務大臣)これは総理とよくご相談しなければなりませんが、機会を見て出来るだけ早く迅速に訪ロを検討したいと思います。

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「密約」に関する調査

(共同通信 西野記者)日米の密約問題についてお伺いしたいと思います。就任の記者会見の時に2カ月間で結論を出したいというお話をされて、11月になれば、有識者会議を立ち上げて、いろいろと時代背景を含めて幅広く検証していく、反応をOBからの聞き取りも行いたいというお話をされたと思います。いろいろと懸案があって忙しいことは分かりますが、今のスケジュール感がどのようになっているのかを教えてください。

(外務大臣)正確に表現すべきだと思いますが、2カ月間で結論を出すという訳ではなくて、外務省の中で2カ月間かけて検証すると私(大臣)は申し上げたと思います。その検証作業は順調に進んでおります。そして、有識者会議を立ち上げるということについては、現在検討中であります。そう時間をおかずに有識者会議を立ち上げたいと今考えているところです。

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アジアにおける地域協力

(ニコニコ動画 七尾記者)視聴者の代読をさせていただきます。米国が参加表明した環太平洋戦略経済連携協定、中国の進めるASEAN+3など、米中はそれぞれの枠組みの中でアジアにおける主導権の確保を考えているとの見方がありますが、日本はこのいずれかにコミットしていくのか、これとは別に東アジア共同体を中心にアジアでのリーダーシップを発揮していくのか、お考えをお聞かせ下さい。

(外務大臣)いろいろな構想があります。例えば、先日終わったAPECは、20年前にオーストラリアと日本が事実上立ち上げたものであります。もちろん、その中に米国も入っています。それから、ASEAN+3もあれば、東アジア共同体もあるということです。私(大臣)はいくつかのものが、それぞれ進んでいくということで良いし、どの部分についてどこの国が主導権を取るというようなことは、必ずしも考える必要はないと思います。ただ、先般、クリントン国務長官とシンガポールでお目にかかったときに、私(大臣)が申し上げたことは、APECというのは太平洋を跨いだ構想というか会議体でありますので、中南米も入っていますし、米国ももちろん入っている、アジアも入っているということで、来年は我々日本が議長国であり、再来年は米国が議長国ですから、両国でこのAPECについて、20年経って新しい目標をどのように設定し、どのように運営していくかということについてよく議論をしようと申し上げて、その方向性は確認されております。様々な構想がありますが、いずれについても日本としてはそれをきちんと活用しながら、目指すゴールをしっかりと実現していきたいと思います。

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核軍縮・不拡散問題

(フリー 岩上記者)少し理念的な話ですが、オバマ大統領が提唱された「核のない世界の実現」ということと、日本政府が同調して共に歩みを進めようとしている件についてですが、「核のない世界」と「核の少ない世界」というのは、全く意味が違うものだと思います。「核のない世界」と表題がついていますけれども、現実の中身は米露間の核軍縮であったりとか、核不拡散とか、どちらかというと核を少なくしていくと、現実的に核を完全に一発もこの地球上からなくすという話ではなくて、より少なくしていこうという歩みでしかないように思われます。言葉遊びや、皮肉で申し上げているのではなくて、本当に核を完全に廃絶するということを現実的な目標として政治的に押し進めていこうとお考えで、米国と日本政府は協調して歩みを進めようと思っておられるのか、それともより核の少ない世界であるのか、few なのか nothingなのかについてお考えをお聞かせきださい。

(外務大臣)両首脳がどのようなお考えなのかについては、私(大臣)は想像するしかありませんが、何れにしても核のない社会を作るにしても、先ず核の少ない社会を作った上でないと、一度に核がなくなる訳ではありませんので、そのような意味で特に核を多く持っている米露間で如何に減らすかという議論を今行っていると思います。次のステップは、その他の中国、仏、英、或いはその他の核保有国を含めて、全体でどのくらいに絞っていくかという次のステップにやがて移っていくのだろうと期待しています。何れにしても一度になくなる訳ではありませんので、核のない世界という、ビジョンを描きながら、実際にはステップ・バイ・ステップでしっかりやっていくという以外に、私(大臣)はなくす方法はないと思います。

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その他

(フリーランス 上杉氏)記者会見の運営の方式で、今日、下(東口玄関)にフリーランス等は集まって一緒に会見会場に入ったのですが、本日は、冒頭の大臣の言葉が聞けませんでした。というのも、全員揃わないと中に入れないので、自分が早く来てもちょっと遅刻になってしまいましたので、そのあたりも改善を是非お願いいたします。

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外務大臣会見記録(平成21年11月13日(金曜日)17時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)オバマ大統領の訪日

(外務大臣)先程、オバマ大統領を羽田にお迎えをいたしました。本日、限られた時間ですけれども、日米首脳会談が行われるということで、大変楽しみにしているところです。有意義な意見交換と、そしてその結果としての成果が出ることを強く期待をしております。私(大臣)がお迎えした時に、オバマ大統領は、私(大臣)が思っていたより背が高かったです。首脳会談で外務大臣が直接話す機会は非常に少ないと思いますが、鳩山総理と大統領の間で是非、いい議論をしていただきたいというように考えております。

(2)沖縄訪問

(外務大臣)私(大臣)の沖縄訪問に関しまして、概略はすでに皆様にお知らせをした通りであります。日曜日に出発して、月曜日に帰ってくるということで、知事、或いは名護市長、それから三連協という形で嘉手納町長、沖縄市長など関係者の皆さんとお会いをし、そのあと嘉手納、キャンプ・シュワブの視察ということで、約一日かけて訪問したいというように考えております。いずれも、かつて訪れた経験のある場所ではありますけれども、外務大臣になってからは初めてということであります。

(3)政務三役会議

(外務大臣)今日の政務三役会議について、概略をご報告しておきます。私(大臣)からはAPECの閣僚会合に出席したこと、或いは日米外相会談について報告いたしました。それから、先般日米間で合意をいたしました「普天間飛行場の代替施設に関する閣僚レベルのワーキング・グループ」の設置について報告いたしました。APECでの閣僚会議に出た経験を踏まえて、来年のAPEC、それから一月にFEALAC(フェアラック:アジア中南米協力フォーラム)、中南米とアジアの会議が東京で行われる予定にしておりますが、そういった国際的な比較的大きな会議についてもう少しあらかじめ政務レベルで方向付けをしっかり議論しておいた方がいいということで、そういった議論をスタートさせようということを確認いたしました。武正副大臣からは在勤手当プロジェクトチーム検討状況について、中間報告がありました。

(4)省議の実施方針

(外務大臣)外務省には実は省議というものが事実上無いということで、臨時省議というものは、私(大臣)が大臣になってから二回開催しました。一度は私(大臣)が大臣になった日に、就任の機会に省議が開催されたことと、あとは総理の所信表明を検討するときに私(大臣)の方で臨時省議を招集をして、一時間程皆さんの意見をいただいたということであります。省議がない役所というのも、私(大臣)は非常に珍しいのではないかと思います。取締役会に社長が出ないということでありますので、もちろん個別にいろいろな決裁はしているわけですが、全体幹部が集まって議論をする、問題意識を共有化する場があった方がいいということで、来週から省議をやろうということにいたしました。重要な外交課題や対処方針について、議論を行うという場にしたいと思っております。まだ省内的に根拠規定等が整備されておりませんが、しばらくはまずやってみて、その上で規定の整備等を考えていきたいというように考えているところです。

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沖縄訪問

(NHK 岡崎記者)明後日からの沖縄訪問ですが、まず改めてこの訪問の目的についてお聞きしたいのと、今後日米の閣僚レベルで作業部会(ワーキング・グループ)をする訳ですけれども、その視察をどのように活かしていきたいのか、その沖縄視察を今後の検証作業に、大臣自身どのように活かしていこうとお考えかお聞かせください。

(外務大臣)なるべく現場を見るというのが私(大臣)の基本的な考え方です。ただ国会その他土日も含めて海外出張などで、なかなか時間が取りにくい状況でありましたが、この日曜日から月曜日にかけて時間が取れるということで、沖縄を訪問させていただくということにいたしました。今回は、皆さんの意見をよくお聞きしたい、そしてこの目で見たい、ということで、何らかの予断を持って行くということでなくて、むしろ関係者の皆さんの気持ち、御意見を聞かせていただきたいという思いで参ります。

(フリーランス 上杉氏)沖縄訪問に関してですが、先月ですが、大臣に私のほうから質問させて頂いたのが、大臣の外遊等で同行取材が可能かどうか伺ったのですが、沖縄に関しては同行取材、もしくは現地での取材に応じてくれる予定はあるのでしょうか。

(外務大臣)途中の段階では、私(大臣)は話を基本的に致しません。ただ、それは手続きをして頂ければ、同行することは可能だと思います。この会見に頻繁に出て頂いている方とか、一定の条件は付くかと思いますが、同行することは可能だというように思います。それから(沖縄での)会見は日曜日の一番最後、それから月曜日の空港に向かう前、計2回行いますので、その会見に参加して頂くことは可能です。

(NHK 別府記者)沖縄訪問の目的について、確認も含めてですが、もう少しこう理解の仕方として、いま、嘉手納を統合できないかという案について検証をしたいというお考えを重ねて表明されていますが、今回の旅が、その嘉手納の案がいけるかどうか、何らかの感触を得たいための旅であると理解しても大丈夫でしょうか。

(外務大臣)いや、別にそういう予断を持っていく訳ではありません。

(ビデオ・ニュース 神保記者)今週末の沖縄訪問ですが、大臣はとにかく現地の話を聞きに行くと仰いましたが、民主党は一方で、マニフェスト、政権公約の中で県外移設ということを謳った訳です。そうしますと、今の大臣のご認識としましては、やはりあのマニフェストで「県外移設」という言葉を出したことは、十分に現地の言葉を聞かずして、あのような公約というものをしてしまったのかもしれないとのご認識を持たれていると考えて良いのでしょうか。

(外務大臣)まず、事実関係ですが、総選挙の際のマニフェストに「県外移設」という言葉は出てまいりません。そこは国会討議でも、私(大臣)はいつか申し上げたと思いますが、敢えてそういう言葉を使わなかったということです。それまでの沖縄ビジョンなどではそういう表現を使っておりましたが、敢えてそういう表現を使わずに、そして三党の政権合意でも、そういった具体名を挙げて書くべきだと主張された党もありましたが、粘り強く交渉する中で、民主党のマニフェストの線に沿った表現に留めたということであります。若干、ご質問の前提が違うように思います。よく誤解されている方がいらっしゃいますが、そこは違います。

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東アジア共同体におけるEPA・FTA政策

(産経新聞 坂本記者)鳩山総理が提唱されている東アジア共同体構想のなかでEPA・FTAについての政策がどのように位置づけられているのかという点と、EPA・FTAについては小泉政権時代に外務省内でFTA戦略、政府全体でEPA基本方針をまとめられていますが、鳩山政権でこれを継承するのかどうか、また新しいものを作るお考えなのかどうかをお聞かせ下さい。

(外務大臣)東アジア共同体というのは、大きなビジョンですので、その中でEPA・FTAをどう位置づけるのかについて、具体的な議論をしている訳ではありません。EPA・FTAを東アジア共同体の地域の中で締結していく中で、それがより網の目のように張り巡らせているということになれば、それは経済的な共同体という意味ではそれを造ることに資するものだというように思います。前政権時代のさまざまな決めたことを継ぐかどうかはまだ検討していません。ご案内のように我々はEPA・WTO推進関係閣僚会議というものを、設置しておりますので、必要に応じてそこで議論していくことになると思います。

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オバマ大統領の訪日

(朝日新聞 鵜飼記者)オバマ大統領が、明日、アジア外交演説をなされるわけですけれども、その場に鳩山総理が今日の夜、APECに出発されるということでいらっしゃらないわけですが、カウンターパートが先にいなくなるということは、異例な対応だと思うのですが、外交上これは礼を逸しないのかどうか大臣の考えをお伺いします。

(外務大臣)私(大臣)は、やむを得ないことだと思います。何故そうなったかというと、それは大統領の訪日が遅れることになったということで、これは一つの理由ですから、十分に米国側も理解していると思います。

(毎日新聞 須藤記者)本日の日米首脳会談についてお尋ねしたいと思います。日米同盟の重要性について、もちろん確認すると思うのですが、それはもうニューヨークとかでも既にしていることなので、それを含めて、民主党政権というのは、日米同盟について、自民党政権のやってきた日米同盟の重要性は認めつつも、それよりもっと強化していく発展していく、あるいはより対等な日米関係を作っていくという立場だと思うのですが、この首脳会談をきっかけに日米同盟あるいは日米関係というものを、重要性を確認するだけではなくて、再検証とかそういうことも含めて、より発展させて行くためにどういう形を目指しているのかということを外相の考えている範囲でお聞かせ下さい。

(外務大臣)私(大臣)が、中味について今、何かコメントをする立場にありませんが、ただ一言申し上げておきますと、ご質問が日米同盟というものをどういう意味で言っておられるか、よく分かりませんが、私(大臣)は日米同盟というのは幅広いものであるというように考えております。ですから、シンガポールでクリントン国務長官とお話しをした時も、これははっきり会見の時にも言っている訳ですが、60分の内の10分程度は、その(米軍)再編の問題は議論したと、しかし、後の50分は違うことを議論している訳で、いろいろな報道のされ方があります。私たちは、狭い意味での日米の安全保障ということも極めて大事なことではありますが、同時に日米同盟というものがアジア太平洋において果たす役割或いはグローバルな問題について果たす役割ということも非常に重要であると考えております。恐らく本日の会談でも、そういった幅広い視点から、様々な議論がなされると思っております。

(日本テレビ 小栗記者)日米首脳会談について今朝、鳩山総理が一番何に重きを置いて話をしたいかという記者団の問いに対して、「世界で一番重要なことはアフガニスタンの問題だから」というように仰ったのですが、岡田大臣は日米関係において一番重要なことというのが、何だとお考えですか。

(外務大臣)注意して答えないといけないのですが、総理が「アフガニスタン」と仰るのなら、私(大臣)も同じ答えを致します。そうでないと、また、まとまっていないとか、すぐに言われそうですから。余り言い過ぎると発言が不自由になってしまいます。もちろん、アフガニスタンは大事です。

(J-CASTニュース 亀松記者)明日のオバマ大統領のサントリーホールでの講演についてお伺いします。岡田外相も聞きに行かれると伺っておりますが、日本でも人気のあるオバマ大統領が日本の国民に向けて日本でメッセージを発するという意味で注目度も高いと思いますが、何かこんなメッセージをというか、そのような期待というか、その講演の意義というか、そういうものが何かありましたら、お願い致します。

(外務大臣)日本で行われるものですけれども、必ずしも日本の国民だけに向かって送られるものではなくて、世界に向かって米国のアジア政策を発信するものだと思っております。中身は聞いてみないとコメントのしようがないのですが、予想されることはオバマ政権になってアジアに対する関与というか、関心が高まっているということは言えると思います。先般もメコンと米国との協議が行われました。次の日曜日はオバマ大統領がシンガポールに行かれて、そこでASEANと米国との首脳会議ということも予定されていると聞いています。そういう意味で米国がアジアに対して関心を高め、関与を深めるということは、私(大臣)は素晴らしいことだと思います。先般、クリントン国務長官にお目にかかった時も、その話をしてきたところです。お互い日米で協力してやれることも多いだろうと思います。その時に具体的に上がった例はミャンマーについての日米両政府の協力ということでした。

(朝日新聞 鵜飼記者)本日の日米首脳会談で、核軍縮についてのステートメントが出るという理解をしております。中身については発言しないと思うのですが、今後、核軍縮、或いは核抑止といったものを話し合うような枠組みを閣僚レベルとか或いはハイレベルで取り組んでいかれるようなお考えはおありでしょうか。

(外務大臣)その話題のみを話すという場を今考えている訳ではありません。それ以上のことは本日の日米首脳会談を見て頂ければと思います。

(NHK 禰津記者)先程、大臣は空港でオバマ大統領のお出迎えをされましたけれども、何らかの言葉も交わされていたように見えたのですが、どのような話しをされたのかということと、オバマ大統領は幼少の頃に日本に来られたということで、久しぶりの日本で、24時間という短い時間ですが、どのようなことを楽しんでもらいたいと感じていらっしゃるかをお伺いします。

(外務大臣)オバマ大統領と私(大臣)には共通点がありまして、Oの次の母音がA、Aですね。「O・BA・MA」と「O・KA・DA」です。そう言ったらどなたかが「いや、O・ZA・WAもそうだ」と言いました。何れにしても、挨拶程度です。「よくお迎え頂きました」と大統領が仰いまして、私(大臣)は「日本によくいらっしゃいました」と、そういう会話です。
 オバマ大統領の書かれた自伝を読むと、いろいろな形で日本との関わりがあった方だと思います。ハワイでも日系人との交流について少し触れたところもありますし、日本、或いはアジア全体に対して、今までの大統領と比べても、より肌で感じることが出来る方だと思います。今回のアジアへの旅、日本も含めて、そういったアジアというものをご自身で是非感じて頂いて、これからのアジア政策、或いは外交政策全体に反映していただければ有り難いと思います。

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米軍再編問題

(日本インターネット新聞 田中記者)沖縄県ですが、米国が拘っている普天間、辺野古、グアムの内、辺野古について、米軍はV型滑走路ができることを大前提にして、滑走路が通るところは、宿舎というか施設を西側に移し、米軍は住み始めています。それと、あの辺は、東アジアのジャングルを想定したトレーニング・センターがあって、どんなことがあっても、米国は譲らないと並々ならない決意を現地を見て感じたのですが、交渉は相当難しくなると思われますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)現時点で、中味についてコメントすることはありません。

(琉球新報 仲井間記者)普天間飛行場移設問題について伺いたいのですが、昨日、名護市長が記者会見をして、政府が現行の辺野古移設案以外でも、普天間飛行場の危険性をより早期に除去できる案を示せば、名護市としてはそれを歓迎するという姿勢を示しました。また、沖縄の自民党県連が、従来これまで辺野古移設案を容認する立場を取ってきたのですが、その立場を変更、県外移設も良しとするかどうかも含め検討するというような動きを始めています。こういう沖縄県内の動きについて、大臣はどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。

(外務大臣)市長とは沖縄を訪れたおりに、よくお話しをしてみたいと思います。自民党県連の話は、私(大臣)はコメントする立場にありません。自民党にお聞き下さい。

(西日本新聞 斎田記者)今朝、北澤防衛大臣が、普天間の閣僚級のワーキング・グループを、来週早々にもあるのではないかという話をされていますが、その辺の日程とか見通しについて教えて下さい。

(外務大臣)現時点で具体的なことが固まっている訳ではありません。ただそう時間をおかずにやろうというのが、シンガポールでのクリントン国務長官と私(大臣)との間の会話でした。時間を何週間も作ると言うことは無いと思います。

(読売新聞 川崎記者)再び普天間のワーキング・グループの件ですが、日米の外務・防衛の閣僚級という触れ込みです、実際問題として、簡単に、日米のそれぞれの閣僚4人が、一同に会する機会というのは、なかなか難しいと思うのですが、1回目を日本側でやるとして、例えば2回目を米国側でやるために、岡田大臣と北澤大臣が、近々米国に行かれることも含めて考えていらっしゃるのでしょうか。

(外務大臣)今、具体的には予定はありません。ただ閣僚級と言っても、日本でやる場合は、やはり大使が閣僚に代わって出てもらうことに、普通で考えればなると思います。もちろん、米国からも専門家は来ると思いますが、それは閣僚であるというのは考えにくい訳であります。ただ、閣僚級をヘッドにということで位置づけてありますので、どこかでワシントンに行くこともあるかもしれません。ただ、このワーキング・チーム自身に、そう何ヶ月もかけるべきかどうかという所は議論のなすところですので、なるべく出来るだけ早くと、出来るだけ早くにと私(大臣)は申し上げているのですが、そういう中で行ったり来たりということに、あまり時間をロスするのではなくて、より効率的に話が進められた方がいいと思います。

(テレビ朝日 新堀記者)ワーキング・グループの話ですが、先週大臣が、私どものテレビ朝日の番組にご出演頂いたときに、解決の目処というか、決着の目処について「年内を目指すが、もしかしたらそれを越すかもしれない」というようなご表現をされたかと思うのですが、「出来るだけ早く」というところには、「もしかしたら年内をまたいでしまうかもしれないけれども」というニュアンスが入っていると受け止めてよろしいのでしょうか。

(外務大臣)これは、私(大臣)自身が勝手に決める話ではありません。相手もある話です。相手という意味は、米国もありますが、沖縄もありますし、それから「最後は自分が決める」と総理が仰っていることですから、私(大臣)が「この日までにしたい」と言うことはいかがなものかと思います。そういう意味で、少し幅を持たせた言い方をさせていただいております。

(テレビ朝日 新堀記者)クリントン国務長官とのお話でも、その辺のところは、詰めては話していらっしゃらないと理解してよろしいでしょうか。

(外務大臣)それは話しておりません。「出来るだけ早く」、「迅速に」ということが基本です。表現は違いますが、意味合いは同じです。

(琉球新報 仲井間記者)沖縄出張に関してですが、大臣は予断を持っていくものではないと仰っていますけれども、大臣は以前、県外は考えられないとして、嘉手納統合か、辺野古の二案、どちらがよりましかという見方だと仰っております。大臣は、嘉手納か辺野古、二案に絞っている状態だと私は理解しているのですけれども、その理解でよろしいでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)自身がどう考えているかというよりも、政府としてどう考えているかということの方がより重要だと思います。政府としてという意味で申し上げれば、その二つに絞った訳ではありません。総理も、もう少し幅を持った言い方をされていると思います。私(大臣)の意見をあまり申し上げると、皆さんからご批判を頂きますから、私(大臣)の個人的な思いはありますけれども、それを改めて申し上げるつもりはありません。

(琉球新報 仲井間記者)大臣としての思いは変わっていないと認識してよろしいでしょうか。

(外務大臣)先程の答えに尽きていると思います。

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日朝関係

(産経新聞 久保田記者)一部報道なのですが、ソウル発で、昨日、小沢幹事長にお会いしたチョン・セギョン民主党党首と小沢幹事長とのお話しの中で、拉致問題はあるが、日朝関係について、首脳会談或いは特使の派遣もいいのではないかという話を小沢幹事長がチョン・セギョン党首にしたという報道が韓国サイドから出ているようなのですが、事実関係と外務省のお立場をお聞かせください。

(外務大臣)まず、事実関係は確認していません。確認する立場にもありません。それは党のことなので、私(大臣)が何か確認する立場にはありません。しかも日本では報じられていない訳ですから。

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日露首脳会談

(北海道新聞 佐藤記者)日露首脳会談についてお聞きします。総理が明日と明後日と行かれるシンガポールで、ニューヨークに続く首脳会談が行われる予定と理解しておりますが、現時点で我々は日程を聞いておりませんから、この状況についての認識と見解、そして、会談が行われた場合、大臣としてはどのような成果を期待しているかということをお聞かせ下さい。

(外務大臣)まず日程的には、いま申し上げる状況にはありません。最終的にまだ(会談の)セットには到っていないと思います。それぞれ忙しい状況の中での日程のやりくりですので。それから、中身はやってみないと分かりませんので、私(大臣)から特にコメントすることはありません。もちろん、ニューヨークで議論した様々な問題、特に我が国にとっては、領土帰属の問題は非常に重要な問題ですので、そういったことについて、議論がなされることを期待したいと思います。これも相手のある話ですから、今、あまり私(大臣)が想像でものを言わない方がいいと思います。

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行政刷新会議(事業仕分けについて)

(フリーランス 上杉氏)行政刷新会議の事業仕分けについてお伺いします。今日までに2日間やっております。来週、事業仕分けの中で、思いやり予算(在日米軍駐留経費)について仕分け作業で、評価がされる予定ですが、大臣はこの思いやり予算については仕分け作業の評価になるという部分に関して、どのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)少し一般論で言わせていただきたいのですが、基本的にどれを取り上げ、どれを取り上げないということは、あまり言うべきではないと思います。この事業仕分けは、決めている訳ではなくて、役所の外部の専門家を交えて、まさしく「仕分け」をしているということですので、その仕分けの結果を採用するかどうかは、政府の決定になる訳です。そういう意味での仕分け作業が行われるということは、私(大臣)は悪いことではないということで、一般論として申し上げておきたいと思います。思いやり予算についてはコメントしません。コメントすると、その発言がまた一人歩きすると困りますので、コメントは致しません。

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地球温暖化対策

(マガジンX 島田記者)地球温暖化対策に対して、環境省が11月にガソリン税を1キロ17,320円ということを提案していますけれども、これは環境省としては欧米に合わせた課税で高くはないという回答を(環境省の)広報から得ています。日本の環境政策に関して欧米等に合わせる必要というのはあるのでしょうか。

(外務大臣)事実関係を承知しておりません。そういう意味では増税ということですね。環境省がそういうことを言っているというのは承知しておりませんので、コメントしかねます。

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省議の実施方針

(共同通信 西野記者)省議をやってみたいということですが、これは局長以上、もしくは部長以上ぐらい迄になるのでしょうか。官僚の力を引き出していこうと、省全体の一体性を高めようという意図があると理解してよろしいでしょうか。

(外務大臣)メンバーをどうするかという話はこれから詰めたいと思います。具体的に聞かれるとなかなか答えにくいのですが、何れにしても、例えば大臣の私(大臣)が何を考えているのかということを、個別の案件では物事を議論して決めていく訳ですけれども、全体を通しての考え方をしっかりと幹部の皆さんにも共有して頂きたいし、逆に幹部間で、大臣、政務(レベル)も含めてお互い共通の問題意識を持って問題に取り組めるようにするというのは当然のことだと思います。当然のことをやろうということです。外交も組織ですので、組織全体として力が出るようにしていきたいと思います。

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ドミニカ移住協定

(南日本新聞 谷上記者)ドミニカとの移住協定についてお伺いします。52年前にドミニカへの移住が始まって以来、日本政府を訴えた裁判等がある中で、先般、海外日本日系人大会の中でも、福山副大臣がドミニカ移住についても触れた発言をされています。その中で、いわゆる日系人協会長である嶽釜さんが先日、福山副大臣ともお会いしています。皆さんが移住協定の締結を求める中で、大臣の所見をお聞かせ下さい。

(外務大臣)先日、福山副大臣がお会いして、有意義な意見交換が行われたと思っております。では、どうすべきかという政策的な問題については、現時点では詰めておりません。大変なご苦労をされた皆さんですから、国としても大変申し訳ないことだと思います。新しい政策について何か決めたということは現時点ではまだありません。

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外務大臣会見記録(平成21年11月10日(火曜日)16時30分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)普天間飛行場の代替施設に関する閣僚レベルのワーキング・グループの設置

(外務大臣)第一点は、普天間飛行場の代替施設に関する閣僚レベルのワーキング・グループの設置についてであります。本日、院内でルース駐日米国大使と会談をいたしまして、以下の点で合意をいたしました。すでに本件概要はペーパーで配らせていただいた訳ですが、日米双方は抑止力を維持しつつ沖縄を含む地元の負担を軽減する観点から、在日米軍再編の重要性につき合意しました。日米双方は普天間代替施設についての検証に関し、二国間の閣僚レベルのワーキング・グループを設置し、本件に関わる問題を迅速に解決することとしました。ワーキング・グループは外務・防衛担当閣僚を首席代表とします。駐日米国大使は、必要に応じ、国務長官及び国防長官の名代として米国政府を代表します。これらの協議は10月11、29、30日の日本政府関係者への米国関係省庁ブリーフィングを含んだ現在進行中のプロセスを継続しつつ行われるということでございます。

(2)シンガポールAPEC閣僚会議等への出席

(外務大臣)二番目は、私(大臣)のAPEC閣僚会議への出席であります。これから出発をいたしますが、10日から12日までシンガポールを訪問することになります。とはいえ、(現地に)着くのはもう午前1時半頃でしたかね。ですから、もう夜の12時ををまわっておりますが、そして明日の午前中はAPECの閣僚会議に出席をし、午後の適当な時間から、クリントン米国務長官を含むバイの会談をいくつか行い、そして夜行便に乗って木曜日の早朝に成田に着くということでございます。直嶋経産業大臣はもう1日滞在するということのようですが、国会との関係で所信の表明を聞きたいという委員会の強いご要望があったということと、それからオバマ大統領の訪日ということもあり、私(大臣)は1日で切り上げて帰ってくるということでございます。

(3)アフガニスタン・パキスタン支援

(外務大臣)アフガニスタン・パキスタン支援に関しては、すでに午前中に平野官房長官からご発言があったとおりであります。アフガニスタンの情勢は厳しく、新たな大統領のもとで結束し、国際社会の支援を受けて、国造りに取り組み始めようとしています。我が国はこのタイミングをとらえて、いっそう積極的に支援を行っていくこととしたということです。大きく分けて三点であります。一は治安能力の向上、二は反政府勢力の社会への再統合、三は持続的・自立的発展のための民政支援です。この三本柱で、まずは800億円の支援を行うとともに、これまでの20億ドル(の支援)に換えて、2009年から概ね5年で、最大限50億ドル程度までの規模の支援を行うということであります。内容については、ご質問があれば、さらに詳しく申し上げたいと思います。アフガニスタンについては私(大臣)自身、10月11日に訪問いたしまして、何が必要とされる支援なのかということについて、カルザイ大統領、あるいは当時のスパンタ外相とも協議をし、さらに短い時間ではありますが現地の事情を視察してまいりました。今回こうした形で新たな支援策をまとめることができたのは非常に幸いであったというように思います。財務大臣をはじめ、関係閣僚の御協力の賜物であります。なお、パキスタンについては、すでに2年間10億ドルの約束をしておりますので、まず、その支援について迅速に実施をするということといたしました。以上がアフガニスタン・パキスタンへの支援であります。

(4)政務三役会議

(外務大臣)最後に、(本日の)政務三役会議の中身ですが、今申し上げたようなことを報告しつつ、あとは閣議の報告として、外務省案件として、日・ペルー投資協定を決定したこと、それからハンガリー共和国大統領の公式実務訪問賓客待遇を了解したこと、それからAPEC閣僚会合・日米首脳会談の予定などが報告されたということでございます。それから、衆議院の安全保障委員会、衆議院の沖縄・北方特別委員会における大臣挨拶、所信について若干の意見交換を行いました。
 最後に政策会議について、これを定例化するということで、毎週水曜日の朝8時から行うということに決めました。次回は11月18日(水曜日)に開催することを確認いたしました。テーマによっては私(大臣)が出席することもあるということでございます。

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アフガニスタン支援

(朝日新聞 五十嵐記者)アフガニスタン・パキスタン支援についてですが、今日とりまとめられた新しい支援策に先程言及もありましたが、大臣のアフガニスタン・パキスタンへの訪問というものの成果がどういう形でこの支援策に現れているのかをお願いします。

(外務大臣)どれがこうだと言われると、それは全体的に行ってみないと状況はよく把握できないということです。その状況を把握をするという意味があったというように思っております。今回の支援は三本柱ということは先程申し上げたわけですが、例えば、反政府勢力の社会への再統合ということにつきましては、私(大臣)から大統領や外務大臣に対してこういうアイデアについてどうかということを申し上げたことに対して、そういったことをしてもらえると大変ありがたいという話でありました。それから、持続的・自立的発展のための民政支援ということですが、こういったことについても、今までやっていることとかなり重なりますが、今申し上げた、大統領、外務大臣の方から、今までの支援に対しても大変感謝をするというお話をいただきましたので、そういったものを継続し、或いは拡大することに対しても、大統領、外務大臣もそのことを望んでいるということであります。あるいは、職業訓練とか、学校も視察をいたしましたが、そういうところにもっと力を入れなければいけないということも実感した次第であります。

(産経新聞 久保田記者)アフガニスタン支援についてお伺いします。50億ドルという数字はどういった形で決まったのでしょうか。つまり、パキスタン支援会合で確か50億ドルだったと思うのですが、50億ドルというのはどのように積み上げたのでしょうか。

(外務大臣)パキスタン50億ドルというのは日本だけではありません。全体の50億ドルです。結果各国が拠出をしたものを合計すると50億ドルということです。アフガニスタンの場合は日本のみの数字です。内訳というのは細かく積み上げたものではありません。ただ、日本の責任を果たす、アフガン支援の重要性を考えた時に非常に厳しい中ではありますが、これだけの額を積み上げた、頑張ってそれだけのものを政治的な意志決定をしたということです。個々に具体的な事案に則して積み上げたものではありません。

(時事通信 水島記者)アフガニスタン支援策がまとまったので確認したいのですが、これまで政府はインド洋での給油活動については「単純延長しない」という立場ですたが、「単純延長しない」という立場は変わらないのか、それとも文字通り延長しないということになるのか、その辺りはどちらでしょうか。

(外務大臣)基本的には「単純延長はしない」ということです。ただ、総理が本日、国会で「延長しない」と言われたような気もしますので、そこは確認しなければなりません。何れにしても、50億ドルのアフガニスタン支援とは別の問題です。

(西日本新聞 齋田記者)本日、政府の案がまとまったということなので、それに対する感想、特に今回、軍事的な関与支援というものについては入ってない訳ですが、そのことが欧米の理解を得られるのかどうか、、その辺りも含めて全体の感想を教えて下さい。

(外務大臣)軍事的関与というのはどのようなことですか。定義を。

(西日本新聞 齋田記者)いわゆる、自衛隊によるインド洋での海上補給活動、これは入っていない訳です。先程大臣が仰ったように、総理が国会答弁の中で、いわゆる「延長はしない」という旨のことはお話になっている訳で、それに代わる軍事的な関与というメニューは本日、示された支援策に入っていなかったと思いますけれども、そういう意味です。

(外務大臣)総理は本日、国会でも仰ったと思いますけれども、日本としては、軍事的でない形での支援に対して非常に価値を置いているということだと思います。

(西日本新聞 齋田記者)欧米の理解を得られるかということについてはいかがでしょうか。

(外務大臣)理解を得られるようにしっかりと説明をしていきたいと思います。ちなみに米国からは、このことについて一定のコメントがなされたと聞いております。

(オンライン・インターナショナル・パキスタン)アフガニスタンとパキスタン支援についての質問ですが、具体的には、アフガニスタン支援の50億ドルとパキスタン支援の20億ドルをどんな形でどのように使うのか、何か決まった訳でしょうか。

(外務大臣)パキスタンに関しては10億ドルです。すでに決定している2年間で10億ドルということでありますので、20億ドルではありません。これはすでに本年の春、東京で行われたパキスタン・フレンズ会合において、日本が約束したものであります。

(オンライン・インターナショナル・パキスタン)新しい支援ではないですか。

(外務大臣)違います。

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米軍再編問題(普天間飛行場の代替施設に関する閣僚レベルのワーキング・グループ)

(朝日新聞 内田記者)普天間のワーキング・グループの関係ですが、参加者が日米の外務・防衛担当閣僚と駐日米大使とありますが、他にどういう参加者が見込まれるのでしょうか。

(外務大臣)具体的な出席者はまだ決めておりません。ヘッドだけ決めたということです。あとは適宜、状況や必要に応じてということになると思います。

(朝日新聞 内田記者)具体的に何を話し合うのか、どういうスケジュール感で話し合っていくのかをお聞かせください。

(外務大臣) 話す中身は、「検証」であります。改めてハイレベルの両国大臣がヘッドになる形で、改めて検証をするということであります。もちろん今まで(検証)してきたことも含めて、というのが先程申し上げたとおりでございます。可能な限り早くということです。

(共同通信 上西川原記者)このワーキング・グループに関してですが、これは一同に会して何かするのでしょうか。それとも今度のクリントン国務長官との日米外相会談で、岡田外相の方からこの問題を個別に取り上げて、パーツパーツで(議論を)やっていくのか。例えば、この外相会談で岡田大臣から嘉手納統合案などを持ち出したりする可能性があるのかどうか。この形態、進め方については、どのような形で進めていくのでしょうか。

(外務大臣)ワーキング・グループを作ったわけですから、そのワーキング・グループの場で行うということで、バイ(の会談)で行ったりということは考えておりません。

(NHK 禰津記者)普天間のワーキング・グループについて戻りますけれども、これについては議題というのは、日米関係について広く話し合って、例えば来年は日米安保50周年になりますけれども、そういったことについても話し合うのか、それとも普天間移設問題に絞る形で話し合われるのか、どういった形になるのでしょうか。

(外務大臣)その点については、先程申し上げたとおりです。普天間代替施設の検証に関しワーキング・グループを設置したということです。一部報道がありますが、広く検討する、議論する場ではありません。

(日経新聞 山内記者)外相は以前から、年内決着が望ましいという考え方を示されてきましたが、このワーキング・グループで結論を出す目途を如何お考えでしょうか。

(外務大臣)特にそのことをルース大使との間で議論した訳ではありません。しかし、できるだけ早くという認識は共有していると思っております。

(毎日新聞 野口記者)普天間のワーキング・グループに関してですが、これまで普天間の検証というのは、防衛省の方で個別にやったり、米国政府の方で個別にやったりはしていると思いますけれども、日米協同で検証するということの意義をどのように考えていらっしゃるかをお願いします。

(外務大臣)例えば日本政府の中でも、外務省の中でやったり、或いは防衛省から聞いたり、或いは米国からも二回に亘って聞いておりますけれども、今回、正式なワーキング・グループという形をとって、そこで一括して扱うということで、議論がより集約されるというか、迅速に議論が行われる体制ができたということだと思います。

(毎日新聞 野口記者)決着に向けて一歩進んだと考えてよろしいのでしょうか。

(外務大臣)決着はできるだけ早くしなければいけないという意識は私(大臣)は強く思っております。

(沖縄タイムス 吉田記者)本紙が今月の7・8・9日の三日間、普天間に関する沖縄県内の世論調査を行いまして、普天間基地を県外、若しくは国外に持っていくべきだという意見が63%と過半数になりました。嘉手納統合に反対する意見は7割以上、71%となっているのですが、この結果について大臣の受け止めをお聞かせ下さい。

(外務大臣)沖縄の中で皆さんのご意見を聞けば、こういう数字が上がってくるのは十分予想出来ることだと思います。

(沖縄タイムス 吉田記者)この結果を受けて大臣の嘉手納統合案の検討に影響するようなことがあるのでしょうか。

(外務大臣)どういう前提で議論するかの問題で、例えば統合案というのは一つの検討している案ですけれども、より負担は重くならないという前提でなければ案にならないということは私(大臣)が申し上げているとおりです。そういう前提で(沖縄県内の世論を)お聞きになったのかということは必ずしも明確ではありません。したがって、これ以上コメントしようがないと思います。

(AP通信 山口記者)普天間(基地移転問題)のワーキング・グループについてお伺いしたいのですが、これまで米国は現在の合意案でやっていくという方針だったと思うのですが、これを立ち上げて検証していくということは、先方が譲歩してきたとお考えなのでしょうか。

(外務大臣)必ずしもそのように受け止めるべきではないと思っております。ルース駐日米大使の方からは、従来の米国の考え方を変えるものではないと、この設置を決めたときの会談で述べられております。

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沖縄県におけるひき逃げ事案

(琉球新報 仲井間記者)沖縄の読谷村で発生したひき逃げ事故について伺います。米兵の方が身柄を拘束されたのですが、外務省としては、この事案で起訴前の身柄の引き渡しを求める考えはおありでしょうか。

(外務大臣)「拘束」と仰られましたが、特定はできていないというのが私(大臣)の理解です。犯罪事実を含めた特定ができていないと私(大臣)は認識をしております。まだそういう段階であるということです。

(琉球新報 仲井間記者)特定されていない段階なので、身柄の引き渡しについては言及できないということでしょうか。

(外務大臣)まだ、そのような段階であり、捜査も行われたということですが、果たしてひき逃げ犯であるかどうかということがまだはっきりしていない状況だと私(大臣)は理解しております。そういう段階では身柄の拘束というのは日本の法律でも認められていないと思います。

(琉球新報 仲井間記者)仮定の質問で申し訳ないのですが、ひき逃げ犯とはっきりした場合、外務省としては身柄の拘束は求めますか。

(外務大臣)それは、まさしく仮定の質問で、今、疑われている人の人権もありますから、日本の場合でもそういう段階でマスコミがそういうご質問をするということは考えられないことだと思います。

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日米外相会談

(NHK 別府記者)日米外相会談についてお願いします。このタイミングでシンガポールで(会談が)行われるということで、ワーキング・グループの話とどうリンクしてくるのか、またその後に続く日米首脳会談にどういうバトンを渡す会談にしたいとお考えでしょうか。

(外務大臣)ワーキング・グループの話は出るとは思いますが、それはワーキング・グループで議論することで、何か具体的にそこでクリントン国務長官と私(大臣)で普天間の問題を具体的に議論する心づもりはしておりません。首脳会談の前に行われるということですので、首脳会談でテーマになると思われる問題について、いくつか予め議論しておきたいと思います。当初、私(大臣)がワシントンに行く予定があった時は少し時間がありましたので、粗ごなしということを考えておりましたが、ここまで直前になりますと、もう少し日米首脳会談に必ずしもとらわれることなく、日米両国外務担当者として意見交換をすべきテーマはいろいろあると思いますので、幅広く行いたいと思います。今回はこういうタイミングになりましたけれども、クリントン国務長官との間はチャンスがあれば、年間何度でもお会いしてお互い意志疎通をよくし、問題意識を共有化するということは私(大臣)は非常に大事なことだと思っております。

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北朝鮮と韓国の交戦

(読売新聞 宮井記者)韓国と北朝鮮の間で海上で銃撃戦があったようですけれども、米朝協議等が準備される中で、今後この銃撃戦が六者協議の再開等に与える影響をお願いします。

(外務大臣)これは偶発的なものであったのかどうかよく分かりませんので、今の時点でコメントは差し控えたいと思います。ただ、最近の北朝鮮を見ておりますと、核燃料棒の問題、ミサイルの問題もありました。一方で話し合いと言いつつ、場合によっては安保理決議に抵触しかねないようなことをやっていますので、その意図がどこにあるのだろうと思いながら見ております。

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オバマ米大統領訪日関連(広島・長崎訪問等)

(中国新聞 岡田記者)オバマ大統領の初来日の関連でお伺いします。今回、被爆地の広島、長崎を訪れることは日程的に困難だと伺っておりますが、大統領は将来的な訪問には意欲を示しているとされていますが、大臣として(オバマ大統領の)将来的な訪問について、実現の可能性についてご所見があれば、お聞かせ下さい。

(外務大臣)個人的な思いはいろいろありますが、最終的にこれは、米国、オバマ大統領ご自身が決定されることでありますので、外務大臣の立場であまり言わない方がいいだろうと思います。

(中国新聞 岡田記者)米国内には、大統領が被爆地を訪れることについて、根強い慎重論もありますが、訪れてもらうために日本政府として出来る、何か後押しするような方策はあるのでしょうか。

(外務大臣)いろいろなことが考えられるかもしれませんが、ただ、先ほど申し上げたとおりでありまして、私(大臣)はそれ以上のことを語るつもりはありません。

(ドイツテレビ 西里記者)先ほどの被爆地を米国の大統領が訪問するということについて、将来的なことになると思いますが、その時当然、米国内の反対派の中には「じゃあ、パールハーバーはどうなのだ。捕虜に対する虐待等の問題はどうなのだ。」という議論が起こってくると思うのですが、本年5月、まだ自民党政権下で藤崎駐米大使が捕虜団体の会合に出て謝罪するということがありましたが、新しい民主党政権としては、そういう議論が起こった場合に、パールハーバーに出かけて謝罪するとか、或いは捕虜の団体に約束した日本への訪問、家族を招待するというような、そういうプロジェクトを推し進めるという意向はございますでしょうか。

(外務大臣)パールハーバーの件は、特に具体的に検討している訳ではありません。それから、捕虜を日本に招致するということについては、確かに藤崎大使も会合に出席されております。さまざま考えるところはありますが、現時点では何も決まっておりません。

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外国人参政権

(共同通信 斎藤記者)民主党は、永住外国人を対象とした地方参政権付与に関する法案を検討していると聞いております。大臣はこの法案が実際に施行された場合、日本の国益に叶うとお考えでしょうか。また、この話は、他国との相互主義という観点から議論があるやに聞いております。相互主義、他国がやるなら我が国もやるという意味での相互主義ですが、この相互主義の観点から議論すべきかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

(外務大臣)永住外国人参政権の問題については、政府としては、この場で私(大臣)が申し上げましたので繰り返しませんが、鳩山総理のお考えに私(大臣)は従いたいと思います。党ではいろいろと議論していると思いますが、そのことについてコメントする立場にはありません。

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東シナ海関連

(ニコニコ動画 七尾記者)本日もネット中継をご覧の視聴者からの質問を代読させていただきます。東シナ海についてお伺いします。先日、日本政府として、沖ノ鳥島に港湾施設を建設する方針を決め、平成22年度の予算に調査や設計等の費用を計上するとの報道がなされました。沖ノ鳥島について、中国政府は、排他的経済水域を設定できない岩だと主張しており、日本政府の見解とは対立しておりますが、同様に日中間で意見が対立している海域として東シナ海がございます。これまで日本政府は、日本の権益に及ぶ範囲を日中中間線までとの立場をとっておりますが、鳩山政権としてこの立場を維持していきますか。それとも今後の交渉の中で、この立場を変えることも含めて検討していきますか。どのような方針で臨むのかお答いただければと思います。

(外務大臣)現時点における政府の解釈を変えるという話はありません。将来的に日中間で話し合うということになれば、現在の日本政府の主張をベースにして交渉するということになります。

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会見のオープン化

(フリーランス 上杉氏)記者会見の運営方法に関してですが、大臣は9月29日の会見で、我々のようなフリーランスや海外メディア、雑誌、ネットに関しても通常の記者と同じような扱いで入構できるような方策を採ると、今は過程の時期だと仰いましたが、未だに改善されずに、アパルトヘイトとまで言いませんが、かなり煩雑な手続きで、そして中で留め置かれて入ってきます。優秀な外務省の役人の方もそろそろ登録も準備できたのではないかと、一方で外務省の担当者も非常に大変な事務手続きなので、このあたりの改善の進捗状況をお聞かせ願います。

(外務大臣)一定の実績が出来つつありますので、そういうものを踏まえてご指摘の点、考えてみたいと思います。

(フリーランス 上杉氏)具体的にはどの位のスパンで手続きができると見込まれていますか。

(外務大臣)そんなに時間をかけずに行いたいと思いますが、また遅いようなら催促してください。

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外務大臣会見記録(平成21年11月6日(金曜日)17時45分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)参議院予算委員会

(外務大臣)本日、予算委員会が参議院で行われまして、まだ来週も引き続き行われますが、今回、特に野党の議員からは項目だけは来ますが、中身は通告なしで、殆ど事前通告なしでありますので、若干どうなるかという気持ちはしましたが、そう細かい話はなくて、いい議論ができているのではないかと思います。総理は大変だろうと思いますので、我々でなるべくカバ-しようとするのですが、さっと手を挙げて総理が答弁されるというケースが多くて、参議院の場合ですと質問時間だけがカウントされて答える時間はカウントされませんので、そうすると総理がお答えになったものを、また大臣が重ねて答弁するというのは如何なものかという感じで、必然的に総理がお一人で答弁されるということが増えているのかなという感じがします。ただ内容的には、私(大臣)はかなりいい議論が展開できているのではないかというように思っております。

(2)EPA・WTO閣僚委員会

(外務大臣)それから私(大臣)からご報告すべきことは、本日、閣議の前にEPA・WTO閣僚委員会を開催いたしました。これは外務、財務、経産、農水の4大臣で、今後月一回ぐらいのペースでこの閣僚委員会を行い、そしてその合間に副大臣クラスの会議を月2回のペ-スで行います。いろいろ聞いておりましても、もう少し政治主導で(議論)する余地があるのではないかと思います。どうしても細部に亘って担当官のところ(で議論すること)になってしまいますと、例えばEPAを締結することの重要性とかそういうことよりも、自分のところをしっかり守るという考え方になりがちでありまして、政治主導でどこに問題があるかということを明らかにしながら、大臣同士で物事を決めていくことを確認したところであります。4大臣ということでありますが、必要に応じて他の関係大臣、例えば、厚労大臣でありますとか、総務大臣でありますとか、来て頂くこともあります。それから場合によっては、官房長官に入って頂くこともあるというように思っております。その第一回目を開きまして、全体をおさらいをするとともに、次回にはその中でいくつかのEPAについて具体的に検討しようということと、それから(今月末にはジュネーブで)ド-ハ・ラウンドのWTOの閣僚会議が予定されておりますので、その前に開いて日本政府としての基本的な考え方についても議論しておこうということになったところです。

(3)政務三役会議

(外務大臣)本日、政務三役会議を開きましたが、今日はあまり大きな話はありませんでした。それぞれの報告と武正副大臣の出張の報告です。各政務三役にそれぞれ担当課から「出張に是非行ってくれ」というお願いがばらばらに上ってくるということがありまして、それを全部政務三役で判断するのもいいのですが、まず事務方として、これはどれぐらい外務省として重要なものかと判断を行った上で、我々政務レベルに判断を仰いでもらいたいということを申し上げました。そのための仕組みが今ないものですから、きちんと作ってもらいたいと決めたところであります。

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アフガニスタン支援

(NHK 岡崎記者)アフガン・パキスタン支援についてお聞きしたいのですが、関係閣僚で今日明日にでも、金額を含めて具体策をまとめようとされていると思います。そこで、現在、関係閣僚での検討状況はどうなっているのかということと、本日午後に官房長官が記者会見で、支援策はアフガニスタンだけで良いのか、周辺の諸国がどうなっているのかを包括的に検討すべきだという考え方を示されています。大臣も同じような考えをお持ちなのかどうか、具体的にお願いします。

(外務大臣)今、関係大臣が集まって議論していることは事実です。ただ、タイミング的には週を越えると思います。来週の前半のどこかでまとめるべく今詰めの作業を行っているところです。金額については、総理が突然、本日国会答弁をされましたので、あれが正しいかどうか、総理が言われた以上は、ああいう数字になるのであろうと思います。正確には、まだ決まっておりませんので、若干の凸凹はあるかもしれませんが、総理が発言された以上、財務当局も総理の発言には拘束されるのだろうと我々も期待を込めて思っています。アフガニスタンだけなのか、或いはアフガニスタン・パキスタンということで、併せてやるのかについても検討しているところであります。

(NHK 岡崎記者)関連ですが、総理が今日、国会答弁で発言された4,000億円から5,000億円という金額はアフガニスタン支援のみを念頭に置いた数字と考えて良いのでしょうか。

(外務大臣)それは分かりません。我々が分かるのは、「質問」と「答え」ですので、どういう質問に対してどういう答えになったのかは、皆さんに検証して頂きたいと思います。

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日メコン首脳会議

(日経新聞 山本記者)今、開かれている日メコン首脳会議についてですが、この時期にこの会議を開く意義と、日本にとって、この地域の重要性をどのように考えているのかをお聞かせ下さい。

(外務大臣)先般、私(大臣)がカンボジアに参りまして、外相会議で粗ごなしをし、それを踏まえて、首脳会議がこれから今日、明日と開かれるということであります。メコン地域、ASEANの中でもメコン川流域ということで、一つのまとまりをもった地域でありますし、ASEANの中でもある意味で格差が非常に大きい、例えばタイと、それからラオスやカンボジアではかなり格差があります。それから、ミャンマーという存在もあります。その意味で、このメコンを一つに括って、日本として何ができるかということを定期的に議論していくことは非常に意義のあることだと思っています。中身については、これから議論するので、前もって言う訳にはいきませんが、経済開発、特に東西回廊、南北回廊、「コネクティビティ」という言葉もありますが、国と国をつなぐための交通網の話や環境、人の交流とかそういうことについて議論を行う予定であります。

(記者)関連ですが、米国がミャンマーに対して対話路線を打ち出しているのと、中国がこの地域に対して関与を強めている、これらのことをどのように受け止めているのでしょうか。

(外務大臣)中国がこのメコン地域に対して力を入れているということは、私(大臣)は歓迎すべきことだと基本的には考えています。米国も、従来の政権と比べれば、ASEAN、或いは メコンに対して、より関心を高めております。各国がそれぞれの得意の分野で、この地域の底上げのために努力するということは良い方向だと思っています。ミャンマーについては、従来大きく分けて3つぐらいのグループに分かれていたと思いますが、中国やインドといった、かなり経済的な支援をしている国々と、他方で、欧米は制裁を行っていたということです。日本が独自の路線で、大型の経済協力はしないけれども、民生支援の小型のもの、NGOを通じた小型のものはやると、そして完全に今の政権との関係を断ち切るのではなくて、それをつないでいくことによって、彼らの変化を促すという路線でやってきたと思います。最近、米国は、明らかに政策の舵をきって、日本の路線に近づいてきたと思います。先般、キャンベル米国務次官補がミャンマーに行きまして、ミャンマー政府要人とアウン・サン・スー・チー女史とも会ったということですが、昨日、日本にも来られて、私(大臣)も若干意見交換しました。日米で協力しながら、このミャンマー問題に取り組んでいく価値が非常に高くなってきたと思います。大事なことは、来年の総選挙がきちんと公平、公正、開かれた形で行われることで、そのことがしっかり実現できるように日本政府としても努力して参りたいと思います。

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外務省報償費

(東京新聞 佐藤記者)外務省の報償費のことでお伺いします。NPOが請求した開示文書で、在米大使館の公使が2000年の1月に会計検査院の委員長等と会食をして、その代金が報償費の方から払われたということが分かりましたが、このような官官接待について大臣としてどう思われるか、また、現状はどうなっているのかについてお伺いします。

(外務大臣)本件は最高裁まで行って争われた問題ですが、実はこれは40日前に開示された話であります。外務省としては、最高裁の決定に従って40日前に開示し、それが今新聞に載ったということであります。当時は報償費の中でこういうものも含めてやっていたということで、全てではないのですが、名前等は開示すべきだという最高裁の判断で、それに従ったということであります。現時点において、こういった役人、或いは政治家、それに対して飲食を提供するということが報償費で賄われるということは基本的にありません。表に出来ないような情報源との会食等は、これは報償費で賄われているということですが、それ以外のものは一般の経費として賄われております。従って、逆に言うと、情報公開要求されると、(内容が)開示されると、基本的にはそういう構図に現在はなっております。

(東京新聞 佐藤記者)今回黒塗りになった部分は、直接情報相手とのやりとりについて、そのNPOの方はこの中にも不適切なものが含まれているのではないかということで、もう少し情報公開の幅を広げた方がいいのではないかという指摘もありますが、今回のような情報公開の範囲やあり方について、大臣はどう思われますか。

(外務大臣)今回は最高裁の決定に従ったものであります。

(東京新聞 佐藤記者)黒塗りの部分については、大臣は適切であったという理解でよろしいでしょうか。

(外務大臣)報償費の性格上、基本的には出せないものがあるということで、後は最高裁の決定に従って出したということですから、基本的に外務省としての判断の余地というものは余りなかったのではないかと思います。

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米軍再編問題

(読売新聞 川崎記者)米国の上院が、海兵隊のグァム移転に伴う予算として計上されていた経費3億ドルの中、7割を削減する決定をしたということが報じられております。これにつきましては、普天間問題がなかなか解決しないことで、米国の議会側が削減をしたとの見方があります。今後のグァム移転に影響を与える可能性、あと普天間問題の結論をいつまでに出すべきかと密接にリンクしていると思うのですが、このことについて大臣の見解をお伺いいたします。

(外務大臣)これは予算法案の中で、確かに3億ドルの中の2億ドル強が削減されたということであります。同じことは、この予算法案の前の予算権限法のときにも起こっておりまして、そのときに国務省の方で議会側と調整した結果、元に戻ったという経緯があります。今回は、同じことが予算法案においても起こっているということであります。直接、普天間の議論が影響したかどうかは良く分かりませんが、しかし、数ヶ月前にも同じことが予算権限法の段階でも起きているということだけは申し上げておきたいと思います。

(琉球新報 仲井間記者)普天間問題について伺います。先日、琉球新報と毎日新聞が行った世論調査では7割が県外・国外移転を求めて交渉して欲しいというような声であるとか、嘉手納統合案についても7割が反対という結果が出ました。今週末には嘉手納町で沖縄県民大会というのも予定されています。沖縄県内の中では県外・国外移転を求める声が根強いのですが、岡田外務大臣は、大臣になられる前に沖縄に何度か訪れたことがあるかと思いますが、大臣として改めて沖縄を訪れて、県民の声を聞く必要性もあるのかなと感じているのですが、沖縄を訪れる考えはおありでしょうか。

(外務大臣)現在は予算委員会があります。そして、来週はAPECの閣僚会議がシンガポールで行われます。それに出席しなければいけないと思っておりますので、そういったものが一段落したタイミングで沖縄には行きたいと考えております。

(琉球新報 仲井間記者)時期としては12月に入ると予算の詰めをしなければならない。この問題については従来予算でどうするかということが一つの目途になっていると仰っていました。となると、できれば11月中に沖縄訪問を実現したいという理解でよろしいでしょうか。

(外務大臣)国会の審議が様々ありますので、その制約もありますけれども、なるべく早くと思っております。

(時事通信社 高橋記者)沖縄訪問に関連してお聞きしたいのですが、今現在大臣は嘉手納統合案について1足す1が2ではなくて、1足す1が1未満になるような案の可能性を探っておられると理解しておりますが、訪問までに大臣としてこの案を採用するかしないかという目処をたてるのか、あるいは地元の意見を聞いてから結論を出すのか、その順序をどう考えていらっしゃるでしょうか。

(外務大臣)いろいろな考え方がありますが、私(大臣)ひとりで決める訳ではありません。政府の中でも、最終的には総理がお決めになる訳で、そこにいたるプロセスは関係閣僚で議論しなければなりません。そして、ご質問にお答えするとすれば、やはり地元の意見もしっかりと承った上での最終判断ということになると思います。それが一度で済むのか、2度3度になるのかも含めて、現時点では未定であります。

(読売新聞 村尾記者)普天間問題ですが、大臣は先週から先週末にかけて、防衛省の担当の方のお話を伺ったり、今週は国会で論戦があったと思いますが、改めてこの検証作業についてお聞きしたいのですが、嘉手納統合案が一つの案だということに対するご認識は、何か変化はあったのかどうか。

(外務大臣)防衛省、それから米国からもかなりいろいろな話も聞きました、ということが事実関係です。私(大臣)が今どう考えているかについて、途中の段階で申し上げるつもりは特にありません。検証中です。

(朝日新聞 内田記者)普天間の関係ですが、大臣は以前沖縄に行かれる時期について、ご自身の方向性が決まってからというふうにおっしゃられておられましたが、それが、方向性が決まる前にまず行くということになった理由を教えて下さい。

(外務大臣)決めてから行くよりも決める前に行って、虚心坦懐にお話を聞いた方がいいと思います。

(朝日新聞 内田記者)やはり沖縄でいろいろ政府の決定が遅れていることについて反発が強まっているということが、理由の一つでしょうか。

(外務大臣)決めるといっても、私(大臣)自身の気持ちを決めた上で、方向性を自分なりにまとめた上でと申し上げたのであって、政府として決めてから行くとは言っておりません。

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カンボジアとタイの国境紛争

(ロイター通信 オウ記者)カンボジアとタイの間では今、大使を召還するといったように外交摩擦が起きていますが、それに関して日本が仲裁をする可能性はあります。

(外務大臣)これは微妙な話でありますが、今、両国の首脳が日本におられる訳で、全体の日・メコン首脳会議の場でやるという話ではないと私(大臣)は思いますが、私(大臣)もタイのアピシット首相とは明日バイの会談を予定しております。総理は(各国首脳)全員とバイの会談も予定されていますので、そういう中で議論が出る可能性があるというように思います。

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キャンベル国務次官補の訪日

(ビデオニュースドットコム 神保記者)昨日のキャンベル国務次官補との会談で、キャンベル国務次官補によると、岡田外相との間で「是非、両国が国際捕鯨委員会(IWC)の今の閉塞状態を解決するために、両国がそれを前向きに進めるということで合意しようではないか」という意見を仰ったら、岡田外相も「是非やろう」という回答を得たと聞いているのですが、その事実関係を教えて下さい。それから、本件が来週の日米首脳会談の議題に上る可能性があるのか。さらに、同様の趣旨の書簡が米国のケリー上院外交委員長から岡田外相宛に送られたと聞いているのですが、その事実関係、その三点をお願いします。

(外務大臣)昨日のキャンベル国務次官補との会談で本件が話題になったその記憶はないのですが、いろいろな事を話ましたので、忘れてしまったのかもしれません。確認してみます。何れにしても、私(大臣)もあちこちで外相レベルで言われますし、この問題は日本の外交にとって、しっかりとした議論が必要な問題だと思います。しかし、それぞれの国にはそれぞれの食文化もありますし、種の保存という形では一定の制限を加えることは当然だと思います。それを越えてということになると、様々な議論があるのだろうと思います。

(補足説明)キャンベル国務次官補との会談でIWCについて協議した事実はありませんでした。

(ビデオニュースドットコム 神保記者)首脳会談の内容とケリー上院外交委員長の書簡については如何でしょうか。

(外務大臣)首脳会談の中身は今お話する段階にありません。米国側がどのようなものを持ち出すか、基本的にはその場にならないと分からないことが多いものですから、コメントできません。ケリー上院外交委員長から書簡が来たかどうかは、私(大臣)が今まで見た中ではありませんけれども、或いは私(大臣)のボックスの中には入っているのかもしれません。

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日露関係

(NHK 佐藤記者)日露関係についておうかがいします。先日、前原国交相が北海道の根室を訪れまして、元島民の方が半分以上は他界され、平均寿命が76歳を越えたという現状を訴えられると同時に、ロシアと縁の深い鳩山政権に非常に期待されているということが表明されたのですが、そこで二点伺います。民主党として領土交渉にどのようなスタンスで臨まれるのか、これ迄の自民党政権と何か変わることがあるのかどうか、これは地元一つの率直な疑問ですので、これを伺います。もう一点は、先月次官級協議がありまして、次にAPECの首脳会談と一連の外交日程がある訳ですが、この中で、ロシア側が出している柔軟なアプローチという説明以外に、日本側から何らかのボールを投げる可能性というか、そういうことを考えられているのかどうか、その二点をお願いします。

(外務大臣)先日、代表者の方に外務省にお見え頂いて、意見交換をさせて頂きました。これは相手のある話です。そして、実際の交渉もどのような手順で何をどのようにカードを切るのかと、どうするのかということは言わない方が良いと思います。なるべく早く北方領土問題についての決着をつけたい。ロシア側も先般、ニューヨークにおける首脳会談では、鳩山総理に対する期待感といったものも示されていたと思います。それから、閣僚レベルでも話をしようと、領土問題に限りませんが、閣僚レベルで一度、早く外務大臣会談をやろうという提案もありましたので、一連の状況を見ながら、とはいえ様々な予定が詰まっていますが、私(大臣)も今国会が終って、次の国会が始まる迄の合間で何か(北方領土問題が)進展する可能性があればロシアを訪問したいと思っております。具体的なことは何も決まっておりません。

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オバマ大統領の訪日

(NHK 別府記者)来週の日米首脳会談ですが、オバマ大統領就任後、初めてのアジア歴訪で、その最初の訪問国として日本に来られると。お迎えする日本側としては、この機会に是非こういうことを確認したい、こういうことができたらいい訪問になったと、成功だと考えているのでしょうか。

(外務大臣)これは一般論として言えば、ニューヨークにおける首脳会談でお互いの信頼関係を築き上げて、その上で今回の訪日ということになります。両国関係、それからアジア太平洋における日米両国の果たすべき役割、そしてグローバルな問題に対しての両国の果たす役割。(これらと)幅広く議論をしていただき、そして前向きな発信が出来ればというふうに、私(大臣)としては期待しているところでございます。いろいろとこの間、報道がされまして、普天間一色でしたが、我々はもともとそういうことを考えている訳ではありません。そのことは何度もこの場で申し上げてきたところであります。

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永住外国人への地方参政権付与

(ニコニコ動画 七尾記者)永住外国人の方への地方参政権付与に関する質問です。岡田大臣は昨年の5月20日付けのご自身のブログの中で「永住外国人の地方参政権を推し進める基本的な考えとして、多文化共生、或いは多様な価値を認める」ということを述べられています。今後、外国人参政権については、国会内外で議論が深まっていくことと思いますが、民主党のマニフェストにも掲げられていない、このような政策の先にある日本国としてのメリットはどのようなものであるかを外交トップのお立場から具体的にお聞かせ頂けないでしょうか。

(外務大臣)外国人参政権の問題は、個人としての思いは今言われた通りです。ただ、鳩山政権としての考え方は、先般、総理が国会で述べられた訳で、閣僚としては、鳩山政権の考え方に沿って進めていきたいと考えています。

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内閣官房機密費

(J-CASTニュース 亀松記者)内閣官房の機密費についてお尋ねします。民主党のホームページによりますと、岡田大臣が政調会長をされていた2002年6月に述べられた発言として、「内閣官房機密費については官房長官が自分の判断で使用できる金額の内容を開示せず、不明瞭な状態を保っていることは極めて不十分であり、非常に不満に思う」と述べられておりまして、民主党が提出された議員立法の必要性を説いたとあるのですが、今回、(平野)官房長官が(内閣官房機密費の内容を)オープンにしないということを表明された訳ですが、その点の整合性であるとか、岡田大臣としての考え方をお聞きしたいと思います。

(外務大臣)私(大臣)の考え方は変わっていません。しかし、内閣として官房長官が今言われた方針を述べられました。私(大臣)としては、それに従います。

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EPA・WTO閣僚委員会

(NHK 吉田記者)EPA・WTO閣僚委員会の関係です。先程、次回(の会合)は具体的にいくつかのEPAについて議論をしたいと仰いましたが、今、5つの国と地域でEPAを進めていますが、その中で大臣としてどのように優先順位を付けて物事を進めたいのかというのが一点、また、EUとのEPAについて産業界から非常に強い要望があがっていますが、まだ進めていないところについて、この閣僚委員会でどのような扱いをしていきたいのかをお伺いします。

(外務大臣)まだ具体的な議論の俎上に上っていないけれども、実際に(産業界から要望が)上がっているものとして、EUをはじめとして、いくつかあります。勿論、そういうものも議論の対象にしていきたいと考えています。やはり、次回は現に交渉を行っているもの、その全部なのか、或いはその内のいくつかを選ぶのかということは、これから副大臣レベルでの議論にもよる訳ですが、それを見て決めていくということになると思います。しかし、日豪とか、日インドもあります。それから、他が重要でないということではないのですが、まだ具体的には交渉に入っていいない日EUとかの重要なテーマがありますので、しっかりと何が問題で何をどうしなければいけないのかということを明確にして、政治レベルでその解決を図っていきたいと思っています。

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