(外務大臣)昨日パキスタンでテロがあり、ブットー元首相或いはその支援者が亡くなられ、また多くの方が負傷されました。心から哀悼並びにお見舞いを申し上げたいと思います。
パキスタンは今、公正な選挙の実施により民主化の道を歩もうと、政府も国民もそういう努力をしていたところに、自分の主張を通そうと暴力で以てこれを解決しようというのは極めて卑劣で許し難いことだと思っておりますし、これを断固非難したいと思います。ただパキスタンには、これからも民主化の道を歩んで頂かなければ困る訳ですから、この悲劇にめげずに政府も国民も一体となって公正な選挙を通じて民主主義を定着させていってもらいたいと強く期待しますし、日本政府としても、そういう努力を支持していきたいと思っています。
(問)ブットー元首相の暗殺で、日本のパキスタンに対する援助の在り方等に何か影響が出る可能性はありますか。
(外務大臣)テロリストに誰かが暗殺されたからという理由で、直接、援助の在り方が変わるということは言えない訳ですが、あらゆる要因を考えながら、これからの推移を見ていかなければいけないと思っております。
(問)総選挙が行われれば、日本政府が選挙監視団を派遣する予定だったと思いますが、それについて如何なるお考えでしょうか。
(外務大臣)その方針を特に変えたということではありませんが、どういうことになっていくのか推移を見ていきたいと思っております。
(外務大臣)私は1月2日から7日までケニア・タンザニアを訪問致します。両国の首脳にお会いして、二国間関係や地域の問題、或いは国際情勢等について話し合って参ります。また、来年日本で行われるTICAD IVについて、それぞれの国の首脳ご自身が出席して頂けるようにお願いして来る所存です。
ケニアもタンザニアも、アフリカ東部の中で安定した民主主義が行われている国ですから、そして、従来から日本の対アフリカ外交の要になっている国ですから、良い訪問にしたいと思っております。
日本の外務大臣がこの二国に行くのは、1979年に園田外務大臣が訪問して以来のことですが、是非とも目的を達成してきたいと思っております。
(問)本日、日中首脳会談がありますが、懸案のガス田協議ですが、これまでずっと事務レベルで進めて来たと思うのですが、大きな進展が期待出来るという印象は持たれていますか。
(外務大臣)かなり詰まってきた部分もあるのですが、直ちに乗り越えるのは難しい状況も未だ残っているということです。なかなか難しいと思います。そういう中で、首脳会談の中では、この問題は両国にとって極めて重要な問題ですから、これからの取り進め方が協議されることになるのかなと思っております。
水面上、水面下も含めて、色々なレベルでかなり協議が詰まってきた部分もありますし、日本側と中国側でかけ離れた原則論の中で中国側が日本側の原則論に一定の理解を示す部分もある訳ですが、だからと言って、残っている問題を直ちに乗り越えられるだろうという心象を、私は今の時点では未だ残念ながら持てないということです。
(問)次官人事を巡って色々報道が出ておりますが、交代のタイミングとしては、この臨時国会が終わって次の通常国会が始まる前ぐらいと理解してもよろしいのでしょうか。
(外務大臣)人事については、正式決定まで今までも何も言ってきませんでしたし、これからも何も言わないというのが私のスタンスですから、そのようにご理解頂きたいと思います。
(問)北朝鮮の外務省米州局副局長が無能力化について、他の五ヵ国による経済的な交渉が遅れているから、こちらもスピードの調節をしなくはいけないという発言をしておりますが、これについてはどのようにお考えですか。
(外務大臣)そういう言い訳に一々反論するのも、ばかばかしいのではないでしょうか。
(問)結果的に年内と区切られていた無能力化も守られない、或いは申告の方も出来ないということになっています。この状況、また、来年に向けての展望等あればお聞かせ下さい。
(外務大臣)申告の問題は、北朝鮮がどう決意するかという話です。正確且つ完全な報告をしようと決意さえすれば、それはすぐに出来る話です。ですから仮に12月末日までに出来ないとしたら、そういう決意を北朝鮮がしなかったということであると思います。3施設の無能力化の話は、これはかなり一生懸命、12月末日に間に合わせようと努力をしたし、しているという節が見受けられますが、これは安全性の問題がありますから、何が何でも突貫工事で年末までに間に合わせるという訳にもいかない性質のものであるということです。約束が守れるか守れないかということについては、私もなかなか難しい状況かなという感じは持っておりますが、無能力化については努力はしているという感じは持っています。申告はやはり、約束通り行うという意志を持ってもらいたいと思います。
(問)日朝協議は作業部会が9月に行われた後、水面下で色々進めていると思うのですが。
(外務大臣)水面下ということは、そのことについては何も言わないということですから、進めているか進めていないかについても、そのようにご了解下さい。
(問)日韓の件だと思いますが、外交文書の公開について1年7ヵ月遅れていて、それを組織的な怠慢だというような形で、結果的に外務省の問題であると指摘する判決を出しておりますが、これについてどう受け止めているでしょうか。また、もし遅れているということであれば、何らかの対応を取られるのでしょうか。
(外務大臣)この問題について、外務省としては、出来ることは出来るだけ早くやって、そして、その公開出来るかも含めた判断についても、限られた人数の中で一生懸命やっていると思っておりますし、今関係省庁を含めて、この問題の一審判決を受け入れるかどうかということについて協議しているところです。
今の人員等でそういう作業が出来るのかどうかというようなこともありますし、本当に直ちにこの裁判、不作為の違法確認という極めて稀な判決ですが、こういうことが言えるかどうか、裁判の批判を政治家がするということは良くないからしませんが、裁判の遅延問題等もこの中に含みますが、この程度の遅延でない裁判の遅延もたくさんあるのではないでしょうか。
(問)例えば、短期的に人員を増やして作業をする等のお考えはあるのでしょうか。
(外務大臣)裁判の内容も検討します。こういうことは早く判断した方が良いということは、それはその通りです。
(問)情報公開の流れの中で、長期的に体制を作り直す等のお考えはあるのでしょうか。
(外務大臣)外務省が今定員を増やすということは、国際的に極めて少ない定員の中でやっているというのはご存知の通りで、そういう中で今度も相当の数を増やしてもらいましたが、折角外交をやるための人をそこに優先順位をもって割けるかどうかという話もあるので、それは一審判決とは言え判決ですから、それは司法の判断でありますから、それは重く受け止めはしますが、その裁判結果をそのまま受け入れられるかどうかを今、関係省庁と相談中であるということです。
(問)今日は安保会議がありましたが、NSC(国家安全保障会議)の設置法案も含めて、どういう対応になっているのでしょうか。
(外務大臣)NSCそれ自体は当面断念する、ただ官邸機能強化は大切なので官房長官、外務大臣、防衛大臣が常に積極的に意見を打ち合わせて官邸機能を強化していく、という総理からのお話がありました。誠にごもっともだと思いますので、そのように進めていきたいと思います。
(問)北方領土問題で、サンクトペテルベルクで行われた森元総理とプーチン大統領との会見で、交渉方針をイルクーツク声明に戻して、そこからまた始めようではないかということで合意しましたけれども、今後の政府としての交渉方針、対処方針についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)両方で合意しているのは、今までの両国で取り交わされた諸文書、諸合意に基づいて進めていくということですから、日本側の立場は何ら変わりないし、ロシア側も変わっていないと思います。
(問)総理が中国を訪問しますが、これに向けて今回の訪問でどういうことが一番大きなポイントになるか、具体的に政策的にはどういうことになると考えていらっしゃるか、外務大臣としての立場からお話し頂けますか。
(外務大臣)戦略的互恵関係をより両国民に、或いは全世界に発信するということが最大の目的ですから、それに必要な諸々の、例えば両国民の交流の問題を更に深めようといったことについて、両首脳は話し合われると思っています。今からあまり予告編をやることはないでしょう。
(問)昨日、福田総理から薬害C型肝炎の訴訟で一律救済を目指す議員立法という話がありましたが、内閣の一員としてその判断をどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(外務大臣)素晴らしい判断ではないでしょうか。今まで行政府の立場を超えて積極的にこういう和解を打ち出したということはないですよね。ハンセン氏病の時の、当時の小泉総理の決断にしても「一審判決をそのまま呑みます。控訴しません。」という決断ですから、それよりも遙かに大きな政治決断です。行政府の長としての政治決断だと、どうしても行政は法律にとらわれます。法律の最終的解釈をする所は司法であるという中での政治決断と、立法府の中の最大与党の総裁としての政治決断ということで、正に議員立法を促して全員救済ということですから、内閣の一員としてではなく、国民の一人として、高く評価しております。
(外務大臣)只今、大臣折衝を終えて参りました。外交力強化のために定員・機構の増強をお願いしました。定員については、99人の純増を実現することが出来ました。また、現地職員等116名の純増も併せて認めて頂きました。合わせて215名の実質的なマンパワーの増強を確保致しました。機構については、5大使館と2総領事館の新設が認められました。何れも、満額回答でございます。
詳細については、会計課長がブリーフを致します。
(外務大臣)スミス豪外相と電話会談を行いました。スミス外相との間では安全保障、或いは経済、気候変動といった問題で緊密にこれからも連絡していこう、関係を強化していこうということで完全に一致しました。
スミス外相から日本の調査捕鯨についての懸念の表明と、中止して欲しいという申し入れがありました。私からは調査捕鯨は完全に合法的なものであるということを説明しました。それと同時に、ホガースIWC(国際捕鯨委員会)議長から、「今、IWCが機能不全に陥っているのを立て直したい。それについて副議長国である日本にも協力して欲しい。その立て直しにかかる間、ザトウクジラの捕獲は見直して欲しい」という申し入れがあったので、「日本としてはこのIWCの立て直しに副議長国として協力していきたい。そして、ホガース議長から申し入れのあったザトウクジラについて、日本が(IWCが)正常化に向かって動いていると判断する期間は、ザトウクジラの捕獲を見合わす決定をした」ということをスミス外相にお伝えしました。
これに対してスミス外相からは、「豪州が求めているのはザトウクジラだけではない。ただ、ザトウクジラを当面捕獲しないということについては、歓迎したい」というお話がありました。それと同時に電話会談の途中、3、4度、この捕鯨の問題という一事で良好な日豪関係を害するものではないということを繰り返しスミス豪外相が言っておられたので、私もそれについては全く同感であると申し上げました。大体、そういう電話会談でした。
(問)豪がこの決定について歓迎するということですが、やはり調査捕鯨そのものを止めろという声も強いようですね。
(外務大臣)豪は基本的に調査捕鯨も止めろという立場です。ただ、私が伝えた、ザトウクジラ捕獲について当面見合わすということについては歓迎するということです。それ以上でも以下でもありません。
(問)大臣が仰っているように、国民感情や文化の問題だということで、非常に難しいと思いますが、どのように対応していくのでしょうか。
(外務大臣)私もこれは感情的になりやすい話だから、出来るだけ冷静にこれからも話をしていきましょうと申し上げると共に、スミス外相も言っておられたことですが、私の方からもこの一事をもって良好な日豪関係に悪い影響を及ぼしてはいけないという点については、お互い完全に意見が一致しました。冷静に進めていくよりないでしょう。
(問)電話会談は何時頃行われたのでしょうか。
(外務大臣)18時5分くらいです。
(問)スミス外相が表明していた豪による監視活動ですが、これは如何でしょうか。
(外務大臣)電話会談の中ではその話はしませんでしたが、豪側も監視を行うと言いつつ、一方で自分たちがどこで監視しているかといったことは、NPOその他の者に知らせないようにするとか、或いは皆が冷静に対応して欲しいということも豪政府が言っておられると承知しております。電話の中ではその話はありませんでした。
(問)大臣の仰る当面というのは、大体どのくらいの目処ですか。
(外務大臣)ホガース議長は、大体1、2年というイメージで言ってきたと思いますが、日本政府とすれば、その過程が正常化に向かっていると日本政府が判断できる期間ということです。全くそういう方向に進まないと判断出来ればまた別の話になってくるということです。
(問)なかなか一度中止すると再開も難しいと思いますが、その辺の出口戦略など、頭の中で描いてらっしゃるものはありますか。
(外務大臣)IWCがきちんと機能するようになって、その中でどう全体を位置づけるかという話です。そういうことを考えています。
(外務大臣)ODA白書を本日公表します。ODAは、国民の理解と協力があって持続出来るものなので、そのために毎年白書を出していますが、気候変動やアフリカ開発、或いはODAにおける官民連携等に焦点を当てて出しました。正にODAの担い手となっている日本人30人くらいを具体的に取り上げる等、興味深いものなので皆さんにも是非読んで頂きたいと思います。
(問)ODAですが、概算要求では若干減額されていますが、概算要求そのものの感想と復活折衝にどう取り組むかについてお聞かせ下さい。
(外務大臣)ODAはこれで決まりで、外務省の関係で3%ダウンということですが、補正予算と併せて考えると、それなりに良い形が出来たのではないかと思っています。
復活折衝で重点を置くのは、やはり外交力の強化、機構定員、そういった問題に重きを置いていきたいと思っています。9時半から自民党本部で外交関係部会がありますので、そこでも、党の方とも相談して、力も借りて取り組んでいきたいと思っています。
(外務大臣)来年に向けて、第2回国際漫画賞の公募を本日より開始します。昨年は146の作品の応募があり、大成功であったと思います。引き続き行っていきたいと思います。世界の漫画家と日本の絆を作るということ、そして海外における漫画の普及・発展を図るために役に立っていると思いますので、来年も続けて行っていくということです。
(問)ロシアによる漁船拿捕の件ですが、昨日、ロシアが公使を呼んで抗議し、漁業協定等の話も出たとの話がありますが、どのように対応されますか。
(外務大臣)国と国との枠組みが出来ているので、その違反については関係当局が調べているやに聞いていますから、それはきちんと行うのですが、本質的に四島は我が国の領土ですから、本質的に受け入れられる話ではありません。ただ取り決めたことは、守るように努力していくということは大切なことだと思っております。
(問)日本の調査捕鯨に対して豪州政府が、巡視船を出して監視するという動きがありますが、日豪関係を踏まえてどう対応していきますか。
(外務大臣)我々は国際的取り決めに基づいて調査捕鯨を行うのでそれはそれとして行うということである。豪州には豪州の考えがあって、それについて監視をすると言っておられるのだが、それと同時にNPO等に冷静な対応を求めるということも言っているので、そういうことも引っくるめて、近いうちに向こうの外務大臣とも何らかの手段で話をしたいと思っています。
(問)先方が国際海洋法裁判所に提訴する可能性もあると思うのですが、提訴された場合、日本はどう対処するのでしょうか。
(外務大臣)未だ提訴もしていませんからそれはその時の対応ですが、日本はきちんとした取り決めに基づいて調査捕鯨を行っているので、別に日本の行動に問題はない訳です。これはある意味で、日本の文化と豪州の文化と言いますか国民感情の問題ですから、なかなか論理と論理でお互いが説得出来るという話ではないのですが、こういう問題が一番難しい問題ですが、近く豪州の外務大臣とも、何らかの手段で話してみたいと思っております。
(問)理解を求めるということですか。
(外務大臣)お互いに、お互いの立場の理解を求めるということになるでしょう。
(問)総理の訪中の正式な日取り等は、いつ頃発表されそうでしょうか。
(外務大臣)極めて近い時期に発表されるのではないでしょうか。
(外務大臣)韓国の大統領選で李明博(イ・ミョンバク)候補が当選した訳ですが、心から祝意を表したいと思います。新しい大統領の下で韓国が発展していくことを期待しております。
韓国は日本にとって重要な隣国であり、自由と民主主義、基本的人権、市場経済、価値観を共有し、また、北朝鮮問題等共通の関心事項を持っています。そして、李明博候補は公約の中で、韓米関係と共に日本との関係も重視していきたいと言っておりますので、私達としても韓国との間で緊密に協議して、未来志向の日韓関係を作っていきたいと思っております。
(問)日韓関係は首脳外交も途絶えがちで、冷めた関係がずっと続いていましたが、大統領の就任式に総理が出席するという話もありますが、今後どういう外交を展開していくのでしょうか。
(外務大臣)就任式に誰が出席するかは未だ決まっておりませんし、具体的な検討に入っている訳ではありません。ただ、先程申したように重要な隣国でありますし、日本からも然るべき重要人物が出席したら良いという考えの下で、具体的に誰が出席するかということについて、今後検討していくことになるということです。
(問)今の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は、例えば北朝鮮による韓国民の拉致問題について、かなり及び腰というか、あまり積極的でない取り組みをしてきた訳ですが、対北朝鮮という意味で、今後、どういう協力をしていくのでしょうか。
(外務大臣)李明博候補は公約の中で、拉致問題について積極にも消極にも何も語っておりませんので、日本とすれば、日本の立場の理解と協力をこれからも求めていくということに尽きると思います。
(問)李明博氏は北朝鮮に対して、若干強硬な姿勢を取るかもしれないという話がある一方、韓国社会自体は、北朝鮮に対する親近感を強めているようで、そういう意味では韓国の対北朝鮮政策は、大統領が替わったからといって変わらないのではないかとの見方もありますが、日本政府としては、どういった働きかけをしていくお考えですか。
(外務大臣)2月25日の就任式に向けて、具体的政策を韓国自身が詰めていくことになると思っておりますが、日韓の北朝鮮問題についての連携も極めて重要なことですから、日本としても色々なレベルで働きかけていきたいと思っております。
(問)大臣ご自身は、近く韓国に行かれるお考えはありますか。
(外務大臣)具体的な検討に入っている訳ではありません。
(問)予算編成ですが、財務省原案の受け止めと、今後の復活折衝のポイントについてお聞かせ下さい。
(外務大臣)非常に厳しい財政状況の中では、比較的良い形に仕上がりつつあるのではないかと思っておりますが、具体的には本日午後、会計課長がブリーフすると聞いておりますので、そちらに任せたいと思います。
(外務大臣)ロシアに拿捕された漁船の船長1名、かねて健康上問題のあった藤本茂美さんについて明日14時に引き渡すという連絡がありました。海上保安庁に連絡して明日午前11時に巡視艇に古釜布沖に向かって頂き、そこで引き渡されるということになりましたので御報告させて頂きます。
(問)今回、藤本さん一人を引き渡すというロシア側の対応について、大臣として評価をお願いします。
(外務大臣)一人も引き渡さないよりはベターだし、全員を早期に引き渡して欲しいということに尽きます。人道的観点から取り敢えず一人渡すということで、それ以上でもないし、それ以下でもない。現時点ですから、それに引き続いて、11人全員を引き渡してもらいたいということで交渉を続けているということです。
(問)明日の引き渡しは洋上で行われることになる訳ですか。
(外務大臣)そうです。
(外務大臣)ブッシュ米大統領が貯蔵する核弾頭を大幅に削減するという発表がありました。これについて、こちらとしては評価し、歓迎します。一方的に米国が削減すると宣言した訳ですが、これが世界全体の核軍縮、或いは不拡散に繋がっていくことを期待しています。
(問)一部報道で、温暖化対策で白熱電球の製造中止を国内メーカー及び各国に呼びかけるという話がありますが、詳しく教えて頂けますか。
(外務大臣)詳しくは知らないのですが、白熱電球はご承知の様に、非常に電力を消費します。これを出来るだけ省電力のものに切り換えていきたいという希望を私達は持っている訳ですが、それをどこまで国内的に行い、どこまで国際的に呼びかけるかということについてはまだ検討中だと私は認識しています。経済産業省に聞いて頂いた方が良いかと思います。
(外務大臣)今、関係四大臣で、四島交流等の実施を精力的に行っていき、後継船舶をきちんと作っていこうと申し合わせました。四島交流や自由往来、或いは墓参の問題、北方四島の問題の解決にも資するものだと思いますので、これからきちんと実施していかなければいけないと思っています。その為の後継船舶ですが、民間に所有管理して頂くものを平成24年くらいに就航させて、旧島民にはかなりお歳を召した方がおられるので、使い易い仕様にしようと申し合わせたところです。
(問)船の大きさなど、細かいことも大体決まっているのですか。
(外務大臣)それは事務方、或いは北方担当大臣に聞いて下さい。
(問)日中首脳会談で、総理が27日に北京を訪れて、場合によっては天津や孔子廟に行くという話もありますが、まだ決まっていないのですか。
(外務大臣)従前から申し上げているように、年末もしくは年明けということで調整中です。最終的に確定したら発表します。
(問)年末年始にしても、ガス田の問題があると思います。進展の見通しは今のところ如何でしょうか。
(外務大臣)残念ながら進展はありません。これはお互いがじりじり歩み寄っていくというよりも、大きな政治決断をバサッとしなければ解決しない問題ですが、今のところ、残念ながら進展があるようには承知していません。
(問)北方海域での拿捕の問題で、船長達が色丹島から国後島の方に移されたという話もありますが、現状と解放等の見通しをお願いします。
(外務大臣)私自身、まだ今の話は報告を受けていませんが、モスクワも含めて現在、交渉しているところです。それなりの理解は示すけれども、まだロシア側が決断していないという状況ですから、引き続いて、特に持病を患っておられる方については速やかな解放が人道上も必要なので、強く求めていきたいです。これが長引くと日露関係、ロシアにとっても決して良いことではないと思っています。
(外務大臣)パリで今日、パレスチナ支援プレッジング会合が開催されます。我が国としては当面1.5億ドルの支援を実施していくことを表明致します。今、和平実現に向けて歴史的な機会が訪れつつあり、確率がどのくらいかは別として、なんとか良い方向に持っていかなければいけないということで、イスラエルと共存するパレスチナ国家の樹立を最大限支援していきたいと思います。
(問)パレスチナには、どのような支援を行うのでしょうか。中東和平の道程はなかなか簡単ではないと思いますが如何ですか。
(外務大臣)パレスチナ自治政府で自ら改革発展の道を作っており、全体で16億ドルくらい、今までも支援があるものを除くと必要だということで、我が国としても応分の負担をしていきたいということで1.5億ドルの支援を表明したということです。要するに国づくりです。経済基盤を作って民生を豊かにするという支援です。
(外務大臣)既に報道があるところですが、英国からイラクにバスラ県における権限委譲が行われたということです。これでイラクに18県ある内の9県、ちょうど半分にイラク自身が治安権限を持つことになります。これは非常に歓迎すべき動きだと考えております。こういう動きが逆戻りしないように、国際社会としてもこれからも支援していきたいと思います。
(問)ロシアによる漁船拿捕事件の現状は如何でしょうか。
(外務大臣)週末も精力的に解放努力を、特に持病を持っている藤本さんについて行ったのですが、ロシア側はその病気については理解していると言いつつも現時点では決められないということですので、更に精力的に努力していきたいと思います。もちろん、藤本さんだけではなく、他の人についても早期解放を求めて努力していきたいと思います。こういうことは日露関係に響きますし、ロシア側にとっても決して良いことではないと私は思っています。
(外務大臣)韓国の油流出事故ですが、これは例のナホトカ号の1.7倍の規模だそうでありまして、韓国政府の要請を受け、人的面と物的面の両方から支援をすることを決定しました。人的面では、油防除の助言を行う専門家6名が、緊急援助隊として、明日、韓国に向けて出発します。物的面では、油吸着剤10トン(3千万円相当)を供与することを決定しました。
韓国に対して国際緊急援助隊を送るのは、初めてのことです。これは、人道上の観点と友好協力関係を進めようということと、海洋汚染の防止という3つの観点から、そういうことをしたいと思っております。
被災者の方々に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
(外務大臣)ダルフール・チャド情勢についてですが、平和構築支援の一環として、チャド警察の活動を支援するために、220万ドル(約2億4千万円)の供与を決定しました。
ダルフールから難民、避難民が出て、チャドのキャンプにおりますが、チャドの警察が必ずしもしっかりしておらず、非常に危険な状況にあるということで、国連PKOが警察の訓練等を行っている訳ですが、そういったところに機材等を供与しようという平和構築支援の一環です。
来年のTICADIV、G8サミット等を通じて、日本は平和構築ということも一つの柱として打ち出していますが、そういうことの一環として、この度支援させて頂くということです。
(問)ロシアの漁船の問題で、新しい情報(アップデート)は特にないですか。
(外務大臣)アップデートについての説明を受けておりません。
(問)調査捕鯨の話ですが、豪州のラッド首相が、日本が行おうとしている調査捕鯨に対して軍艦を派遣する用意があるということを言っていますが、これについてお聞かせ下さい。
(外務大臣)きちんとした報告を受けていないので、コメントを差し控えますが、日本はやはり、取り決めに従って出す訳で、法的に問題がある訳ではなく、日本の文化の問題であるということが一方にあります。ただ、これもやはり多くの国の感情の問題なので、感情というのは必ずしも無視出来ない面もあるので、苦慮しているところでもありますが、我々は一応調査捕鯨ということで、科学的知見を高めるために調査しようとしているということをご理解頂ければと思いますが、なかなかこれは、論理的に説得して理解するという話ではないので、色々苦慮しているということです。
(問)米国議会で、北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除はすべきでないという議論が強まり始めているのですが、今朝も大臣は、日朝関係についても前進があるという見通しはついていないということを仰っていたのですが、それについてはどうでしょうか。
(外務大臣)何れにしても、それぞれの分野でバランスを取って進むことが大切です。バランスを取って停滞することが必要なのではなく、バランスを取って進むことが必要だと思っています。ですから日朝の関係でも、遅れないように日本も努力していきたいと思っているところであります。バランスが取れない進め方になると、また、これも問題なしとはしないので、バランスを取って進めるということで、出来るだけ日朝関係も他の分野から遅れないように努力していきたいと思っております。
(外務大臣)閣議で紹介したことですが、パレスチナ人の医療状況等を改善するために、UNDP(国連開発計画)を通じて1000万ドルの支援実施を決定しました。
(外務大臣)それから、今日、ジョージ・ヨー・シンガポール外務大臣と会談します。二国間関係や地域協力の振興について話し合いますが、その時にJSPP21(21世紀のための日本・シンガポール・パートナーシップ・プログラム)の新しい枠組み文書に署名する予定です。この新しい枠組み文書は、貿易投資の促進、感染症対策、ASEAN共通の課題への取り組みを強化することを主眼に置いております。シンガポールとの協力を一層強化し、ASEANの統合を更に支援していきたいと考えております。要するに、日本とシンガポールが共同して発展途上国の支援を行っていこうということで、94年から行っているのですが、これを更に一層、一生懸命やっていこうということです。
(外務大臣)国後島沖における日本漁船の拿捕ですが、北方領土に関する我が国の基本的立場から受け入れられるはずがない話であり、甚だ遺憾であると思っております。斎藤駐露大使からデニソフ露第一事務次官に対して我が方の立場を申し入れたところです。まず、船体の速やかな解放、解放までの間、医薬品の手当てを含めて、人道的観点から然るべき対応をとることを申し入れましたが、デニソフ第一次官は人道的観点からの対応が必要であるという点については理解を示しています。特に持病を患っている藤本船長について、我が方から直ちに解放することを求めたのに対してロシア側が理解を示しており、引き取りのための船舶を早期に派遣するため、ロシアとの間で調整しているところです。所謂拿捕された4隻の漁船は北方四島周辺域操業枠組み協定に基づく、北海道知事の許可を持っていなかったことは間違いないようですが、何で北方十二海里に入域するに至ったか、我が国関係機関において調査が行われているところです。
(問)国会の会期ですが、今日、本会議で延長となります。福田総理のテロ特措新法の成立の決意をもってそういう対応をされると思いますが、その感想、受け止めをお願いします。
(外務大臣)速やかに海上自衛隊がインド洋に戻って給油活動を行うということは、我が国の国益にとって極めて大切なことなので、そうしなければならない中で、残念ながら会期内に成立することが出来ない状況になった訳ですから、会期を延長して、更にこの法案を通すべく努力するのは当然のことであろうと思っております。
(問)越年国会になると思いますが、福田総理の訪中に対する影響はどのようにお考えですか。
(外務大臣)まず、決定が長引くという影響がありますね。訪中が出来なくなるという影響はないように一生懸命努力致しますが、では何時行くかという最終決定が長引くという面では、影響がありますね。
(問)ガス田の問題ですが、更に協議するという話もありますが、これはどのように進んでいるのでしょうか。
(外務大臣)お互いに解決しなければいけないということでは一致しているのです。どう解決するかについては、こんなに離れているのです。だから、それについては、政治決断がない限り、解決しないのです。特に中国側の政治決断、私の言葉で言えば、「中国側が政治決断をすれば、日本側も柔軟に対応する」ということですが、向こうにまず政治決断してもらって、そして我が方が柔軟に対応することも、それなりの政治決断かもしれません。ですから、相手の主張も、もう100パーセントお互いに分かっているし、後は政治決断して、でも、決めるか決めないか。政治決断しなければ、何年かかっても解決しないし、政治決断があれば、それほど時間はかからず解決する問題なのです。お互いの主張はもう十分、分かっているのです。向こうはこう言っているのだと。だから、「ここは相手は絶対に呑めない」とか、そういうこともお互いに分かっているのです。だから、政治決断が必要なのです。
(問)詰めていくということですか。
(外務大臣)詰めていくというか、一歩一歩、歩み寄るという感じではなくて、パッと決まるか決まらないかという話です。
(問)そうした政治決断を促すために、地ならしをしていて、次官級協議など、もう1回日中間に協議の場を設けることはあるのでしょうか。
(外務大臣)どのレベルで行うかは別にして、当然やりますよ。
(問)首脳会談の前に何らかの形で、ですか。
(外務大臣)何らかの形で接触はあります。何時どこで、誰がということは申し上げませんけれども。
(問)六者会合の見通しについてお伺いしたいのですが、第二段階の措置を終了しようと言っていた年末が近づいていますが、北朝鮮の核の申告について、どの様な見通しを持っておられるのか。それから、日本が日朝作業部会をどのように進めていこうという認識なのか、お聞かせ下さい。
(外務大臣)核の申告の問題は、なかなか深刻な問題です。北朝鮮が申告する気になれば何時でも申告できる訳ですよね。そうではなく、他の5ヵ国が納得できるような申告になるかどうかという話です。そういうことで、北朝鮮が本当に完全かつ正確な申告をしようと決断すれば何時でも出来る訳です。その決断が出来ているか、いないかという話だと思います。
無能力化の話は、これは作業ですから時間がかかります。それなりに期限内に実施しようと思って一生懸命努力している。努力していても、安全性の観点等で越年する可能性がゼロとは言いませんが、その範囲内で行おうとして努力しているのは間違いありません。ただ、この申告の問題は、なかなか完全かつ正確な申告と他の5ヵ国が納得できるようなものが、今すぐ出てくる状況かなという疑念を持っているところです。是非、完全かつ正確な申告をしてもらいたいと、北朝鮮以外の五ヵ国が強くそれを北朝鮮に言っているところです。
それから、この非核化の問題と日朝関係はバランス良く進めることが一番良い訳です。非核化の問題も今申し上げたように、そんなにすんなり進んでいる訳ではないけれども、日朝関係に比べれば、一応期限を決めたり、期限の合意に関しても第二段階の期限が一応設定されたり、そこで色々何だかんだと押したり引いたりしながらも少しずつ進んでいる中で、日朝関係は進んでいませんから、それに遅れないように進めるよう、色々努力しているところです。あまり具体的なことは今申し上げられませんし、これからも当分申し上げられる時期は来ないだろうと思います。
(問)思いやり予算が日米間で合意したそうですが、詳細についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)実質合意です。在日米軍駐留経費特別協定について、シーファー大使と最終的な話し合いをして、実質合意に至ったということです。
内容を簡単に申し上げます。次期特別協定は、期間を3年とし、「基本給」等労務費及び訓練移転費は3年間据え置くということです。光熱費については、2年目、3年目にそれぞれ約4億円削減します。また全体として、米側に一層の節約努力を求め、更に、より効率的で効果的な在日米軍駐留経費とするために、「包括的な見直し」を行うということで一致しました。
全体として、先ずはめでたしということではないかと思っております。在日米軍駐留経費は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用のために重要なものでありますし、シーファー大使、ライト司令官も、ワシントンに対して日本側の意見をかなり強固に言って頂いたやに聞いております。こっちにも強固に来たのですが、それはそれとして、このように合意に達することが出来たことは、日米同盟の維持・強化の観点から極めて有益であると考えております。
(問)当初日本政府は、大幅な削減を求めて交渉を始めたと思うのですが、結果的には、額として僅かな減額になったと思うのですが、それについては如何ですか。
(外務大臣)米側は増やせと言っていた中で、お互いが交渉した結果、それなりに満足出来る結果だと思っております。
(問)米側が増やせと言っていたのは、どのような理由からでしょうか。
(外務大臣)米側の理由を私が言うのはどうかと思いますが、安全保障に関する全体のバードン・シェアリング等まで持ち出していた時期もありましたが、交渉の結果、そういうことではなくて、この特別協定に関する話ですよということに段々絞っていって、こういう結果が出たものと思っています。
(問)全体から比べると、4億円と少ない額で妥結してしまったという見方もあると思うのですが、その点については如何でしょう。
(外務大臣)色々な見方があるでしょう。交渉は言い値から始まって、そして決着するものです。相手には相手の立場があり、こちらにはこちらの立場があり、そして、その困難を乗り越えて決着したということです。
(問)今回の交渉にあたって、海上給油の問題を中断している話等は影響しているのでしょうか。
(外務大臣)直接的な影響はないでしょうが、米側が強く言う中には、そういうことがあったかもしれません。そういうことだからどうだ、ということを交渉の中で言うことは、なかったと思います。
(問)在京米国大使館の借地の賃貸料の問題も先日決着し、日米間の二つの懸案が一気に解決したことについては如何ですか。
(外務大臣)日米関係は非常に良い訳ですが、そのような中でも懸案というのは、ひとつひとつ片付けていかないと、非常に良い関係が、蟻の穴から崩れるということでは大変ですから、ひとつひとつ片付けて、着実に取り組んでいきたいと思っております。
(問)横田基地の軍民共用の問題について触れる時間はあったのでしょうか。
(外務大臣)本日はそういう話はありませんでした。本日は一点に絞って話をしました。
(問)海上給油の中断の影響について、交渉の中で米側が言及することはなかったが、米側が強く言ってくる背景には、そのようなこともあったのではないかということでしたが。
(外務大臣)そこまでは言っておりませんが、バードン・シェアリング等広い観点から言っている時期もありましたから、そういう中には、そういうことも入っていたかもしれないということです。
(問)逆に日本側の交渉姿勢として、そのような若干の弱みと言うか、そのようなものの影響が作用したとご覧になっていますか。
(外務大臣)そうは思っていません。それはそれ、これはこれということで交渉しました。
(外務大臣)今、バリで気候変動国際会議が開催されていますが、いよいよ大詰めに入ってきますので、外務省としても、小野寺副大臣を派遣してこれに当たりたいと思っております。鴨下環境大臣は、昨日、既に行っているということです。
日本は、枠組み条約の下で全ての主要排出国が参加して、そして、全てのことについて話し合っていく作業部会のようなものを先ず作ろう、この会議で作ることを決定しようということを提案していますが、こういう我が国の提案に沿った形で、何らかの決定が為されれば良いなと、その願望に向かって最大限の努力をしていきたいと思っております。
(問)会議の中で、数値目標を設けたいという主張もありますが如何ですか。
(外務大臣)数値目標を最初から打ち出すと、京都議定書の二の舞で、入るのが嫌だという国が出て来ますので、先ず主要排出国全部を取り込むことが大切だというのが我が国の立場です。
(問)豪州政府が、京都議定書に参加する意向を示しましたが、これについてはどうお考えですか。
(外務大臣)極めて良いことです。今、参加していない国も、どんどん参加してくれれば大変嬉しいと思います。
(問)総理の訪中ですが、今月の28日からという報道もありますが、見通しについてお聞かせ下さい。
(外務大臣)未だ何も決まっていません。ただ、総理の意向として、出来るだけ早く行きたいということですから、早ければ年末、遅ければ年明けということで調整しています。
(問)日中ハイレベル経済対話で共同コミュニケがまとまって、それについて一部、中国側が削除して公表していますが、日本側が全て公表するように求めているにも係わらず、中国側が難色を示していますが如何ですか。
(外務大臣)折角、日本側から6大臣が行って、向こうからも7大臣が参加して、そして、お互いに調整して、こういう発表を共同でしようと決まったのですから、出来ることであれば、そうしてもらいたいということです。その削除した部分自体が、中国が日本に対して、こういう約束をしたという国際約束ではないので、あまりギリギリやるべき場所ではないですが、お互いにこういうものを発表しようと言ったのですから、そうしてもらいたいという願望があります。そういう願望がある以上、中国側にそうしてよと言っていくということです。
(問)信頼を損ねる行為ではないですか。
(外務大臣)大きな中で、その一事を信頼を損ねる等言う必要はないですが、やはりそこをきちんとしてもらった方がなお、信頼が高まるということでしょう。
(問)中国側は、マスコミへの発表なので、そこは自分達も勝手に行うのだというようなことを主張しているようですが如何ですか。
(外務大臣)本来それぞれが発表してよいことなのですが、一緒にこういうものを発表しようということを決めたのだから、それに沿う通りにしてもらいたいと我々は思っております。そう思っている以上、中国側にそう申し入れているということです。
(問)ロシアのプーチン大統領が、次期大統領候補としてメドベージェフ氏を指名しましたが、それについて、今後の日露関係の見通しも含めてお聞かせ下さい。
(外務大臣)これはロシアの国内問題ですから、だからどうだということを日本国外務大臣がコメントするのに相応しい内容ではないと思います。
(問)随分若い人が大統領になりますが。
(外務大臣)お若いし、手腕のある実務家だとは聞いています。
(問)米国大使館の敷地貸付料の問題が解決して、先週金曜日にはお金も支払われたと思いますが、それについてはどうお考えですか。
(外務大臣)良いのではないですか。二つの同盟国の間で、安過ぎる、高過ぎるということでごたごたするというのは、あまり良い話ではありませんから。解決したことは良いことではないですか。
(問)10年掛かった訳ですよね。
(外務大臣)10年掛かっても、解決して良かったと。先ずはめでたしということです。
(問)ブッシュ大統領の親書をヒル米国務次官補から受け取ったと北朝鮮の公式メディアが報じておりますが、その件は事前にお話は入っていたのでしょうか。
(外務大臣)私も報道で聞きました。大体、日米間では色々緊密に打ち合わせていますが、第三者間のことですから、情報が入っていた、入っていない、そういうことを知っている、知らない等は申し上げることではないと思います。
(問)親書を持っていくということは、解決に向けた相当な意欲を感じられるのですが如何ですか。
(外務大臣)私から、ヒル次官補が親書を持っていったかどうか、そういうことをコメントする話ではありません。それと別に、ブッシュ大統領から福田総理宛の親書は来ております。それには、緊密に連絡してこの問題を進め、六者会合を前進させていこうというようなことが書いてあったと承知しております。
(問)総理宛の親書の詳細は何か。
(外務大臣)今言った以上のことは申し上げられません。私に来たものではありませんので。
(問)テロ支援国家指定解除の件には触れられているのでしょうか。
(外務大臣)それ以上のことは申し上げられないと、今申し上げたところです。
(問)在トリニダード・トバコ大使館の「情報漏洩」の件ですが、事実関係は如何でしょうか。
(外務大臣)現在調査中で、今、私がお答えすべき内容は持っておりません。
(問)情報がもし漏洩したとすればどうしますか。
(外務大臣)今調査中ですから、調査の上、お話致します。
(外務大臣)我が国が提出した核軍縮決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」ですが、日本時間の本日早朝、国連総会本会議において賛成170、反対3、棄権9の圧倒的賛成多数で採択されました。賛成170というのは94年の初提出以来、最多数となります。我が国の核軍縮に向けた決意とメッセージが、広く国際社会に示されたものと考えております。NPT体制を基礎とする国際的な軍縮・不拡散体制の維持・強化のために一層の取り組みを行っていきたいと考えております。
また、我が国が共同で提出した小型武器決議案「あらゆる側面における小型武器非合法取引」も、賛成179、反対1、棄権0の圧倒的多数で採択されました。これも併せて申し上げておきたいと思います。
(問)福田総理が、新テロ特措法について再可決するために、国会を再延長するという見方もありますが、それについてお聞かせ下さい。
(外務大臣)未だ会期がありますから、それまで全力を尽くすということです。福田総理が今、どういうことを考えておられるか、お話をしたことはありません。
(問)国会会期延長は、やはりテロ新法を成立させるために、場合によっては延長してでも審議を尽くすべきだとお考えですか。
(外務大臣)これは国会がお決めになることです。私とすれば法律の成立を目指すという当たり前の決意を持っていますが、会期を延長するかどうかは国会がお決めになることということです。
(問)「思いやり予算」ですが、米軍側に対して負担の軽減をこれまで求めたと思うのですが、これを見送るという報道がありますが、この件についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)今、鋭意折衝中ですから、そう遠からず決着すると思っております。
(問)昨日、米朝の会談が終わり、ヒル米国務次官補が、立場の相違があり六者の首席会合のすぐの開催は難しいという見方を示されましたが、今後の見通しについてお聞かせ下さい。
(外務大臣)未だよく分かりません。これも鋭意折衝中だと思っております。未だヒル米国務次官補が日本に立ち寄るかどうか確定的にはなっておりませんが、立ち寄れば、我が方の担当者から色々聞かせたいと思っています。
(外務大臣)閣議では中国に出張したことを報告しました。閣僚懇では、斉賀富美子人権担当大使が国際刑事裁判所(ICC)判事の補欠選挙に当選しましたので、非常に厳しい選挙でしたが3人当選するところのトップ当選ということで、そのことを報告しました。私はICCに加盟する前から加入を促進するための議員連盟の会長をしておりましたので、最初の選挙で判事が出せたことを個人的にも大変嬉しく思っております。
(問)訪中に関してですが、かなり率直な意見交換が出来たということですが、懸案の東シナ海のガス田の問題について、具体的な解決の目処は総理訪中までに立ちそうでしょうか。
(外務大臣)今一致していることは、これを解決することが双方の利益であるということで、相当広い範囲で共同開発を行おうということで意見が一致していますが、その範囲がどこかということでかなり離れているということです。それについて歩み寄ったかと言えば、未だ歩み寄っていません。歩み寄っていないのですが、解決しなくてはならないという強い意志がお互いから示されました。中国側も強い意志を持っています。
こういうのは、少しずつ歩み寄るというより急転直下ということを私は期待しております。期待していますが、正に期待でありまして、ただ中国側もあらゆるレベルで福田総理訪中までに決着したいと言っています。
現実に歩み寄りが見られたかということで「イエス」と申し上げる状況にない訳ですが、それでも双方が強い意志を持っているということです。
(問)総理の訪中ですが、12月に入り、国会の状況等もありますが、年内訪中実現の可能性というのは高いのでしょうか、低いのでしょうか。
(外務大臣)早ければ年内もしくは年明けということで、今調整中ですので、しばらくすれば分かりますのでお待ち下さい。
(問)小沢代表率いる民主党の訪中団が木曜日に出発し、胡錦濤国家主席に会われるようですが、政府としてはどのように受け止めているのでしょうか。
(外務大臣)政府として、各党が交流することに特別コメントすることはありませんが、私個人としては、日中間の交流は幅広ければ幅広いほど良いと思っておりますから、それぞれの分野で交流されることは結構なことだと思っています。
(問)胡錦濤国家主席と外務大臣の会談は5年ぶりということですが、胡錦濤主席と会われた感想及び印象についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)私自身は何度も会っていますから。胡錦濤主席は誰に会う時でもきちんと準備されて、きちんとした話をされる方だなということを改めて感じました。
(問)六者会合ですが、当初の開催より少し遅れそうな雰囲気になって来ているのですが、開催の見通しについてはどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)今調整中ということです。当初は6日から8日頃に行いたいと、シンガポールの日中韓三者委員会でもそのような話が出ていた訳ですが、今ちょっと困難な状況が出て来て色々調整中だと聞いております。
12月1日、中国訪問中の高村大臣が日中外相会談後に約10分間ぶら下がり会見を行ったところ、概要以下の通りです。
(問)日中外相会談を終えた感想をお願いします。
(外務大臣)2年7ヶ月ぶりに日本の外務大臣が中国を訪れたということで、両首脳の間で戦略的互恵関係に行こうということになっているので、その地固めです。福田総理が近く訪中されるということですから、それに備え地固めを行いたいということでヨウ・ケツチ外相とそれなりに良い会談ができたと思っております。
(問)ガス田の問題については何か進展はあったのでしょうか。
(外務大臣)今まで以上に突っ込んだやり取りがあった訳ですが、お互いにお互いの言うことを良いとは言いませんから、前進があったとは言えませんが、お互いに相手の立場を再確認した、改めて困難な問題であるとお互いが感じ同時に何が何でも解決しなければならないと、お互いに強い意志を持った、ということだと思います。
(問)ガス田の問題について、温家宝総理の訪日時に「秋までに方向性を」ということで合意していましたが、その点で福田総理が訪中するまでに解決するのだとの点は合意は得られたのでしょうか。
(外務大臣)双方が強い意志を持って出来るだけ早く解決しましょうということです。
(問)中国側の外相の発言の中から、立場に違いはあれ、若干前進があった、あるいは中国の立場に変化があったと受け取れるような部分はありましたでしょうか。
(外務大臣)お互い前進そのものは具体的になかったと思います。ただ、お互い相手を見ながら前進させなければいけないねと。これから前進させるという強い意志は、中国側はあったと思います。
(問)北朝鮮の問題について、拉致問題や核開発という話はどうでしたか。
(外務大臣)核の問題については、私の方から六者会合議長国である中国を評価しましたし、第二段階で約束されたことをきっちりやってもらって、そういう中で第三段階に進んでいこうという話にお互いになった訳ですが、私の方から日朝関係については、拉致の問題と過去の清算の問題を解決して、日本は本当に日朝関係を進めたいのだということを言いました。中国側からは、お互いに関心のあることを話し合いで解決して、日朝関係を進めることを強く支持するというお話があった訳です。
(問)六者会合は、今週という話もありましたが、それについて何か話はありましたか。
(外務大臣)それについては事務方で調整していますから、あまり日本と中国の間で問題があって延びている訳ではないですから、そこはあまり深く話しませんでした。
(問)北朝鮮の核計画の申告については何かありましたか。
(外務大臣)国際情勢のところは食事をしながらの話になりましたが、そういうところは、完全な申告というのも3施設の無能力化と同様に大切なのだと、そこもしっかり行っていかなければならないと一致した訳であります。
(問)中国側から歴史問題、台湾問題について発言はありましたでしょうか。
(外務大臣)歴史問題については、中国側からさらっとありましたから、私の方からもさらっと返しておきました。今まで通りのやり取りです。台湾の問題については、今まで通りと言ば今まで通りだが、割と強く話はありました。私の方からの答えは今まで通りです。我々は日中共同声明以来、全くぶれていませんから、それを申し上げました。
(問)総理訪中に向けた良い会談ができたとありましたが、大臣が考えられたのはどういう点ですか。
(外務大臣)全般的に、今の日中関係について、中国側も評価をしておりましたし、我が方も評価をしておりました。一番のネックと言うべき東シナ海のガス田の話についても、今まで以上に具体的に我が方が評価できる提案はなかったものの、しなければいけないのだという強い意志は感じられたということです。その他諸々の、例えば、今日、円借款の円満終了について中国側は高い評価をしていましたし、刑事共助条約について、さらに司法関係の条約に進めていこうと。査証の問題、領事の問題についても進めていこうと。諸々の良い雰囲気になってからでないと進まないような雰囲気があったということです。
(問)これからハイレベル経済対話が予定されていますが、意気込みを教えて下さい。
(外務大臣)これから始まる訳ですが、事務方で詰めている中で相当難航している点もあるやに聞いています。これだけの人間が一遍に中国に来て開く訳ですから、両国国民に、ハイレベル経済対話を行って、本当に日中が戦略的互恵関係にあるのだということをご理解頂けるような成果を、一端でも示せれば良いと思います。