記者会見

外務大臣会見記録(平成19年5月)


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外務大臣会見記録(日中外相会談後)(平成19年5月28日(月曜日)於:ドイツ・ハンブルク)

 5月28日、ハンブルクにおいて行われた日中外相会談終了後に麻生大臣が会見を行ったところ、概要以下のとおり。

(外務大臣)新しい楊外交部長は、この間のエジプトのシャルム・エル・シェイク会談で会ったというか、あの時は席が近かったけれど、「うわー」となっていて、ゆっくり話す時間がなかったので、基本的には初対面ということになると思います。李前外交部長と同様に、良い関係を築いていきたいと私の方から申し上げました。日中関係については大分良い方向になってきたとは思います。そういう基調にはありますが、解決しなければならない問題が幾つか横たわっていますので、そういったところに関しては解決するために一緒に働いていかなくてはならないのではないかと、努力しなければならないという話をしました。
 それから例の東シナ海の資源開発の話については、先般温家宝総理訪日の際に、本年秋には具体的な方策を両国首脳に報告するということで一致していますので、この間も第八回の会議を開いています。この交渉を更に加速して行こうということで一致をしています。
 それから地球温暖化の話で、日本側の提案「安倍イニシアティブ」の話を私の方から説明をして、米中印等の主要排出国がこの中に入ってくるのが大事という話をしたのに対して、我々の提案の内容を知っていまして、この提案というものを検討させて頂きます、と。二つの点で評価は高い、技術革新によって経済成長を一緒にやりますという話が一点、もう一点はいわゆる資金の枠組みを出しているので、この点には非常に関心があるという話がありました。大体基本的にはそんなところかな。

(問)ガス田については中国から新たに提案というものはあったか。

(外務大臣)それは担当者のレベルの話だから。そのレベルの話です。

(問)今度李登輝氏が来るということだが、その話については議論されたか。

(外務大臣)李登輝の話については向こうに対して言っておいた。退職した政治家が家族を連れて奥の細道の話で来られるという話だったので、私たちとしては政治活動という風には考えられないという話をしました。

(問)北朝鮮問題については如何か。

(外務大臣)北朝鮮の話についてはバンコ・デルタ・アジア(BDA)の話をしました。正直言って、この問題はアメリカと北朝鮮とのバイの交渉になっていますから、中国も直接知っている訳ではない部分があるのだと思います。我々と同じです。向こうは多分北朝鮮から聞いている情報が多くて、こちらはアメリカから聞いている情報の方が多いということだと思いますが、これについては両方とも、このまま何も動かないという状況というのは如何なものか、ということで更に努力して行かないとならないという話をしました。

(問)今のその話で、日中間で時期的な目途については話をしたのか。

(外務大臣)BDAに関して、特にその様な具体的な話はしていません。

(問)拉致問題については如何か。

(外務大臣)我々の頭の中に拉致の問題があるということは向こうはよく知っているところですから、改めて特筆すべき話はありません。ただこれが解決しない限りは日本の協力というのは出来ませんので、拉致問題の解決というのはずっと一貫して言い続けてきているから、今回特に、ということではありません。

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外務大臣会見記録(平成19年5月25日(金曜日)08時50分~ 於:院内閣議室前)

麻生外務大臣の出張

(外務大臣)27日(日曜日)から6月2日(土曜日)まで、ドイツ、ポーランド、スペインを訪問します。ドイツにおいては、アジア欧州会合(ASEM)第8回外相会合、日・EUトロイカ外相協議及びG8外相会合に出席します。また、6月3日(日曜日)には、韓国の済州を訪問し、日中韓外相会議に出席します。

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気候変動問題

(問)昨日、安倍総理大臣が気候変動についての政府の基本的な考え方を発表されたのですが、この内容についてどのように評価されますか。

(外務大臣)基本的に今問題なのは主要排出国、中国、インド、米国等々が枠組みに入っていないとう現状は実効性に欠ける。従って今回、それらの国々はもちろんのこと、その他ロシア等々がこの枠組みに入ってくる枠組み作りを目指すという観点に立つと、正しい提示の仕方で、特に発展途上国、最貧国等々も入って来易くするためには、日本が然るべき資金の援助もします。英国が8億ポンド程度出すことにしていると思います。みんな入れてやろうという日本の提案は他の国とは違ったユニークなものだと思います。

(問)2050年までに温室効果ガスを半減させるというところと米国、中国、インドを巻き込んでいくというところについては、外交上の交渉は如何なのでしょうか。

(外務大臣)米国と欧州は既に別の会合で色々なことを納得しているところがあります。日本と米国は、かなりの部分米国が寄って来ているところまで話が出来上がりつつあります。やはり多くの国々は米国の場合も、これからCO2の部分から行くと、発電を原子力発電に切り替えないと中々追いつかないことになってくるので、発電を原子力発電に切り替えなければならないということになってきているのではないでしょうか。そのような意味では、この10年間で原発を作った実績のある国は日本以外にありますか。3つか4つ作ったと思いますが、それ以外にはないと思います。そのような意味では日本の経験というのは10年間の技術の進歩等々を考えると、日本と組むというのは非常に現実的だと思います。

(問)2050年で半減というところについても各国が乗ってきますか。

(外務大臣)今、地球が自浄作用だけでクリーンアップして、約倍になっているところ、半減にというのは良い目標だと思います。

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在外公館における美術品紛失の報道

(問)在外公館の美術品が紛失しているのではないかとの報道があるのですが、事実関係如何ですか。

(外務大臣)よく調べた方がいいよ。紛失してないから。ちゃんと裏取らないとみっともないことになるよ。

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外務大臣会見記録(平成19年5月22日(火曜日)09時35分~ 於:本省会見室)

閣議

(外務大臣)裁判員制度の広報について、総理と法務大臣の方から。甘利産業大臣のIEA、OECD、WTOの非公式会議等々の話についての報告がありました。ポツダムに於けるサミットの財務大臣会合に関して、ヘッジファンド等々の話について財務大臣が主になっての報告がありました。松岡農林水産大臣も同じくWTO等々の話に関しての欧州訪問についての報告がありました。

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国際漫画賞の創設

(外務大臣)国際漫画賞を創設します。海外でコミックやマンガ、アニメーションなどが普及して、随分と日本のコミックは売れていますが、外国人の漫画家を表彰する国際漫画賞というものを創設することにします。
 いわば、漫画のノーベル賞のようなものにしたいと思っていますが、ノーベル賞のように高額の賞金が出るわけではありません。ですが、受賞者は是非日本にお招きしたいと思っています。
 既に国際漫画賞実行委員会を立ち上げて、6月中に日本漫画家協会の賛同、協力を得て作品を選考し、7月2日には受賞式を行いたいと思っています。最優秀作品には国際漫画賞を、また3作品ほどについては奨励賞をお渡しし、国際交流基金の招聘で、受賞式に合わせて10日間程度日本に招いて、日本の漫画家との懇談や出版社等々、他にも色々表敬などを行います。この種の漫画の精密さ等、漫画というサブカルチャー、ポップカルチャーといったものが持つ発信力というものを更に高めていきたいと思っています。

(問)この漫画賞は、大臣ご自身のご発想なのでしょうか。

(外務大臣)国際漫画賞というものを日本で作るというのがミソであって、誰が言ったかなんて言っていたら、新聞社の制作はどなたの発案ですかと言っているのと同じような話ですから、答えることはありません。

(問)具体的にどういう基準で、どのような作品を選出するのでしょうか。

(外務大臣)漫画家協会の方々と話をさせて頂いて、今、既に大分うまくいっているところです。

(問)英語の他に対象とする言語はどのようなものでしょうか。

(外務大臣)今、「犬夜叉」もポーランド語になっていると思いますから。

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日朝関係

(問)小泉総理が二度目の訪朝をされた2004年5月から3年が経ちましたが、この3年間の日朝関係を振り返って、どのようにお考えになりますか。

(外務大臣)色々と意見の分かれるところだと思います。北朝鮮の一連の拉致の話等々は、何となくこれはおかしいのではないかと思っていた人がいて、誘拐された方のご家族を含め、色々ご意見があったところだと思いますが、やはりあれは事実だったということが明確になった。少なくとも、一国の国家元首が、国家犯罪を認めるというのは過去に、私の知る限り例がないのですが、そういうことになった。それによって、意識が大きく変わったところは、やはり日本の国にとっても大きなターニング・ポイント、変わり目だったと思います。特に日本海沿岸の人々の意識は、太平洋側にいる人たちの意識とは随分違う。私、福岡にいる人間としては、特にそう感じます。その意味ではこの3年間、国内の意識の変化が大きかった気がします。

(問)日朝関係について、具体的な進展が見られないことについてはいかがでしょうか。

(外務大臣)残念ですが、我々としてはこの拉致の問題が、少なくとも解決済みであるという対応のままでは、発展や進展は期待できないと思います。中国、ロシア、韓国の三つを足しても日本のGDPより少ないと思います。その三国より大きい、しかも隣国である日本との国交を正常なものにするのは、国を発展させる時の絶対条件、最低条件ではないか。少なくとも、私があの国の国家を経営する立場の人間だったら、そう考えると思います。そこは少々残念だなと感じています。

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気候変動問題

(問)来月、ハイリゲンダムでサミット首脳会合がありますが、気候変動についてポスト京都議定書を睨んで数値目標を合意しようという声があるが、その方が良いのでしょうか。

(外務大臣)基本的には今、京都議定書の枠からはずれている米国、インド、中国等々開発途上の国を含めて、そういった国々の出すガス排出量が圧倒的に大きいにも関わらず、それらの国々が京都議定書に入っていないという状況を解消させないといけない。その三国を含めてヨーロッパ等々が皆入ってくれるような枠組みをどう作るかということです。数値を入れた方が入りやすいのか、入れない方が入りやすいのかが意見の分かれるところだと思います。やはり、その三国を含むガス排出量の大きい国々が入って来られるようにしないといけないでしょう。
 途上国といっても、インド、中国も途上国です。太平洋の島国で、水面が1メートル上がると水没するかもしれないという国々とはかなりレベルが違うと思います。従って、そういった国々の中で、例えば電気がないような所で電気をつけるためには、間違いなく発電所が要るわけです。その発電を禁止と言われると、それらの国々の発展を止めることになってしまいます。そういった国々で電力供給を考えた時には、安いからという理由で能力レベルの低い発電施設を買うことに常識的にはなりますが、排出量の点からすると、むしろ高いけれどエネルギー効率の良いものを買ってもらった方が良い。となると、それはある程度、先進国でその点を資金援助するようなことを考えない限りは、トータルでガスの排出が減らない。そこまで考えてやらないと、この話は実質、実効が上がらないと我々は思っています。
 そこをどうするかということで、これは国々によって色々意見が違いますし、また技術が物凄く進んで、エネルギー効率が日本1に対して中国9、ロシアが18でしたか、米国が2くらい。そういった意味では1リットルあたりのエネルギー効率の差が大きいのを、日本並みにしてもらえさえすれば一挙に減ります。また更に、色々技術がこの間に進歩するでしょうから、その進歩がどうなっていくのか。そういったことを積極的に応援してやることが必要です。生活態度やゴミの分別等々、普段の生活の中にまで入ってくる話になります。
 こちらも似合う、似合わないに関係なく、6月になったら「かりゆし」を着させられる時代になりました。沖縄に長い人は違和感ないだろうけど、初めて着た人はかなり奇異な感じだと思いますが、閣僚全員でこれをやります。ネクタイを絞めると体感温度が2度くらい上がると思いましたが、そういった意味ではクールビズも3年目に入り、そこそこになってきたのでしょう。
 こういったこと一つ一つ、全部考慮しなければいけないという話です。この気候変動の話は本当に地球規模の話で、北国と南国では違うし、随分色々、事情が国々によって違います。そういったところを皆で考えていかなければならない。地球規模の話であることは確かですから。ただ、個人個人の積み重ねが割と大きいことも確かだと思います。日本はやっとエタノールなんて言い始めていますが、米国ではエタノール85のガソリンスタンドが1000以上あるでしょう。そういったことになってきているので、色々日本が進んでいるところ、遅れているところ、皆でやらないといけないでしょう。

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外務大臣会見記録(平成19年5月18日(金曜日)09時08分~ 於:本省会見室)

閣議

(外務大臣)IEAとOECDに浅野副大臣、甘利大臣等々出席していた件、同様の内容が経済産業大臣から。
 統計法について公布の手続きを本日とり、また、統計委員会に関わる事務については太田特命担当大臣が担当するという話。国立大学法人の人事として、広島大学学長が浅原利正氏になります。閣僚懇について。
 「タウン・ミーティング」を「政策ライブトーク・言いたい、聞きたい、これからの日本」と名称変更して、これを推進するために色々やりますという話について官房副長官の方から発言がり、各副大臣等々をメンバーとして積極的にやっていこうということです。外務省のものは6月10日、仙台です。

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イラン核問題

(外務大臣)本日の閣議で、イランの核活動に関する安保理決議1747の履行のために、決議が指定をした団体、個人の資産の凍結等の措置を了解しています。この問題は不拡散体制の堅持とか、北朝鮮の核の問題とも密接に関係があると思われますので、断固たる対応が必要と思っています。今後、イランが決議の要求に従ってウラン濃縮関連活動を停止し、交渉に戻るように働きかけていくということだと思っています。

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集団的自衛権

(問)今日、官邸で集団的自衛権について、安全保障に関する有識者懇談会が始まりますけれども、北朝鮮のミサイル発射とか、ミサイル防衛構築に向けて日本も色々な努力をされていますが、どのような議論を期待されますか。

(外務大臣)自衛権という概念以外に、集団的とか個別的とかいうのはあまり意味がないような気がしますが、この自衛権を国が持っているのは当然のことです。国家として自衛権を持っているのは当然の話なのですが、それを我々としてはあるけれど「使えない」とか色々な法的解釈の話があったまま、神学論争みたいな話が長いこと続いていました。しかし、日本を取り巻いている安全保障の環境が、ノドン、テポドンが最初ですか。あれから大きく意識が変わり始めて、不審船の撃沈等々幾つか日本海側の国民、日本海側に住んでいる人の住民意識の方が太平側に比べては高いと、私は前からそう思っていますが、そういった意識の変化に加えて昨年7月のミサイル、それから10月の核実験と言われるもの等々のおかげで、何となく冷戦構造崩壊後の世界情勢の中にあって、日本の安全保障に対する国民意識というものが随分変わってきたのが一つ。
 もう一つは、世界中から日本に対して期待されていることの中で、例えばゴラン高原や東ティモール、その前のカンボジアなど色々ありましたが、最近ではインド洋での洋上補給や、イラクの航空自衛隊、陸上自衛隊等々の話などが現実に世界中から期待される中にあって、何となく自分のことは自分でやりたくても、法律や解釈によってできないという状況にきちんと対応すべきではないかという意見等々を踏まえて、総理のところで具体例を挙げてやった方がいいのではないかというので、四つほど例を引かれています。
 例えば、インド洋上で石油を輸送、給油している時に、並走している艦船に対して日本が仮に攻撃を受けた場合は、給油を受けているアメリカの艦船がそれを護衛する。しかし、アメリカの艦船が攻撃されたら日本は逃げるというルールになっていますが、それで世間が通るかと。色々な具体例が出て来ないとなかなかよく見えないところだと思いますので、そういったことを例に引いて、一回研究してみる必要があるのではないかというのが、今回の一連の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を立ち上げて検討が開始されようとしている背景だと思います。

(問)大臣ご自身はどういう議論を期待されるのでしょうか。

(外務大臣)この種の話は随分長いこと神学論争みたいなことをやってましたが、法律を守って国が滅びるのはどう考えても主客転倒だと思いますから、国を守るためにどう法律を生かすかという話だと思います。従って、抑止力とよく言われますが、抑止力というのは基本的に三つあって、一つは抑止力という名の力。二つ目は、その持っている力を国の安全、防衛のために使うという国民的意思。三つ目は、我々はそれを使う意思があるということを他国に知らしめておくこと。その三つがあって、初めて抑止というのは働くのだと思います。その問題を整理し、その上に立ってどうするかという話なのであって、それぞれ怠るとどういうことになったかは世界に幾つも例があります。こういった三つをもって、北東アジアの地域を不安定化させない力が抑止力です。どれくらいあれば良いですか等とよく言いますが、それは相手の感じ方次第ですから、定量的に何百あれば良いという類の話ではないと思います。

(問)関連ですが、とりあえず4類型示されていますが、これ以外、このような検討については大臣ご自身はどう考えているのでしょうか。例えば今だと、個別的自衛権には3条件付いているとか、色々制限が付いていると思うのですが、そういうものは残されるべきですか。

(外務大臣)どうでしょうね、それは一つの具体的な分かりやすい例として引かれたと理解していますので、他の話については、どういう話があるのか想像の域を超えません。

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外務大臣会見記録(平成19年5月15日(火曜日)15時40分~ 於:衆議院本会議場前)

イラク特措法

(問)テロ特延長が正式に可決されましたが、ご感想をお願いします。

(外務大臣)7月31日が期限ということになっており、国連やイラク政府から色々要望が出されていたことでもありましたので、今国会は参議院の関係で延長もありませんし、どうしても衆議院でこの時期にと思っておりましたので、残り参議院がありますけれども、少なくとも民主党等々賛成を頂いた上で、いわゆる「荷崩れ」なしで衆議院が通過できたことは大変有難かったと思っております。この法案だけは少しひやひやする部分がありましたので大変有難かったと思います。

(問)自衛隊の皆さんの現場での活動が評価されて延長に繋がったということでよろしいでしょうか。

(外務大臣)少なくともイラク政府のズィーバーリー外務大臣、マーリキー首相等々と直接会って話した感じはとにかくもの凄く期待が大きかった。やはりそれが大きかったのだと思います。国連が乗っても良いと言っている民間航空機でバグダットを飛んでいる飛行機はありますが、アルビルまで飛んでいる飛行機というのはほとんどない、現実ほとんど見ない、空自のC130を利用しているというのが現状です。ですから、そういった意味でも国連としては非常に大事な足として、これだけは日本政府が考えているより国連としては非常に大事なんだという話を潘基文国連事務総長が自分で話をしておられました。同行した他の人達も同じようなご意見でしたので、我々としてもそれに応えるように頑張りますと言ったものの、今日までは、正確には昨日まではそんなに自信があった訳ではありませんから、そういった意味では大変有難かったと思っております。

(問)二年という年限には色々議論があったようですが。

(外務大臣)この法案は他のものと違って最初から4年でスタートしておりましたので、仮に上手く行ったにしても復興というものが、足が地面に着くまでにはそこそこ年数がかかると思っておりましたので、とても一年で行くという感じはありませんでしたので、二年というのは私共としては上手く行けば二年かなという感じが無きにしも非ず。かと言ってこれは相手がある話ですから、またごちゃごちゃする可能性がゼロではありませんので、そういった意味では二年というのは私共としては要る年数ではないかと。上手く行って一年でカタが付けば一年で止めれば良いだけのことですから、別に二年と言ったからといって二年居なくてはならないという種の話ではありませんから、一年でカタが付けばそれで良しということだと思います。これは大きかったと思います。

(問)復興についてはある程度時間がかかるかもしれないというお話でしたが、今後は如何にするのかという出口戦略の基本的な考えについて。

(外務大臣)今、出口というのは色々な人から色々言われており、最初から出口を決めてこれで行こうなんていう話を皆よくされますが、この種の話はそんなに出口がハナから見えてその通り行くなんていう可能性というのはそんなに、色々と考えてはいます。こういうのがあればそれが答といって、こっちがそう思っても向こうは三派ありますので、その三派の答が上手くまとまって行くのにはかなりの出口戦略と、こっちが一つのところで話がついても他のところと行かないかもしれないし、政府と上手く行ったつもりでもなかなか上手く行かなかったりする確率はありますから、そういった意味では出口という戦略は今幾つかこうなればというのは考えているアイデアがない訳ではありませんけど、それを言ってその通りにならなかったからといって、全然別の発想で上手く納まるかもしれませんから、ちょっと正直出口戦略というのはあんまりという気がします。

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外務大臣会見記録(平成19年5月15日(火曜日)08時48分~ 於:院内閣議室前)

イラク特措法

(問)イラク特措法が今日衆院を通過し、今国会で成立の見通しですが、改めてその意義と、それから大臣が先般イラク復興に関する国際会議に出席されましたが、日本を始め国際社会が今後イラクにどのような支援を続けていくことが必要とお感じになったかをお聞かせ下さい。

(外務大臣)イラク特措法は色々ありましたが、最終的に昨日委員会を通過して、今日、本会議ということになりますので、良かったと思っています。周辺国拡大外相会議ということでしたが、周辺国だけで出来るものでもないし、周辺国の支援なしにドナー国である日本等々だけで出来るものでもない。G8と周辺国と両方一緒にというのを提案したのは日本ですから、それが第1回ということになりました。これは単なるあの地域だけの話ではなくて、化石燃料の供給地域としては物凄く大きな地域ですから、その地域の安定が大事です。あの地域のいわゆる国民融和というのが出来ないと治安も出来ませんから、そういったことも含めてという話が出来上がったので、日本としてこれまで同様きちんと支援を継続していますという意志が見えるか見えないかが、この特措法延長というように思っておりましたから、一安心というところです。

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北朝鮮問題

(問)北朝鮮の問題ですが、初期段階措置の期限が1ヶ月ほど過ぎてしまいましたが、今後その追加制裁について具体的な検討等は進んでいくのでしょうか。

(外務大臣)今のところ、まだBDA(バンコ・デルタ・アジア)の話は最終解決していませんので、ゴタゴタしているということに関して色々米国の中でもありますし、こちら側にも色々ありますけれども、このBDA問題の解決に一歩を進めなければいけないというところが、目先そこで引っかかっている。とにかく、これだけ凍結を解除すればというので解除したら、今度は送金、送金が今度は持ってこいみたいな話に、段々エスカレートしているのではないかなという感じがします。米国と北朝鮮の間で行われている話ではありますけれども、そこのところ解決する気配が一向にありませんから、私達としてはそう待ってはおれないなという感じはします。今、米国も色々ありますので、その中で話をしているというのは事実です。

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内政

(問)最後に、総理が昨日、秋の連休について検討するという話をされたんですが、これについてはいかがでしょうか。

(外務大臣)秋の連休ですか?

(問)ゴールデン・ウィークを秋にも作ろうということを検討しようかということなんですが、ご感想は。

(外務大臣)聞いていません。

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外務大臣会見記録(平成19年5月11日(金曜日)08時52分~ 於:院内大臣室前)

ブレア英首相退陣

(問)イギリスのブレア首相が来月退陣されることになりましたが、この間のブレア首相の評価は、大臣から御覧になって如何でしょうか。

(外務大臣)最初の方、後半の方、随分色々ありましたけど、最初は確か「Education 、education and education」というんでしたか、あれが凄く印象に残りましたけれども、その後イギリスのポンドという自国の通貨がこれだけ高く信用を上げた経済政策というのは、やはり評価されるべきではないのでしょうか。景気はロンドンでは、10年前よりは物凄く良くなったのかな、どうだろう。最近経済をあまりやっていないから、最近のことはよく分からないですが。それが一つ。
 あとは環境の話等にも結構熱心だったし、イラクの件でアメリカと一緒にやっているところだったかな。
 僕の評価は、全体として見れば結構高い方ですね、この人は。

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北朝鮮問題

(問)北朝鮮の、BDA(バンコ・デルタ・アジア)を含むいわゆる資金問題ですが、これは大臣から御覧になって進展しているのか、今、停滞してしまっているのでしょうか。

(外務大臣)今の段階で、BDAの資金の凍結が解除になって、今度は送金で引っかかっているのだと言いますが、送金したら今度は、BDAという銀行は少なくとも適切な銀行と評価しないとアメリカ財務省は決めてますから、そうすると他のものも動かない。銀行としては、為替などの銀行業務がインターナショナルにはできないということを意味しているわけですから、今度はそっちをどうしていくのか。また要求を上げてくるのかなとかいう感じはしますけどね。従って、これが出来たら直ちに初期段階の方に移っていくというのは本当かねと。これまでのこの国の行動を思うと、なかなか、それほど簡単に素直には乗れませんから、初期段階に移るまでにまだ一山、二山あるかなという感じはします。

(問)そういう面で見ると、先日のライス国務長官との日米外相会談で「忍耐は無限ではない」との認識を示されたと思うのですが、その外相会談から既に10日近く、当初の約束期限からは間もなく1ヶ月を迎えるわけですが、どう持って行くのでしょうか。

(外務大臣)これは結構色々と、アメリカとしてはやっていると思いますね、今。やっていますけれども、その内容は知っているところもありますが、二国間交渉の話ですから、多分知らないところもある。結構ぎりぎりのところまで来ているなというのは、アメリカとの話の内容から感じられますけれども、向こうも全部言うことはありませんから。結構迫ってきているかなという感じはしますね。今の段階では、これ以上詳しくは言えません。

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外務大臣会見記録(平成19年5月8日(火曜日)09時35分~ 於:院内閣議室前)

内政

(問)政治資金に関する、いわゆる事務所費の問題で、5万円以上の支出には領収書の添付を義務づけるという案を自民党が受け入れるということになりました。大臣はかねてからその案にはどちらかというと否定的な考え方を示されていたと思うのですが、自民党が受け入れるということに関しては、ご自身のお考えは変わらないということでよろしいのでしょうか。

(外務大臣)決まったらその通りにします。それだけです。

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日・中韓関係

(問)安倍総理が春の例大祭に合わせて靖国神社に真榊料を奉納したということが明らかになりましたが、好転しつつある日中関係、更には日韓関係に今後どのような影響を与えると、外務大臣としてはお考えでしょうか。

(外務大臣)あまり関係ないと思いますね。

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六者会合

(問)北朝鮮問題に関して、大臣は六者会合が今週中にも再開しても驚かないというように前向きな見通しを語っておられますが、その根拠について少し詳しく教えていただけないでしょうか。

(外務大臣)それは話すことはできません。北朝鮮という国は、そういった話をするとまた話が変わってきたりしますので、その内容を明らかにすることはしません。2週間くらい前にも、3日以内に起きても驚かないと申し上げたと記憶しておりますけれども、これでしばらく全然起きなくても驚かないと、ずっと同じことしか言っていないと思います。その背景の内容を説明することはありません。

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外務大臣会見記録(5月3日)

 5月3日、モスクワを訪問中の麻生大臣は、日露外相会談後に会見を行ったところ、概要以下の通り。

冒頭発言(日露外相会談)

(外務大臣)13時10分から15時15分までの2時間5分という長時間、ラヴロフ外務大臣との間で率直な話し合いが行われたと思っています。
 日露政治対話については、6月のハイリゲンダムG8サミットにおいて、日露首脳会談を行う、これに先立ち、5月17日モスクワで次官級協議、29日に東京で戦略対話を行うことで一致してます。
 領土問題に関しては、これまでの諸合意・諸文書、色々ありますので、日露双方で受け入れ可能な解決策を見出すため、引き続き精力的に交渉していくことで一致しています。四島を含む隣接地域での協力について、フラトコフ首相訪日の際合意した防災分野に加え、生態系の保全・利用の分野でも協力していくことで一致していますので、専門家間で協議を始めさせることとしました。
 「共通の戦略的利益に基づくパートナーシップ」を構築していく上で、日本とロシア双方で重要な極東・東シベリアの安定的発展とアジア太平洋地域への統合に共通の関心と利益を双方で有していることに関して、協力していくことで認識の一致をみました。
 その他、これまで進めてきました「日露行動計画」については、鉄道、原子力、IC、電力、LNG、石油精製含めて、日本が誇る優れた技術を有する分野での協力を実施していくことで一致しています。これは前にフラトコフ首相の訪日の際の成果に加え、電力、LNG、石油精製の3つの分野がプラスされたと思って頂いて結構です。
 この他、北朝鮮、イラン、中東和平等の国際情勢について有意義な意見交換を行うことができました。大体2時間で以上の通りです。

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質疑応答

(問)北方四島周辺での生態系保全等の協力は今後の領土問題の解決への環境整備に繋がり得るか。

(外務大臣)基本的には、この話は電力等色々な話をしましたが、そういった全体の中で並行してやっていくという話です。これを行ったからといって単純に領土問題の解決に繋がるというものではありません。

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