寄稿・インタビュー

パエヴァレフト紙(エストニア)による安倍総理大臣インタビュー

(2018年1月12日付)

「日本の総理:世界の平和のためにトランプ大統領と手を携え行動する」

~安倍総理、喫緊の国際的な課題の解決のためにロシアが必要である旨述べる~

平成30年1月15日

【問】過去5年間,日・エストニア関係は大きく発展している。日本人旅行者がエストニアで増加しており,新しい重要なビジネスコンタクトが結ばれている。租税協定はビジネス関係発展を一層魅力的にする。どの分野において新たな投資やイニシアティブの可能性があると思うか。ロイヴァス首相の訪日時に2020年五輪に向けたサイバーセキュリティの発展に関する話があり,日本がエストニアのNATOサイバー防衛センター参加に関心がある可能性があるという話もあった。

【安倍総理大臣】エストニアの独立100周年という記念すべき年に,日本の総理大臣として初めてエストニアを訪問できることを嬉しく思う。本来は昨年7月にエストニアを訪問する予定だったが,国内の豪雨災害に対応するため,直前での延期を余儀なくされた。私自身,大変残念であり,一刻も早くエストニアを訪問したいと考えていた。エストニアは,タリン旧市街の美しい町並みや豊かな自然があり,旧市街を電気自動車が走るなど優れたクオリティー・オブ・ライフを実現している。このような最先端の技術を駆使した生活に,私を含めた日本人は魅了されている。
 日本とエストニアは,近年緊密な関係にあり,今やエストニアを訪れる日本人は年間10万人に迫る勢いで,直近5年間で4倍以上に急増している。現在,両国間にて協議中のワーキング・ホリデー制度を早期に導入し,両国の人的交流を更に進展させていきたいと思う。
 両国の経済関係では,日エストニア租税条約の早期発効に向けて前進し,両国間の投資・経済交流を促進したいと思う。昨年,EU議長国であるエストニアの協力を得て交渉が妥結された日EU・EPAも,今後両国の経済交流を一層促進させることになると期待している。
 エストニアは,IT立国であり,多くのスタートアップ企業を輩出し,高い技術力を有する人材の宝庫である。多くの日本企業がエストニアの経済的潜在性に注目している。今回の私のエストニア訪問には,IT企業,大手の貿易業,林業,製造業,運輸業の関係者から構成されるハイレベル経済ミッションが同行している。これらの企業は,既にエストニアに投資して雇用を生んでおり,あるいは今後の投資やエストニア企業とのパートナーシップを検討している。
 政府間協力でも,日本とエストニアの間ではサイバー協議を実施しており,サイバーセキュリティ分野を中心とした二国間協力を進めてきた。今回の訪問を契機に,IT分野のみならず,幅広い分野における経済交流を進展させたいと思う。

【問】日本とエストニアの共通の隣国であるロシアによる予測不可能かつ攻撃的な振る舞いは,欧州諸国の懸念を増大させている。また,日本には非常に好戦的な行動をとる北朝鮮が隣人として存在する。日本もエストニアもこの問題で対米関係による部分が大きいが,米国がより孤立することが懸念されている。安倍総理は,トランプ米大統領と極めて良好な関係を築いているが,同盟国との関係に対する同大統領のコミットメントをどうご覧になるか。また,同大統領はロシアや北朝鮮からの脅威の重大性を理解していると考えるか。

【安倍総理大臣】私とトランプ大統領との信頼関係の下,日米同盟はかつてなく強固である。トランプ大統領の就任後,相互訪問や国際行事の際に,また電話でも何度も会談を重ねてきている他,ゴルフ等を通じ強固な信頼関係を構築している。
 トランプ大統領との間では,日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントを繰り返し確認している。また,先月公表された米国の「国家安全保障戦略」において,米国が,同盟国を始めとする国際社会と協力する考えを示していることを評価している。
 私とトランプ大統領は,北朝鮮の核・ミサイル開発が国際社会全体に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威であるという認識を共有している。昨年11月にトランプ大統領が来日した際にも,北朝鮮に対する圧力を最大限まで高め,北朝鮮の政策を変えさせていくとの認識で一致した。国連では,累次の安保理決議を経て対北制裁を強化してきており,国連加盟国であるエストニアにも着実な履行を期待している。
 米露関係について予断することは差し控えるが,ロシアは国際社会の中で重要なプレーヤーである。シリア,ウクライナ,北朝鮮など,国際社会の喫緊の課題の解決に向けてロシアの建設的な対応が必要であり,私自身プーチン大統領に直接働きかけている。今後とも,世界の平和と繁栄のために,ロシアが積極的な役割を果たしていくよう促していく。
 日本の平和安全法制の整備により,日米同盟はその絆を一層強めている。今後とも日米同盟の下,インド太平洋及び世界の平和と繁栄のため,トランプ大統領と手を携え,日米で主導的な役割を果たしていく。


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