世界が報じた日本
海外主要メディアの日本関連報道
11月5日~11日
最近の海外主要メディアにおける日本関連報道の中からいくつか紹介いたします。メディア側から予め承認が得られたものの中から選んで掲載しています。転載・複製を禁じます。詳細はリンクから原文をご参照願います。
掲載日:
6日付:
媒体名(国名):
執筆者(発信地):
ブノワ・ジョルジュ記者
情報サービス企業トムソン・ロイターの選出する2014年世界イノベーション企業・研究機関100社が6日発表される。国別では日本が39社で初めて1位に躍進した。以下,2位に米国(35社),3位にフランス(7社)が続く。地域別では日本を含むアジアが46社に増え,トップとなった。
トムソン・ロイターは特許数の他,特許登録率,(特許ポートフォリオの)国際的な広がり,(引用における)特許の影響力などを分析してトップ100を選出する。日本企業は昨年の28社から39社へと急増し,2011年の調査開始以来常にトップの座にあった米国を抜き首位の座を獲得した。
掲載日:
1日付:
媒体名(国名):
執筆者(発信地):
ブライアン・ミルナー記者
日本銀行は10月31日,インフレ率の低下を始め雇用の伸び悩みや売上と消費意欲の冷え込み,失速寸前の経済状況が懸念される中,追加金融緩和に踏み切った。日銀は,マネタリーベースを増額させ,国債の購入規模を年30兆円増額すると発表した。さらに,GPIFは日本国債保有比率を下げ,株式と外国債券の保有比率を増やすことを発表した。日銀の追加金融緩和は,瞬時に日本国内外の金融市場に影響を与え,円安が進み株式市場にも衝撃を及ぼした。追加金融緩和という強硬策を講じる必要があると黒田総裁が考えている事実は,日本政府がアベノミクスの限界を危惧していることを強調している。年間インフレ率は下降傾向にあり,今年9月時点では1%に落ち込み,過去半年間で最低となっている。日銀は,年度末の3月までの成長予測をわずか0.5%としている。日銀は,2016年までの2%のインフレ目標を維持しているが,今年と来年のCPI(消費者物価指数)予想は下方修正している。
掲載日:
6日付:
媒体名(国名):
執筆者(発信地):
ジョナサン・ソーブル記者(東京発)
安倍総理の指揮の下,積極的な経済刺激策が導入されておよそ2年が経ち,失業率は下落,トヨタのような大企業は記録的な収益をあげ,日本ではほとんど何十年もの間見られることのなかったインフレが,デフレに取って替わった。しかしアベノミクスの恩恵は,均一に行き渡っておらず,多くの消費者や企業は状況が上向いたと感じていない。この問題は,重要な岐路において,アベノミクスへの支持を弱める恐れがある。国民は明確にインフレ疲れの兆候を示している。日銀は10月31日,借入れと消費を刺激するために,追加の緩和策を発表した。しかし,円の価値を押し下げたこの積極的な刺激策は,問題を複雑にするだけである。議員や政府に近いエコノミストの一部は,賃金が物価に追いつく時間を与え,インフレがより痛みの小さいものとなるよう,出来れば18か月程度,増税を延期するよう求めている。一方で,ほとんどの財界・政界関係者は,国の信用価値に対する潜在的なリスクを引き合いに,増税延期に反対の立場をとっている。黒田日銀総裁も,消費増税が個人消費を妨げるという批判の声にも関わらず,増税の実施を推している。
掲載日:
9-10日付:
媒体名(国名):
執筆者(発信地):
フィリップ・メスメール記者(東京発)
11月7日,鹿児島県の伊藤知事が川内原子力発電所の運転再開に同意し,運転再開の決断は安倍総理に委ねられる。安倍総理にとって,原発稼働の再開は選挙公約であり,経済的な観点からも不可欠である。経済界も総理の方針を支持している。原発の運転停止は貿易赤字の要因となっていると言われる。企業や世帯の電気代も急騰した。しかし,原発再稼働は厳しい批判に直面している。7月に原子力規制委員会が,川内原発が新しい規制規準に適合していると判断した後,規定通りにパブリック・コメントが実施されたが,規制委員会は施設の点検プロセスのみにテーマを限定し,実際に事故が発生した場合の避難計画など住民の関心の高い問題には触れなかった。地震のリスクに関する批判もある。
掲載日:
10日付:
媒体名(国名):
執筆者(発信地):
ジェーン・ペルレス記者
習国家主席と安倍総理との会談は,領土問題や歴史問題について何か実質的な前進をすることが期待されていたものではなかった。安倍総理は会談後,「共通の戦略的利益にもとづいた相互互恵関係に戻ることによって両国関係を改善する最初の一歩だ」と述べた。日本政府関係者は約30分間会談が行われたと述べた。首脳会談冒頭,両者は意図的に表情を消しており,友好的な印象はなかった。首脳会談では実質的な成果はなかったが,金曜日に合意した4項目に重みが増すことになった。同合意によると,日中両国は両国が東シナ海の紛争中の島群の海域における緊張した状況について相異なる立場を有すると認識していると述べている。同合意は,「状況悪化を回避するため」,「対話と協議」を求めている。
掲載日:
10日付:
媒体名(国名):
執筆者(発信地):
社説
2年以上にわたって日中の緊張の高まりによりアジアは不安定となり,日中両国が軍事的な対立に陥るのではないかとの懸念が高まった。今週金曜日に両国は,政治家らしい行動を見せ,紛争を緩和しうる合意をした。日中両国首脳は,外交,安全保障に関する交渉を徐々に再開しようと門戸を開けようとしている。合意は,両首脳の利益にかなっている。両首脳は,危機管理メカニズムの創設,情勢が管理不能にならないように努力することも約した。懸念されるのは,根本的な問題が未解決のままであるため,これらのコミットメントが首脳会談終了後に忘却され,中国が尖閣に送る武装警察船を増強することである。習国家主席と安倍総理は,金曜日の合意へのコミットメントを増強するため,真剣に会談する時間を作るとともに,東シナ海で対峙することではなく意見の相違を解決することに焦点をあてた真に建設的なプロセスを開始すべきである。
掲載日:
10日付:
媒体名(国名):
執筆者(発信地):
ガブリエル・グレジヨン記者,ヤン・ルソー記者(北京・東京発)
APEC首脳会議のマージンで,安倍総理と習国家主席が2012年の両首脳の就任以来初めて会談した。両首脳の間に本質的な意見の食い違いがある以上,今回APECで演出された雪解けは,実際には時間のかかり骨の折れるものとなりそうだ。北京では,日本政府が初めて尖閣諸島の領有権を巡る領土問題の存在を認めたものとされているのに対し,東京では,この文章はむしろ日本の領有権を再確認するものであり,両国間の緊張状態の原因について「異なる見解」が存在することのみをやんわりと認めたものであるとされている。
掲載日:
12日付:
媒体名(国名):
執筆者(発信地):
フィリップ・メスメール記者,ブリス・ペドロレッティ記者(東京,北京発)
環球時報の論説記事は,「安倍総理が再度靖国神社を参拝すれば,10日に兆しの見られた和解を破綻させることになるだろう」と警告した。しかし実際のところ,安倍総理はこの件に関して何も公約していない。カーネギー国際平和基金の張研究員は,安倍総理がある程度の妥協はしたものの,中国が望むように「尖閣諸島の領有権に関する問題の存在をみとめた,とまで言うことはできない。」と分析する。実際に安倍総理は10日,日本のテレビ局に対し,「日本の態度が変わったことを示すものではない。」と語った。