世界が報じた日本
海外主要メディアの日本関連報道
9月10日~16日
掲載日:
10日付:
媒体名(国名):
日本は安全保障政策において,今後,独との間でより緊密に協力したい考えである。岸田外相は9日,独外務省で行われたシュタインマイヤー外相との会談後,日本政府は平和のために「積極的に貢献」したいとし,積極的な外交政策を推進する独政府との間で,「共通の基盤が存在する」旨述べた。岸田外相は,これまで両国は特にG7の枠組みで協力してきているが,今後,二国間でもより緊密に協力していくことになるとした。東京の日本政府関係者は,日本は独との間で安全保障政策上の共通のプロジェクトや交流の強化に関心があるという。今次外相会談の主なテーマは,ガザ,シリア,イラク,ウクライナ情勢であったという。2015年(おそらく前半)にはメルケル首相の訪日が計画されており,その際,安全保障政策における協力が重要な役割を担うことになるという。
掲載日:
10日付:
媒体名(国名):
執筆者(発信地):
カーステン・ゲルミス在京特派員(論説)
安倍内閣は約600日間に亘り日本の政権に就いている。近年,総理大臣が1年周期で交代していたその東アジアの国としては記録的だ。安倍総理は,長年来の総理大臣で初めて真剣に国の変革に着手した。数十年間,保守的な官僚機構が国の方針を決めてきた国で,首相であり自民党総裁である安倍氏は,多くの日本人が待ち望むリーダーシップを示す。安倍総理が言うように,日本は「戻ってきた」のだろうか。応えはイエスとノーだ。イエス,と言えるのは,安倍総理ほど国際舞台で存在感を示した日本の首相が長らくいなかったからだ。東京には,安倍氏の代わりとなり得る政治家はいない。野党は小規模であり,脆弱で分裂している。反対派が存在するとすれば,せいぜいのところ自民党内だが,その反対派も総理は9月に実施されたばかりの内閣改造でひとまず黙らせた。安倍総理は,世界における日本の重要性が高まるためには,日本が変わる必要があることを理解したという印象を与える。今の安倍内閣には5人の女性閣僚がいる。その大半は,安倍総理の保守的な世界観を共有すると批判的な声は指摘する。だが,安倍総理が彼女らを登用したという事実だけでも新たな動きである。2020年の東京五輪では,新しい,世界に開かれた日本を安倍総理は訪日客に見せたいのだ。
掲載日:
11日付:
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執筆者(発信地):
社説
4-6月期の日本経済が前期比で7.1%縮小したことは,政府が欠点のある政策を変更しない限り,苦労の末実現した景気回復を失速の危機に陥れる可能性を示している。「アベノミクス」として知られる安倍総理の経済政策は,はじめのうちは素晴らしい成果を挙げたが,政府が時期尚早に消費増税を行ったことや,構造改革が十分に進んでいないことなどが影響し,ここ数ヶ月の間に勢いを失っている。日本政府は来年予定されている消費税10%への更なる引き上げを延期するべきである。安倍政権は増税の代わりに,構造改革と経済を停滞させてきた長年の慣習を変えることに注力すべきだ。その一つは,取締役会により多くの社外取締役を任命するよう日本企業に義務づけることである。経済を好転させるもう一つの策は,より多くの女性の雇用を進めることである。
掲載日:
12日付:
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執筆者(発信地):
オースティン・ラムジー記者
朝日新聞は11日,福島原発事故に関する,影響力のある記事を取り消し,謝罪を行い,取締役編集担当の解任を発表。同新聞は5月,福島原発事故当初に作業員650人が命令に背いて逃走したと報じた。この記事は,当時の所長・吉田昌郎氏の証言を引用していたが,同証言について他の新聞3社は,脱出はミスコミュニケーションに基づくものだったとする異なる報道を行った。
掲載日:
12日付:
媒体名(国名):
執筆者(発信地):
フィリップ・J・カニンガム氏
ロイターによると2013年に戦時中の反日ドラマが映画で100本,テレビドラマで70本が作られた。政府はテレビ会社に「愛国的」な放送を増やすよう命じた。中国は長い間,プロパガンダ用戦争映画を製作していた。現実に基づいた,容赦のない日本との戦争という善と悪のドラマである。この数年で,政府公認のドラマは日中関係の緊張や内政国家主義により急増している。共産主義の崩壊で国家主義が中国の新しいイデオロギーとなり,日本への反感が愛国心を強化する方法となった。中国国内での不満と経済への不安が高まる時期に,共通の敵は統一を促進し,政治から目をそらせるのに役立つ。ニュースでもドラマでも日本に関することとなると,そのメッセージが管理されていることは間違いない。
掲載日:
13日付:
媒体名(国名):
執筆者(発信地):
フィリップ・メスメール記者(東京発)
2011年3月の東日本大震災の影響による原発事故の際,福島第一原発の所長を務めていた吉田氏の貴重な証言が公開された。同氏はがんのため2013年に他界したが,調査委員会の聞き取りに応じたこの証言の中で,今後の参考として,一か所に原子炉が集中することの危険について再確認していた。吉田元所長は,東電や政府を批判することも厭わず,特に事故発生当時の原発・東電・政府間の連絡の複雑さについても語った。また,事故以降,汚染水の処理について何度もその必要性を訴えたにも関わらず,聞き入れてもらえなかったことなどについても触れている。
掲載日:
15日付:
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執筆者(発信地):
社説
東京電力福島第一原発事故後に,日本の電力の3分の1を供給していた48基の原発は全て停止された。その3年後に,原子力規制委員会は南九州にある川内原発の2基が新基準を満たしていると認定した。いずれの稼働にも数ヶ月かかると見られ,会社側は地元の同意を得て決定する。とはいえ規制委の認定は,原発産業再稼働への大きな一歩である。安倍総理は,失速しつつある経済を再生する計画の一部として原発を復活させようとしている。国民の意見は分かれ,再稼働が雇用の源と見る人たちもいるが,国民全体では懐疑的である。川内原発は地震や津波の基準は満たしたかもしれないが活火山地域にある。また規制委の審査は,地方自治体の責任である事故発生時の避難問題を検討していない。