世界が報じた日本

9月3日~9日

平成26年9月9日

 最近の海外主要メディアにおける日本関連報道の中からいくつか紹介いたします。メディア側から予め承認が得られたものの中から選んで掲載しています。転載・複製を禁じます。詳細はリンクから原文をご参照願います。

掲載日:

3日付,

媒体名(国名):

ニューヨーク・タイムズ紙電子版(米)

執筆者(発信地):

マーティン・ファクラー東京支局長(東京発)

 新内閣には,女性の社会進出や活用を後押しするという総理の公約を裏付けるように5名の女性閣僚が起用され,歴代の政権の中で過去最多の記録と並んだ。安倍総理は女性の可能性を発揮し,経済を再活性化させることを掲げており,「ウィメノミクス」とも呼んでいる。安倍総理は自身の支持率が下降する中でこの新人事を,女性有権者に対するポーズとして必要なものだと見なしたのかもしれない。安倍総理は3日の記者会見で繰り返しリーダーシップ・ポジションの女性を増やしていく決意を表明し,新内閣の女性閣僚達に「女性ならではの目線で,新風を巻き起こしてもらいたい」と述べた。5名の女性閣僚のうち,最も注目を集めたのは経済産業大臣に就任した小渕優子氏(40)だ。同氏は歴代の女性閣僚の中で,最も力のある閣僚ポストを務めることになる。岸田外相と麻生財務相は留任。安倍総理のライバルとして有名な石破茂氏は地方創生担当相として入閣。同氏は多くの人々から次期総理になるのではないかと見込まれている。

掲載日:

5日付,

媒体名(国名):

レ・ゼコー紙(仏)

執筆者(発信地):

ヤン・ルソー記者(東京発)

 アベノミクスの効果には陰りが見られる。総理が描いた経済再生の大計画は予想したようには進んでいない。与党自民党の内部にさえ,それを認める声がある。「財政出動」と「金融緩和」の2本の矢が完全に効力を発揮することはなく,2013年初めの税制上の刺激策の効果は短期間に留まってしまった。2014年4~6月期の国内総生産は年率換算で7%近くも縮小した。日銀の導入した量的緩和にも関わらず,企業や個人による借り入れは伸び悩んでいる。経済成長率が予想を大きく下回る中で,安倍総理は,財政健全化のため消費税率の再度引上げを実施するか否かを12月に決定しなければならない。表向きには総理はこれを断行することを確認しているが,2016年夏の参院選を控え,自民党内でも既に反対の声があがっている。これらの大規模な改革プロジェクトが結局葬られる恐れもある。

掲載日:

8日付,

媒体名(国名):

ル・モンド紙(仏)

執筆者(発信地):

フィリップ・メスメール記者(東京発)

 経済産業省は,電力各社に対して,自然災害が発生した場合に最もリスクが高いとされる1980年以前に稼働した原子力発電所の廃炉を今月中に促す模様。小渕新経済産業相は5日,政府が「円滑な廃炉を進める」ため,電力各社を支援する用意があると発表した。政府はリスクのある原子炉を廃炉にしたうえで,引き続き原発運転再開に反対する国民に,残りの原発の運転再開を納得させたい意向だ。原発運転再開は安倍総理の優先課題であり,今年4月に総理は「エネルギー基本計画」の中で,原発への依存度を下げるとしながらも,原発を重要なベースロード電源と位置づけている。安倍総理は,先に来日したモディ・インド首相と,インドへの原子力技術の輸出を容易にする日印原子力協定締結に向け交渉を進めることで合意した。日本はカザフスタンやベトナムへの原発輸出の可能性も模索中で,このためにも原発の稼働が必要である。

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