世界が報じた日本
海外主要メディアの日本関連報道
7月9日~15日
最近の海外主要メディアにおける日本関連報道の中からいくつか紹介いたします。メディア側から予め承認が得られたものの中から選んで掲載しています。転載・複製を禁じます。詳細はリンクから原文をご参照願います。
掲載日:
13日付:
紙面(国名):
執筆者・掲載欄・発信地:
草賀純男ニューヨーク総領事投稿
日本の新しい安全保障政策のイニシアティブについて歴史認識と結びつけて評価した2日付貴社説に反論する。日本は,万が一の備えをすることによって安全保障環境の変化に対応しているのであって,それは結果として抑止力の強化につながる。緊張を高めているのは日本ではない。日本の平和国家の歩みは全く揺ぐことはなく,専守防衛政策を遵守していく。日本の新しい安全保障政策は,アジアや米国を始め多くの国から歓迎されている。安倍総理は,歴史認識に関する歴代内閣の立場を引き継いでいる旨繰り返し明確にしている。日本は第二次世界大戦後70年近く,一貫して平和国家として歩み続け,国際社会の安定と繁栄に貢献してきた。こうした歩みは世界中の多くの国々から支持と高い評価を得ている。日本が平和と民主主義,そして自由と基本的人権を擁護し,実践していく姿勢は今後も変わらない。
掲載日:
10日付:
紙面(国名):
日本は,1974年からパプアニューギニア(PNG)に対する経済援助を行っており,その総額は,37億5千万キナ(1,500億円)に上る。また日本は,今後も将来にわたり,援助を続ける予定である。日本の安倍総理は,本紙との書面インタビューにおいて,今回のPNG訪問は,日本のPNGに対する,過去40年から未来へと続く責任を示すものであると述べた。安倍総理は,「日本は,過去40年に亘り,PNGに経済協力を行っている。日本の総理として,両国二国間の関係をこれまでの援助国・被援助国という関係から,協力して共通の課題に取り組むパートナーとしての関係へと発展させていきたいと考えている。私は,30年前に初めてPNGを訪問したが,その後の目覚ましい発展ぶりには,驚かされている。」と述べた。また安倍総理は,「PNG政府及び国民は,日本の経済協力を活用するために,最大限の努力をしていることを確認した。今後もPNGの更なる発展のために,支援していきたいと考えている。また,大洋州地域を含む国際社会の平和と繁栄のために,PNGとともに貢献していきたい。更に,これまで,約600名の青年海外協力隊とシニアボランティアが,PNGの発展のために働いてきている。」と述べた。
掲載日:
10日付:
紙面(国名):
執筆者・掲載欄・発信地:
ポール・ガービー記者
豪州の鉱山会社は,過去10年の中国の経済成長によって多大な利益を得てきたが,昨日ピルバラの鉱石会社を強く魅了したのは日本であった。キャンベラ・ピルバラ間の5時間のフライトのおかげで,安倍総理はアボット首相とより多く談笑することができた。安倍総理のウェスト・アンジェラス訪問は,昨今の中国による鉄鉱石の需要は重要だが,50年前に日本の支援と投資によって豪州の鉄鉱石業が可能になったことを思い出させた。「我々の鉄鉱石業は日本の投資によって誕生し,我々はこの日本による支援を決して忘れることはないだろう」とリオ・ティント社長であるウォルシュ氏は語った。「日本はリオ・ティントにとって最も重要な貿易相手であり,半世紀ほどにわたる我々の恒久的な関係は日豪間の経済と貿易の強化の象徴となっている。」
(注)本件要約及び仮訳は外務省が作成したものであり,ニュース・リミテッド社の見解を一語一語訳したものではない。
掲載日:
9日付:
紙面(国名):
執筆者・掲載欄・発信地:
安倍総理,アボット首相による共同寄稿
今日,日本と豪州は「戦略的パートナーシップ」を享受しており,普遍的な価値と戦略的利益を共有している。近年は,経済分野のみならず安全保障や防衛の側面でも様々な協力が進展している。前回の日豪首脳会談において,我々は,民主主義,人権,法の支配,開かれた市場,自由貿易など共通の価値と利益これを新たな特別な関係に引き上げることを発表した。このように我々の二国間関係は決して深化をとどめない。半世紀近く前,豪州と日本は,実質的に両国経済を下支えする通商協定を締結した。今週キャンベラにて会談し,同様に歴史的な「日本・オーストラリア経済連携協定」に署名する。この協定は,21世紀においてより緊密な経済関係に道を開くであろう。我々は,今週,日本の経済代表団が豪州のカウンターパートと会合することを喜ばしく思う。この経済連携協定は,日本の投資家たちに対し,オーストラリアはビジネスに開かれた場であり,特に鉱業,資源,アグリビジネスの分野において魅力的な投資先であるとの明確なメッセージを送る。この問題に対応するため,G20は適切なフォーラムであり,また適切な権限を有している。11月にブリスベンで会合を行う際に現実的かつ野心的な成果を出すため,日豪はG20パートナーと共に協力している。豪州は,自国のビジネスの競争力をより高めるため,炭素税及び鉱物資源利用税を廃止し,規制を削減する。アベノミクスの「第三の矢」の下,日本は法人実効税率の削減,コーポレートガバナンスの強化,エネルギー,農業及び医療サービス等の分野における市場開放や新規参入の促進,及び国家戦略特区等の取組を通じた制度改革の促進を含む,新たな改革を発表した。日豪両国にとって,特に二つの分野における改革が重要である。両国政府は,生産性の促進に不可欠であるインフラ投資の促進に向けて,断固たる行動を取っている。長年の課題である女性の労働力参加率の向上は,経済成長に貢献し,また高齢化社会が直面する課題への対応を手助けする。日本は保育へのアクセスの改善及び育児休暇中の給与を高めることに焦点を当てている。
(注)本件要約及び仮訳は外務省が作成したものであり,ニュース・リミテッド社の見解を一語一語訳したものではない。
掲載日:
9日付:
紙面(国名):
執筆者・掲載欄・発信地:
社説
安倍氏の議会での演説は,日本政府と豪州政府の関係の豊かさ,深さ,そして広がりを示すものであった。安倍総理は,第二次世界大戦中に亡くなった若い豪州兵士たちに対し,日本の「最も誠実な哀悼の意」を示し,「歴史の暴戻」を繰り返さないと強く約束した。しかし,この歴史的瞬間は,20年に及ぶ経済低迷と,戦後の平和主義憲法によって課された戦略的硬直性から抜け出した,より自信に満ちた日本の証でもあった。かつて軍国主義国家だった日本は,国際社会の模範的な市民となり,アジア太平洋地域の安定と繁栄を促進するために貢献してきた。我々は今,日本自身がそう望んでいるように,日本がより「普通の国」であるべきとの主張を目にする。中国政府は,近隣諸国とのいくつかの領土係争において,その言葉遣いの激しさと攻撃的態度を昂じさせている。安倍総理は昨日,中国を名指しはしなかったが,太平洋とインド洋をつなぐ広大な海と空が「オープンで自由」であること,紛争が平和的に解決されることを求めた。総理は,「何か主張する際は法を遵守し,力や,威嚇を用いてはならない」と述べた。私たちは,オバマ大統領のアジアへの「ピボット」を歓迎し,米国がそのために資源を更に割り当てることを望む。日本は鉄鉱石採掘などの地域産業を発展させる上で重要な役割を果たしてきたし,日本の投資は1,260億ドルに上る。これは,食料,資源,エネルギーのみならず文化,教育及び技術交流の面にもわたり,膨大な可能性を秘めた,決定的に重要なパートナーシップである。今回の貿易協定は,将来をよく見通した50年前の合意と同様に,今後何十年にもわたって両国に繁栄と友情をもたらすだろう。
(注)本件要約及び仮訳は外務省が作成したものであり,ニュース・リミテッド社の見解を一語一語訳したものではない。
掲載日:
9日付:
紙面(国名):
執筆者・掲載欄・発信地:
グレッグ・シェリダン外交編集委員
安倍総理は,豪州議会で最も素晴らしい演説をし,自らの訪問を日豪の新たな「特別な関係」のスタートにしたいと豪州に対して語りかけた。安倍氏は1957年のメンジーズ元首相と安倍氏の祖父によって交わされた貿易協定に匹敵するものであると言及しながら,アボット首相との自由貿易協定に署名と今回の訪豪についてもっとも大胆で歴史的な主張をした。安倍総理は日本の経済を再生させ,また日本の安全保障政策を再整備するなど,日本を変貌させる指導者である。これを日本の軍国主義化と見なすことはばかげたことであり,アボット首相が表したように,日本は同盟国を支援し,また同盟国から支援を得ることを可能にする方向に進んでいる。安倍氏の演説はその内容とともに,話しぶりも大胆で素晴らしいものであった。安倍氏は,第二次世界大戦で亡くなった豪州人に哀悼の意を示す等,暗い過去について回避することはしなかった。演説の中で安倍総理は中国を名指ししなかったが,太平洋とインド洋につながる海と空をオープンで自由なものにしたい,紛争は国際法に従って平和的に解決したいと述べた。
(注)本件要約及び仮訳は外務省が作成したものであり,ニュース・リミテッド社の見解を一語一語訳したものではない。
掲載日:
8日付:
紙面(国名):
執筆者・掲載欄・発信地:
グレッグ・シェリダン外交編集委員
本紙との独占インタビューにおいて,安倍総理は,日豪間の既存の戦略的パートナーシップをさらに強化し,両国の「特別な関係」に発展させたい,それを行う上でEPAの署名と防衛技術協力協定を歓迎する旨述べた。EPAについては「日本がこれまで締結してきた二国間EPAの相手国のうち,豪州が最大の貿易相手国」であり,重要であるとしつつ,1957年に同総理の祖父である当時の岸総理が日豪通商協定を締結したから日本と豪州の経済関係が大きく発展し,その後の日豪の強固なパートナーシップの礎となったと述べた。また安倍総理は,「防衛装備移転協定の署名等を通じて,「戦略的パートナー」を一層強化,両国を新たな特別な関係に引き上げたい」と述べ,潜水艦という重要かつ機微な防衛技術における日豪協力についても言及した。また,「同協定が発効すれば,防衛装備・技術の移転を伴う共同開発ができるようになる」とも述べたが,これは,豪州のコリンズ級潜水艦を代替する新しい潜水艦の開発のために日豪両国が協力する可能性に直接言及したものである。安倍総理は中国について,「日中関係は切っても切り離せない関係である,中国は,日豪とともにアジア太平洋地域の平和と繁栄のために大きな役割は果たさなければならない大国である,中国が国際的な規範を共有・遵守しながら,地域の課題に建設的かつ協調的な役割を果たすことを強く期待する」と述べ,中国との間の緊張については大げさに扱わなかった。
(注)本件要約及び仮訳は外務省が作成したものであり,ニュース・リミテッド社の見解を一語一語訳したものではない。
掲載日:
7日付:
紙面(国名):
執筆者・掲載欄・発信地:
ブライアン・ファロー記者
日本の安倍晋三総理大臣はTPP交渉における日本の役割への批判に対しても動じない。日本は農業市場のアクセス対して強行路線をとっており,その野心的姿勢は,ニュージーランドと米国の農業ロビーグループが日本抜きで協定を妥結しようとする動きを生んでいる。ジョン・キー首相は先月のワシントン訪問でこのような動きを是認しかけたが,首相は日本を含めた協定妥結が好ましいと強調した。
本紙が安倍総理に「日本が取り残される」のではと質問したところ,総理は世界第3の経済大国である日本が加わることでTPPの戦略的重要性は増すと強調した。「これまで米国と親密な関係を築いてきた一方,アジアの国々との信頼関係構築にも注力してきた。」「日本はその立ち位置を活かし交渉全体において橋渡し役を務めることで,野心を保ちつつ,協定がバランスあるものとなるよう努力している。」と言及した。「日本は,先般のオバマ米大統領訪日時の日米交渉によって生まれたモメンタムをとらえ,米国と共にTPP交渉全体の妥結に向け協力し,他の参加国とも精力的に協議している。引き続き,包括的で高い水準の協定の早期妥結に向けて,その役割を果たしていく。」
日本が強固に守ってきた非効率な農業分野は,"アベノミクスの第3の矢"と称される広範囲な構造改革プログラムの一つとして取り上げられている。第1,第2の矢は,日本経済が過去25年間繰り返し陥っていたデフレの脱却を目指して,財政,金融を刺激するよう設計されていた。「特に農業については,40年以上続いたいわゆる"減反政策"を廃止する。」と安倍総理は本紙に述べた。「農業を競争力のある成長産業とするため,60年ぶりに農協改革に果敢にチャレンジする。」と安倍総理は言う。農業団体の強力なネットワークは,日本の農業の国際化である貿易自由化の手強い敵である。農業分野は,不経済な零細な土地保有者に支配され,さらに2010年で平均68歳,そのうち3分の1が75歳以上という人口統計にも不利な状況となっている。